Clarivate Analytics Releases the 2018 Journal Citation Reports

Journal Citation Reports 2018年版 発表

研究者なら誰しも、信頼のできる論文を参考文献とし、また、影響力の大きい学術雑誌(ジャーナル)に論文を掲載したいと考えるものでしょう。とはいえ、自身の研究内容に合っていて、かつ、信頼もできる学術雑誌を探すにはどうすればよいのでしょうか。

■  Journal Citation Reports 2018年版

2018年6月26日に、クラリベイト・アナリティクス(Clarivate Analytics)社が『Journal Citation Reports(JCR)2018年版』をリリースしました。JCRは1973年以来、毎年発行されており、研究者が自然科学と社会科学における査読学術雑誌を評価し、投稿する学術雑誌を決めるための有益な情報を提供しています。

このレポートは、トムソン・ロイターの科学部門「サイエンティフィック(Scientific)」によるオンラインの学術データベース「Web of Science」に基づき提供されるジャーナルのインパクトファクター(Journal Impact Factor:JIF)を含む、学術雑誌の評価指標を提供する体系的かつ客観的なデータベースとして信頼されています。これにより研究者や学術機関は、研究要件に照らして、どの学術雑誌に投稿するのが適切かを判断できるのです。

本レポートの2018年版には、各学術雑誌の評価に関して、昨年度版以上に詳細なデータが提供されると共に、さらに踏み込んだ洞察が示されています。

2018年版の主なポイントは以下の通りです。
・80か国、234分野の11,655誌を収録。うち、276誌が初めてJIFを獲得。新たにIFを獲得した学術雑誌は経営やビジネス分野が最も多く、The Quarterly Journal of Economicsが最も高いIFを得ている。
・20誌をレポートの整合性を確保するために排除(14誌は自己引用、6誌は相互引用による除外)。ただし、除外された学術雑誌もJCRへの再収録に適合するか、毎年再評価される。
・Web of Science Core Collectionの索引にBook Citation Index の、自然科学120万件および社会科学30.3万件を統合 (引用ネットワークをBook Citation Indexまで広げたことで引用データの拡充を図った)。
・本レポートには6400万点以上の引用データが含まれており、うち約1000万点 の引用データがIFの算出に利用されている。

また、2017年と比較し、新しくなった点は以下の通りです。
・学術雑誌のプロフィールページを刷新し、学問領域や発行機関、コンテンツが理解しやすくなった。
・JIFに対する論文レベルでの透明性を向上させることにより、学術雑誌の影響力に寄与するコンテンツの種類が特定できるようになった
・JIFの算出根拠を検証する新たな指標が追加された。
・自己引用や相互引用を行った学術雑誌を排除し、不正行為への警鐘を鳴らしている。
・Book Citation Indexを含め、引用ネットワークを拡大した。
・論文著者の所属国情報に加え、学術雑誌への貢献度の高い国と地域、学術機関のリストを開示した。

これらの変更の背景には、引用数のデータは重要だが、学術雑誌の価値はそれだけでは判断できず、論文レベルでのコンテンツの内容や学術雑誌そのものの情報も考慮することで、どのような学術雑誌が評価されるのかへの理解が深まる、という考え方があります。

■ 無料で閲覧できる別の指標も登場-Scimago Journal & Country Rank

JCRは、各学問分野で信頼できる質の高い論文を掲載する学術雑誌のランキングも発表しています。研究者は多面的なデータを確認することができるので、捕食ジャーナルを避け、信頼性のある学術雑誌を選ぶことができます。
ただし、JCRの欠点を指摘する声もあります。例えば、研究者の間では、JCRに掲載されているJIFは非ネイティブに対する偏見がある、といった批判があるほか、JCRが学術機関からのアクセスに制限されていることを否定的に捉える向きもあります。

多くの研究者が、投稿する学術雑誌の選択にJIFやJCRのような指標を参考にしてきました。しかし、それぞれの指標の出し方が違ったり、対象となる学術雑誌の範囲や分野が多様化したりしてきたことから、特定の指標だけで判断してしまうことが躊躇される場合も出てくるようになっています。もっと手軽に学術雑誌の評価を知りたいという人もいるでしょう。そこで、学術雑誌を評価する別の指標をオープンアクセスで提供しているコンテンツを一つ紹介しておきます。

Scimago Journal & Country RankはGoogle PageRankとして広く知られるアルゴリズムを使ったプラットフォームです。Scopus(世界の5,000以上の出版社から出版される21,000以上の科学・技術・医学・社会科学・人文科学のタイトルを網羅する世界最大級の抄録・引用文献データベース)からデータを引用して学術雑誌を評価しており、分野や科目別に学術雑誌を比較することが可能です。こちらはオープンアクセスモデルであるため、無料で研究や論文発表に生かすことができる有益なツールです。

多大な労力を割いて築いた研究成果ですから、少しでも多くの人の目に触れ、引用してもらい、影響力を高めたいものです。引用数を不正に増やすなど研究者の信頼を損なう学術雑誌や捕食ジャーナルに誤って投稿してしまうことなく、研究内容にふさわしい投稿先を選べるよう、これらのツールを活用し、慎重に検討したいところです。

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