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デジタル実験ノートはあなたにピッタリ?

「STAP細胞」をめぐる研究不正事件で問題になったことの1つに「実験ノート」の問題があります。小保方晴子・理化学研究所ユニットリーダーは、実験結果を記録する 実験ノート をきちんと書いていなかったこと、共同研究者がそれをしっかりとチェックしなかったことが厳しく指摘されています。実験ノートは現在、デジタルでは信頼性を保てないなどの理由から手書きのものが主流です。しかし英語圏では、デジタル化への関心も高まりつつあるようです。英語エディターのウィリアム・スティーブンソンが、化学者としての自分の経験も踏まえて、「デジタル実験ノート(digital lab notebook、digital labbooks、eNotebooks)」について考察してみました。
デジタルの実験ノートは、研究を記録するために、ずっと前から利用することができたのですが、いくつかの欠点があるため広く普及してきませんでした。しかしこの現状は変わるかもしれません。新しい改良がなされたことによって、デジタル実験ノートは多くの点で、紙とペンによる実験ノートに匹敵するか、あるいはそれを上回るものになっています。
読みやすさ
何年か前、私は自分自身のすさまじい悪筆を解読しようと悪戦苦闘して以来、自分の実験ノートを手書きで記すことをあきらめ、すべてを印刷するようになりました。この決断によって、私の 実験ノート の読みやすさは著しく変わりましたが、デジタル実験ノートに直接タイプすれば、さらに読みやすくなります。データは成文によるパラグラフとして書くこともできるし、エクセル形式のカラムに入力することもできます。
検索しやすさ
3年間も見ていない実験ノートから1つの実験データを探そうとしたことありますか? そんな経験がもしあるならば、たとえば「n-ブチルリチウム(n-butyllithium)」といった言葉を検索する能力を歓迎するでしょう。何百ページもの手書きノートを手でめくって流し読みするよりもずっと楽です。
データ移行のしやすさ
デジタル実験ノートが登場する前には、すべての実験結果は2回書かれる必要がありました。1回目はノートに、2回目はそれを記述する論文に。デジタル実験ノートがあれば、もともとの実験データをそのまま執筆中の論文へとカット・アンド・ペーストでき、労力の90パーセントを節約できます。
持ち運びやすさ
かつてコンピュータは無骨なシロモノで、ラボからラボへ持ち運びにくいものでした。ラップトップ(ノートパソコン)は大きな進歩でした。そしてスマートフォンはこれ以上ないほど持ち運びしやすいものです。私はスマホの小さなキーパッドにタイプするのは嫌いなのですが、もしあなたがケータイ・メール世代(texting generation)ならば、スマホで使うクラウド・ベースのデジタル実験ノートは、うってつけのものになるでしょう。
セキュリティ(信頼性)
セキュリティ(信頼性)はこれまでずっとデジタル実験ノートの欠点でした。誰かがあなたのラップトップを盗むかもしれないというリスクの問題ではなく、不届きな研究者が入力したもの改変し、特許申請のさいに優越性を不正に主張するかもしれない可能性のことです。かつては、そのような改竄を見つける方法がなかったため、法廷はデジタル実験ノートを証拠として認めませんでした。今日では、デジタル署名(digital signatures)のようなツールによって、こうした欠点はほとんど克服されています。しかしながらセキュリティという問題は、研究者がデジタル実験ノートを使う以前に注意深く考えなければならないことです。
実は、私は自分の研究ではデジタル実験ノートを使ったことがありませんし、自分にピッタリなものであるかどうかは疑わしいです。たとえば、私は化学合成実験を行うときにはいつもそのスタート時に、反応機構をノートに書きます。私が同じことをデジタルで行うと、どれだけ楽になるかはわかりません。しかし私は、無料のクラウドをベースとしてネット上で利用できるデジタルノートブックを使って、その利点を探してみるつもりです。

検討すべきデジタル実験ノート:

これらの多くは、化学、生物学、創薬といった特定の利用法のためにデザインされています。

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