調査結果:多くの日本の研究者が、学際的なトレーニングを受けるのが望ましいと考えている

ユレイタスが2021年6月から7月にかけて実施した「学際的研究」「領域横断的研究」をテーマにしたアンケート調査では、100名以上の研究者の皆様にご回答をお寄せいただきました。ここでご報告する結果から、専門領域を超えた研究についての日本の研究者たちの考えやその影響を読み取ることができます。

■調査概要■

  1. 調査対象: 学術翻訳ユレイタスを利用してくださっている日本の研究者
  2. 調査期間: 2020年6月1日~2021年7月28日
  3. 調査方法: インターネット調査
  4. 有効回答数108名

Q. 近年、研究において学際的なアプローチが盛んになってきていると感じますか?

Q. 学際的なアプローチによって研究の質が高まると思いますか?

Q. 研究職に就くためは、1つの専門分野を極めた方がよいと思いますか?それとも複数の分野を経験した方がよいと思いますか?

Q. 教育上の観点から伺います。学生はもっと学際的なトレーニングを受けるべきだと思いますか?それとも、1つの専門分野を極めた方がいいと思いますか?

学際研究とは

大学で過ごす時間は、多くの人にとって人生で最も輝かしい時間だと言われます。一方で、大学での生活には不安もつきもので、専攻を絞らなければならないという切迫感もそのひとつでしょう。すべての人に当てはまるわけではありませんが、在学中、そしてそれ以降の人生における研究分野を1つの分野に絞ってしまうということは、簡単な決断ではありません。幸い、この数十年の間に、学際的なアプローチを含む、研究や学問へのより柔軟性のあるアプローチが登場しています。

学際研究とは、複数の研究分野の手法や知見を組み合わせて対象にアプローチすることで、より発展した視点を得たり、新たな発見をしたりする研究や調査のことです。例えば、アメリカにおいては社会学、歴史学、人類学、政治学などで分野をまたぐ学際研究が盛んに行われています。

その他にも、女性学や環境学、神経科学などでも学際研究が行われていますが、こうした分野では、異なる分野の知識を取り入れることで、特定の問題についての理解の深化や、新たな理論や概念の構築を行っています。学際研究は、社会科学や人文科学など、文系の分野ではすでに一般的になっていますが、理系の分野でも増えてきています。

学際研究のメリットとは

学際研究の直接的メリットは、研究をより多くの人に知ってもらえることです。2つの分野の読者に研究を認識してもらい、関心を持ってもらうことができます。また、1つの分野に特化した知識だけでは思いつかないような問題点や解決策が見えるようになります。異なる分野の知見を効果的に組み合わせることで、優れたイノベーションをより早く達成することも可能になります。また、たとえば学際的なアプローチが普及している社会調査の分野において、複数の視点から物事を捉えてより良い議論や結論を導くことができるようになるなど、メリットはイノベーションだけにはとどまりません。

 

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