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研究者向け おすすめ英文チェックツール6選

文法とは言語において文章を書く上でのきまりです。コミュニケーションの中で新しい俗語(スラング)が生まれ、それが世界中に拡散するにつれ、文法の正しい使い方に影響が出ることで、研究者が効果的な学術文章を書く際にも悩ましい問題となってきています。学術文章は知識を広げるための基本的情報を提供するものですので、文法的にも表現においても正しく書かれていなければなりません。幸いなことに、AIベースの英文チェックツールを活用することで、正しい文章の執筆を少しでも楽に、時間をかけず、間違いなく行うことが可能です。研究者は学術文書の英語をチェックするのに最良の英文チェックツールを用いることが重要です。

この記事では、オンラインで利用できるツールの中から、言語スキルの向上や文法・スペルチェックができるツール6つを選出し、特徴を解説していきます。

英文チェックツールを使用することの大切さ

学術文章のあるべき姿は、客観的かつ正確な内容がしっかりとした構成で、かつ改まった(フォーマルな)表現で書かれていることです。学術雑誌(ジャーナル)に学術論文を投稿する際にオンライン英文チェックツールを使って文法やスペルをチェックすることは、最終的な公表に必要な具体的要件を満たすことにつながります。こうしたことから、各研究分野における適切な言葉遣いや文法の改善だけでなく、学術ジャーナルの様式に関するガイドライン(スタイルガイド)や単語数の制限(字数制限)といった要件を満たすのに役立つチェックツールの需要はますます増えています。さらに、オンライン英文チェックツールには、学術英語の執筆、専門用語や科学的表現のチェック、出版に向けた諸々の準備において的確なサポートを提供することも期待されています。こうした機能を有するツールを使いこなすことができれば、研究者が学術文書を執筆するのに大いなる助けとなるでしょう。

研究者におすすめの英文チェックツール6選

原稿の質を向上させるための拡張機能を搭載したオンライン英文チェックツールが幾つか公開されていますが、ここでは研究者向けにおすすめのチェックツール6選を紹介します。

1. Trinka AI

Trinka AIは、世界各国の研究者に論文英文校正サービスを提供しているエナゴを運営するクリムゾンインタラクティブが開発した世界初の学術論文・テクニカルライティングに特化したAI搭載の英文校正ツールです。学術文章や専門用語が用いられる原稿の改善や、投稿原稿を公開可能な形に整える際に役立つように開発されました。また、英語の文法やスペルチェックだけでなく、論文著者と連携し、全体的な言語の改善を確実に行うという機能が特徴的です。原稿の修正を提案しつつ、学術的なスタイルガイドに合わせていきます。さらに、学術的な文体、適切な言葉遣い、概念の明確化、文構造、単語の代替え提案といったカスタム機能も付いています。修正提案の理由についても詳しい説明が付きますし、文脈を変えずに別の表現を提案してくれるので単語数を削減することにも役立ちます。世界各地の研究者が論文にアクセスしやすいように、米国式か英国式を選択することができることも学術論文にとっては重要な点です。

言語学者、ITエンジニア、そしてデータサイエンティストのチームが開発したこのツールは、学術関連から日常生活まで、あらゆる人、あらゆる種類のコミュニケーションをサポートするツールです。

2. Grammarly

Grammarlyは、世界的IT企業であるGrammarly社が開発した人工知能と自然言語処理を用いたライティングツールで、文法チェック、スペルチェック、盗用・盗作検出サービスを提供しています。ウェブ上だけでなく、Google Chrome、Firefox、Microsoft Edgeのブラウザ拡張機能も備えており、さらにiOSやAndroid用アプリも提供しています。テキスト入力画面に文章を入力すれば、間違いのある箇所や不適切な表現、修正の必要な箇所に赤線が示され、修正候補が表示されます。Grammarlyのアシスタント機能を利用すると文章のパフォーマンススコアを確認したり、どのような文章を作成したいかに合わせた目標の設定を行ったりすることも可能です。

Grammarlyには、Grammarly Premiumという有料版もあります。無料版でも基本的な文法チェックは可能ですが、論文を書くような場合には有料版を利用すると、より精度の高い文法・スペルのチェックや、細かい表現に踏み込んだ改善提案、盗用・盗作の検知までできるので一層有用です。

3. Ginger

Gingerは、ソフトウェア企業が開発したライティングスキルの向上に役立つオンライン文法・スペルチェックツールです。Google Chrome、Safari、Edgeといったブラウザ拡張機能に加え、モバイルへの対応も可能です。世界中で利用されており、高い評価を得ています。

Gingerに直接入力するかテキストコピーで入力すると、英文チェック、スペルミスや文法の修正、修正提案が表示されます。文脈に応じたスペル修正を行う他、類語検索も可能な点が特徴的です。

Gingerにも有料版「プレミアムアカウント」があり、こちらを利用すると学校・職場での利用あるいは趣味的な利用であっても、それぞれに適切な文章を作成することができます。基本的な英文・スペルチェックに加えて、自分のミスから学習する英語学習機能や、40以上の言語の翻訳機能が利用可能になります。機械翻訳ではありますが、大まかな意味を理解するには役立ちます。また、学生や教育機関向けのGinger for Education、ビジネスや複数名での利用向けのGinger for Businessが提供されています。

4. Hemingway

Hemingway Editorは、文章を読みやすくするために文法・スペルチェックや文型を修正するウェブベースの無料テキスト・エディターです。Hemingway Editorのウェブページにアクセスしてテキストを直接貼り付けるか、デスクトップをダウンロードして利用します。

複数の色で強調表示される提案を採用するかは、自分で判断する必要があります。あくまでも提案なのですべてを受け入れるべきとは言えませんが、画面右側の色分けされた提案の内容に従って、修正を検討してください。非常に読みにくいことを意味するピンク(赤)でハイライトされている箇所は、何等かの修正をすべきです。

Hemingwayをスタイルチェッカーとして利用し、提案される個所を改善することで、読みやすい文章にすることができます。

5. ProWriting Aid

ProWriting Aidは、科学関連の文章を書くブロガーやコンテンツライター向けに設計された英文添削アプリです。文法チェック、スタイル編集に加え、執筆指導の機能も有しており、自動で文法ミスや言語ミスを検知し、修正することができます。直接入力やワードファイルをアップロードして使用することができますが、一般的な文章(General)、学術関連(Academic)などの複数パターンの文章が選択できるので、自分の目的にあった種類を選びましょう。英文添削結果(スコア)を見て問題を把握し、改善につなげることができます。

ウェブでの利用の他、Google Docs、Scrivener、Open Officeなどの執筆ソフトに対応しています。ProWritingAidもChrome、Firefox、Edge、Safariの拡張機能があり、さらにFacebook、Twitter、Gmail、Mediumなどほとんどすべての書き込みソフト上のテキストをチェックすることが可能です。無料版と有料版(2種、高額版には剽窃チェック機能あり)が提供されています。

6. Typely

Typelyは、無料のプルーフリーディングと編集ツールです。登録も不要で、簡単に使えます。ブラウザからアクセスすればインストールしなくても、テキストを入力するだけでスペルチェックしてくれますが、最大50,000文字の制限が設定されています。スペル、句読点、スタイルのチェックやテキスト編集、レポート生成の機能がある一方で、文法チェック機能はありませんが、手早く校正を行うのには十分な機能を有しています。

それぞれの強み

  1. Trinka AI –AIに基づく英文校正ツールであるTrinka AIは、修士論文や学術文章の執筆に最適です。ブラウザ拡張機能も備えています。
  2. Grammarly – ブラウザ拡張機能を使って、投稿記事を書く際の文法・スペルチェックを行うことができます。
  3. Ginger – 簡単に文法・スペルチェックが可能です。
  4. Hemingway – 特に小説家のような物書きの原稿のスタイルをチェックして、読みやすさを改善するのに有用です。
  5. ProWriting Aid – フィクションやノンフィクションに限らず、あらゆる種類の文章のチェックに広く役立ちます。
  6. Typely – 完全無料の、簡単なプルーフリーディングツールです。

せっかく書いた論文や原稿が読者に違和感を与えたり、内容を理解してもらえなかったりしたのでは執筆の努力が報われません。特に英語の文章では文法の間違いが大きな誤解を招くことすらあります。ここに挙げた6つのツールの特徴紹介が、利用するツールの選択のお役に立てれば幸いです。

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