学術雑誌(ジャーナル)のインパクトファクター(Impact Factor, IF)とは、各分野における学術ジャーナルの相対的な影響力(インパクト)の大きさを測る重要な指標のひとつです。
「IF」と表記されることが多く、著名なジャーナルほどIFが高い傾向にあるのですが、研究分野によって大きく異なるので一概に比較することはできません。IFは投稿先を選ぶ際の参考にもなるので、IFの調べ方をおさらいしておきましょう。
インパクトファクター(IF)は、学術ジャーナルが分野内でもつ影響力を計測する指標の一つであり、その学術ジャーナルが他の研究で引用された頻度から算出されます。
掲載されている論文、あるいは論文を執筆した研究者、研究業績を評価するものではないことは留意しておいてください。
インパクトファクター(IF)が意味すること
ここではIFの計算方法については割愛しますが、IFが高ければその学術ジャーナルには引用回数の高い論文が掲載されていることを意味し、より多くの人に読まれている影響力のある学術ジャーナルだといえます。
とはいえ、IFは研究分野によって大きく異なります。IFの数値は信頼性の目安にもなりますが、IFがいくつだから他の学術ジャーナルより評価が高いとは言い切れないことは覚えておいてください。
インパクトファクター(IF)の調べ方
インパクトファクター(IF)は、学術ジャーナルの公式サイトや、クラリベイト・アナリティクス社が提供している学術ジャーナルの評価分析データベースJournal Citation Report(JCR)およびWeb of Scienceから調べることができます。
JCRとWeb of Scienceを使うには登録(契約)が必要ですが、大学や研究機関などがアカウントを持っていることも多いので自分の所属機関に確認してみてください。
学術ジャーナルの公式サイトでIFを見る
学術出版社によってはジャーナルの公式ウェブページにIFを掲載しているので、目的のジャーナルのウェブサイトにアクセスし、AboutやJournal Metricsといったページを探してください。IF以外の指標もまとめて提示しているジャーナルもあります。
出版社の情報であれば無料で閲覧できるのがメリットですが、最新の情報かどうかの確認は必要です。出版社がわからない場合には、検索エンジンで、「ジャーナル名, impact factor」と検索してみると、ジャーナルの公式サイトが表示されることがあります。
ジャーナルがIFを公開していない場合には、JCRやWeb of Scienceを利用するか、所属機関の図書館に問い合わせてみましょう。
JCRからIFを調べる
IFを調べたい学術ジャーナルが決まっているのであれば、JCRにログインした後、検索ボックスに調べたいジャーナルの名前を入力します。
途中までジャーナル名を入れると候補が表示されるので、そこから選択します。特定のジャーナルが決まっていなければ、カテゴリー(分野)から絞り込んでいくことも、特定の分野のジャーナルのIFを比較することも可能です。
なお、JCRは、Web of Science Core Collectionに収録されている学術ジャーナルの影響力を評価しているものなので、Web of Science Core Collectionに収録されていないジャーナルについてはIFが算出されません。
検索ボックスにジャーナル名を入力しても該当のものが出てこない場合は、そのジャーナルがWeb of Scienceに収載されていないということです。
Web of ScienceからIFを調べる
Web of Scienceの膨大な学術関連文書データから論文を検索し、その論文が掲載されている学術ジャーナルのIFを見ることができます。
まず、IFを調べたいジャーナルに掲載されている論文をWeb of Scienceで検索し、情報を呼び出します。論文が表示されれば、その論文の基本情報のところにIFが提示されます。Journal Citation Reports(JCR)へのリンクからJCRのサイトに飛べば、より詳細な情報を見ることも可能です。
インパクトファクター(IF)を調べる際の注意
インパクトファクター(IF)の優位性、信頼性については近年議論が活発化していますが、IFが学術ジャーナルの影響度を測る指標のひとつであることは揺るぎません。ここでは、IFを扱う際の注意点をいくつか書き記しておきます。
- 分野によって差があるため、分野が異なるジャーナルのIFを比較することはできない(JCRでは、各分野におけるIFの平均値や中央値が確認できるので、自分の分野における平均的な数値を見ておくことも有用です。)
- あくまでも学術ジャーナルの影響力であって、そこに掲載されている論文や執筆者(研究者)の影響力を評価するものではない
- IFは該当ジャーナルの引用回数を反映したものなので、IFが高いからと言ってそのジャーナルが高品質であるとは言い切れない。また、掲載論文数が少ないジャーナルだと単発的にIFが跳ね上がる可能性も捨てきれないため、複数年分のIFを確認する必要がある
インパクトファクター(IF)のない学術ジャーナル
補足しておきますと、ハゲタカ出版社の疑いがある学術ジャーナルにはIFが付いていません。
IFの調べ方は上述した通りですが、そもそもIFが付与されているインデックスジャーナル(SCI/SCIE/SSCI)かどうかはクラリベイト・アナリティクスが提供しているWeb of ScienceのMaster Journal Listに掲載されている各種リストを参考にするとよいでしょう。
どのデータベースにも登録されていないジャーナルはハゲタカジャーナルの可能性が高いので、投稿先を再確認・再検討することをお勧めします。ハゲタカジャーナルの見分け方については、複数のブログなどが見つかると思うので、それも参考にしてみてください。
IF以外の評価も参照しよう
一般的なIFは直近2年分の論文の引用数から計算されますが、直近5年分の引用数からIFを算出したものや、自己引用(著者が過去に自分の書いた論文や研究を別の文章で参照すること)の影響を省いたJOURNAL IMPACT FACTOR WITHOUT SELF CITATIONSを出しているジャーナルもあります。
ジャーナルによっては自己引用がIFを引き上げていることが見える場合もあるので、いくつかの指標を見比べてみるとよいでしょう。また、IFは毎年発表されるので、新しい情報を確認しておくことも必要です。
確かに高IFジャーナルに論文が掲載されることは研究者にとって名誉なことですし、キャリア形成や助成金獲得にも影響を及ぼすことでしょう。しかし、IFが高いジャーナルに論文が掲載されることだけが研究の価値を決めるものでもありません。
IFは学術ジャーナルの重要度や影響力を測る指標のひとつですが、IFだけを見てジャーナルを評価してしまうのは危険です。IFが何を意味しているのかを理解し、他の評価指標とも併用することでジャーナルや論文を評価し、その結果を研究活動に役立てるようにしてください。
インパクトファクターを見ても投稿先のジャーナルの選択に迷っているなら、プロの支援を受けることで適切な投稿先を選出することもできます。
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参考文献
- Clarivate. Web of Science
- Clarivate. Journal Citation Reports(JCR)
- Clarivate. Web of Science Master Journal List
- Clarivate, An Introduction to Journal Impact Factor (JIF)
- Clarivate. Journal Citation Reports~インパクトファクターの調べ方