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投稿原稿がリジェクトされる一般的な理由

研究者は、自らの研究成果を少しでもインパクトの高い学術雑誌(ジャーナル)に投稿しようと日々研鑽を重ねています。しかし、論文出版には困難が伴い、せっかく投稿した論文が却下(リジェクト)されることも少なくありません。多くの研究者がキャリアの中で一度はリジェクトを経験し、失敗から学んだ経験を次の論文投稿に生かしていることでしょう。今回は、一般的にリジェクトにされる12の理由と注意すべき点について考えてみます。

1. 内容とタイトルのミスマッチ

タイトルは論文内容にあったものにします。タイトルで論文の内容を適切に示せていないと読者の興味を引けないだけでなく、論文の検索にも影響します。また、ジャーナルの投稿規程に反したタイトルがついている場合はリジェクトの対象となります。

2. 要約が要約になっていない(アブストラクトの不備)

要約(アブストラクト)はそれだけ読んでも論文の内容を把握できるように書かれているべきであり、論文の内容を正確に反映させるものです。読者の誤解を招く恐れのある記述であってはなりません。

3. 序論が本文とあっていない(イントロダクションの不備)

論文の頭である序論(イントロダクション)が、論文全体の内容がわかるように書かれていないと、本文を読み進む気力を削ぐことになってしまいます。イントロダクションには、研究における論点、仮定、研究の目的が示されていなければなりません。

4. 不適切な方法(メソッド)の記載

適切な引用説明もなく以前書いた他の論文から方法をコピーするのは自己盗用に該当します。実際の実験で利用した方法を正確に記載しましょう。また、データの収集方法や、解析方法が不適切と判断された場合もリジェクトの対象となります。そして、研究が再現できるかどうかを確認しておくことが大切です。

5. 記載もれ

学術ジャーナルの限られた字数の中に情報をまとめる必要があったとしても、重要な情報を書き落としてしまうとリジェクトの原因となります。序論や結論といった各項目の内容はしっかりと記載すべきですが、あわせて著者名、キーワードなどの記入、さらに挿入すべき図表など、必要な情報にも記載もれがあってはいけません。

6. 非論理的な結論(ディスカッション)

結論部分に本研究と関係ない内容が書かれていたり、結果を反映した記載になっていなかったり、またはバイアス(偏見)が見られる、重要な発見が記されていない、研究の限界を見通せていないなどの場合は、リジェクトの対象となります。結論には、強調すべきこと、発見した結果の実証となること、その意味するところを明確に記します。

7. 投稿論文が学術ジャーナルの範囲と目的に合っていない(ジャーナルの選択ミス)

投稿論文が、学術ジャーナルが対象とする範囲や目的に適合していない場合には、該当論文は編集者によってリジェクトとなります。論文の受理率を上げるには、投稿しようとするジャーナルの範囲と目的をよく読み、慎重に適切なジャーナルを選択すべきです。ジャーナル選択の際には、投稿規定も役立ちますので、確認しておきましょう。

8. 論文の独自性とオリジナリティ

投稿、出版される研究論文は、独自性のあるオリジナルなものでなければなりません。過去の研究を追従するだけの内容や、たとえ自分が執筆した論文であっても既存の発表論文の補足的なものである場合には、リジェクトの対象となります。さらに、過去論文の内容の類似ではなかったとしても、ジャーナル読者にとって目新しい発見ではないと判断された場合にはリジェクトとなる可能性が残ります。出版につなげるためには、独自性のある新しい研究発表を的確に選出したジャーナルに、該当ジャーナルの投稿規程に合わせて投稿する必要があります。

9. 研究の誠実性

科学研究として忠実ではない論文、研究倫理に反する論文、研究不正が疑われる論文はリジェクトとなります。著者は、論文の内容に責任を持ち、該当分野の研究倫理ガイドライン(投稿規程)に準じていなければなりません。同様の理由で、結果を偽造したり、誇張したりすることは許されません。さらに、剽窃・盗用(自己盗用も含む)は研究不正に該当します。剽窃・盗用の問題は深刻です。最近は、BibMe、Turnitin、Grammarlyなどさまざまな剽窃・盗用チェックができるオンラインツールが入手可能となっているので、投稿前に自分の原稿をチェックしてみることもお勧めします。

10. ジャーナル指定の書式の順守

投稿先のジャーナル指定の書式は順守しなければなりません。ジャーナルのガイドライン(投稿規程)順守は基本です。引用文献の書き方についても指定の書式に従います。その際、あまり古い文献ばかりではなく、新しい文献も引用に入れるようにします。

11. 論文の整合性

アブストラクトと本文に相違があったり、結果と結論に関連がないことが書かれていたりすることがないように、投稿論文の内容は整合性を取らなければなりません。同様に、研究デザインと研究の進め方に不整合があってはなりません。研究デザインでは、問題提起、方法、サンプルの抽出方法、統計方法の選択などが検討されるべきであり、これらはそれぞれの項目で具体的に論じられなければなりません。

12. 全体的な文章の完成度

文法、語彙選択、時制、ライティングスタイルなどの言語上の問題を含め、文章の完成度が低い論文は編集者に悪い印象を与え、リジェクト率が高くなります。時間に余裕をもってネイティブスピーカーにチェックを依頼するなどして、読みやすい論文に仕上げましょう。

ここに挙げたのはすべてではなく、学術ジャーナルがリジェクトを精査する際に問題視することは他にもあります。また、時にリジェクトの理由が、たまたまジャーナルが同じ題材を取り上げた論文を同時に受領したり、受領できる投稿論文数に限りがあったり、査読者の質の問題や、掲載枠の制限などというように、著者がどうにかできる範疇を超えていることも起こり得ます。とはいえ、著者は自身の投稿論文にミスがなく、出版社がインパクトのあるジャーナルの掲載論文として求める基準を満たしていることを確認しておくべきです。

リジェクトされた理由に不満がある場合には、文書で訴えることも可能です。研究が確かなもので、論文執筆にミスはないという場合、投稿先の選択ミスということもあり得るでしょう。

高インパクトジャーナルは一般的に投稿規程が厳しい上、リジェクト率が高めですが、当然、高インパクトなジャーナルに論文が掲載されれば、引用される確率も高まります。大手学術出版社のエルゼビアは、自社でリジェクトにした投稿論文の22%が同等あるいはより高いインパクトのあるジャーナルに掲載されていると述べているので、リジェクトになったことであきらめず、上のリジェクト理由を次の投稿に備えて役立ててください。


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