学術英語学会

このシリーズは、一般社団法人学術英語学会(JSER)の中心メンバーの先生方が当番制で執筆、寄稿しているものです。学術英語学会とは、「研究者のための英語」をめぐる様々な課題を取り扱う非営利の学術団体です。学術目的の英語に関する調査・研究に取り組みながら、研究者の英語運用能力を高める活動を行っています。自然科学から人文・社会科学まであらゆる学術分野を横断的に繋ぎます。その主な課題は、英語論文作成技法、英語によるプレゼンテーション技法、英語による研究者交流、研究者のための最先端英語ツールです。それぞれのテーマについて、経験豊かな先生方が連載記事を執筆します。「研究者のための英語」に関する有益な情報が満載です。

small talk:会場や開催地を話題にする

一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しており、その中でもユニークな企画として好評なのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる 研究者交流 です。親睦会などの場でどのように話しかけたらいいのか―シリーズ第9回目のSmall Talkです。 small talk:会場や開催地を話題にする Small talkの定番の三つ目の話題は、場所です。国際学会の会場や開催地の話題は、現に会話を行っている空間そのものを話題にするのですから、実感や直接的な観察にもとづいた話ができるはずです。天気のところで述べたような共通感覚に訴えて、“It’s a nice building, isn’t it?”のように会場の建物を褒めてもよいでしょう。…

会食の場における英語の会話

一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しており、その中でもユニークな企画として好評なのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる 研究者交流 です。親睦会などの場でどのように話しかけたらいいのか―今回はシリーズ第8回目です。 逃げられないformal dinnerの座席 じっと座って食事をいただくformal dinnerの形態は、席が固定されているため、右隣り、左隣、正面のゲストとどのように会話するかが大きな課題です。また、向こう三軒両隣、つまり斜め前方の両者も含めた6名全員が一つの会話に参加して盛り上がるということもあります。発言するかどうかは別として、少なくとも会話の内容についていけるかどうかがかなめになります。(だからこそリスニングの力はおろそかにできません。) 飲食と会話と移動がダイナミックに絡み合う立食 いわゆる立食の形態では、あらたまった着座形式の食事とは異なり、行動も会話も立体的になります。飲食する・会話するという二つの行為に、人の間を動き回る(=mingle, circulate)という行為が加わります。食事の話題という文脈で言えば、ビュッフェ(buffet)のところに行って食べ物をつつく、あるいは飲み物を取ってくる、と言った行為を伴いますので、それに関連する表現が会話の中に入ってきます。次のような表現は参考になるでしょう。 (ビュッフェのところで料理を見渡しながら) Now, what…

small talk:料理の話題と研究者

一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しており、その中でもユニークな企画として好評なのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる研究者交流です。親睦会などの場でどのように話しかけたらいいのか―今回はシリーズ第7回目です。 small talk: 料理の話題と研究者 大学でそれなりの地位についているヨーロッパの知識人の中には、料理やお酒について相応の見識(あるいは一家言)を持っている人が多いというのが私の見解です。日本の大学からは想像しにくいかもしれませんが、オックスフォード大学では、美しい庭園を持っているか、という基準とともに、腕の良いシェフがいておいしい料理を提供しているかどうかが、各コレッジの一つの評価基準になってきました。19世紀半ばまでは聖職者の養成機関としての機能が主だったことから、地味な研究生活の中で独身の学究たちが楽しみにしていたのが料理でありワインだったのでしょう。 フランス料理, ワイン、シェリー、etc. 欧米圏での研究者交流の場面を考える時、料理はもちろん、社交の場で出されるお酒(wine, champagne, sherry, punch, vermouth など)の知識は、ある程度必要ではないかと考えます。ただ、私には一つ失敗談があります。何十年も前、イギリスのバースという古風な町で、全くの偶然から、初対面の老夫婦と2時間ほど話しをしたことがあります。私がついうっかり、ワインが好きだ、という意味のことを伝えたところ、老齢のイギリス紳士は、「ワインが好きなのか、それならどこのどのワインがおいしいか、一緒に今から議論しよう」と挑発されました。グウの音も出ませんでした。知ったかぶりをするものではない、と反省しました。あとでわかったことですがその老紳士は、Sir Stanley…

small talk:相手を身近に感じさせる食べ物の話題

一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しており、その中でもユニークな企画として好評なのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる研究者交流です。親睦会などの場でどのように話しかけたらいいのか―今回はシリーズ第6回目です。 small talk:相手を身近に感じさせる食べ物の話題 small talk の定番ネタのうち天気に次いで会話をはずませるのは食べ物の話題です。相手の嗜好や生活様式などもうかがえて人をぐっと身近に感じさせます。目の前に食べ物が並んでいるのならば話に現実味が生まれます。cocktail party ならば飲み物の話題もはずむでしょう。各国の研究者が集まっているのならば、話題が国際色豊かになります。海外からの研究者を日本に招待する場合は、いきおい日本料理の話になるでしょう。尤も、日本料理について英語で話すには特別な語彙と説明表現の習得が必要であり、この方面の英語教育が望まれるところです。 好きな食べ物は? まず、自分の嗜好品を言うのに likeという動詞はすぐ思い浮かぶでしょう。大好物だという意味ならばloveを使います。 I love…

small talk:気候を表す英語を覚える

一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しており、その中でもユニークな企画として好評なのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる研究者交流です。親睦会などの場でどのように話しかけたらいいのか―今回はシリーズ第5回目です。 small talk: 気候を表す英語を覚える 気候を表す表現と言えば、“It’s cold.”や“It’s warm.”などは誰でも知っています。しかし、程度や性質に応じて微妙な感覚を表現することができれば天気の話題にも色合いが出てきます。気候の状況を表す形容詞や副詞をたくさん覚えておくとよいでしょう。 It’s a little cold. / It’s a…

small talk:まずは天気の話から

一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しており、その中でもユニークな企画として好評なのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる研究者交流です。親睦会などの場でどのように話しかけたらいいのか―今回はシリーズ第4回目です。 small talk: まずは天気の話から 会話を始動させる、あるいは沈黙を埋めるためによく引き合いにだされるのが small talk です。Cambridge Advanced Learner’s Dictionary によると、small talkの定義は“conversation about…

初対面の挨拶は「はじめまして」だけではない

私が代表理事を務める一般社団法人 学術英語学会 では、毎年、セミナーを開催しておりますが、出し物の中でユニークな企画となっているのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる研究者交流です。懇親会(welcome reception等)で人の輪に入っていけず、日本人同士でかたまってボソボソ日本語で話している風景、国際学会ではよく見られますよね。国際色豊かな研究者たちと、どのように堂々と交流し、自分の研究活動にプラスにつなげていくか。今回はシリーズ第3回目です。 初対面の挨拶は「はじめまして」だけではない いかにして会話に入るか、という課題のもとにこれから少し述べていきます。“How do you do?” / “It’s nice to meet you.”…

交流の場では親しくなることが先決

私が代表理事を務める一般社団法人学術英語学会(J-SER)では、毎年、セミナーを開催しておりますが、出し物の中でユニークな企画となっているのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。一般的に、日本人研究者がニガテとしているのが「ソーシャライジング」または「ネットワーキング」、いわゆる 研究者交流 です。懇親会(welcome reception等)で人の輪に入っていけず、日本人同士でかたまってボソボソ日本語で話している風景、国際学会ではよく見られますよね。国際色豊かな研究者たちと、どのように堂々と交流し、自分の研究活動にプラスにつなげていくか。今回はシリーズ第2回目です。 交流の場では親しくなることが先決 まずは人に話しかけることです。しかし、初対面の人に英語で話しかける時、“How do you do? Let me introduce myself.” のように型にはまった英話表現に頼ってしまう人がいます。「この場面ではこの表現」といったパタ―ン化に沿って会話を進めるあまり言葉も雰囲気も固くなってしまいます。研究者交流の場面で話しかける時は、初対面の人であってもとりあえず “Hello.”でよいのです。また、後で述べるように上記の定番表現を使わなくても、「はじめまして」に相当する様々な表現を使うことができます。…

研究者交流のための英語とは?

これから、標記のテーマのもとに、続き物の記事を書かせていただきます。私が代表理事を務める一般社団法人学術英語学会(J-SER)では、毎年、セミナーを開催しておりますが、出し物の中でユニークな企画となっているのが「ソーシャライジングとネットワーキングのための英語」です。はっきりとしたイメージがわかない、という方のために、記念すべきシリーズ第1回目では、簡単にその趣旨を説明します。 英語論文執筆では困らない---しかし国際学会の発表後、質疑応答で立ち往生する日本人研究者 日常的に自然科学系の研究者は、研究成果を英語論文にまとめ、海外のジャーナルへ投稿しています。また、国際学会の口頭発表では、スライドをめくりながら手元のスクリプトを読み上げるにあたって特に英語に大きな困難を感じることは無いようです。ところが、問題は質疑応答の場面です。フロアから投げかけられた質問が聞き取れない、あるいは質問内容が込み入っていてよくわからない、聞き取れても、とっさに頭の中で答えを組み立ててそれを適切な英語で発話することができない---この困難は実際にそのような経験をしなければ想像し難いでしょう。私が以前、京都大学で行ったアンケート調査で、衝撃的な証言が得られました。口頭発表は無事行っても、質疑応答で質問にどう答えて良いかわからず「立ち往生」している日本の研究者を何人も見かけた、というものでした。 国際的な場面で人の輪の中に入って行けない また、懇親会(welcome reception等)で人の輪に入っていけず日本人同士でかたまってボソボソ日本語で話している風景もよく見られます。国際色豊かな研究者たちの会話に入っていけないのは、英語の発話力や聞き取り能力の問題もあるでしょう。しかし、人の輪にはイタリア人やブラジル人、中国人の研究者などが入っており、必ずしも英語のネイティブスピーカーではない場合もあります。皆、英語が流暢だとは限りませんので、自分の英語力に引け目を感じることはないのです。そのような場面に出て行く人はまだましで、そもそもそのような social gathering には参加せず宿泊ホテルに帰ってしまう人も多く、これでは何も始まりません。 このような方面に着目したのが標記の「研究者交流のための英語」です。第2回目の記事以降、国際的な交流の場面を切り抜けるための会話術を解説していきます。主に解説するのは懇親会での会話の始め方、会話の続け方、会話の締めくくり方をはじめとして、相手の発言にどう反応するか、質問にどのように答えるか、逆に質問をどのように投げかけるか、等々、さらには、研究者同士を引き合わせたりコネクションを作るための技法です。その他、フォーマルな食事会(dinner, luncheon, banquet)の場面や、研究者の自宅に招かれたり逆に招いたりという場面も視野にいれます。研究者の交流とはいえ、国際的な場面では、個人間だけでなく異文化間の諸問題も絡んできますので、言語だけでなく文化的な内容にも触れたいと思います。 --------- 質問に対してひと言も声を発することができず、“Hello? Are…