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学術ライティングでの括弧の使い方

括弧は、文中の特定の単語を他の単語から区別するために使用されています。学術ライティングでは、数式、頭字語(アクロニム)などが丸括弧の中に書かれるのが一般的ですが、引用符の中などに角括弧が使われることも多々あります。括弧は数式においては計算する順序を示すために使われ、文中で使用される場合は、括弧内が引用の一部ではないこと、あるいは原文のままでは正確ではないこと、省略されている語句があることなどを読者に示すために使われます。こうした一般的な使い方の他に、学術ライティング独自の例外的な使い方も存在します。

英文でよく使われる4種類の括弧は、日本語では角括弧、丸括弧、波括弧、山括弧と呼ばれますが、英語と米語で呼び方が異なるものもあります。文中で使用する順としては、{([ ])}ですが、これも使用する英語の種類によって異なる場合があります。

[ ]:角括弧(米:bracket、英:parenthesisと呼ばれることもあり)
( ):丸括弧(米:parenthesis、複数形:parentheses、英:bracket)
{ }:波括弧(米:brace、英:curly bracket)
<>:山括弧(米:inequality sign、英:pointy bracket)

上記のほかに〈 〉がありますが、これは主として数学で利用されています。ただし、ほとんどのコンピューターのキーボードにはこの記号がないので、山括弧で代用している傾向があります。この問題の対処法として専門の植字で〈 〉を指定することは可能ですが、山括弧で代用することが認められています。

呼び名が違っていても、米語と英語での括弧の使い方は概ね同じです。スタイルガイドには、分野ごとの括弧の使い方が示されているので、確認してみてください。リベラルアーツや人文科学の論文を執筆するのであればMLA(Modern Language Association:米国現代語学文学協会)スタイル、社会科学および行動科学の論文であればAPA(American Psychological Association:アメリカ心理学会)スタイル、分野を特定しないのであればシカゴスタイル(CMOS)、物理化学の論文であればCSE(Council of Science Editors:科学編集者協議会)ガイドを参照することをお勧めします。

引用符の中での括弧の使い方

引用符の中でどのように括弧を使えばよいか。以下に一般的な使い方を書き出します。

  • 元の引用にはない単語を引用符内に入れる場合は、角括弧を使用します。例えば、引用された一節や語句の意味がはっきり伝わらない場合に、角括弧で囲んだ単語を補足します。
  • スペルや文法の誤りがあるとしても、元の文章をそのまま引用したことを示すために[sic](日本語の“原文ママ”と同じように)と文中に挿入します。
    sicとはラテン語のsic erat scriptumの略語で”thus was it written”、つまり、この引用の綴りや文法は間違いですが原文で書かれたままに記している、ことを意味しています。
    例: The Republicans’ve [sic] doing everything.(Republicians に have の短縮形である ‘ve が付いて現在完了形になっているので、後ろには「過去分詞」が来なければならないのに「現在分詞」が続いている点で間違いだが、[sic]を入れることで原文のまま記載しますと示している。)
  • 一般的に、省略記号( … または . . . )は括弧で囲むことで、該当の文章に不足/欠落している語句があることを示します。MLAスタイルでは必要に応じて丸括弧を、シカゴ・マニュアル・オブ・スタイル(CMOS)では角括弧を使うルールが記されている一方、APAスタイルなどは括弧で囲いません。
  • 引用符内の単語やフレーズをイタリック体にする、あるいは下線を付けることで強調するような場合は、角括弧または丸括弧を付けて、該当の強調は元の引用に筆者が付け加えたことを読み手が分かるようにします。例えば、“The dog had really big teeth [emphasis added]!”のように書きます。
  • 元の引用に不適切な表現がある場合には、角括弧を使って該当の単語またはフレーズを置き換えます。例えば、“The UFO was [expletive] huge!” のように記します。技術的・科学的な文章ではめったに見られないとしても、他の分野ではこうした表現に遭遇する可能性は捨てきれません。意図した読者に対して不適切だと考えられる表現については、括弧での置き換えを検討してください。

数学および統計での括弧の利用

方程式においても、操作順を示すためにもさまざまな括弧が使用されます。数学や統計といった分野での括弧の使用法は、非常に具体的な規則に則っているため、変更されることはほとんどありません。その使用順 {[()]} は、文章に使うときとは異なります。例えば以下の計算式では、括弧によって計算すべき順序が指示されています。

[(3 + 2) × (6 – 4) + 2] × 4

最初に丸括弧の中を計算し、次に角括弧内、最後に括弧の外を計算します。
波括弧は、{2, 6, 14, 28}のように関数や何らかの数列を示すために使用されます。

統計における括弧の使用方法は、それぞれのスタイルガイドに従ってください。例えば、確率を示すのに小文字(p)で示すか大文字(P)にするかなどの違いがあります。CSEスタイルでの確率を示し方は、丸括弧で囲み(P=.05)とするよう推奨していますが、APAスタイルでは角括弧を推奨する場合もあります。

入れ子になった丸括弧(ネストされた括弧)

括弧に囲まれている単語や語句をさらに括弧で囲む(入れ子にする)場合、米語では内側の括弧には角括弧を使うのが一般的ですが ([ ])、英語や法律文書ではネストされた丸括弧(( ))が使われます。

あまり見かけませんが、リストの中の内訳を示すために波括弧が使われることがあります。例えば、“I need to go to the store today for laundry detergent, pet food, and dairy products {milk, cheese, yoghurt}.”といった場合で、波括弧の中はdairy products(乳製品)に含まれるものを示しています。

ウェブサイトのアドレス表記

ウェブサイトのアドレスを参考情報として記載する場合には、MLAスタイルとAPAスタイルではアドレス(URL)の前後に山括弧<>を付けるように推奨しています。括弧を付けておくことで、読者がアドレスを見分けやすくするのに役立ちますが、一方で、CMOSスタイルでは括弧を付けないのがルールです。

分野に関わらず、括弧の使い方については準拠するスタイルガイドだけでなく、論文の投稿先の学術雑誌(ジャーナル)の規定を確認しておく必要があります。こうした形式的な記載指示に関するミスで論文の評価を下げることがないように注意しましょう。

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