CATツール

CATツールを使用して翻訳効率をUP!

CATツールとは、Computer Assisted Translation(コンピュータ翻訳支援)ツールのことで、その名が示すように、翻訳のプロセスを容易にしてくれるコンピュータプログラムです。翻訳者のアウトプットの質と量を高めてくれるだけでなく、複数の翻訳者が作業を分担する時や解析を行う際に役立ちます。翻訳者が大量の翻訳を行ったり、限られた期間内に多くのプロジェクトに携わったりする場合には、まさに必要なツールと言えるでしょう。 ■ CATツールの効果 CATツールは、使用頻度の高い語句やフレーズを保存・蓄積することができます(翻訳メモリ機能)。翻訳対象の文書からよく使われる用語や語句の組み合わせを拾い出し、それに適合する訳語を瞬時に表示するため、翻訳の処理を速めることができるのです。CATツールの種類によっては、校正やスペルチェックの機能も装備しているものもあり、翻訳効率を大幅に改善することができるのです。以下に具体的な効果をまとめます。 翻訳スピードが速くなる CATツールを利用することで、翻訳処理のスピードが格段にアップします。一度翻訳された用語や文章をデータとして蓄積していくので、分量の多いプロジェクトで特に威力を発揮します。翻訳者がゼロから翻訳を行うより作業時間は大幅に短縮され、短納期での納品を実現することができます。 訳漏れを回避 CATツールには見落としがありません。人力翻訳では訳抜け・訳漏れが発生する恐れがありますが、ツールは機械的に処理していくので、原文テキストを見落とす心配がないのです。また、CATツールによっては、訳漏れを検出するQA(品質管理)チェック機能が付いているものもありますので、ツールの機能を活用して、より完成度の高い翻訳原稿を作成することができます。 用語の一貫性を保つ 頻出する語句やフレーズに同じ訳語を自動で用いるため、翻訳の一貫性を保つことができます。法律や製薬など、用語の正確さが特に求められる業界にとっては、大変有用な機能です。 共同作業の効率化 翻訳を複数の翻訳者が同時並行的に行う場合、ツール内で翻訳メモリを共有できることで、全員が確実に同じ語彙セットのもとで翻訳に当たることができます。これによって、最終的に統一感と一貫性のある訳文に仕上がります。また、ツールによっては、共通のインターフェイスを利用し、翻訳者あるいはプロジェクト管理者と作業内容について連絡を取り合ったりすることができる機能を有しているものもあります。さらに、管理者(発注者)側にとっては、ツール上で共同作業を行うことで、文書にアクセスする翻訳者などを制限・管理することが可能になり、翻訳資産の保護、一元管理ができるというメリットもあります。 レビュー 翻訳した文書の見直し(レビュー)を行うのも、CATツールを使えば簡単です。原文と翻訳文を画面上に並べて表示できるので、比較が容易になり、印刷する手間も省けます。こうした効率化の積み重ねが、長期的な視点での生産性の向上に貢献することとなるのです。…

翻訳スキルを向上させる5つのヒント

言語は常に進化しています。毎年発表される流行語を見てもわかる通り、新たな言葉が表れては消え、また表れます。言葉は時々に応じて、状況により適合した言葉へと変化してもいきます。翻訳も、常に変化していく言語に対応していくことを求められる繊細な仕事です。翻訳者もまた、プロとして生き残るには、言葉とともに「成長」していかなければならないのです。 今回は、フリーランスや企業専属の翻訳者が実際に行っている、翻訳スキルを向上させるための5つのヒントを紹介しましょう。 1 対象となる外国語を読む 最新の情報や表現を取り入れ、文脈や意味を確実に伝える訳文を作成するために最も重要なことは、対象となる言語の文章をできる限り多く読むことです。辞書は拠り所であり、頼れる友人である、くらいの気構えが大切でしょう。可能な限り眺めて、語彙を増やすことが重要です。 ただし、辞書だけでは最新の知見を取り入れることはできません。新聞や雑誌、書籍などを読んで、対象言語や翻訳対象の分野における流行や出来事、文化や専門用語を一語でも多く吸収しましょう。既存の翻訳記事を原文と読み比べて、巧みな表現を習得するという翻訳者も数多く存在します。 2 ネイティブスピーカーと話す 対象となる言語のネイティブスピーカーと、できる限り多くの会話の機会を持ちましょう。実際に口にし、耳にすることで、言語への理解度はぐんと深まります。口語表現やスラング、言語独自の言い回しやタブーとされる表現、各単語に含まれる細かなニュアンスまでつかむには、その言語の「専門家」とも言えるネイティブと対話する以上によい方法はないでしょう。 3 専門分野を持つ 翻訳の仕事を長く続ける上で重要なのが、得意な分野を持つことです。医学系の翻訳に長けている、自動車関連の文書なら誰よりも詳しい、といった具合に(それを証明する学位や認定資格があればなおよし)。特定の専門分野を持っておけば、企業における複雑な文書や、専門家による論文といった内容でも対処することができ、仕事の幅がぐんと広がります。機械翻訳の進化が著しい今日においては、単純な内容の翻訳であればコスト削減のためにニューラル機械翻訳を利用した翻訳で補う、という選択が主流になってくるでしょう。機械が上手く翻訳できない専門知識を必要とする翻訳こそ、翻訳者に今後求められることと言えるかもしれません。 4 逆方向の翻訳にも挑戦する 例えば英語を日本語にする翻訳(英文和訳)に慣れている方は、日本語を英語にする翻訳(和文英訳)にも挑戦してみるとよいでしょう。二言語間の文法や構造、さらには各場面で好まれる単語や表現などを、より深く知ることができます。最近は、機械翻訳などで翻訳された文章の言語検証や、訳文の等価性の確認を目的とした逆翻訳(バックトランスレーション)の需要が増えています。日英・英日の双方向の翻訳ができるようになれば、仕事の数を増やすこともできるのです。 5 CATツールを使いこなす 翻訳の質を担保するのはもちろん人間ですが、訳の抜け・漏れやスペルミスなど、ヒューマンエラーも残念ながらつきものです。そうした細かなミスを防ぐ上で役に立つのが、CATツール(Computer Assisted Translation…

翻訳者と通訳者-こんなに違う「伝える」シゴト

最近、成田空港に導入された「メガホンヤク」をご存知ですか?「ドラえもん」のポケットから出てくる道具のようだと話題になったメガホン型の翻訳機で、日本語を英語、中国語(北京語)、韓国語にして再生することができます。空港など外国人の多い場所で係員のアナウンスを多言語に変換し、誘導などを補佐するものですが、話者の発言を他の言語に置き換えるにも関わらず「通訳機」ではなく、その名はずばり「ホンヤク(翻訳)機」。英語でも Megaphone Translator と紹介されています。メガホンと翻訳をかけた絶妙なネーミングですが、このメガホンが話者の発する言葉を「通訳」するのではなく、事前に登録された言葉(文章)に置き換える「音声翻訳」を行うものであることから、この名前になったものと思われます。 似たようなイメージで見られがちな「翻訳」と「通訳」。この違いは何なのか。翻訳者と通訳者に求められるスキルや必要な訓練に違いはあるのか。あらためて整理してみましょう。 ■ 翻訳と通訳は完全に別モノ 表面的には、翻訳者は「書き言葉」を、通訳者は「話し言葉」を扱っているという違いがありますが、根本的な部分で翻訳と通訳に求められるスキルは異なります。翻訳者に求められるのは、原文の言語(ソース言語)を理解し、その文化的文脈に沿って、辞書や参考資料、CATツール(コンピュータ支援翻訳ツール)などを用い、正確に他の言語(ターゲット言語)に置き換える能力です。一方、通訳者は現場で話者が話す言葉を同時あるいは逐次に変えていく必要があるため、卓越した聞き取り能力と短時間に効率的なメモを取るテクニック、人前で話す力が求められます。特に同時通訳の場合、ターゲット言語へのアウトプットはソース言語の発話から5~10秒以内です。ほとんど瞬間的とも言える時間の制約の中で、話者の言葉を聞きながら、即座に情報をまとめて的確な言葉に置き換える力が必要です。 求められる正確さにも違いがあります。翻訳は、下調べを重ねて内容を十分に理解した上でテキストを作成します。原稿を納品前に推敲する時間がある分、訳文には高いレベルの正確性が要求されます。通訳は、話者の話した内容を脚色せず「言語変換」に徹します。正確さよりも、時間(瞬間的な対応)と意味が伝わることが重視されます。 また、それぞれの仕事が必要とされる場所も異なります。最近は、外国人旅行者や居住者が増え、多方面で翻訳・通訳の仕事が増えています。ビジネス文書の翻訳など産業翻訳と呼ばれるものの他に、小説の翻訳(文芸・出版翻訳)や海外ドラマなどの翻訳(映像翻訳)、比較的新しいものとしてはゲーム翻訳や観光客向けホームページのための多言語翻訳などの需要が増えています。 一方、外国人観光客を案内する「通訳ガイド」の需要も増えています。通訳は、人と人を直接つなぐので、コミュニケーションをとることが好きな人や人前に出て話すのが得意なタイプに向いていると言われます。 ■ 翻訳には緻密さ、通訳には大胆さ 通常、翻訳者・通訳者は自分自身の母語と他の言語の置き換えを行います。翻訳は、多くの場合、どの言語をどの言語に(例えば、日本語から英語、または英語から日本語)するか、事前に「方向」を確定させます。求められるのは、元の原稿の内容に精通する専門性や語彙の豊富さ。時間をかけて、正確かつわかりやすい言葉の置き換えを行います。 一方、通訳はいわば「生中継状態」。話す内容が事前に大まかに決まっていても、話の進み方次第で臨機応変に対応しなければなりません。それだけではありません。話し手が強調する部分は話し方を大げさに、笑いを取ろうとしている部分などはニュアンスが言語間の文化を超えて伝わるよう、思い切った言葉選びをする必要も。優秀な通訳者は、一つひとつの単語、文章を「訳す」のではなく、概念を理解するや否や、素早くターゲット言語で「説明」しているとも言えます(頭の中では2つの言語が同時に飛び交っているのかもしれません)。 あいまいな表現が多い日本語を、具体的な表現で説明することが多い外国語にどう置き換えれば、より分かりやすく伝えられるか。これも、翻訳者と通訳者が共に頭を悩ませる難題です。語彙の面でも、外来語だけでなく外国語やカタカナ語(技術関連用語や新語など)が氾濫し、どこまでが一般に通用するのか、あいまいになってきています。翻訳の場合、メッセージに込められた背景、ニュアンス、表現まで考慮した上で、ターゲット言語のネイティブが読んだ際に違和感なく理解できる文章にしなければなりません。通訳と違って読者を特定できないため、カタカナ用語や専門用語を使う際には、日本語に置き換えるか注釈をつけるなどの工夫が必要となります。一つひとつの文章を正確かつ適切に訳すことにより、メッセージを伝えることが重要なのです。 一方、通訳であれば、発話全体の意味を捉えて、聞き手にとって分かりやすい(と推定される)近似的な言い回しに「訳す」ことでしょう。聞き手が理解できるものであれば、一般的ではないカタカナ語を使うこともできます。そもそも、ソース言語とターゲット言語の単語レベルですら意味が完全に一致するとは限らないので、一言一句ではなく話の筋が伝わることが重要視されるのです。…

翻訳ツールにできること、人間にしかできないこと

この10年ほどの間、まさに目覚ましい進化を遂げたIT技術により、世の中はとても便利になりました。特に、PCの普及というハード面からアプリケーションの多様化というソフト面での拡充により、携帯電話やオンラインショッピングなど、かつては夢物語でしかなかったコミュニケーションが現実化しています。 これと同時に、翻訳に関連する技術も進化してきました。その一つがCATツール(Computer-Aided Translation tools:コンピューター翻訳支援ツール)です。今回は、CATツールの利便性、そして限界に焦点を当ててみます。 ■ CATツールとは? まず、CATツールとは何かという基本に立ち返ってみましょう。 CATツールとは世界中で利用されている翻訳支援ソフトウェアの総称で、専用のデータベース(翻訳メモリ)に訳語を記憶し、テキスト中に同一もしくは類似の用語が出てきた際にデータベースに登録された訳語を再利用できるようにし、翻訳作業のスピードアップと生産性の向上を図るものです。品質の維持と効率化が図れることから、グローバル市場向けの翻訳やローカライゼーションには、CATツールの使用が発注条件になっているものも見られます。大量の情報を短時間で翻訳するためには、ツールの活用が不可欠になってきているのです。とはいえ、CATツールの利用だけで翻訳の質が保証されるのでしょうか? ■ CATツールにできること-翻訳メモリで作業を短縮&効率化 CAT ツールは、翻訳者の効率的な業務遂行を支援するものです。CATツール上では原文が細かい分節に区切られ、訳文が、いわゆるTM(Translation Memory:翻訳メモリ)に保存されます。以後、テキスト中に同じ語句を含む文章や類似の文章が出てきた場合、文節単位でTMから訳文を転用することが可能になります。 繰り返される部分があれば自動的に訳文案が挿入されるため、翻訳者は語句の検索やコピー&ペーストの負担から解放され、結果として作業時間の短縮および訳語の統一につながります。 CATツールを通じて辞書や専門用語事典の照会もできるため訳語の正確性も増し、用語集の作成に時間を取られることもありません。同時に、複数の翻訳者が作業に関わる場合でも用語の整合性が確保できるのです。用語だけではありません。原文を訳しやすいように分割し、原文と訳文が並列に記載されるバイリンガルファイルを作成してくれるので作業の効率化も図られます。 しかし、このように有用なCATツールでも、万能とは言いがたい部分があるのです。 ■ CATツールにまだできないこと-文意の再構築…