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【筑波技術大学】三浦美佐 准教授インタビュー(前編)

各大学の研究室に訪問し、研究者たちにおける英語力向上の可能性を探るインタビューシリーズ。十六回目は、筑波技術大学 保健科学部の三浦美佐先生にお話を伺いました。
インタビュー前編では、三浦先生のご研究の内容と発表における苦労をお話いただいています。


■  先生の専門分野、研究テーマを教えてください。

専門はリハビリテーションです。その領域の中でも内部障害、主に循環器系、腎臓疾患、呼吸器系、肝機能障害や癌など、さまざまな疾患を患った方のリハビリに関する研究をしています。以前は、患者さんが寝たきりになってからの廃用症候群のリハビリ治療が主だったのですが、今のリハビリは疾病の予防にまで幅が広がっています。まずは病気にならないことが大事ですが、病気になってしまった場合でも、いかに患者さんに軽負担で、しかも効率よく治療できるか。それを主眼に、運動療法や電気刺激、超音波などの物理療法によるリハビリの研究を進めています。

■ 機械を使ったリハビリの効果の研究や、機械・機器の開発などもされているのですか?

従来の運動療法の実施が困難な寝たきりの方でも使用できる自転車運動とか、電気刺激、さらに廃用症候群の予防のための運動プログラムなどが研究対象です。例えば、腎臓病の方に効率よく運動していただくため、下肢陽圧式空圧免苛歩行装置を企業と開発し、臨床試験を行っているところです。他には、透析患者さんが透析を受けている間にベッドの上でこげる自転車を考案し、企業と一緒に臨床治験を行っています。

■ 寝ている状態での運動ということですね。

はい。ベッドの上で使用できる運動機器って少ないんです。専門の知識を持つ人も少ない。
最近では、運動さえままならない患者さんも増えています。そこで、自力で立つことができない方でも歩く方法はないかと考えて作ったのが、先ほど述べた下肢陽圧式空圧免苛歩行装置です。杖や歩行器が必要な方でも歩くことができる機械で、これを使用して少しずつ機能を戻していく取り組みを行っています。

■ 研究内容をわかりやすく説明していただき、ありがとうございます。では、その研究成果の英語での発表についてお聞かせください。最初に発表をされたのはいつでしょうか?

東北大学の大学院生だった時です。入学して2か月しか経っていないのに「イタリアの学会でポスター発表して」と言われまして……(笑)。当時の私は、英語の論文は何とか読むことができても、自分で書くことはできないレベルでした。

■ どのように準備をされたのですか?

今までに書かれた論文を読んだり、研究室の先輩や同級生の書き方を参考にしたり、研究発表を見たりして、少しずつ力を付けていきました。あとは研究室の中で予演会というものがありまして。先生や学生の前でリハーサルを行い、質疑応答もやるというトレーニングです。当然、日本語禁止で英語だけです。期限までには何とか仕上げましたが、今思えば、文法的な誤りや自分では気づけない間違った言い回しがたくさんありましたね。もちろん今でもそうですが……。

■ 本番の出来はいかがでしたか。

予演会のおかげで何とかなりました。原稿を精査できたこと、それに事前に準備したQ&Aが役立ちました。先生や同じ学生たちのおかげで質問をある程度想定することができ、本番でも落ち着いて答えることができました。写真も撮ってもらえてうれしかったですし、思い出深い発表になりました。

■ 突拍子もない質問はなかったですか?

ありましたよ(笑)。単語を並べて何とか切り抜けました……。拙い回答ばかりだったと思いますが、それでも練習の効果は大きかったですね。たとえピントが外れていても、何か答える、言葉を発するというのは大事なことだと思います。

■ イタリアの後、国際学会などで定期的に発表されてきたのでしょうか。

イタリア以降、年に一回は国際学会に行っています。昨年もアメリカ腎臓学会はじめ国際リハビリテーション医学会、ヨーロッパ腎臓学会などに行かせていただいて、年一回のペースで英語発表の機会を持てています。それからリジェクトされることは多いのですが、2年に1回は英語論文を学術ジャーナルに掲載してもらっています。エビデンスを考えると学会発表だけでは足りないので、年一回の発表と並行して論文を書いている状況です。

■ これまでのご経験の中でも特に大変だった発表を教えてください。

数限りなくありますが、一つあげるなら、香港で開催された循環器予防学会での口頭発表でしょうか。アジアの循環器予防学会からの招待でInvited Speakerとして発表したのですが、鋭い質問が多くて大変でした(笑)。「被験者に高齢の方が多いのはなぜか」「なぜ若年層と比較しないのか」といったような、全然想定していなかった質問や、日本語でも答えに窮するような追及が中国の研究者たちからいくつかあって……。そのパワーに圧倒されました。準備の大切さをあらためて実感しました。

■ その場での返答が難しい質問が来た際は、どう返されるのですか。

英語で「今後の検討課題にしたいと思います」と返します。そうすると、それ以上は突っ込んでこない場合が多いので。発表が終わった後に個別に聞きに来られる方もいますが、こちらの英語が拙いので「すみませんが、Eメールで質問をいただければ後で回答します」と返事をするようにしています。文章のほうが的確に伝えられるので、その場で何となく済ますことはしません。連絡先を聞いて、質問に答えます。そのたびに、エナゴさんには非常にお世話になっています(笑)。

【プロフィール】
三浦 美佐(みうら みさ)
筑波技術大学 保健科学部 保健学科 理学療法学専攻・准教授

2010年3月 東北大学大学院医学系研究科医科学専攻 博士課程修了
2011年4月 東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻 機能医科学講座 内部障害学分野 非常勤講師
2013年4月 筑波技術大学保健科学部 保健学科理学療法学専攻 准教授
2016年6月 茨城県理学療法士会学術賞を受賞
現在の専門分野:内部障害学分野

 

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