日本人によくある英語の間違い

間違いやすい用語や表現 – solve

動詞「solve」は、数学的な議論においてよく誤用されます。その多くの場合には、「solve」は「解明する」の誤訳になっていると思われます。「解明する」を「solve」と訳すことが適切な場合もありますが、「解明する」は比較的広い意味で用いられ、「solve」と訳すことができない場合もあります。 一般に、「solve」が意味する操作の対象となりうるものは、例えば、問題、謎、方程式、積分など、解くことを必要とされるもののみです。それらを解くことによって得られるものは「solve」の対象となりえないのです。つまり、そのようなものを表す名詞が「solve」の直接目的語となってはいけません。特に、数学的な議論においては、導出や解析などの結果となるものに対して「solve」を用いるのは誤りです。 以下の例文を見てみましょう。 (1) [誤] As proven above, this equation has two solutions. Below, we…

間違いやすい用語や表現 – on

「on」は日本人学者がしばしば誤用する前置詞の一つです。以下はその典型的な誤用を示します。 (1) [誤] This behavior is independent on the factors discussed above. (1) [正] This…

間違いやすい用語や表現 – from

「from」は日本人学者によってしばしば誤用される前置詞の一つです。ここでは、特によく見られる誤用の典型例を列挙し、その修正文を挙げます。 (1) [誤] The behavior described in the previous section is constrained from the (1)…

such thatとso thatの違い【意味と構文を解説】

「such that」と「so that」はよく混同されます。ここでそれぞれの表現の正しい用法を説明します。 so that の意味と使い方 「so that」は、副詞として「for that purpose」や「in order that」のように意図を示す場合と、「with the consequence that」や「and…

間違いやすい用語や表現 – since

副詞「since」は、日本人に過度に使用される語です。特に、日本人の学術論文で「since」が使用される大半のケースは、用法が適切ではありません。 「since」の誤用が最もよく見られるのは、「because」の類義語として用いられる場合です。「since」には「because」の類義語としての意味はありますが、両者の間には意味上の重要な違いがあります。その違いを以下に説明します。 一つ目に、「since」が「because」の類義語として用いられている場合でも、その第一義である時間的な要素はある程度残ります。そのため、「since」は「because」より「because, as you/we already know」の意味に近くなります。それゆえ、以下の用例が適切に使用されている場合は、若干意味が異なります。 (1) [正] Because I have already bought the…

間違いやすい用語や表現 – however

副詞「however」は、日本人に最もよく誤用される語の一つです。その誤用は何種類かに分けられますが、ここでは文法上の誤りを考察します。 「however」には主な意味が二つあり、それぞれ、「but」そして「in whatever way」と同義です。前者の場合には「 however 」は必ず副詞ですが、以下が示すように誤って接続詞として使用されていることをしばしば目にします。 (1) [誤] I would like to go to a…

間違いやすい用語や表現 – already

副詞「already」は日本人が最もよく誤用する語の一つです。私が読んできた日本人学者による論文では、「already」が使用される過半数の場合その用法が誤っています。多くの場合は、「already」が表す意味は単に不要であり、それを削除するだけで問題が解決されます。 「already」は、日本語の「もう」や「すでに」に相当するケースが多いですが、「もう」や「すでに」と比べて使用頻度が低いので、和文ではそのいずれかが適切な場合でも、対応する英文では「already」が適切であるとは限りません。 「already」は、ある動作がすでに終了したか、あるいはある状態がすでに成り立っているという意味を表しますが、多くの場合は「already」がなくてもそのような意味は文の内容から明らかです。そうした場合には、「もう終了した」といった意味を特に強調する必要がない限り、「already」を使ってはいけません。 以下は「already」の典型的な誤用を示します。 (1) [誤] This model was already investigated in Ref. [4]. (1)…

間違いやすい用語や表現 – anymore

副詞「anymore」は日本人によってしばしば誤用されます。実際、この語は多くの用法において口語的と見なされるため、学術英語では避けるべきです。日本人が書いた学術論文で「anymore」が用いられているほとんどの場合には、意図した意味を伝えるのには単に不要か、あるいはより適切な表現があるかのどちらかです。 以下はその典型的なケースを例示します。 (1) [誤] Above the critical value, the odd solution does not exist anymore.…

adequateとappropriate

日本人学者の論文で形容詞「adequate」と「appropriate」が混同されることはしばしば見受けられます。誤用の中には、後者が適切なところで前者が用いられていることが特に多いです。「adequate」と「appropriate」は同義ではありません。両者間の違いを理解するために以下の正しい用例を考えればよいです。 (1) An iron(II) sulfate supplement is generally regarded as an appropriate treatment for iron…

間違いやすい用語や表現 – abbreviate

日本人学者の論文において、動詞「abbreviate」が誤用されているのをしばしば目にします。最もよく見受けられる誤用は、「abbreviate」が「omit」や「delete」の意味を表すものとして用いられていることです。「abbreviate」にはこうした意味はありません。 上述の誤用はおそらく、日本語の「省略する」の誤訳に起因するものでしょう。「省略する」は、「短くする」という意味で用いられている多くの場合には「abbreviate」に相当しますが、それ以外の意味だと「abbreviate」は誤訳とみなされます。特に、「省く」の同義語として使用される場合には、「省略する」は「abbreviate」ではなく、「omit」、「delete」、「remove」、「eliminate」、「drop」などに訳すべきです。このような意味を示すのに「abbreviate」は全く不適切と思われます。 以下は「abbreviate」の典型的な誤用を示します。 (1) [誤] From this point, we abbreviate the dependent variables and write…

ofとfor

英語を母語としない人を悩ます品詞の中で、前置詞はとりわけ難解です。意味が近いものも多く、似たものの区別をつけるルールも存在しません。ここでは、互いに混同されることが特に多い前置詞として「of」と「for」を考察します。 前置詞の正しい用法を覚えるのに、用例を熟考することによって、微妙な差異の直感的な理解を身につけるしかありません。つまり、前置詞の誤用を(「そのような意味がない」といったもの以外は)解説しようがないことが多いのです。という訳で、ここでは「of」と「for」の典型的な取り違えを示す例文を列挙だけします。 ofが正しい用法 (1) [誤] The results for this experiment are displayed in Table 1.…

as long asとas far asの意味の違いを解説

日本人の学術研究論文で「as long as」と「as far as」という句が混同されていることを度々目にします。これらの表現が同義ではないことに注意して欲しいです。 いずれの表現にも何らかの条件を挙げるといった用法があり*、そうした用法では和訳が(「…の限り」、「…する限り」などになって)一致することもありますが、一般的に「as long as」と「as far as」は互いに置き換えることができません。 as long as と as…

「in this paper」と同様の表現について

論文において「in this paper」、「in this section」などという表現がよく使用されますが、その用法にはたびたび誤りが見受けられます。よく見られる誤りとして、そのような表現を用い、われわれが実際に論文外で行う行為や行動について述べようとすることが挙げられます。こうした表現はあくまでも論文自体の内容を描写する場合にのみ使えるものであって、それらの表現を用いて「数値計算や実験などを『行う』」というような表現を導こうとすると、論理的な問題が発生します。言うまでもないことですが、論文内の行為と見なされうるのは文章、数式、グラフ、図などといった論文内で行われる行為のみであり、「われわれ」が論文内で数値計算、実験、観察、現地調査、臨床調査などを「行う」というようなことは不可能です。 以下に、上述した内容の具体的な例として、誤用例と正しい例を挙げます。 [誤] In this paper, we analyzed the genome-wide changes…

「文字」の英訳

日本語の「文字」が「character」または「alphabet」と誤訳されるケースも、しばしば目にすることがあります。「文字」が「character」と訳される場合(すなわち、漢字などの表意文字の場合)もありますが、表音文字の場合、「文字」は概して「letter」と訳されます。また、「alphabet」は、1つの文字ではなく、必ず「文字体系」を意味します。 以下に「文字」の正しい訳の例を示します。 (1) The letters “a” and “b” here indicate the most likely identifications of…

大文字・小文字(2)

大文字と小文字の使い分け方について、前回に引き続き説明します。 5. 論文中のセクション、数式などを指す名詞 論文の中で本論文中または他の論文中のセクション、数式、図などに言及することはよくありますが、それらを指し示す際には、固有名詞を用いる場合と普通名詞を用いる場合、どちらのケースも存在します。以下にそれぞれの場合における例文を示します。 (5a) Let us consider Eq. (3.2). (5b) Let us consider the…

大文字・小文字(1)

大文字と小文字の使い分け方について、2回に分けて説明します。 1. 固有名詞 1.1 大小文字の使い分け 原則として固有名詞の最初の1文字は大文字になります。また、固有名詞が2つ以上の単語を含む場合は(冠詞、接続詞、前置詞を除いて*)その各単語の先頭文字を大文字にします。このルールに関して最も注意したいことは、固有名詞が一般的な単語を含むこともしばしばあり、その単語の先頭文字も大文字になるという点です。たとえば以下の固有名詞がそのような例として挙げられます。 *原則として冠詞、接続詞、前置詞はすべて小文字で表記されますが、それが固有名詞の先頭に置かれる場合は語頭が大文字になることもあります。「The Oxford English Dictionary」はその有名な例です(関連した解説を第4節で行います)。 Pacific Ocean, United Nations, Lake…