small talk:相手を身近に感じさせる食べ物の話題
一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しており、その中でもユニークな企画として好評なのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる研究者交流です。親睦会などの場でどのように話しかけたらいいのか―今回はシリーズ第6回目です。
small talk:相手を身近に感じさせる食べ物の話題
small talk の定番ネタのうち天気に次いで会話をはずませるのは食べ物の話題です。相手の嗜好や生活様式などもうかがえて人をぐっと身近に感じさせます。目の前に食べ物が並んでいるのならば話に現実味が生まれます。cocktail party ならば飲み物の話題もはずむでしょう。各国の研究者が集まっているのならば、話題が国際色豊かになります。海外からの研究者を日本に招待する場合は、いきおい日本料理の話になるでしょう。尤も、日本料理について英語で話すには特別な語彙と説明表現の習得が必要であり、この方面の英語教育が望まれるところです。
好きな食べ物は?
まず、自分の嗜好品を言うのに likeという動詞はすぐ思い浮かぶでしょう。大好物だという意味ならばloveを使います。
I love Thai curry.
タイカレーが大好きです。
好きでやめられない、~に目がない、といったニュアンスでは
I have a weakness for sweets.
私は甘いものがたまらなく好きです。
も使われます。なおlikeは “I like this cheese.” のような文では「このチーズは気に入った(美味しい)。」という意味になります。また、“I like my coffee strong.”、つまり「コーヒーは濃いのが好きです」のように、好みを表すこともあります。“I would like …”の形では、“I’d like some more bread, please.”のように「・・・をもっといただきたいのです」という希望の表現になります。
食べ物に関連するその他の話題
食べ物の話題は、嗜好以外にも広がります。私の経験では、お箸の使い方について話が盛り上がったことがあります。調理法(recipe)や栄養、日常食(diet)、健康食、さらにはお薦めのレストランなどの情報はだれでも耳をそばだてるでしょう。国内では、”Can you recommend a good sushi restaurant near here?”などと聞かれることもあるでしょう。
※ 本シリーズの掲載記事はこちらからどうぞ。
崎村 耕二 (さきむら こうじ)
日本医科大学 武蔵境校舎 外国語教室 教授。1957年生まれ。オックスフォード大学ウルフソン・コレッジ客員研究員、高知大学教授,京都工芸繊維大学教授を経て2013年より現職。一般社団法人 学術英語学会 代表理事なども務める。専門は、テクスト分析,言語表現論。現在、医学部で、医学英語の語源と語形成などを講義。英語コーパス学会会員、医学英語教育学会会員、Oxford Union Society (弁論部)終身会員等。著書に、『最新 英語論文によく使う表現 基本編』(25年以上のロングセラー改訂版)、『英語で明確に表現する』 、『英語で論理的に表現する』(以上、創元社)、『論理的な英語が書ける本』(大修館書店)などがある。