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被引用数の多い論文著者インタビュー
「論文の引用回数は研究成果の重要性をはかる一つの指標に過ぎない」。今回インタビューを引き受けてくださった先生のお一人の言葉です。
それでも、執筆した論文を引用してもらい分野の発展に寄与することは、多くの研究者が目標とするところでしょう。
このシリーズでは、被引用数の多い論文著者の皆様に、それぞれの研究者人生というストーリーを語っていただきます。
これまでの道のり、研究生活の中で育まれた視点、転機となった出来事など、卓越した研究の背景は多様です。あわせてインタビューでは、日本の学術研究の現状についての考えや次の世代へのメッセージも伺います。多くの分野の人にとってヒントとなる言葉が、きっと見つかることでしょう。ご研究内容の概要についてもお話しいただいています。

水分解の研究を始めた頃は、純粋に私自身の興味だけ。行き詰まりを打開するためのアイデアをストックしておくというのが大事だと思います。

広い視野をもって頼りがいのある仲間をできるだけたくさん作って。社会には、研究者による自発的、自然発生的な活動を長い目でみてくれるようなシステムを求めたい。

博士課程に進めば、研究の魅力を存分に味わいながら、将来の可能性を広げていくことができる。研究職を安定した魅力ある職業に変えることで、日本の学術研究は一層躍進する。

理数系の学問や研究の面白さを伝えたい。そして、好奇心を持ってチャレンジすることを楽しむということ。この2つで研究にハマってほしい。
解くべき疑問は自然の方にあり、研究者はそれに答える。気候自体がどんどん変わってくるので新しい疑問が出てくる。

ただやみくもに新しいものを作るのではなく、コンセプトを考え、ビジョンを示し、先を予測する。そこから真の飛躍が始まるのです。これぞ研究の醍醐味だと私は思っています。

日本の肝臓癌治療が世界をリードし、日本に学べという動きが出てきています。私が発表した論文のなかでも、国際的なガイドラインや実臨床における治療成績の国際比較試験が多く引用されているのはこのためです。

早い段階からエアロゾルの気候変動に及ぼす影響に着目し、数値モデルを作り上げてきました。長年かかって改良を重ねてきたので、モデルの信頼度も高い。このことが論文の高い引用件数に表れているのだと思います。

「知りたい」という、人間の本質的な欲求に応える基礎研究。良い基礎研究は次なるクエスチョンをたくさん生みます。