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偉大なる物理学者ホーキング博士の死を悼む

2018年3月14日、「車椅子の天才科学者」として多大な功績を残したイギリスの偉大な物理学者スティーブン・ウィリアム・ホーキング博士が死去しました。76歳でした。科学界は、今、深い悲しみにくれています。
■ スティーブン・ホーキング博士について
まず、ホーキング博士に関する事実を紹介します。
● ガリレオの死からちょうど300年後の1942年1月8日生まれ。
● 彼が死去した2018年3月14日は、アルバート・アインシュタインの誕生日であった。奇しくも、この2人の天才は同じ76歳で亡くなっている。
● 学生時代から教師やクラスメイトに「アインシュタイン」と呼ばれていた。
● 21歳の時に筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断され、余命2.5年と宣告されたが、76歳まで生きた。
● 最大の功績は、ブラックホールからの放射「ホーキング放射」の導出法である。
● 最初の著書である『ホーキング、宇宙を語る(原題:A Brief History of Time)』は、宇宙の謎を一般向けに執筆した著書で、1988年に出版されて以来、20年以上にわたり1000万部以上の売り上げを記録し、ロンドンのサンデー・タイムズ紙で、4年以上ベストセラーリストに掲載された。
● 父親は、息子がオックスフォード大学で医学を学ぶことを望んでいたが、本人はオックスフォード大学で奨学金を得て物理学を学んだ。

スティーブン・ホーキング博士のインタビュー:Last Week Tonight with John Oliver (HBO) より

■ 科学への多大なる功績
ホーキング博士は宇宙学者、理論物理学者であり、作家でもありました。宇宙やブラックホール、量子論の謎を探究したことで知られています。宇宙の基本法則を研究し、数学者ロジャー・ペンローズ博士との共同研究を通じて、一般相対性理論と量子論の結び付きを見出しました。この研究が、ブラックホールは光すら吸収する完全な黒ではなく、粒子を放出しているとの発見につながっています。これは本人の名前にちなんで「ホーキング放射」と呼ばれています。
また、宇宙の時空を考えるにあたって虚数時間を導入し、「宇宙の時間や空間には境界や端というものは存在しない」とする「無境界仮説」を考案しました。この理論により、宇宙誕生において物理法則が成り立たなくなることを避けたのですが、無境界仮説に異論を唱える科学者もおり、近年、ホーキング博士は同僚とともにブラックホール情報パラドックス(ブラックホールは蒸発しても物理的情報は保存されること)の解明に取り組んでいました。
科学に多大な貢献をしたホーキング博士は、数々の名誉ある賞を受賞しています。新しいものでは、2015年にBBVA財団からFrontiers of Knowledge Awards(基礎科学部門賞)を授与されています。その他にも、大英帝国勲章(1982年)、名誉勲位(1989年)、大統領自由勲章(2009年)、基礎物理学賞(2013年)、コプリ・メダル(2006年)、ウルフ賞(1988年)などが挙げられます。また、ホーキング博士は英国王立協会のフェローであり、米国科学アカデミーやローマ教皇庁科学アカデミーのメンバーでもありました。
自身の研究のみならず、研究成果を世に広め、役立てることに計り知れない貢献をしたホーキング博士。世界が、その偉大な功績を忘れることはないでしょう。

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