世界の大学ランキング

クラリベイト・アナリティクス高被引用論文著者2018

研究者にとって、論文を発表することが最も肝心ですが、どれだけ多く引用されるかも気になるところです。発表論文の被引用件数が多いことは、研究者としてその分野における貢献度が高いことを示していると評価できるからです。被引用件数を調べる方法は幾つかありますが、その中のひとつが、クラリベイト・アナリティクスが発表するランキングです。 世界的な情報サービス企業であるクラリベイト・アナリティクス は、2018年11月27日に『Highly Cited Researchers 2018』 を発表しました。これは、クラリベイト・アナリティクスが運営する論文検索サービスであるWeb of Scienceに収録された33,000以上の学術誌(ジャーナル)に基づき、2006年から2016年に発表された論文について、発表から1年間の被引用件数を分析したものです。自然科学および社会科学の21分野における論文の被引用件数が世界の上位1%に該当するものを高被引用論文と定義し、それらの論文著者をリストアップしています。今回からの新しい試みとして、一人の研究者が複数分野で論文を発表している場合の合計被引用件数を示す「クロスフィールドカテゴリー」が導入されました。 国別結果-高被引用論文著者が多いのはどこの国か 約6000名の研究者がHighly Cited Researchers in 2018リストに掲載され、そのうち約4000名が分野別の高被引用論文著者、約2000名がクロスフィールドの高被引用論文著者となっています。リストアップされたのは、まさに影響力の大きな研究者および研究機関と言えるでしょう。…

アジアの科学研究が熱い!

アジア の大学が注目されています。中国は、論文発表数で米国を抜いたことなどが話題になっていますが、他のアジア各国の大学も各種の世界大学ランキングの上位にランクインするなど、負けていません。アジアの中でも特に東アジアの5つの国・地域(シンガポール、香港、マレーシア、韓国、台湾)は、アジア地域における科学研究の拠点として存在感を増しています。これらの国・地域、世界が注目する地域には、どんな特徴があるのでしょうか。 ■ 研究開発費の増加と比例するように伸びる論文発表数 いきなり現実的な話ですが、研究開発には資金が不可欠です。アジア各国で科学研究への投資が幅広い研究活動を後押しするとともに、成長の原動力となっています。中でも科学技術研究への投資の増加率が突出しているのは、韓国。なんと2016年にはGDPの4.24%にまで達しています。数年前から下降線をたどる日本が3.14%。米国は横ばいの2.74%、増加中の中国が2.12%となっているのと比較すると、その増加ぶりが際立っています。続いて目立っているのが台湾(3.16%)。こちらも順調に増加しており、中国だけでなく米国、日本、EU(1.94%)も抜かれています。 韓国が潤沢な研究資金のもとで進める研究の成果は、論文発表数の増加となって表れており、2018年6月のNature (Volume 558 Number 7711)の特集によると、世界最大級の引用文献データベースScopusの2017年のデータから見る韓国の論文発表数は、65,000本。中国(同年の論文発表数414,000本)にはおよびませんが、数年で日本(89,000本)に追いつきそうな勢いです。少なくともこの10年間、韓国の論文発表数はずっと右肩上がりに伸びています。発表数だけではありません。世界平均を大幅に上回る引用数を正視化した公開論文の引用インパクト(Citation Impact)を見ても、シンガポールと香港の平均値はイギリスおよびアメリカの数値を上回っており、韓国はほぼ世界平均と同等。台湾も若干ですが世界平均を上回っています。これらの研究拠点では、研究への投資とさまざまな強化策のもと、幅広い分野の研究が行われていることがうかがえます。 ■ アジア大学ランキングのトップ20 2018年2月に発表されたイギリスの教育専門誌タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)が発表した「THEアジア大学ランキング」のトップはシンガポール国立大学でした。トップ20に入っている国・地域は、中国7大学、韓国5大学、香港5大学、シンガポール2大学、日本2大学(同位タイがあるので21校)。中国の大学が急速に台頭する中、韓国の大学もその地位を高めています。シンガポールと日本の数は同じですが、シンガポールの大学の順位が1位と5位なのに対し、日本は東大の8位、京大の11位となっています。シンガポール国立大学は3年連続のトップ。一方の東大の8位は、昨年から一つ順位を落としており、2013年の発表開始以来最低の順位。2013年から3年は連続首位だったのに、直近3年間は7位から8位と低迷しており、躍進する他のアジアの大学にポジションを奪われたままです。2018年のランキングは、アジア25ヶ国、上位350大学を得点付けした結果となっており、最も多くの大学がランクインしたのは日本(89校)ですが、中国(63校)も着実に数を増やしています。中国および他の国・地域の大学が順位を上げてくる中、日本の大学はアジアの競争を勝ち抜くための策が必要です。文部科学省が2014年から実施している「スーパーグローバル大学創成支援事業」や指定国立大学法人制度などの施策が、日本の大学の評価回復・向上に役立つことが期待されます。このスーパーグローバル大学には、37校が採択されていますが、この中の27校が「THEアジア大学ランキング2018」にランクインしていることからも、それぞれの大学が特徴を生かした独自の取り組みを行っていることの効果が出ていると察せられます。 ■ 科学研究が地域のニーズに対する取り組みをサポート アジアの大学ランキング20位までにはランクインしませんでしたが、マレーシアには専門分野に特化した技術大学が多くあり、その技術は世界の中でも高く評価されています。マレーシアの大学としては最高位となったマラヤ大学は、1949年にマレーシア初の国立大学として誕生しました。東南アジア研究、メディア研究、イスラム教やマレー文化の専門学部といった、国立大学ならではの専攻分野があり、授業が英語、マレー語、中国語で受けられるということで、留学生の割合が多いようです。「THEアジア大学ランキング2018」のランキングでは、前年59位から13ランク上げて46位。マレーシアは、タイとインドネシアに挟まれた半島と島々から成る国ですが、1970年代に、国の経済基盤を安価な製品(ブリキ、ゴムなど)の生産から価値の高い消費財(天然ガス、パーム油など)の生産に切り替え始めました。それにともなう産業の発展に応用科学が用いられたのです。今日、マレーシアの主要な輸出品は、電子部品、石油製品、石油化学製品、機械製品、食材などとなっており、科学技術が国の経済成長戦略の中心となっています。マレーシアの場合、経済の変動が科学研究を促進することになったのです。もうひとつ、マレーシアで特徴的なのは女性研究者の割合です。ほぼ半分の研究者が女性だというのですから驚きです。その上、マレーシアの研究者にはイスラム教徒が多く、ハラル認証(イスラム教徒のための製品に付けられる認証)のとれる食材や医薬品、化粧品などの開発に貢献しています。世界のハラル市場は2016年、2兆USドル規模となっているので、マレーシアでは地域の特性に関連する科学研究の発展が経済成長につながっていると言えます。 同様のことがシンガポールや韓国、台湾でも見られ、電気事業、物理、材料科学などの応用科学研究における長期戦略がGDPを押し上げるのに一役を担っています。例えば、シンガポール政府は、ヘルスケア、医学生物科学のような国が優先させる政策に関連する研究に対する投資を行っています。香港では、アジアで発生する鳥インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群)などの新興感染症の研究が進んでいます。感染症への対策が必須であることはもちろんですが、香港がアジアから世界に広がる感染症の”交差路“であることが、研究を行う”地の利“となっているのです。…

2019年版QS世界大学ランキングが発表

イギリスの高等教育機関の調査会社クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds,QS)が2018年6月7日、「QS World University Rankings第15版」を発表しました。いくつか存在する世界のトップ大学ランキングの中でも随一の注目度を誇るQSの同ランキング。果たして今回の内容は――。  ■ クアクアレリ・シモンズ(QS)のランキング  クアクアレリ・シモンズ(QS)は、同社の創始者でありCEOであるNunzio Quacquarelli氏が、ペンシルベニア大学のウォートン・スクール在学時に考案したことを発端に、2004年から世界の大学ランキング付けを開始しました。複数ある世界の大学ランキングの中で、唯一、国際ランキング専門家グループ(International Ranking Expert Group, IREG)の承認を得ているランキングで、これから高等教育を受けるために大学を選ぼうとする学生やその保護者、さらには産学連携を図る企業にとっても、たいへん役に立つデータとなっています。グローバル・イノベーション・インデックス(Global Innovation Index)やBank of…

世界大学ランキングは何を評価しているのか

さまざま教育関連機関から、多種多様な指標を用いた『世界大学ランキング』が定期的に発表されています。これらのランキングおよび前年度との比較から、世界における日本の大学の位置や順位の変化が見えてきます。2018年のランキングは何を評価し、どんな結果が見えてくるでしょうか。 ■ 「THE世界大学ランキング日本版」は国際性への項目追加で順位に変動 まず、日本国内の大学を世界的な指標でランク付けした結果から見てみます。3月28日に、イギリスのTimes Higher Education(THE)が「THE世界大学ランキング日本版2018」を発表しました。グローバル版の「THE世界大学ランキング」が大学院の研究力に比重を置いて評価しているのに対し、日本版は学部の教育力を重視している点が特徴的です。このランキングを決定する指標は4つ――教育リソース(資金力、学生一人あたりの教員数など)、教育充実度(高校教員の評判調査)、教育成果(企業や研究者による評判調査)、国際性(外国人の学生/教員比率、留学比率、外国語による講座の割合)。それぞれの項目がデータや調査等に基づいてスコア付けされ、150の大学がランク付けされています。今回から、国際性の指標に「日本人学生の留学比率」と「外国語で行われている講座の比率」の2項目が加わったことから、大学の評価において国際化の重要度が増していることが見て取れます。多くの大学が国際教育の強化を図る中、前年から大きく順位を上げたのは、総合ランキング20位から12位となった国際教養大学(総合トップ20の中では唯一の公立大学)。全寮制で留学生と共同生活をし、全ての授業は英語で行われ、さらに卒業要件に専門課程1年間の海外留学を必須とする徹底ぶり。世界標準を意識した大学運営で国際性スコア100ポイントと他校を引き離しています(国際性スコアのトップ10となれば83.3以上ですが、90以上が5校、95以上が上位3校。100ポイントは国際教養大学のみ)。他にも、東京外国語大学が昨年27位から今年17位、上智大学が18位から15位と、国際性の項目追加によって外国語大学のスコアが伸びる結果となりました。 ■ 日経「大学革新力創出指数」に見る日本の大学の革新力低下 大学がグローバル化の荒波にもまれているのは確かです。しかし、大学に求められるのは国際性だけではありません。近年、日本の大学の研究力が低下しているとの危機感が募っています。3月に発表されたNature Index 2018 Japanでも日本の科学研究論文の発表数が減少していることへの懸念が示されていましたが、日本経済新聞も「大学革新力創出指数」を算出し、日本の大学の研究力は地盤沈下を起こしていると報じています。6月4日の日本経済新聞によれば、同紙は大手学術出版社エルゼビアと自然科学研究機構の協力のもと、国内97大学、国外112大学の計209大学を対象に、革新(イノベーション)力創出指数を算出しました。学術論文の発表数、研究者層の厚み、引用件数の多い論文の割合(論文の質)、研究者あたりの有力論文数(論文の生産性)を比較したところ、2012-2016年の日本の大学の論文発表数、研究の質は大きく順位を落とす結果となりました。一因と考えられているのは、研究者一人あたりの有力論文数から見る生産性におけるアジアの大学の台頭です。生産性の上位は、1位が南洋理工大学(シンガポール)、2位が香港城市大学(中国)、3位がオールボー大学(デンマーク)。今回トップの南洋理工大学は、2002-2006年の18位からの躍進です。対して、日本を代表する大学である東大の生産性は94位。2012-2016年の生産性で100位以内に入っているのは、94位の東大を筆頭に、98位の京都大学、99位の東北大学、100位の東京工業大学と4校のみです。100位以降には日本の大学がランクインしてくるものの、10年前(2002-2006年)は100位以内に8校が入っていたことを鑑みれば、低迷ぶりは明らかです。アジアの大学が存在感を増しているのに対して、日本の大学の存在感は薄れています。 ■ 大学に求められる資質-日本の大学はどうなる? 世界的にアジアの大学が躍進する中、「THE世界大学ランキング日本版2018」に初ランクインした大学からは、新しい取り組みも見えてきます。総合ランキング上位151校(同位に複数校あるため)に新たにランクインした大学は23校(国立3校、公立7校、私立13校)でした。国公立大学には「教育リソース」のスコアが高い傾向がありますが、私立大学には前述の「国際性」や「教育充実度」のスコアを上げることでランクを上げている傾向が見られます。日本版ランキング2018の総合ランキングに初めて名前があがってきた私立大学13校*…

QS専攻分野別 世界大学ランキング2018の発表

2018年2月28日、イギリスの大学評価機関「クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds :QS)による分野別世界大学ランキング「QS World University Rankings by Subject 2018」が発表されました。 ■ QS専攻分野別 世界大学ランキング これは、75か国、1130の大学を2018年から新たに追加された「古典・古代史」と「図書館・情報管理」の2分野を含めた48の専攻分野ごとにランキングしたものです。QSの定める判定基準に従って以下の項目の得点を個別に算出し、それらの合計によってランク付けが行われています。 1. Academic Reputation 学術界の評判…