グラフィカルアブストラクトとは?効果と作成時の4つのポイント

グラフィカルアブストラクトと呼ばれる要約を視覚化したものの活用が広がっています。

学術論文のアブストラクト(要旨)は確かに論文の概要を把握するのに役立ちますが、一目で内容をつかむことは困難です。しかし、研究の概要が視覚的に紹介されればおおよその内容を一目でつかむことができます。

グラフィカルアブストラクトを活用すれば、読者の関心を引き、新たな読者を呼び込むことも可能です。

グラフィカルアブストラクトとは?

改めてグラフィカルアブストラクト(Graphical Abstract)とはどのようなものかを確認しておきます。

グラフィカルアブストラクトとは、論文の内容を凝縮して一目で伝えられるように視覚化したものです。魅力的なグラフィカルアブストラクトを作成することで、学術論文の内容をより広い読者に伝えられるようにしましょう。

グラフィカルアブストラクトの効果

冒頭でも書きましたが、グラフィカルアブストラクトは読者の関心を引き、視認性を向上させるのに役立ちます。また、XやResearchGateなどのSNSで論文について発信するときにも有用です。

もちろん、図で示すことで読者の理解を助けることもできますし、論文が引用される可能性を高めることにもつながります。

著名な高インパクト学術雑誌(ジャーナル)の中には、Nature PortfolioやElsevierのジャーナルのように、論文投稿時のグラフィカルアブストラクトの提出を必須としているジャーナルや提出を推奨しているジャーナルも出てきています。

投稿ガイドラインを確認し、指定の形式、サイズでグラフィカルアブストラクトを作成するようにしてください。

グラフィカルアブストラクトの効果

  • 論文の要点を分かりやすく伝えることで、著者が伝えたいメッセージを理解しやすくする
  • 研究論文を読者の目にとまりやすくし、研究内容についての関心を高める
  • SNSなどでの露出を高めるなど、研究論文の認知度向上につながる

優れたグラフィカルアブストラクトとは

作成の前に、優れたグラフィカルアブストラクトとはどのようなものなのか確認しておきます。

最も重要なポイントは、研究の概要や主要な発見を明確に伝える画になっていることです。特に重要な結果、主張を裏付けるデータを入れ込んでおくことも大切です。グラフや表を含めると分かりやすいでしょう。

もちろん、ジャーナル指定の適切なフォーマットで作成する必要があります。

グラフィカルアブストラクト作成時のポイント

グラフィカルアブストラクトは、専用のAIツールや、CanvaやAdobe Illustratorのようなデザインソフト、あるいはInDesignのようなDTPソフトやPower Pointの作図機能を使うなどして自分で作成することが可能です。

次に作成時に押さえておくべきポイントを書き出しておきます。

1.グラフィカルアブストラクトで何を伝えたいかをまとめる

何をもっとも伝えたいかを特定します。

テキストは、詳細な説明ではなく、一目で主要な発見が伝わるよう簡潔に記します。テキストは最小限にして、視覚的要素を多用しましょう。

グラフィカルアブストラクトは、正確で読みやすく描かれている必要がありますが、特に、科学系のジャーナルのグラフィカルアブストラクトは、芸術性よりも正確性を重視する傾向があります。

主要な発見を最小限のテキストで正確に伝えられるように注意します。

2.情報を整理

グラフィカルアブストラクトは、論文中で実験や分析の結果を示す図表とは役割が異なります。

グラフィカルアブストラクトには、研究を理解するために必要不可欠な要素を厳選して提示します。とはいえ、一枚の図で論文の内容をすべて示すことはできません。グラフィカルアブストラクトを見た読者が論文を読むかどうか判断できる内容を提示するようにします。

グラフィカルアブストラクトに描くべき要素が絞り込めたら、全体の構成を考えていきます。このとき、研究内容に関する予備知識がある研究者以外もグラフィカルアブストラクトを見る機会があることも考慮します。要点を盛り込み過ぎたり、複雑になりすぎたりするのは避けます。

グラフィカルアブストラクトにおいても正確性は重要ですので、発見したこと、研究の概要が論文に示した内容と一致するように、しかも分かりやすいように表現します。難しいと思われるかもしれませんが、グラフィカルアブストラクトの下案を作ってみて、どのように表現するのが適切かつ分かりやすいか、全体のバランスを確認してみるのもお勧めです。

長々と説明文を書くのではなく、読者が研究の内容、発見したことの重要性を理解するのに必要な情報に絞り込んで示すことがポイントです。

3.図表・グラフィックなどを準備

何を伝えるかと同様に、どのように見せるかも重要です。

流れの方向(左から右、上から下)や矢印の使い方、表現方法を研究の構造に合わせて選択する必要があります。配置や図形、矢印の方向などによって、内容が不正確に伝わったり誤解を招いたりしないように注意してください。

また、グラフィックを作成する際には、著作権問題への配慮も不可欠です。オリジナル以外のグラフィックを使用する際には素材の利用条件を確認し、必要な許可を得ておくようにします。

オープンアクセスで公開された場合には、論文に含まれる図表もライセンスの対象となるので出典の表示などが必要となります。出典の表示条件などは慎重に確認しておくようにしてください。

最後に、グラフィカルアブストラクトが完成したら、自分で作成したとしてもプロの作成サービスを利用したとしても、同僚などからフィードバックをもらってみてください。指摘があれば改善していきます。誰にとっても分かりやすいグラフィックになっているかを確認しましょう。

4.規定に準じているか確認

完成したグラフィカルアブストラクトが投稿先のジャーナルの規定に準じていなければ、作り直しを求められる可能性もあります。

出版社・ジャーナルによって異なる要件を設けているので、提出前に作成したグラフィカルアブストラクトが、指定の画像サイズ、ファイル形式、解像度、アスペクト比といった要件を満たしているかを確認しておくことが不可欠です。

また、どのように(どこに)表示されるのかも考慮します。論文ページの要旨とともに掲載されることもありますが、表示方法もジャーナルによって異なります。そのため表示サイズに合わせて画像が縮小されても描かれた内容が把握できるようにしておく必要があります。

テキストが小さすぎて読めなかったり、図と背景の色が区別しにくかったりすると、せっかくのグラフィカルアブストラクトが効果的に使われなくなってしまいます。投稿先ジャーナルでグラフィカルアブストラクトがどのように表示されているのかを確認しておくとよいでしょう。

以上、自分で作成する場合に押さえておくべきポイントを述べましたが、グラフィカルアブストラクトを自分で作成するには時間も足りず、どうやったら良いのか分からないという場合には、プロの作成サービスを利用することも可能です。

まとめ

グラフィカルアブストラクトは、研究論文を視覚的に表現することで読者が研究内容を把握するのを助け、研究に対する理解を深めるために役立つものです。

学術コミュニケーションにおいて中心的な役割を担うようになってきており、今後もその利用は広がっていくでしょう。テキストで示すアブストラクトを図表やグラフィックといった視覚イメージで補うことで、著者が伝えたいメッセージをより明快かつ簡潔に示し、研究のインパクトを高めることができるのです。

本記事を参考に、グラフィカルアブストラクトを作成、活用し、研究を効果的にアピールするようにしてください。

参考文献

SciDraw AI:論文用無料グラフィカルアブストラクト作成ツール

論文用グラフィカルアブストラクト作成ツール | SciDraw AI

SciDraw AI:ジャーナル別グラフィカルアブストラクトの規定:Elsevier, Nature, Cell Press (2026)

ジャーナル別グラフィカルアブストラクトの規定:Elsevier, Nature, Cell Press (2026) | SciDraw AI – 無料 AI 科学図表 & TOC グラフィックス作成ツール

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