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「オープンアクセス」の“オープン度”の違い

オープンアクセスの種類

インターネット上で公表され、誰もが無料で読むことのできるオープンアクセス・ジャーナル。近年、その存在意義が注目され続けていますが、実は、その「オープン」度にはかなりの差がみられます。今回は、よくあるタイプをいくつかあげてみます。参考文献を探すとき、または自分の論文を発表するジャーナルを探すときに、参考にしてください。
1.完全にオープンなもの
オープンアクセス・ジャーナルというと、多くの人が想像するのがこのタイプの雑誌ではないでしょうか? 実際に、近年創刊された新しいジャーナルには、雑誌の内容をその巻頭から巻末まで、すべてオンラインで閲覧できるようにしているものが少なくありません。PlosBioMedCentralが発行するジャーナルのほとんどがこれに当たります。しかし雑誌発行のための運営費を確保することなどを理由に、オープンアクセス・ジャーナルといわれることはあるものの、以下のような制限を設けているケースもみられます。
2.投稿された研究論文のみオープンなもの
投稿された研究論文のみ閲覧でき、新しい出版物のレビューなど、論文以外の掲載記事へのアクセスを制限するタイプです。自分の研究に関係のある最新の研究結果を探すのには、これで十分でしょう。
3.投稿された研究論文の一部のみオープンで、他の論文にはアクセスできないもの
限られた研究論文のみオンラインで無料閲覧できるというタイプです。関心のある論文がたまたまオープンアクセスになっていればいいのですが、そうでなければ、今までどおりに雑誌を購入しなければ閲覧できません。どの論文がオープンアクセスになるかは、論文の筆者ではなく雑誌の編集者が決める場合が多いようですので、このような雑誌に投稿する場合は、オープンアクセスの選出方法を事前に編集者に確認したほうがよいかもしれません。
また、「オープンアクセス・オプション」といって、投稿者が1000ドルから3000ドル程度の掲載料を払うことによって、自分の論文をオープンアクセスにすることができるジャーナルもあります。
このように特定の論文だけがオープンアクセス化されているジャーナルを「ハイブリッド・オープンアクセス・ジャーナル」と呼ぶこともあります。
最近の傾向としては、社会的に関心が高い論文は、掲載誌がオープンアクセス・ジャーナルでなくても、オープンアクセス化されることが多いようです。京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の作成成功を2006年に報告した論文は、『セル(cell)』で初めからオープンアクセス化されて公開されました。また、小保方晴子・理化学研究所ユニットリーダー(当時)が「STAP細胞」の作成成功を2014年に『ネイチャー』で報告した論文は、当初は購読者しか読めませんでしたが、研究不正が疑われ、世間の注目が集まってからオープンアクセス化されました。
発行当初は投稿された研究論文の一部のみオープンで、後日、すべての論文にアクセスできるようになるもの
前述のタイプと似ていますが、雑誌の発行当時には自由に閲覧できなかった論文が、一定期間を経てすべて閲覧できるようになるという点が違います。このタイプのジャーナルでは、1年から数年以上経った古い号が公開対象となる場合が多いようです。どのくらいの期間を経てオープンになるかはジャーナルによって違いますので、最新の論文を探すときや自分の論文を投稿するさいには、その点に十分気をつける必要があります。
発行当初はオープンでないものの、少し遅れて雑誌全体がオープンになるもの
最新の論文は購読者しか読めなくても、一定の期間を経て、ジャーナル全体がすべて無料で閲覧できるようになるタイプで、長年にわたって発行を続けている学会誌に多く見られるようです。こちらも上述のタイプと同様に、どのくらいの期間を経てオープンになるかはジャーナルによって違います。
たとえば、アメリカ微生物学会(ASM: American Society for Microbiology)の発行する雑誌の論文は発行4カ月後に、コールドスプリングハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)の発行する雑誌の論文は6カ月後に無料公開となります。
雑誌自体はオープンアクセスではないが、雑誌に掲載された論文を著者が何らかの形でオープンアクセスにすることを許可しているもの
今までは、投稿した論文が学会誌に載ると、同じ論文を他の場所に掲載することはできませんでした。しかし昨今、そのジャーナル自体はオープンではないものの、研究者本人が採用された自分の論文を、他のオープン・アクセス・ウェブサイトに掲載することを許可するケースがみられるようになってきました。
インターネットで先行研究を見つけるために論文を探すとき、「ああ、この論文はオープンアクセスじゃないんだ」とすぐに諦めず、他の所に掲載されていないか探してみましょう。PubMed CentralScienceDirect経由で読むことができる場合もあれば、著者の大学や研究室のウェブサイトにアップロードされていることもあります。中には、原著論文は購読者しかアクセスできないのに、なぜか翻訳されたものがPDFファイルになって、医療関係企業のウェブサイトで無料公開されている・・・ということも。根気よく探しましょう。

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