なぜ大事?研究倫理

【9/2までアンケート実施中】研究インテグリティと論文撤回:倫理的不正行為にまつわる影響と対応を理解する

2024年も半ばを迎えようとしている現在、学術研究と出版における大きな話題の一つが「研究インテグリティ(研究公正)」です。 論文の撤回件数・撤回率が増加し続けている*ことなどからも、研究インテグリティの確保は喫緊の課題と言えるでしょう。データや画像の改ざん・捏造、盗用・剽窃、研究方法の不備、AIツールの使用を開示しないこと、といった様々な理由による論文撤回は、論文として出版された研究全体への疑念を生み出します。 また、研究不正のニュースは、学術界の内輪だけの問題にとどまらず、科学や研究に対する社会の視線にも影響を及ぼします。 そこでエナゴでは、エナゴ学術英語アカデミーの研究リスク評価イニシアチブの一環として、第8回グローバルアンケート調査を実施いたします。「研究インテグリティと論文撤回:倫理的不正行為にまつわる影響と対応を理解するためのグローバルアンケート調査」と題するこの調査は、研究インテグリティに関する調査としては前回の第7回に続く第2弾となります。 本アンケート調査の主なねらい 今回は、論文撤回と倫理的不正行為に焦点を合わせて研究者の意見を募り、その影響について探ります。アンケート調査の主な目的は以下のとおりです。 1. 適正か不正かがあいまいなグレーゾーンを明らかにして倫理的な研究の未来像を描くため、倫理指針に対する研究者の皆様の認識と意見を評価する 2. 研究不正を調査するための現在の報告の仕組みを評価する 3. 論文撤回と研究不正の広範な影響を明らかにする 4. 研究インテグリティを確保する上での学術出版関係者の役割を明らかにする  …

クラリベイト社が高被引用論文著者リスト2023年版を発表

信頼性の高いインテリジェンスを提供する世界的リーディングカンパニーであるクラリベイトは、2023年版高被引用論文著者(Highly Cited Researchers™)に選出した7,125件のリストを発表し、様々な分野で世界的に影響力のある研究者6,849人にHighly Cited Researcher 2023を授与しました。(件数と受賞者数の差は同一研究者が複数の必須科学指標(ESI: Essential Science Indicators)の研究分野で選出されたため。)受賞者には、主に臨床医学、生物学、生化学、化学など、多岐にわたる分野の研究が含まれ、クラリベイトのシンクタンクであるInstitute for Scientific Information (ISI)™が、各分野で実質的かつ広範な影響力を示す研究者の業績を称えることを目的として選出しています。 研究の信頼性を確保するための厳格な選考プロセス 選考は、Web…

自己盗用・自己剽窃は許容されるのか

ほとんどの研究者は、盗用・剽窃は決して許されない不正行為であること、盗用・剽窃の内容によっては、研究者としてのキャリアに深刻な影響を及ぼすものであることを認識しているでしょう。誰かが行なった研究プロジェクトや論文を自分のものとして発表することは完全に「盗作」であり、誤って他人の研究成果や論文をコピーしたり、適切な引用や注釈なしに使用したりしてしまう「剽窃」よりも深刻だと考えられています。 自己盗用・自己剽窃とは 盗用・剽窃が問題であることは自分の論文に対しても同じです。自分が過去に書いた文章を再利用することの何が問題なのかと思うかもしれませんが、自分が書いたものであっても、適切な引用や注釈なしに使用することは自己剽窃にあたります。また、自分の過去の研究アイデアや自分が発表した文書(論文や書籍など)、作成した図表などと全く同じ、あるいは微少に変えたものを出典の引用を付けることなく改めて発表する(再利用する)行為は自己盗用となり、いずれも不正行為となります。 他の研究者の論文の文章を断りなく使用するのは研究倫理に反すると認識していても、自分自身のアイデアや執筆した文章を使用することも自己盗用・自己剽窃となることは見落としているかもしれません。自己剽窃の倫理性、つまり自己文書の再使用が許容される内容や度合いに関しては研究者や出版社でも議論が分かれるところです。自分の過去の研究アイデアやコンセプトを再利用することが盗用にあたると考える研究者もいれば、論文中の文章や画像の再利用だけが盗用にあたると考える研究者もいます。しかし、多くの学術雑誌(ジャーナル)は、著者の過去に発表済の研究をどれだけ論文に再利用できるかについて、明確なガイドラインを設けているので、投稿先ジャーナルのガイドラインを確認するようにしてください。 研究者が自己剽窃する理由 意図していなかったとしても、過去の業績を新しい業績のように見せてしまうことは自己剽窃であり、研究倫理的に受け入れられないということをほとんどの研究者は承知しています。しかし、それでも一部の研究者が自己剽窃をする理由のひとつには、研究者が“Publish-or-Perish(出版か死か)”というプレッシャーに直面していることが挙げられます。研究者は、キャリアアップや研究費獲得のために、学術論文をひとつでも多く出版しなければならないという大きなプレッシャーにさらされています。自分の過去の研究を再利用すれば、実際に新しい研究を行わなくても出版実績を増やすことができるのですから、「手抜き」をしたいと思う研究者がいてもおかしくありません。 研究者の中には、自己剽窃を意に介さない人もいます。自分が著者である以上、自分の論文をどうしようが自由だと考えているのかもしれません。もちろん、適切に引用されていれば自分の著作物を参照することは認められています。しかし、過去に出版した研究アイデアや成果を新しいものとして示すことは、読者に誤解を与えることになるので注意が必要です。 自己盗用・自己剽窃は許されるのか 学術界では、自己盗用・自己剽窃は敬遠されています。自己盗用や自己剽窃を行なって出版実績を増やせば他の研究者より優位に立てるかもしれませんし、自分の研究グループや研究機関の実績としても、より大きな効果が期待できるかもしれません。 しかし、根本的にほとんどの場合は不正とみなされます。そればかりか、自分の分野の他の研究者を誤解させかねない行為でもあります。さらに、出版する研究論文とは利用可能な最新の知識であるべきとの考えに基づけば、再掲された論文が以前発表した研究の再利用だった場合、要件を満たしていないことになります。論文は、新規性のあるものでなければいけないという点から見て問題がある上に、過去に発表したものであることをきちんと引用せずに、あたかも新しい論文であるように発表することは許されないのです。 自己盗用・自己剽窃は全く許されないのか ここまでに示したように自己盗用・自己剽窃は通常許されないことですが、認められる場合もあります。そのひとつが、よく似た論文を2つの異なる言語で発表する場合です。複数の言語で発表することによって、より多くの人がその研究論文にアクセスし、利用できるようになるため、問題ないと認められることもあります。しかし、異なる言語で発表したとしても内容としては1つであることを明確にしておく必要があり、出版記録上では、2つの別々の論文としてカウントされるべきではないでしょう。 また、研究者は本の一部(章など)の執筆を依頼されることもあります。ジャーナルなどに掲載した原著論文や資料を再利用することも多いはずです。このような場合、著者は元の掲載を引用すれば、自分が過去に発表した論文や研究成果を再利用することができます。 論文の再利用は 「フェアユース」、つまり一定の条件を満たしていれば著作権者から許可を得なくても著作物を使っても良い、と考える研究者がいるかもしれません。例えば、ある論文にコメントしたり批評したりする目的であれば、出版された論文の一部を著作権者の許可なく利用してもよいと考えるのです。とはいえ、これはごく短いテキストやコンテンツにのみ適用されるのが一般的であり、引用するにあたって出典情報を適切に記載する必要があります。そして、他の研究者の論文であれ、自分の論文であれ、引用したい論文またはコンテンツの著作権を誰が実際に持っているかには注意が必要です。多くの場合、出版された論文の著作権はジャーナルにあり、著者は著作権を持っていないのです。…

記述的研究の攻略法

記述的研究(descriptive study)は、特定の集団や現象に関する情報を収集するために使用する強力な研究手法です。記述的研究とは、研究対象の「理由」に焦点を当てるのではなく、現象を説明することに終始する比較対象群をおかない調査研究の方法です。具体的には、症例報告やケースシリーズなどがこれに相当します。記述的研究の根幹である観察とデータ収集は、研究の主題の特徴や行動についてより深く、詳細に理解するのに役立ち、後続の研究のためにも貴重な洞察を提供します。 この記事では、記述的研究の定義、特徴、方法を踏まえ、質の高い研究成果を出すために避けるべき7つの失敗の攻略法を紹介します。経験豊富な研究者であれ、これから研究に取り組む学生であれ、科学研究を成功させるためには記述的研究の基本を理解することが不可欠です。 記述的研究とは 記述的研究とは、特定の現象の因果関係、つまり「理由」に焦点を当てるのではなく、与えられたテーマについて観察、データ収集を行うものです。記述的研究の目的は、研究対象の母集団や現象の特性を包括的かつ正確に把握し、データ内に存在する関係性、パターン、傾向を説明することです。 記述的研究の方法には、調査研究、観察研究、ケーススタディ研究(症例研究)などがあり、収集されるデータは質的・量的に関わらず多岐にわたります。記述的研究から得られた知見は、貴重な洞察を与え、将来の研究に役立てられますが、特定の現象が生じる因果関係を立証するものではありません。 記述的研究の重要性 1.母集団や現象の特性の理解 記述的研究は、特定の母集団や現象の特性や行動を包括的に把握することができるので、研究者はそのテーマについてより深く理解することができます。 2.基本的情報の入手 記述的研究によって集められたデータは研究の基礎となり、さらなる研究につながります。 3.情報提供(収集されたデータの活用) 特定のテーマに関する貴重な情報源となるため、将来の研究、政策決定、研究プログラムなどに洞察を提供し、広く役立てることができます。 4.多様なサンプリング方法の検証 記述的研究では、さまざまなサンプリング方法を検証し、研究に最適なアプローチを決定するために使用することができます。…

研究被験者を守る倫理的配慮とは

論文に取り組み始めた頃は、研究にさえ専念していればいいと考えがちですが、研究活動を進めていくうちに、実験に参加する被験者を守るための研究倫理は研究の中核をなすものであり、研究デザインの基礎となるものであることに気づかされます。今回は、倫理的に問題視された具体例も踏まえて、主な倫理的配慮について見ていきます。 研究における倫理的問題 出版規範委員会(Committee on Publication Ethics: COPE)をはじめ、科学研究における倫理性の推進を目的とした組織が数多く存在します。こうした団体に共通するのは、研究倫理というものが研究のおまけや脇役ではないという認識です。研究倫理とは、研究にとって不可欠な側面で、常に前提として守られるべき事項なのです。 - 妥当性 研究デザインは、研究ごとのリサーチクエスチョンに対応するものでなければなりません。研究の結論が、提起されたリサーチクエスチョン=研究課題および研究結果に相関するものでなければなりません。また、研究倫理では、使われる方法はリサーチクエスチョンと具体的に関連したものでなければなりません。 - 参加と同意の任意性 いかなる場合も、研究への参加に強制があってはなりません。参加者を信頼させるための説得や虚偽も強制に含まれます。 インフォームド・コンセントでは、個人が研究に参加することに書面で同意しなければなりません。同意書は、研究者と参加者の間で信頼関係が結ばれたという証でもあります。 -…

これだけは気をつけたい!論文の倫理的配慮

倫理規定 よくある倫理違反 研究の公正性 倫理的ジレンマに陥らない秘訣

医学論文ノウハウ:研究デザインから投稿まで

徹底的な文献調査 目的にかなった研究デザインとは 正しい解析手法の選び方 査読コメントの対処法

Introduction to Academic Publishing and Research Methods in Humanities

Academic publishing processes Manuscript preparation and submission Types of research methods in humanities Insights on…

Ethical Considerations in Scholarly Publishing

Ethical Guidelines Most Common Ethical Violations Research Integrity Avoiding Ethical Dilemmas

研究倫理

人間あるいは動物を対象とした実験や調査を行う際には、倫理綱領に従わなくてはなりません。関係する当該研究機関の倫理委員会による審査および承認を受ける必要があり、その事実を論文の本文中に明記することが条件となります。 詳しいことについては以下のウェブサイトをご参照ください。 日本語: http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/ http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/37_139.pdf http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/40_126.pdf http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/administration/lifescience/torikumi.html http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06060904.htm http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/guidelines/captive.html http://www.niph.go.jp/wadai/ekigakurinri/ 英語: http://www.who.int/ethics/research/en/ http://www.unesco.org/most/ethical.htm http://www.ufrgs.br/bioetica/cioms2008.pdf http://www.apa.org/science/leadership/care/guidelines.aspx…