as long as とas far as

日本人の学術研究論文で「as long as」と「as far as」という句が混同されていることを度々目にします。これらの表現が同義ではないことに注意して欲しいです。いずれの表現にも何らかの条件を挙げるといった用法があり*、そうした用法では和訳が(「…の限り」、「…する限り」などになって)一致することもありますが、一般的に「as long as」と「as far as」は互いに置き換えることができません。

*両表現にその他の用法もあります。主なものとして「as long as…」には期間の長さの上限を示す用法と「…なだけ長く」という意味を表す用法があり、一方、「as far as…」には「…まで」のような意味を表す用法があります。

条件を挙げる用法で用いられる場合には、「as long as」と「as far as」はそれぞれ「on the condition that」と「to the extent that」と同義です。そのため、「as long as [条件]」は「[条件]が満たされれば」や「条件が満たされないまで」というような意味を表し、一方、「as far as [条件]」は「[条件]によって定められる範囲で言えば」というような意味を表します。

それぞれの表現の典型的な用法を以下で示します。

(1) This behavior will continue as long as there is a sufficiently high concentration of nutrients in the medium.
(2) As long as there are no errors, this code should provide the desired result.
(3) These complications are of no significance as long as we are only interested in long-time averages.
(4) As far as the author is aware, this is the first time that a solution to this problem has been proposed.
(5) As far as individual firms are concerned, these new regulations are of little consequence.

上記のどれの用例においても「as long as」・「as far as」をもう一方に置き換えると意味を成さない文になってしまいます。

上述のように、一般に「as long as」と「as far as」は互いに置き換えることができませんが、以下に見られるように、いずれも使える場合もあります。

(6) As long as / As far as our interest is in large-scale ocean currents, short-term weather fluctuations are irrelevant.

この文では、「as long as」と「as far as」は両方とも適切に使用できますが、どちらにするかによって文意が異なります。「as long as」にしますと、「興味が大規模海流にあれば、短期の気象変動は重要でない」という意味になります。つまり、検討対象が大規模海流であるかそうでないかということになっており、二つのケースしかないという意味が含まれます。対照的に、「as far as」に置き換えると、「興味が大規模海流にある程度と同じ程度に短期の気象変動が重要でない」という意味になり、検討対象に関しては可能なケースがたくさんあるということが含意されます。

関連した解説についてはグレン・パケット:『科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現』(京都大学学術出版会,2004)の第18章をご参照下さい。


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グレン・パケットGlenn Paquette

1993年イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign)物理学博士課程修了。1992年に初来日し、1995年から、国際理論物理学誌Progress of Theoretical Physicsの校閲者を務める。京都大学基礎物理研究所に研究員、そして京都大学物理学GCOEに特定准教授として勤務し、京都大学の大学院生に学術英語指導を行う。著書に「科学論文の英語用法百科」。パケット先生のHPはこちらから。

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