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リサーチギャップ(研究ギャップ)の特定方法

この記事は、公共衛生分野の博士課程の指導員による講義内容から抜粋したものです。革新的な研究をするためにリサーチギャップ(研究ギャップ)をどのように特定するかの参考にしてください。

リサーチギャップとは

まず、リサーチギャップとは何か。リサーチギャップとは何で、どのように特定すればいいのか、革新的な研究を追求するためにどのようにリサーチギャップを使えばいいのか、など知りたいことは山積みです。新しく、心躍るようなリサーチクエスチョンを考え出せたと思った途端に、それが既に他の誰かによって取り上げられていたと気づいたことがある人はいませんか?私は数え切れないほど経験しています。大学院での研究には、該当分野に新しい知識を加えたいというプレッシャーが付きものです。私たちも人類の進歩と知識に貢献することは可能ですが、そのためには、まず既存の文献における研究のギャップを特定する必要があります。

リサーチギャップとは、簡単に言えば、情報が欠けているか、不十分であるために、リサーチクエスチョン(質問)に対する結論に到達できていない課題あるいは領域のことです。先行研究で解決されていない課題や、研究を行う余地が残されているものとも言えます。ただし、リサーチギャップをリサーチクエスチョンと混同しないようにしてください。例えば、人間にとって最も健康的な食事は何かというリサーチクエスチョンに対しては、考えられる回答がたくさん出てくるでしょう。一方、妊婦への抗うつ薬の効果というリサーチクエスチョンにした場合、既存のデータからはあまり情報が得られないと思います。それがリサーチギャップです。リサーチギャップが特定できれば、潜在的に新しく、心躍るような研究の方向性も自ずと特定できるようになります。

どのようにリサーチギャップを特定するか

膨大な既存研究の量を思えば、リサーチギャップを特定することは無謀な試みで、とても特定できるものではないと思えるかもしれません。私自身も、公開されている公衆衛生に関するすべての論文を読む時間はありませんでしたし、みなさんも同じ状況でしょう。ではどうすればリサーチギャップを特定することができるでしょうか。

分野ごとにやり方は異なりますが、以下のような幾つかのステップに絞り込むことはできます。

  • 研究を進めるにあたって主な動機となる問題や質問を特定する
  • その問題について重要な用語を抜き出す
  • 文献を調査し、先に抽出した重要な用語を検索して関連する論文・出版物を探し出す
  • 前のステップで探し出した主要な論文・出版物で引用されている文献を確認する
  • 自分にとって重要な動機となっている問題に関連する文献で、取り上げられていない問題を特定する

最後のステップが最も難しいところです。論文に「示されていないことを」を探し出すのは難しいものです。私は、バイアス(偏見)や一貫性のない情報を記録しておくのを面白いと思いますが、著者が「将来の研究のための目標」と書き記している記述をたどるのも一案です。既存のリサーチギャップを示唆してくれることが多々あるので、そうした記述を拾い出してみましょう。

リサーチギャップが複数見つかったら次にすべきこと

幾つかリサーチギャップが見つかれば、次は優先順位をつけます。答えが必要な質問が多々出てくるかもしれないので、優先順位をつけることは重要です。大抵は、ひとつの質問に答えてから次の質問に取り組むべきです。リサーチギャップの優先付けを行う際には、研究助成金提供機関や利害関係者、該当分野におけるニーズ、さらには現在研究している内容に対する疑問との関連性も考慮する必要があります。また、自分が検討している研究を行うためのリソース(資金や環境など)とスキル(能力)についても考慮します。すべてを検討していくと、適切なクエスチョンを絞り込むことができるでしょう。

調査に役立つツール

毎日、何千もの新しい論文が公開されているので、最新の文献情報を追いかけていくのは大変な作業です。PubCrawlerFeedlyGoogle ScholarPubMed updateといった非常に役立つツールが公開されているので、是非活用してみてください。研究者は、Twitterなどのソーシャルメディアで新しい発見を共有することもあるので、そうしたプラットフォームも見ておきます。Mendeleyのような文献管理・学術ソーシャルネットワーキングツールは文献の適切な整理に役立ちます。個人的には、Google ScholarとPubMedを利用して、新規開発の最新情報を把握し、自分が関心のある研究分野にどのようなギャップが残っているかをトラッキングしています。

今日伝えたいことの中で最も重要なのは、既存の文献をしっかりと把握することなしに革新的かつ刺激的な研究テーマを見つけることは困難だということです。こういう訳で、リサーチギャップを特定するためには、広範かつ徹底的な文献レビューから始める必要があるのです。とはいえ、幾つかの線引きをしておくことは必要です。ある題材に関するものだとしても、これまでに書かれたすべての論文を読む必要はありません。正しく検索しているつもりで作業を進める中、いきなり自分が書こうとしている題材を扱った論文に遭遇するかもしれません。そんなことは誰にでも起こることで、私も経験があります。あきらめずに論文を読み続けてみてください。きっと探しているものが見つかります。

講義はこれで終了です。

リサーチギャップの特定に役立ちますように。


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