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アジアの革新的大学ランキングが発表!

2017年6月7日にロイターが「2017年 アジアの革新的大学ランキング」を発表しました。ランキングの評価は、研究論文の評価や特許数も含む、多面的な判断によって決定されます。今回は、韓国の大学が1位と2位を独占しただけでなく、上位20校に8校がランクインするという結果になりました。
■ 韓国勢が躍進
1位は韓国科学技術院(KAIST)。2年連続の首位獲得です。影響力の高い発明を数多く生み出したと評価されました。続く2位がソウル大学。3位に東京大学が入りましたが、昨年の2位の座をソウル大学に譲った形です。そして、4位と5位も韓国の大学に占められる結果となっています。
TOP5位中、4校が韓国の大学となったわけですが、TOP75まで広げても同じ傾向が見られ、75校のうち22校が韓国勢でした。経済発展が目覚ましい中国勢は、75校中21校です(ただし、香港の大学を含めると25校と最多)。日本は、東京大学が3位に入ったものの、トップ20まで見ると昨年の9校から7校に減少しています。東大以外の6校は、東北大学(7位)、京都大学(8位)、大阪大学(9位)、東京工業大学(12位)、慶應義塾大学(16位)、九州大学(17位)と、名だたる大学が並びますが、75校中では19校と韓国、中国より少なくなっています。
このランク付けにあたり、ロイターは世界的な情報サービス企業であるClarivate Analyticsのデータを利用しています。Clarivate Analyticsには学術誌を出版する600を超える企業や団体が登録されており、特許のデータベースも存在します。この学術論文と特許出願などの情報に基づいた分析を活用することで、どの大学が最も画期的な研究を行っているか、どのような特許を所持しているかなどの調査を行い、各大学の革新度を評価し、その結果から科学の進歩および新技術の発明に貢献している大学のランクを付けているのです。
■ 世界のランキング、そして日本は――
ロイターによるアジアの大学ランキングは今回が2度目の発表でしたが、昨年9月には、対象を世界の大学に広げた「世界の革新的な大学ランキング2016(Reuters Top 100: World’s Most Innovative Universities 2016)」も発表されています。TOP5は、1位がスタンフォード大学、2位がマサチューセッツ工科大学(MIT)、3位がハーバード大学と並び、4位がテキサス大学、5位がワシントン大学となっています(アメリカの大学は100校中46校と最多)。アメリカの大学が上位を独占していますが、それでも6位には、イギリスの名門校を押さえて韓国のKAISTが入っています。日本は最上位の東大でも16位という結果でした。
大学にとって、このような評価は重大な意味を持っています。研究者や学生がキャリア形成にあたってどの大学に行くかを決める際、このような客観的な評価を役立てることがあるだけでなく、ランキングは各校の学術界での存在感にも影響を及ぼします。
日本では、学生が大学を選ぶ際には、入試の難易度(偏差値)と就職しやすさが注目されがちです。日本の科学技術力や学力の低下に危機感を抱く、との意見も出る中、革新的な大学ランキングに見られる高等教育の状況はまさに、私たちに見過ごすことのできない事実を突きつけています。

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