英語で“魅”せるプレゼンテーション

非英語ネイティブでも、国際学会で聴衆を惹きつけるプレゼンテーションを行うための極意を伝授します。

第10回 これだけは覚えたい!プレゼンQ &Aの決まり文句

英語 での国際会議におけるプレゼンのコツをお伝えする集中連載も今回が最終回となります。本番まで準備と練習を重ね、当日の発表も無事終えてほっとひと息……としたいところですが、傍聴者とのQ&Aが終えるまで気は抜けません。Q&Aをうまく乗り切るコツは、先の記事で述べたようにプレゼン冒頭から聞き手に対する親近感を込めて話すことです。それでも、慣れないうちはやはり緊張しますので、決まり文句を頭の片隅に置いておきましょう。 まず質問を繰り返す “Your question is …” 質問を受けたら、必要に応じて一度繰り返します。広い会場では聞こえなかった人もいるかもしれませんので、聴衆全体への確認にもなりますし、その間に答えを考えることも出来ます。確認が済んだら、視線と意識は聴衆全体へ戻します。 質問が聞き取れなかったら “Could you repeat the question more…

第9回 本番:演台から10 cmでも離れるつもりで

学会 発表に向けてしっかりと練習をつんで迎えた発表当日。あなたは聞き手とのディスカッションが待ち遠しくなっているかもしれません。学会発表は学位論文発表と違い、審査されるものではありません。晴れの舞台を楽しみましょう。 Be intimate! 本シリーズで繰り返し述べたように、口頭発表は発表者と聞き手の情報交換の場であって、気持ちを通わせることが大切です。英語圏のプレゼンテーションのノウハウのひとつとして“Be intimate!”ということがよく言われます。intimateとは、親密な、形式ばらない、うちとけた、個人的なといった意味の形容詞です。ちなみにアクセントは頭にあり、インティミッと発音します。練習した発表内容を、すっかり自分のものにした言葉で、自然に、聞き手一人一人の心に届くように話しかけましょう。 演台から10 cmでも離れる気持ちで 聞き手に親近感をおぼえてもらうために、文字通り聞き手に「近づく」方法が有効です。学会発表では通常、演台に立ち位置が固定されていますが、少しでも全身が見えるように10 cmでも横にずれて聴衆に近付きましょう。そして、視線は聴衆に向けましょう。視線をスクリーンに向けるのは、「この○○の部分に示すとおり…」などと具体的に見てほしい部分があるときに限ります。慣れないうちは視線を聴衆に向けることが気恥ずかしいものですが、「Q&Aはプレゼン冒頭から始まっている」ことを肝に銘じて、聞き手の顔を見ましょう。 レーザーポインター vs アニメーション スライド上の一部分を指し示す場合、レーザーポインターを用いることが多いですが、レーザーポインターの操作に不安があれば(ふるえたり、ぐるぐる回してしまうなど)、スライドに一部分を強調するためのシンプルなアニメーション効果を仕組むこともできます。これはプレゼンテーション用のリモコンが用意されている場合にとくに有効です。可能であれば発表当日の使用機器について事前に確認をし、自分にとってやりやすい方法を選びましょう。 キャラクター紹介:久里…

第8回 発音を向上させたい人は

英語 のアクセントの位置に気をつけることでジャパニーズイングリッシュでも伝わりますが、より高みをめざして発音を向上させたいと考える人もいるかもしれません。そのような人のためのちょっとしたヒントを提供します。 日本人の英語の特徴を直す 日本人に特有の英語の発音はたくさんありますが、なかでも以下の3点に気をつければ、より好感度の高いジャパニーズイングリッシュを話すことができるようになります。 末尾の母音を消す たいていの日本人はI would like to をアイウドゥライクトゥと発音しています。それで十分伝わりますが、すぐにジャパニーズイングリッシュだとわかります。ウドゥ、ライクと、単語ひとつひとつの末尾で母音を発音してしまうからです。日本語はすべての音節が母音で終わりますので、無理もありません。しかし、英語は末尾の子音がほとんど消えそうになる傾向があり、そうなると当然、末尾の母音はまったく響きません。極端に言えば、アイウッライットゥのような感じです。 日本人がwebsiteと言おうとしてウェブと言った瞬間にジャパニーズイングリッシュとわかります。ネイティブスピーカーが発音すれば「ウェッ(プ)サーイ」のように聞こえます(実際はbの部分で唇を閉じ、tの部分で舌が前歯の裏に付いています)。Public、method、repeat、topなど、末尾が子音で終わる単語は、子音を含めて丸ごと消すような意識で発音してみましょう。 lとr を意識して使い分ける 日本人がlとrの発音を苦手としていることはよく知られています。Our results…

第7回 学会発表に向け、自分の言葉にするために練習する

学会 発表に向け、スピーチの練習なんて野暮だと思っていませんか?そんなことはありません。プレゼンテーションの達人と言われる人々の多くが、しっかりと練習をして本番に臨んでいます。英語プレゼンならではの練習のポイントを紹介します。 原稿作成は必要か? 母国語でない英語でのスピーチにおいては一度原稿を書くのが無難です。文字量には個人差がありますが、慣れないうちは1分100ワードを目安に増減します。心がけるのは関係代名詞を多用しないシンプルな短文で書くことです。そして、ネイティブスピーカーにチェックを依頼し、ゆっくり音読してもらって録音をしましょう。学術英語は発音の難しい専門用語を多く含むので、研究分野に明るい人にお願いしたいところです。先の記事で指摘したように、英語はアクセントの位置が非常に重要ですので、録音を聞きながら原稿にアクセント記号を記入して、練習に役立てます。 「つなぎ」が肝心 原稿を作成する際には、「つなぎ(transition)」の言葉もしっかり作り込みます。聴衆の注意をそらさないでストーリーを語るためには、スライドとスライドの間を言葉でしっかりとつなぐことが非常に重要です。下記に例をお示しします。 悪いつなぎ: “… The difference was significant in the experiment…

第6回 スライドはシンプル・パワフルに

学術 研究の発表会場は暗い場合が多いです。細かい文字を見れば眠たくなるのは誰しもが経験済みのことです。それでも詰め込みスライドが多いのは、スライドのビジュアル効果を過小評価しているせいかもしれません。明快なスライドは不慣れな英語を強力にカバーしますので、力を入れて作成しましょう! 紙の上でコマ割りを 発表のストーリーが決まったら、それに合わせたスライド作成の計画を立てましょう。まだPowerPointは開きません。ノートなど紙の上でコマ割りをしましょう。驚くべきことに、プレゼンテーションの達人と言われる人々は共通してこの作業を行っています。ストーリーが転換するたびにアウトラインのスライドを出して現在地点を示すなどの工夫も、コマ割りをしながら綿密に計画します。1枚のスライドに入れる情報はデータを1つのみ、あるいは最小限にとどめます。スライドは1分あたり1枚が目安と言われますが、それにこだわる必要はありません。多少枚数を増やしてでも各スライドを簡潔するほうが効果的です。 削ぎ落とし、補足する いよいよPowerPointやKeynoteを用いてスライド作成です。全体を通して「一目瞭然」のデザインを目指しましょう。そのためには、作成した図表をただペーストするだけでは不十分です。凡例を大きくする、重要な部分を強調する、言及しない部分は割愛するなど、丁寧に作り込みます。文章の箇条書きは最低限に絞り込みます。アニメーションは、ストーリー展開に有効な場合のみ厳選して使用しましょう。また、先に提案したような印象的なオープニングスライドは、楽しみながら作成しましょう。 カラーユニバーサルデザイン(CUD)の視点を 一人でも多くの人に研究成果を伝えるために、スライドの色使いに配慮しましょう。人種により異なりますが、男性の十数人〜20人に1人、女性の250人〜500人に1人が、その他の人々とは異なる色覚を持っています。色で区別したはずの情報や、強調したはずの情報が一部の人々には伝わらない場合があるのです。真にグローバルな研究発表を目指すために、CUDにも配慮したプレゼンテーションを実践しましょう。日本の科学者が中心になって設立されたカラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)のウェブサイトを是非参照ください。CUDについては今後、本アカデミーでも特集予定です。 キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri) 日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free…

第5回 Q&Aはプレゼン冒頭から始まっている

発表 でのQ&Aを上手く乗り切るコツは「あなたの人間性を前面に押し出すこと」です。口頭発表の目的はディスカッションであって、それを行うのは人間と人間です。聞き手はプレゼンテーション中にあなたに親近感をおぼえたなら、コミュニケーションが円滑に進むように取りはからってくれるはずです。 気持ちをつかめばスムーズに あなたが聞き手であったら、原稿読み上げマシンのような発表者にどのような気持ちを抱くでしょうか?発表内容がどんなに興味のあるテーマであったとしても、違和感か、ひどい場合は嫌悪感を抱くのではないでしょうか。そして質疑応答に入ったならば、質問者は発表者の顔色をさぐりながら、場合によっては問題点を指摘するような質問を投げかけることになります。原稿に頼れなくなった発表者が答えに窮する…これがQ&Aが恐怖となる筋書きです。 スムーズなQ&Aはその逆を行えばよいのです。発表者が、たとえ英語が流暢でなくとも、熱意と誠意をもって聞き手に話しかけるように発表を行えば、聞き手は自然に発表者に親近感を持ち、話に引き込まれます。そして質疑応答に入ったならば、質問者はすでに親しみを覚えた発表者に気持ちを込めて質問をすることができます。英語が得意でないとわかれば、ゆっくり質問してくれるかもしれません。つまり、Q&Aはプレゼンテーションの冒頭から始まっていて、口頭発表の全体がひとつのディスカッションを構成していると考えましょう。したがって、発表中にも聴衆に視線を配る必要があります。さらに ‘聴衆を読む’ことができれば達人の域です。 質問が聞き取れないことは問題ではない 多くの日本人がQ&Aを恐れる大きな理由として、そもそも質問が聞き取れないと言います。しかしその原因の50%が質問者にあると考えたことはあるでしょうか?多くのネイティブスピーカーが、自分にも質問がわからないことがあると言います。たしかに、ネイティブスピーカーが質問者に「今の質問は○○という意味でしょうか?」と問い返している場面は少なくありません。発表内容について最も多くの知識を持っているのは発表者ですから、明快に質問してくれさえすれば、妥当な回答はできるはずです。質問が聞き取れなかったときは、質問者の英語に問題があることも考えられますので、過剰に不安がらずに落ち着いて聞き返しましょう。Q&Aに役立つフレーズは別記事で紹介します。   キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri) 日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient,…

第4回 伝わるジャパニーズイングリッシュを目指す

ノンネイティブ の英語の中で、インドの人々が話す英語はヒングリッシュと言われます。フランス語訛りの英語は、ひとつの魅力として受け入れられています。英語の国際共通語化によりノンネイティブの英語が地位を確立しつつあります。伝わる、魅力的なジャパニーズイングリッシュで国際舞台に斬り込みましょう! 決め手はメリハリ What time is it now? は『掘ったイモいじるな(ホッタイモイジルナ)』と言えば伝わるという有名な話があります。言い古された例ですが、ここに‘伝わる’ジャパニーズイングリッシュの全てが集約されています。英語らしく『ファッタイムイズィットゥナウ』と言ったつもりでも伝わらないのはなぜでしょう。 日本語は単語の中の各音節、および文章の中の各単語をすべてきちんと平板に発音する傾向にあります。それに対して英語は、単語の中でアクセントのある音節のみを強調、文章の中でも重要な単語のみを強調します。それにより、単語の中に消えそうな音節、文章の中にも消えそうな単語があるため、話し言葉にメリハリが付きます。米国人が日本語を話すと、「ワターシハ キヨーロガ スーキデス(私は京都が好きです)」となるのはそのためです。「ワタシハキョウトガスキデス」などと平板に発音するのは至難の業なのです。 伝わるジャパニーズイングリッシュを話している人は、一見カタカナ英語を話しているようでも、単語内および文章内のアクセントがきちんと強調されています。lとrを使い分けるなど正しい発音ができなくとも、メリハリをつけるだけで格段に伝わる英語が話せます。 単複と三人称のsに気をつける サイエンスは明快さが重要ですから、学術英語は自ずとシンプルな構造になります。したがって、論文にせよ口頭発表にせよ英作文に必要な文法は中学〜高校レベルで十分です。専門用語と専門的な言い回しを適切に用いて、短い文章表現を心がければ、下書きレベルの原稿は比較的容易に作ることができるでしょう。その際には最低限、単数形・複数形の使い分けとそれに応じた動詞の呼応、ならびに三人称・単数・現在形にsをつけること(いわゆる三単現のs)を忘れないようにしましょう。これらは日本語にない用法であるため忘れやすいのですが、基本的な部分であるがゆえ、誤るとぞんざいな印象を与えてしまいます。…

第3回 聞き手を引き込むストーリーを「練る」

プレゼン において、よく練られたストーリーは聞き手を離しません。たとえ英語が流暢でなくとも聞き手を引き込む威力があります。心血を注いだ研究結果を一人でも多くの人に聞いてもらうためには、データを羅列して述べるだけでは不十分です。スライド作りに着手する前に、ノートを開いて構想を練りましょう。 口頭発表とはストーリーを展開すること 聞き手を想定し内容を絞り込んだら、各要素をつなぐストーリーを入念に作り込むことが極めて重要です。この作業を経ていない研究発表が非常に多いことが学会を眠たい場にしていると言っても過言ではありません。ここでいうストーリーは‘筋書き’ですから、構想を練る際に発表の流れをチャート化することが有効です。ひとつの研究が複数の実験や試験から成る場合は特に聞き手を迷わせないストーリー展開の工夫が必要です。論文であればページをさかのぼって不明点を確認することができますが、口頭発表は過去にさかのぼることができませんので、発表者が聞き手を巧みにガイドする必要があります。 ズームインからズームアウト ストーリーを作成する際には、発表全体がズームインからズームアウトの構図を持つようにします。発表の冒頭で研究の位置づけを示す全体像を示し、研究の詳細を紹介したら、最後に研究成果の意義を示す全体像でしめくくることです。これは発表者の取り組んでいる研究が、科学的課題を広く視野に入れていることを示すために重要です。 オープニングにひと工夫を 口頭発表はストーリー展開を明確にすることで格段に向上しますが、さらにオープニングにひと工夫を加えることをお勧めします。具体的にはイントロダクションの冒頭を印象的にすることです。ごく短い時間を使って、発表内容に関連する何らかのエピソードや映像を挿入することで聞き手の気持ちを発表者にぐっと引き寄せることが出来ます。質の高いプレゼンテーションで名高いTEDカンファレンスはオープニングおよびストーリー構成の参考になります。 キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri) 日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free…

第2回 伝える内容を「絞る」

プレゼン において聞き手としての経験があれば、‘詰め込み発表’がいかにわかりにくいか知っているはずです。発表者になったら、「結局何が言いたかったのかわからなかった」パターンに自ら陥らないよう、徹底的にシンプルな発表を目指しましょう。これだけでも、不慣れな英語を強力に補うことができます! 聞き手を知る 口頭発表で忘れがちなのが、聞き手を意識するということです。学会発表では、聞き手は発表者の研究領域の専門家である可能性が高いと思われます。しかし近年、学会はますます大規模化し、研究領域はますます細分化されていますので、聞き手は必ずしも発表者の研究領域を熟知していないことを想定したほうがよいかもしれません。発表が予定されているセッションのテーマや座長、発表者の顔ぶれをチェックして、聞き手を具体的に想定しましょう。 “take-home message”を決める 口頭発表は論文と同様に、イントロダクション、対象または材料、方法、結果、考察、サマリーなどの要素で構成します。しかし、短時間に伝えられるように内容を絞り込む必要があります。その際にはまず、最も伝えたいメッセージを決めましょう。これは国際学会でよく“take-home message”と言われているものです。研究が複数の実験や試験からなる場合も、それらを統合したメッセージを引き出し、出来る限り簡潔な一文にまとめるのが望ましいです。 サポートする情報を取捨選択する “take-home message”が決まれば、発表の各要素はこれをサポートするのに必要最小限の内容に絞り込みます。情報やデータの取捨選択にあたっては、聞き手が必要とする内容に焦点を合わせると同時に、制限時間内にカバーできる量を考慮します。通常、「イントロダクション」は研究の動機や背景を伝えるために非常に重要ですが、聞き手が専門家のみであればむしろ簡略化すべき場合もあります。冗長になりがちな「対象/材料」「方法」はできるだけ簡潔にし、「結果」「考察」に十分な比重を置きましょう。必要に応じて「仮説」や「今後の展望」を述べる余地も残します。 キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri) 日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient…

第1回 学会発表は研究者が輝く舞台

学術論文ならまだしも学会発表 はかんべん!ましてや英語で!という研究者の方々がプレゼンテーションの醍醐味を感じるのに必要なのは、ほんの少しの発想の転換かもしれません。国際会議でのプレゼンテーションを成功に導く集中連載の第1回目では、まず口頭発表の意義から見直しましょう。 口頭発表は生きた情報交換の場 論文発表が「情報発信」の場であるのに対し、口頭発表は人と人が直接「情報交換」を行う場です。口頭発表の意義は、最先端の研究者が集結し、最先端の研究について‘ディスカッション’することにあります。発表者にとっては研究成果のエッセンスや解釈を聞き手に直接アピールすることができ、聞き手にとっては研究の経緯や課題を研究者本人から聞くことのできるまたとないチャンスです。そしてこの千載一遇のチャンスは参加者全員の時間を無駄にするリスクの上に成り立っていることを忘れてはなりません。 キャリア向上につながる 口頭発表の主役は研究成果であると考えられがちですが、発表者自身でもあります。特に若手研究者にとっては、研究への情熱や着眼の鋭さ、コミュニケーターとしての能力を広く示すことができれば、国際的な共同研究や新たなキャリアへの道筋を開くチャンスとなります。したがって、口頭発表はやり過ごすのではなく、研究と同様にエネルギーを注ぐ価値があります。 失敗してもかまわない 多くの人が日本人はプレゼンテーションが苦手な上に英語のハンディキャップも負っていると考えています。しかし、英語圏においても研究者向けにプレゼンテーションのノウハウを伝授するツールが多く存在します。それらのツールでは必ず練習を繰り返し、場数を踏むようにアドバイスされています。母国語が英語の研究者にとってもプレゼンテーションは容易ではないのです。したがって、日本人研究者が尻込みする必要はありません。むしろ積極的に場数を踏んで失敗に学ぶ必要があります。勇気を持ってチャンスに臨みましょう。エナゴアカデミー内でもご紹介していますが、各界で活躍中のトップ研究者の英語との向き合い方も参考になります(トップ研究者インタビュー)。 キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri) 日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free…