論文の構成要素 – コンクルージョン

論文のコンクルージョンは本文の最後に位置し、論文をまとめる部分です。コンクルージョンは「Conclusion」という見出しの一つのセクションとするのが一般的ですが、「Discussion」と「Conclusion」、または「Summary」と「Discussion」、あるいは「Summary」と「Discussion」と「Conclusion」などといった複数のセクションに分割されることもあります。
論文のコンクルージョンは少なくとも以下の役割を果たします。
(i) 論文を要約し、結果を繰り返して述べます。
(ii) 研究結果の重要性とそれが影響を及ぼす範囲を明らかにします。
(iii) 研究の長所と短所を指摘します。
(iv) 既存研究との関係を述べます。
(v) 今後の研究の可能性について議論を行います。
これらの項目の記載順は、一般に上の通りになりますが、(iii)と(iv)の順番が逆になることもあります。以下でそれぞれの役割についてより細かく説明します。
(i) <論文の要約、結果の記述> 要約は、それだけを読んでも研究の内容の要点を把握でき、研究の出発点から結果・結論を得るまでの論理の筋がよく分かるように書くべきです。また、結果を徹底的に説明し、具体的に当研究で何を得たかを明らかにします。
(ii) <結果の重要性> 得られた結果が、当該分野および関連分野においてどのような意味を持つかを述べます。つまり、結果が、どのような問題を解決し、従来の知識にどのような知識を加えるか、また、今後どのような研究につながり、どのような新しい問題を提起するかを論じます。さらに、より大きな目標の観点からこの結果がどのような発展につながるかを説明します。
(iii) <研究の長所短所> これまでのアプローチと比較して、当研究で使用されるアプローチがどの点で優れているか、どの点で劣っているかを述べます。特に、今までのアプローチが成功に至らなかったことに対し、今回のアプローチが成功につながる理由を説明します。さらに、研究で用いた仮定、近似、単純化などを明らかにし、それらが結果に及ぼした影響について論じます。
(iv) <既存研究との関係> イントロダクションで述べた当研究の分野全体における位置付けを再記述します。また、研究の結果と従来の研究結果が互いに補足したり、裏付けたりすること、あるいは互いに食い違ったり、矛盾したりすることを指摘し、こうした関係の意味を論じます。
(v) <今後の研究> 研究で用いられたアプローチの改善、拡張など、また、研究の結果によって提起される新しい問題の研究についての可能性を議論します。最後に、今回の結果を踏まえて「大きな」目標の達成の見込みについて論じます。
※論文の構成要素として、今回の「コンクルージョン」の他に「イントロダクション」と「本論」も紹介しています。こちらもご参照ください。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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