論文の構成要素 – 本論

論文の「本論」はイントロダクションとコンクルージョンに挟まれ、研究内容の徹底的な記述を行う部分です。分野やジャーナルによって、「Methods」と「Results」、または「Materials and Methods」と「Results and Discussion」、あるいは「Methods」と「Results」と「Discussion」などという決まったセクションから構成される形式もありますが、セクションの数、見出し、内容に関しては規定がないことがより一般的です。
研究は、やり方が様々ですが、いかなる場合でも基本的には何らかの研究過程を通して結果を入手する、というプロセスになります。論文の本論では、研究過程とそれによって得られる結果を詳細に報告します。
本論は、ターゲット・オーディエンス(読者)が研究過程の各部分を再現できるほど微細、正確、かつ明確な説明と議論から成るべきです。例えば、研究が理論的なものであれば、結論が明確な出発点から切れ目のない論理の連鎖によって導き出されていることが必要です。また、論文で報告される実験、調査、数値計算、臨床試験などは、読者が(少なくとも原理的には)同等の条件の下で同等のプロセスによってデータを集めることができるように説明されているべきです。さらに、収集されたデータを出発点とした議論が、論理的に研究結果に到達することを明確に示す必要があります。
日本人学者による英語論文の中では、議論の出発点と到達点をつなぐ論理が明確でないことがしばしば見受けられます。多くの場合、問題の原因は論文が日本語的な考え方で表現されたことだと思われます[1]
[1] 関連した議論についてはグレン・パケット:『科学論文の英語用法百科〈第2編〉 冠詞用法』(京都大学学術出版会,2016)の前書きをご参照下さい。
※ 次回は「コンクルージョン」の構成についてお伝えします。


Dr. Paquette

グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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