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レイサマリーの作成時に抑えておくべき9ポイント

学術論文を出版することは、研究成果を伝達するためのコミュニケーションは不可欠です。研究に多くの時間を費やしたなら、その結果を出版することを計画すべきでしょう。研究者は、学術界の壁を越え、同僚や他の研究者といった学術関係者だけでなく一般の人々にも分かるようにコミュニケーションを取る必要があるとのプレッシャーが高まっているのを感じています。研究者が、興味はあるものの学術的知識を持たない一般の人たちに研究内容を伝える策のひとつが、「レイサマリー」を書くことです。

レイサマリーはなぜ必要なのか?理由のひとつは、研究を支える資金が一般的に財団や公的機関からの助成金、つまり納税者(多くは科学者ではない一般の人々)による支援によって行われているからです。支援者は、研究内容やその研究が実社会に及ぼす影響を理解したいと思うでしょうから、誰が読んでもわかりやすい言葉でサマリーを書くことが必要なのです。また、研究者にとっても、競争の激しい学術界で生き残るには成果を公表するだけでなく業績を広く知らしめることが重要です。特定の読者向けに研究結果を公表するだけでなく、その研究が与える影響を多くの読者に知ってもらうことが大切です。この記事には、優れたレイサマリーとはどのようなものかと、レイサマリーを作成するときに抑えておくべきポイント、レイサマリーを作成するメリットをまとめました。

レイサマリーとは?

レイサマリーとは、研究論文の最も重要なポイントを一般の人にも分かるように簡潔に伝えるために作成するものです。

専門用語を多用し、理論や実験の結果を含む高度に専門的な内容を記す研究論文は、その分野の研究者なら理解できても、一般読者が理解することは困難です。同僚や投稿先の学術雑誌(ジャーナル)の読者なら、研究テーマや論文についての知識があるかもしれませんが、一般の人が同じような知識を有しているとは限りません。そこで、研究の大まかな内容を理解したいと望む一般読者に向けて、研究内容を簡単に説明するものがレイサマリーです。

また、研究者は、大学や資金提供者から特定の分野の研究者以外の一般の人向けにも研究の影響力を伝えられるように、概要をまとめるよう依頼されることも少なくありません。こうした際にも、レイサマリーは有用です。

研究の概要を示すという点では、論文の要旨(要約、妙録、アブストラクト)と似ていますが、論文の要旨がテーマに関わる知識を有する読者向けに書かれているのに対し、レイサマリーは一般の人に分かるように書くものです。専門用語を使用せず、研究の重点を約200~250語(ワード)程度の短い文章で示します。

レイサマリーを作成するときに抑えておくべき9つのポイント

laysummary 9 tips

1.4W1Hに答える

すべての読者が理解しやすいように、文章を書くときの主要な要素である4W1H(what, where, when, why, how – 何を、どこで、いつ、なぜ、どのように)に対する答えを明確に説明する。

2. 簡潔にまとめる

関連する全ての情報を簡単な言葉でまとめる。自分の研究を、学術的背景を持たない遠縁の親戚に説明するようなつもりでアプローチを考えてみる。

3. 専門用語は避け、技術的表現を最小限にとどめる

一般的な用語を使い、難しい用語は簡単な言葉で置き換える。例えば、「ニューロン」の代わりに「神経」を使い、「アポトーシス」の代わりに「細胞の死」と表現するなど。

4. 一人称と能動態を使う

一人称を主語にして、能動態で文章を書く。例えば、「合意された」ではなく「我々は合意した」とする。

5. 研究の影響力を説明する

研究が実際の問題の解決にどのように役立つかを説明する。社会へ与え得る影響(潜在的な影響力)については、予測を記載する。

6. 論理的順序に従う

レイサマリーの構成が適切かを確認し、研究のあらゆる側面について明確に説明する。読者を困惑させる恐れがあるので、憶測で結論を急がない。

7. 図形を使用する

一般の読者が研究内容を理解するのに役立つように、図形や画像を幾つか入れ込む。

8. 簡略化しすぎない

分かりやすくしようとするあまり、研究の最も重要なポイントが抜けてしまわないように注意する。何についての研究なのか、それがどのように社会に影響を与えるかを、読者が明確に理解できるように書かれている必要がある。

9. 同僚や研究者以外の人に読んでもらう

必ず、作成したレイサマリーを同僚に読んでもらい、学術的に間違いがないことを確かめる。研究者以外の友人や家族にも読んでもらい、内容が簡単に理解できるか、研究の目標が分かりやすく書かれているか意見をもらう。読後に質問が出れば、その点を改良する。

レイサマリーを書く理由とは?

レイサマリーを書く理由は、先述のことも含めて複数あります。研究費(助成金)を申請する際に、研究内容を簡潔にまとめた書類の提出を求められる場合もあれば、出版した論文をジャーナル読者以外にも広めるために作成することもあるでしょう。研究者向けに作成することもあります。研究者は、他の研究や特定の読者を対象とした研究活動について執筆するのに忙殺されているので、スキルを習得し、より幅広い読者向けに簡単な言葉でサマリーを書くための時間と労力を費やすことが困難です。なので、研究者が新たなスキル獲得にもっと時間と労力を使えるようにするためには、パブリックエンゲージメント(一般の人の関与)を得ることが自分の研究活動の関連性と影響力を高めることにつながると確信する必要があります。以下にレイサマリーを書くメリットを挙げてみます。

レイサマリーを書くメリット

  1. より幅広い読者層の獲得につながる。
  2. 資金提供者に、納税者の支援がいかに活かされているかについての証拠を提示することができる。
  3. 資金提供者が、主要メディアと明瞭かつ正確なコミュニケーションを取る助けとなる。
  4. 正確な情報を確実に拡散することは、学術界だけでなく学術界以外での知名度を高めることにつながる。
  5. 政策立案者に研究の可能性(ポテンシャル)を示すことで、研究に対する公的援助の増加につながる。
  6. 助成金申請の審査員が、実際の生活での応用の可能性や社会への影響について評価する助けとなる。

ここで示したポイントを抑えて優れたレイサマリーを作成してください。レイサマリーが研究者以外の人の研究への理解を深め、研究者の知名度および研究の認知度を上げ、さらに研究に対する公的支援(助成金)の正当性を示すことで新たな資金の確保につながることを願っています。

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