日本人によくある英語の間違い

不定代名詞(1)someone、anyone、everyone、no one

不定代名詞である「someone」、「anyone」、「everyone」、「no one」の語が時おり誤って用いられるのを目にします。ここでもっとも留意していただきたい点は、これらの代名詞は必ず人を指し、人以外のものを指すことができないということです*。以下に、それらの語によく見られる誤用例とその修正例を挙げます。 [誤] Someone of these methods could be useful. [正] One of these methods…

while

接続詞「while*」には2種類の意味がありますので、誤解を避けるために注意が必要です。 「while」が接続詞として用いられる場合は、「同時性」もしくは「対照性・対立」を表します。文章の内容によっていずれの意味で使われているかが明らかな場合も多いのですが、以下の文が示すようにそうではない場合もあります。 The temperature decreased while the growth rate increased. この文章は、「温度が下がったと同時に成長速度が上がった」という意味と、「温度が下がったのに対して、成長速度が上がった」という意味との2通りに解釈できます。正確には、後者の解釈が正しい場合には「decreased」と「while」の間にコンマが必要ですが、いずれにしてもこのままでは解釈が定まりません。上の文の意図を明確に表すためには以下のいずれかの例文のように書き直すべきです。 同時性: (1) The temperature…

variety

名詞「variety」は日本人の学者によって、論文執筆の際にたびたび誤用される語です。この名詞には3種類の用法があります。ここではそれらの用法の特徴を説明します。 I. 第1用法 意味:いろいろ、異なるいくつか、異なる種類。 役割:複数の異なるものを集合として指すこと。 (1) We used a variety of methods to derive these…

so that

「so that*」は日本人の学者によってよく誤用される語句です。以下に、特によく見られる誤用例とその修正例を示します。 [誤] In this way, we have devised a treatment so that the cost…

overview

「overview」は「概要」、「摘要」、「要約」などの意味を持つ名詞ですが、誤って動詞として用いられるケースを時おり見かけます。そのほとんどは「overview」が「review」、「summarize」、「outline」、「present an overview」の代わりに誤って使用されるケースで、文の内容により上記いずれかの語に置き換える修正が必用となります。例文を見てみましょう。 [誤] We begin by overviewing existing results. [正] We begin by /summarizing/reviewing/…

or

接続詞「or」は、日本人によって過度に使用される語です。私が校閲してきた論文の中でも「or」は多く用いられてきましたが、その約半分は「and」の方がより適切と思われるケースでした(対照的に、「and」が「or」の代わりに誤って用いられる例はまれです)。 「or」の基本的な役割は、文脈において複数の個別に実現できる「ケース」を識別することです。つまり、「or」によって結ばれる語句はそれぞれ個別の「可能性」を示しています。「or」と「and」のどちらを使うかを決める際には、まずその文脈を見る必要があります。その文脈において、「or」か「and」によって結ばれる語句が個別に実現できる「可能性」を表す場合は「or」を、そうでなければ「and」を用いるのが適切です。 以下に「or」の正しい用法の典型例を示します。 [正] However, the nature of this process depends greatly on whether the…

few

「few」は名詞と形容詞 、2つの品詞として使用できます。それぞれの用法は以下の例文のとおりです。 名詞: (1) A few of my friends came to my house last night.…

data

普段よく使用する単語に「data」という名詞があります。「data」はもともと「datum」という語の複数形なので、厳密には文中で「data」が主語となる場合は、その動詞も複数形にならなければなりません。 [誤] This data is useful for generating enhanced images. [正] These data are useful…

comparing with (to)

副詞の役割を果たす「comparing with (to)」もよく誤って用いられる語です。以下にその典型的な英語論文での誤用例と修正例を示します。 [誤] Comparing to the previous results, the present results are much more…

cannotとcan not

「can」の否定形に「cannot」という表現がありますが、「can not」というように2語に分けて表記することも可能です。しかしどちらを用いるべきかという話になれば前者の方が一般的です。「can not」は、「not」が示す「否定」の意味を特別に強調しますので、このような強調が望ましくなければ「can not」は不適切です。この強い否定の形「can not」が望ましいケースが2つあります。 ひとつは、「can not」を含む文によって表される内容が特別に重要な場合で、もうひとつは「not」に示される否定が読者の期待に反するという場合です。こういったケース以外には1語の「cannot」を用いるべきです。 以下に「can not」の典型的な正しい用例を示します。 (1) Francis et al. claimed that…

both

形容詞もしくは代名詞の働きをする場合(接続詞としての用法もあります)、「both」は日本人学者によって誤って使用されることがよくあります。最もよく見られるのは、「both」で2つの物事の「関係」を表わそうとするという誤りです(これは日本語の「両」が「both」に相当するという、日本人の通念に起因するものと思われます)。実際には、「both」は2つの物事をまとめて指し示すことはできても、「関係を表す」という役割を果たすことはできません。以下に、この語を用いた典型的な誤用例と修正例を示します。 [誤] Both experiments yielded consistent results. [正] These (two) experiments yielded consistent results. [正] The results of…

assure

動詞「assure」は、「保証」という意味を持つことから「insure」、「ensure」、「guarantee」などといった単語と似ていますが、これら3語と比較すると「保証」の意味での確実性は低くなります。さらに、「assure」の最も自然な用法では、(直接目的語となる)人に対して用いられ、「insure」、「ensure」、「guarantee」が表す「物事を保証する」という意味よりは、むしろ「物事が保証される『と思わせる』」または「物事が保証される『と思わせようとする』」という意味を表します。以下の文は「assure」の典型的な(正しい)使用例です。 [正]The simplicity of this approach assures us of its general applicability. [正]The patient was…

as well as

「as well as 」は日本人学者が英語論文を書く際に最もよく誤用される表現の1つです。その誤りの多くは「as well as」が「and」と同様に使用できるという誤解に起因するものです。実際のところ、2つの表現は類似した意味を持ってはいますが、それらの間には意味上、および文法上の重要な違いがあります。「as well as」は、「and」と似た意味を示す場合には、前置詞の働きをし、「and」よりむしろ「in addition to」に近い意味を持っていると言えます。それゆえ、「A as well as B」と表現する場合、「A and…

dosageとdose

医学の専門用語で「dosage」と「dose」があります。これらの語は似た意味を持ちますが、同義ではありません。以下にそれぞれの語の意味とその典型的な使用例を挙げます。 dose: 1回の投与量。 (1) Each packet contains one dose. dosage: 投与量、頻度、継続期間の決定や調整。 (2) The dosage was…

cooperateとcollaborate

「cooperate」と「collaborate」は意味が似ており、双方とも「共同する」、「協同する」、「協力する」のいずれにも訳されうる可能性があります。しかし重要な意味上の違いもあり、通常はそのまま置き換えることはできません。「cooperate」が持つ語意は「collaborate」の持つ語意に包含されていますが、「collaborate」の語意の一部を形成するにすぎません。「cooperate」が単に「力を合わせる」という意味を表すのに対し、「collaborate」はその「力を合わせる」こと自体のみならず、むしろ協力の目標に主眼を置き「協力によってある結果を生み出そうとする」という意味を表します。 以下に動詞「cooperate」と「collaborate」、およびその名詞形「cooperation」と「collaboration* 」の正しい使用例を挙げます。 (1) Thomas and Yamada have collaborated on several research projects. (2) We…

日本人がよくする英語の間違いトップ20 (3)

日本人独特の英語の間違いを考えるシリーズの第3回は、動詞を中心に見ていきたいと思います。動詞は、論文の語調を決めるといわれ、アメリカ人でも論文の書き方を習うときに苦労するものです。ここでは日本人がよくする動詞の間違いについて、その対応策を考えていきます。 1. 時制の不正確さ 論文を書いている「今」という視点からみた過去と未来。そして、説明している「実験」から見た過去と未来。日本人が書く論文の時制には、これらの視点がフラフラと変わってしまうために起こる間違いがよく見られます。たとえば、Introduction(はじめに)で、すでに知られていることを書くときには現在形を、その問題に対して行われてきた研究について書くときには現在完了形を、自分がこの論文で行うことについて書くときには現在形を使うのが普通です。こうしたことは、英語を母国語とする人に英文校正してもらえばすぐに直ることですので、時間を惜しまず、必ず見てもらいましょう。 2. be動詞の誤用 「AはBである」の直訳なのでしょうか、下のようなbe動詞の誤用が多く見られます。日本語からの直訳にならないように気をつけ、最後に、be動詞を使っている文が、それを使わなくても文として成り立つかどうかを確認してください。 誤: Oxidation is rapid to occur. 正: Oxidation…