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研究プロジェクトの要、進捗報告

研究に限らず、何事においても進捗管理・報告を行うことは作業を進める上で不可欠です。単独で研究を進めていたとしても、研究業務は、所属する研究組織全体の中のひとつの歯車であることを忘れてはいけません。上位の管理者にとって、研究資金提供者への報告を行うためにも、組織内で並行して進められている数々の研究プロジェクトの進捗を把握することが必要なのです。では、研究者としてどのような進捗報告が求められているのか、どうすればよい進捗報告が書けるかを考えてみましょう。

目標設定の5ポイント「SMART」

まず、作業を進めるためには目標を設定しておく必要があります。その際にどのような目標を立てるのかの助けとなるのが「SMART」です。SMARTとは、目標設定時に押さえておくべき5つのポイントの頭文字、S:Specific(明確な)、M:Measurable(計測可能な)、A:Attainable(達成可能な)、R:Realistic(現実的な)あるいはRelevant(関連性のある)、T:Time(期限付きの)をとった目標設定の指標です。SMARTの要素を踏まえた目標を設定することによって、行動しやすくなり、さらにPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回しやすくすることにつながります。その結果、目標に向かってPDCAのどの段階にいるかが分かりやすくなり、段階を踏まえた進捗報告が作成できるようになるのです。

進捗報告を作成する頻度

次は、進捗報告です。進捗報告を行う頻度は、業務の内容や状況に応じて上位の管理者が設定する指示に従うことになります。報告の際は、進捗状況を確認するだけでなく、自主的により細かいチェックを行うこともお勧めします。定期的な状況確認のタイミングと内容としては次のような例が挙げられます。

  1. 日次:
    毎日、研究室内を歩き回って、研究チームのメンバーと軽くおしゃべりして、お互いの進捗を把握しつつ情報交換する。毎日、数分のミーティングをするのも一案です。自分自身については、その日の「やるべきこと」を確認します。
  2. 週次:
    研究チームとは、週に一度、一緒にコーヒーを飲んだり抄読会を開いたりして交流し、その機会に進捗を口頭で報告しあうことも有用です。進捗報告だけだと業務報告のような堅苦しいものになりがちですが、勉強会のような形にすることで、メンバーが自主的な立場で対等に参加する雰囲気となり、進捗報告や問題点の報告をめぐって前向きで自由闊達な意見交換につながりやすくなります。問題を抱えているメンバーがいれば、話し合いをする時間を別途設けることもできます。
  3. 月次:
    各人が進捗報告を書きます。個々のメンバーと個別で面談をし、状況の確認を行います。

進捗報告に記すべき内容と目的

研究の進捗報告に盛り込むべき内容は、その時点までに得られた結果、進行中の実験、今後の計画および予想される問題などで、研究計画の全体をカバーするものであるべきです。そして、目標を達成し、適切かつ十分な情報に基づく決断および修正を行うかの判断を行う際の根拠とするためには、研究計画を定期的に見直す必要があります。

進捗報告の目的のひとつは、研究資金の提供者に対して、状況を伝えることです。研究に関わる人が求めている情報には、以下のようなものがあります。

  • 研究がどのように進められているか。その進捗はどうか。
  • これまでに得られた知見は何か。
  • 研究従事者は自己評価と研究自体の評価を適切に行っているか。
  • 今後何か問題になるとすれば、どのようなものか。
  • 生じた問題には適切に対処しているか。
  • 計画とスケジュールは適切に管理されているか。
  • 納期は守れるか。

進捗報告の書き方

上位管理者に、所定の報告様式があるかを確認してください。複数のプロジェクトを管理する上位管理者は、統一がとれた様式で報告書が書かれることを求めているでしょう。進捗報告は簡潔で簡明な文章で書きましょう。報告書の様式に差があるとしても、多くの場合は以下のような構成となっています。

  1. プロジェクト情報:
    プロジェクト名、プロイジェクトID、プロジェクトメンバー名、プロジェクトの期限、報告日、など。
  2. 要約:
    プロジェクトの目的の簡潔な紹介、これまでの成果の要点、今後の目標、全体としての進捗度合い、期限内に完了する確度、予算内に収まるかの見通し、など。
  3. 進捗:
    プロジェクトの目的をブレークダウンした詳細項目と、その進捗状況。進捗確認の節目となるチェックポイントの一覧と、その進み具合。これらの情報は、表やグラフで示すのも良いでしょう。研究資金提供者から、進捗の度合いをパーセンテージなどで、定量的に示すことを求められることもあります。
  4. 問題点:
    発生した問題と、その解決方法の説明。計画を修正する必要がある場合は、その理由を記述します
  5. まとめ:
    進捗と期限遵守の見通しについてのまとめ。当面の目標とその完了見通しについても記述します。

進捗報告は研究プロジェクトにとって極めて重要です。プロジェクトの進行管理に有用であるとともに、研究資金の確保にも役立ちます。資金提供者は多くの場合、次の資金を出すにあたって、研究がどの段階まで進んでいるのか確認することを求めるからです。

SMARTを念頭に、きちんとした目標を設定し、その目標達成に向かって着実な進行管理を行い、進捗報告が作成できるように本記事が参考になれば幸いです。

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