数値の表記法

英語における数値の表記法方の基本的な基準を要約します。

1. 数字か文字か

1a. 基本的なルール
数値を数字で表記するか文字で表記するかという問題はいつもわれわれの頭を悩ませます。まず、表記方法を判断する際の基本的なルールを述べます。数値が自然数でない場合は、言うまでもないことですが、数字で表記します。自然数である場合は、厳密な規則はありませんが、基本的な目安として数が小さい場合は文字で、大きい場合は数字で表記します。
そこで「小さい」数値と「大きい」数値の境界を決めるのに、以下の3つの基準がよく用いられます。(1)0〜9は「小さい」数値のカテゴリーに属し、10以上は「大きい」数値、(2) 0〜19が「小さい」数値、20以上は「大きい」数値、(3) 0〜99*が「小さい」数値、100以上は「大きい」数値、という具合に、「小さい」と「大きい」の両カテゴリーに分けていきます。
一般的に一貫性が保たれていれば、いずれの基準を採用してもよいのですが、出版物であれば出版社がその基準を決める場合が多く見られます。
*この場合は、たとえば23と78という数字であればそれぞれを「twenty-three」と「seventy-eight」というように表記し、一の位と十の位をハイフンでつなげます。
1b. 数学的、物理学的量
前節で述べた基本的なルールは、自然数に当てはまるものです。しかし、そこにはひとつ例外があります。数学・科学的な議論においては、自然数に限らず整数、あるいは実数になりうる数値がたまたま自然数になることは少なくありません。そうした場合には、その数値が「小さい」自然数であっても数字で表記すべきです。以下がこのようなケースの例です。

This function converges to 2 in the t → ∞ limit.

The ratio of currents I1/I2 in this case is predicted to be exactly 3.

 

2. 大きい数値の表記法

2a. 文系
文系の分野では、100万以上の数値は「数字+1単語」という形で表記すべきです。たとえば、2,000,000と341,200,000,000はそれぞれ「2 million」 と「341.2 billion」と表記します。
2b. 理系
理系の分野では、大きい数値を表記するうえでは上述の文系分野での表記法よりは科学的記数法が一般的です。

3. 文頭

数字を文頭に置くことは避けるべきです。

[誤] 1917 was the year of the Russian Revolution.

[正] The Russian Revolution occurred in 1917.

[正] The year of the Russian Revolution was 1917.

[誤] (3.1±0.2) x 106 eV is the currently accepted value.

[正] The currently accepted value is (3.1±0.2) x 106 eV.

 

4. 統一性

あるひとつの文において同類の数値を表すものの表記法を統一すべきです。

[誤] The first event lasted roughly 350 years, while the second lasted just six years.

[正] The first event lasted roughly 350 years, while the second lasted just 6 years.

 

5. 分数

文系の分野では、分数を「two-thirds」、「one-fourth」などのように表記するのが一般的です*。ただし、帯分数は必ず数字で表記します。一方、理系の分野では分数は一般的に数字によって表記します。
*「one-half」はよく「half」とも書きます。

より詳しい解説については
University of Chicago, The Chicago Manual of Style (16th ed.), (Univ. of Chicago Press, 2010). ISBN 978-0-226-10420-1.
の第13章をご参照ください。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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