医学論文ノウハウ:研究デザインから投稿まで
徹底的な文献調査 目的にかなった研究デザインとは 正しい解析手法の選び方 査読コメントの対処法
研究者なら誰しも、信頼のできる論文を参考文献とし、また、影響力の大きい学術雑誌(ジャーナル)に論文を掲載したいと考えるものでしょう。とはいえ、自身の研究内容に合っていて、かつ、信頼もできる学術雑誌を探すにはどうすればよいのでしょうか。 ■ Journal Citation Reports 2018年版 2018年6月26日に、クラリベイト・アナリティクス(Clarivate Analytics)社が『Journal Citation Reports(JCR)2018年版』をリリースしました。JCRは1973年以来、毎年発行されており、研究者が自然科学と社会科学における査読学術雑誌を評価し、投稿する学術雑誌を決めるための有益な情報を提供しています。 このレポートは、トムソン・ロイターの科学部門「サイエンティフィック(Scientific)」によるオンラインの学術データベース「Web of Science」に基づき提供されるジャーナルのインパクトファクター(Journal Impact Factor:JIF)を含む、学術雑誌の評価指標を提供する体系的かつ客観的なデータベースとして信頼されています。これにより研究者や学術機関は、研究要件に照らして、どの学術雑誌に投稿するのが適切かを判断できるのです。…
どんなに一生懸命研究し続けても、その結果が論文として学術誌に掲載されなければ意味はありません。そうかといって、ただやみくもに『ネイチャー』や『サイエンス』のようなトップジャーナルに投稿し続けても、徒労に終わるだけですよね。自分の分野や目的に適したジャーナルを選ぶ必要があるのです。エナゴ英語エディターのウィリアム・スティーブンソンの協力のもと、ジャーナル選びのコツを紹介します。 * * * 論文の発表は、多くの場合、その研究にかけた努力が頂点に達したことを意味します。現在、論文の適切な投稿先を選ぶというプロセスはいっそう複雑になっています。ジャーナルが激増してきたこと、専門分野が細分化されてきたこと、そして複数分野にまたがる研究トピックが増えてきたことなどがその理由です。論文の著者は、こうした各種の基準や制約を考慮して最適な投稿先を検討し、そのうえで初めて投稿先を決定することになります。その際にどのような要因を考え、どのようなアプローチを取ればよいのか、例を示したものが図です。 最初のステップは、検討中の論文の目的を明確にすることです。それが決まったら、その目的の達成に関連する各種情報を収集し、自分の置かれた状況の中でどのようなタイプの論文やジャーナルがベストなのか、実情をわきまえたうえで判断を下します。 こうした意思決定のプロセスにも各段階があります。それらを以下に要約します。 選択肢を見極める: 該当する分野で利用できる各種のジャーナルについて、包括的に情報を把握しておくことが不可欠です。そのためには、同じ分野の研究者たちの意見を聞く、オンラインのジャーナル・リストを調べる、専門家の団体に問い合わせる、などの手段があります。日本国内のジャーナルでしたら、たとえば国立情報学研究所の刊行物リストや日本学術会議の団体リストなどが役に立つでしょう。 影響力を見極める: いうまでもなく各ジャーナルの認知度は重要で、よく考慮する必要があります。「Impact Factor」や「SJR(SCImago Journal Rank)」、「Article Influence」、「H-index」といった量的な指標が利用されています(たとえばImpact Factorの調べ方は、トムソン・ロイターのウェブサイト*を参照するといいでしょう)。こうした指標は一般的に、そのジャーナルに掲載された論文の引用率に関連しますが、こうした指標の価値と実際の引用件数はどちらもよく検討する必要があります。たとえば近年ではImpact Factorに対してはその信頼性について疑問視する声もあります。また、「Altmetrics」や「EigenFactor」といった新しい指標も登場しています。…