初対面の挨拶は「はじめまして」だけではない

私が代表理事を務める一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しておりますが、出し物の中でユニークな企画となっているのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる研究者交流です。懇親会(welcome reception等)で人の輪に入っていけず、日本人同士でかたまってボソボソ日本語で話している風景、国際学会ではよく見られますよね。国際色豊かな研究者たちと、どのように堂々と交流し、自分の研究活動にプラスにつなげていくか。今回はシリーズ第3回目です。

初対面の挨拶は「はじめまして」だけではない

いかにして会話に入るか、という課題のもとにこれから少し述べていきます。“How do you do?” / “It’s nice to meet you.” / “Nice to meet you.” / “I’m pleased to meet you.”と言った初対面同士の定番表現は誰でも知っているでしょう。しかし、次のような表現はどうでしょうか。

I don’t believe we’ve met.
以前、会ったことはありませんよね。

これも「初めまして」の意味で使われますので覚えておくとよいでしょう。国際的な研究者の世界では、初対面だと思っていても実はいつかどこかで会ったことのある人かもしれません。自信がなければ

Have we met before?
以前お会いしたことがありましたか。

という表現も便利です。尋ねられた人は、あなたに会ったことがあるかどうか記憶の中を探るよう促されます。この点がこの表現の興味深いところです。「この人に会ったことがあるだろうか…えーっと…このような風貌の人に会った記憶は…いや、なさそうだ」というように、相手はあなたをあらためて見直し情報を確認します。この段階ですでに初対面の相手はあなたとの会話モードに入ります。

まず会話が動き始めることが重要

このように、儀礼的な初対面の挨拶の言葉以外にもいろいろな表現を使うことができます。パーティーの席で一人ポツリと立っている人に

Hello! Are you enjoying the party?
やあどうも。パーティー楽しんでいらっしゃいますか。

と、まず話しかけておいて、自己紹介に入ってもよいでしょう。ここで、一つの原則が浮かび上がってきます。それは、会話が動き始めることが先決だ、ということです。ここで自分の名前を名乗ってもよいし、後回しにしてもよいでしょう(これについては後述します)。ただ、よくあるのは、話すことが思い浮かばずすぐに沈黙に陥ってしまうという事態です。次のシリーズでは、会話をスタートさせる、あるいは沈黙を埋めるためのいくつかの方策を見ていきましょう。

 

※ 本シリーズの掲載記事はこちらからどうぞ。


崎村 耕二  (さきむら こうじ) 

日本医科大学 武蔵境校舎 外国語教室 教授。1957年生まれ。オックスフォード大学ウルフソン・コレッジ客員研究員、高知大学教授,京都工芸繊維大学教授を経て2013年より現職。一般社団法人学術英語学会代表理事なども務める。専門は、テクスト分析,言語表現論。現在、医学部で、医学英語の語源と語形成などを講義。英語コーパス学会会員、医学英語教育学会会員、Oxford Union Society (弁論部)終身会員等。著書に、『最新 英語論文によく使う表現 基本編』(25年以上のロングセラー改訂版)、『英語で明確に表現する』 、『英語で論理的に表現する』(以上、創元社)、『論理的な英語が書ける本』(大修館書店)などがある。

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