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第5回 Q&Aはプレゼン冒頭から始まっている

発表 でのQ&Aを上手く乗り切るコツは「あなたの人間性を前面に押し出すこと」です。口頭発表の目的はディスカッションであって、それを行うのは人間と人間です。聞き手はプレゼンテーション中にあなたに親近感をおぼえたなら、コミュニケーションが円滑に進むように取りはからってくれるはずです。

    1. 気持ちをつかめばスムーズに

あなたが聞き手であったら、原稿読み上げマシンのような発表者にどのような気持ちを抱くでしょうか?発表内容がどんなに興味のあるテーマであったとしても、違和感か、ひどい場合は嫌悪感を抱くのではないでしょうか。そして質疑応答に入ったならば、質問者は発表者の顔色をさぐりながら、場合によっては問題点を指摘するような質問を投げかけることになります。原稿に頼れなくなった発表者が答えに窮する…これがQ&Aが恐怖となる筋書きです。

スムーズなQ&Aはその逆を行えばよいのです。発表者が、たとえ英語が流暢でなくとも、熱意と誠意をもって聞き手に話しかけるように発表を行えば、聞き手は自然に発表者に親近感を持ち、話に引き込まれます。そして質疑応答に入ったならば、質問者はすでに親しみを覚えた発表者に気持ちを込めて質問をすることができます。英語が得意でないとわかれば、ゆっくり質問してくれるかもしれません。つまり、Q&Aはプレゼンテーションの冒頭から始まっていて、口頭発表の全体がひとつのディスカッションを構成していると考えましょう。したがって、発表中にも聴衆に視線を配る必要があります。さらに ‘聴衆を読む’ことができれば達人の域です。

    1. 質問が聞き取れないことは問題ではない

多くの日本人がQ&Aを恐れる大きな理由として、そもそも質問が聞き取れないと言います。しかしその原因の50%が質問者にあると考えたことはあるでしょうか?多くのネイティブスピーカーが、自分にも質問がわからないことがあると言います。たしかに、ネイティブスピーカーが質問者に「今の質問は○○という意味でしょうか?」と問い返している場面は少なくありません。発表内容について最も多くの知識を持っているのは発表者ですから、明快に質問してくれさえすれば、妥当な回答はできるはずです。質問が聞き取れなかったときは、質問者の英語に問題があることも考えられますので、過剰に不安がらずに落ち着いて聞き返しましょう。Q&Aに役立つフレーズは別記事で紹介します。

 


キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri)
日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free mobile house called Self-Sufficient Camper (S.S.Camper) provides both remote and on-site sheltering at times of natural disaster.”

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