論文英語の組み立て – 学術論文における 口語 の使用について

「 口語 」とは、日常生活における会話で用いられる言葉遣いのことです。英語の学術論文では口語を避けるべきだと言われますが、ここでその主な理由を説明します。

英語にもさまざまな口語と文語との違いがありますが、日本人学者が書いた論文における口語的な言葉遣いによる問題は、主に単語(多くの場合は動詞)の誤った選択に起因するものです。私が読んできた論文からすると、口語的な用法で用いられがちなものとして最も注意すべき単語や表現は以下を含みます。

動詞: give、take、put、keep、stay、do、make、look、call、remember、say、tell、ask、care、come、go、check、feel、happen、hit、touch、used to…、supposed to…
名詞: lot、way
形容詞: like、big、little、just、hard、easy、good、bad、great
前置詞: around、before、after
副詞: ever、always、never、this time、nowadays

上記の単語・表現は必ずしも口語的になるとは言えませんが、用法によって口語的に用いられる傾向が強いものです。中には用法によらずほぼ例外なく口語的と捉えられるものもあります。

口語的な言葉遣いが学術論文に相応しくない主な理由は、口語的な単語・表現が学術論文で必要とされる正確性と相容れないということにあります。学術論文を執筆する上で、最も重要なのは文章の正確性なのです。しかし、口語的な単語の使用は曖昧さにつながり、文全体を解釈しにくいものにしてしまいがちです。以下にその理由を簡潔に説明します。

口語的な単語は日常生活で広く使われるものです。用法範囲の広さによって単語が持つ意味も広くなります。意味が広いということは単語が表す動作・物・性質などが正確に定まらないということです。その結果、口語的な単語の使用によって文章が不明確になってしまいます。

口語的な単語・表現を避けるためには英語の類語辞典と英英辞典を併用するとよいでしょう。そうすれば、伝えようとしている意味を最も正確に示す単語を選択することができるようになります。


Dr. Paquetteグレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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