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【東京工業大学】初澤 毅教授インタビュー (後編)

各大学の研究室に訪問し、研究者たちにおける英語力向上の可能性を探るインタビューシリーズ。二回目は、東京工業大学の初澤毅教授にお話を伺いました。インタビュー後編では、 国際化 が進む教育現場において、英語での口頭発表のスキルをいかに上達させるかについてお話しくださいました。


■論文の執筆以外にも英語のご苦労はありますか。
英語でのプレゼンテーションは、英語で論文を書くよりも難しいです。短い時間に適切な英語で話すのは、かなりのスキルがいると思います。
またおそらく、学生が英語で発表する際に一番困るのは、相手の質問が聞き取れないことだと思います。自分が話すことはできるけど、相手が何を言っているのか分からず適切な答えができない。ヒアリングスキルはライティングスキルとは異なります。生でネイティブが話しているのを聞く機会がなければ語学学校に行くなどして勉強するしかなく、学生にもそのように伝えています。

■研究室の他の皆さまも、同様に英語には苦労されていますか。
人によりけりですね。チャンスがうまく巡ってくると、海外に派遣される機会があります。隣の研究室の助教授は2年間アメリカに行っていました。短かければ半年、長ければ2年くらい、海外に派遣される機会がありますので、そういうチャンスを生かして、話せる人はちゃんとスキルを上げて帰ってきます。

■英語での口頭発表の前は練習しますか。
私自身も十分に練習しますし、初めて発表する学生には、教員がまずは原稿をチェックして、セリフも入れてあげます。「自分で何回も練習しなさい。我々でも発表するときは怖いから大抵5、6回は練習する。君らもやらなければいけないよ」と伝えます。

■発音や声の大きさなども含めて指導されますか。
声の大きさはともかく、発音となるとネイティブのようにはできませんし、専門用語の正しい発音は我々自身困るところもあるので、分かる範囲で指導します。
しかし、むしろ発音練習よりも、相手にいかに分かりやすく伝えられるか、話の流れがおかしくないかなど、ストーリーの構成について指導しますね。私たちは英語ネイティブではないのだから、発音は下手でもいい。でもその分、分かりやすくて、ストーリーがちゃんと伝わる発表にする。そっちのほうが大事だと指導します。


■日本人の研究者が英語力を鍛える一番良い方法は何だと思いますか。
研究者の英語にはふたつのスキルが必要だと思います。論文を読み書きするためのスキルと、日常会話で研究のディベートができるスキルです。
おそらくこのふたつは別々の能力だと思うのですが、まずは論文を読み書きするスキルが必要です。それを、エナゴのような英文校正サービスで助けていただきながら、ディベートやプレゼンのスキルアップができればいいですね。その上で、場数を踏まないと国際会議では通用しませんので、チャンスをたくさん与えてやるのがおそらく一番の早道だと思います。
最近はプレゼンのスキルアップができるサービスもあるのでしょうか。

■直接のプレゼン指導ではありませんが、3月に東京工業大学様で、先生を派遣してセミナーを開催させていただいたことはあります。また、英語のプレゼン資料を英文校正として添削することはもちろん可能です。
留学なども積極的に勧められたりしますか。

どんどんいってらっしゃい、と言っています。現在うちの専攻に36人位学生がいますが、年間に1~2人は半年くらいヨーロッパとかアメリカへ行きたいと言って、休学して行ったりしますね。今後は、半年ほどインターンシップのような形で海外へ出たり企業に行ったりというようなことは、必須になっていくと思います。

■外国人学生を研究室に受け入れることもありますか。
留学生については全く拒みません。ただやはり、中国、韓国、マレーシア、ベトナム、シンガポールなどのアジアからの留学生が多く、英語圏からとなるとシンガポールか香港になりますが、人数が非常に少ないです。アメリカ、イギリス、その他ヨーロッパなどの、いわゆる英語ネイティブの国からの留学生はほとんどいないですね。
12月から3月までスイス人でイギリスの大学に通っている留学生がいたときは、学生もみんな否応なく英語を話していました。昔の学生は照れて話さなかったけど、この頃の学生は結構平気で話しますね。あと、半年に1回、修士の学生がみんな集まる発表会があるのですが、堂々と話す外国人留学生の姿は、やはり学生にとってはかなり刺激になります。留学生は大いに歓迎です。

■今後、どのような英語のサービスを使ってみたいと思いますか。
今ある翻訳サービスや論文校正のサービスだけで、もう十分ありがたいです。欲を言えば、先ほどお尋ねしたようなプレゼンの練習ができるサービスがあるといいですね。例えば、インターネットでお互い顔を見て英会話をしながら、言い回しについてアドバイスをいただけたりすると、特に初めてプレゼンをする学生には助かるかなと思います。


【プロフィール】

初澤 毅(はつざわ たけし)
東京工業大学 未来産業技術研究所 融合メカノシステム 教授

1958年4月 横浜生まれ
1981年3月 東京工業大学 工学部 制御工学科卒
1983年3月 東京工業大学大学院 総合理工学研究科
1983年3月 精密機械システム専攻修士課程修了
1983年4月 通商産業省 工業技術院 計量研究所(現 産業技術総合研究所)入所
1983年3月 サブnm領域の測長技術・国家標準関連研究に従事
1983年3月 研究員,主任研究官を経て,博士(工学)取得
1995年4月 東京工業大学 精密工学研究所 助教授
2000年4月 東京工業大学大学院 理工学研究科 助教授
2002年4月 東京工業大学 精密工学研究所 教授
2016年4月 未来産業技術研究所に改称
1983年3月 現在に至る

 

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