コンピュータースクリーンに1から9までちりばめられた数字を小さい順から指差していく。これは、チンパンジーの話だ。「天才チンパンジー」としてメディアにもたびたび取り上げられているアイ、そしてその息子アユムらの知性の研究を通して、ヒトの心や行動の進化を探っている京都大学霊長類研究所所長の
松沢哲郎教授。一連の研究成果は2度にわたり国際ジャーナルの最高峰Natureに掲載され、また「比較認知科学」と呼ばれる新しい学問領域を切り開いた。
松沢氏の英語との向き合い方はシンプルだ。科学者には実際の研究業績がすべて。英語がヘタでも業績それ自体が雄弁に物語り、世界中が耳を傾ける。この世の森羅万象を読み解きたいという衝動が学問をする理由である以上、英語でつまずいている時間はない。偉大な研究業績を打ち立て、科学界の発展に貢献し続けてきたトップ研究者だからこそ持ちうる、確信に満ちた英語観をうかがった。
取材・構成=古屋裕子(クリムゾンインタラクティブ)