学術ウォッチャーが斬る!

シンプルなアブストラクトの論文はより多く引用される

学術論文には必ずアブストラクト (要約)が付きます。そして論文は一般的にいって、引用される回数(被引用回数)が多ければ多いほど評価されます。では、アブストラクトの書き方はその論文の評価にどのような影響を与えるのでしょうか? 英国のワーウィック大学のデータ・サイエンティスト、エイドリアン・レッチフォード氏らは、論文の要約のスタイルが、その論文の被引用回数に影響するかどうかを調べ、その結果を『情報学ジャーナル(Journal of Informetrics)』で公表しました。 レッチフォード氏らは、オンラインデータベース「Web of Science」から、1999年から2008年までの各年について、最も引用された論文3万本の計量書誌学的データ(bibliometric data)をダウンロードしました。合計30万本のデータが集まったことになります。彼らはその中からアブストラクトや題名などが欠けている論文を取り除き、残りの21万6280本の論文について、それぞれのアブストラクトにある文字数や単語数、センテンス数をカウントして分析しました。その結果、アブストラクトでより頻繁に使われる言葉を使う論文を掲載するジャーナルは、論文1本あたりで見て、より多く引用される傾向があることが明らかになりました。また、アブストラクトでより頻繁に使われる言葉を使う論文は、同じジャーナルに掲載されるほかの論文と比較しても、より多く引用される傾向があることもわかりました。 さらに、アブストラクトの長さと論文が引用される回数との間にも関係があることもわかりました。レッチフォードらの分析では、アブストラクトがより短い論文を掲載するジャーナルは、論文1本あたりで見て、わずかに多く引用される傾向があることを示しました。また、アブストラクトがより短い論文は、同じジャーナルに掲載されるほかの論文と比べて、より多く引用される傾向があることもわかりました。彼らの計算モデルでは、5文字の言葉を1つ加えると、引用数が0.02%減るという結果が出ました。 レッチフォードらは、アブストラクトがより短くて、より頻繁に使われる言葉を含む論文がより多く引用される理由について、3つの可能性を述べています。第1に、インパクトファクターの高いジャーナルは、論文のアブストラクトの長さを制限し、より広い読者に適した書き方を要求しているのかもしれないこと。たとえば、『サイエンス』のアブストラクトは125語に制限されています。第2に、大きな科学的進歩を報告する論文は、より短いアブストラクトで書かれ、あまり専門的でない言葉を使うのかもしれないこと。第3に、より一般的な言葉を使ったより短いアブストラクトは読みやすく、それゆえにより多く引用されるのかもしれないこと。 ということは、より頻繁に使われる言葉で、より短いアブストラクト、つまりよりシンプルなアブストラクトを書くようにすれば、より多く引用される論文を書けるような気がしてきます。しかしもちろん、研究内容自体が優れていることが大前提でしょう。

「科学の科学=メタサイエンス」は学術界に根づくか?

ワシントン大学の微生物学者フェリック・ファン教授は、『感染症と免疫学』の編集長を務めた経験からメタサイエンスに取り組むことになりました。同誌は彼の努力もあって、ある研究者が論文中の写真の改ざんを行なっていたことを明らかにし、彼の論文3本を撤回しました。それがきっかけとなり、その研究者の論文には次々と研究不正が見つかり、最終的には30本もの論文が撤回されました。ファンは研究成果の発表システムそのものに問題があると考えるようになり、論文の「撤回」や研究不正を研究テーマに加えることになったといいます。 イリノイ大学の人類学者キャスリン・クランシー助教授は、大学院生の女性がフィールドワーク中に性的な被害に遭ったという経験を聞き、それを個人的なブログに書いたところ、インターネットで大きな反響がありました。彼女は、フィールドワーク研究の倫理に関するシンポジウムに登壇するよう依頼を受けたのですが、査読者は彼女のアブストラクト(プレゼンの要約)を却下してしまいました。わずか2人の経験をまとめたものにすぎなかったからです。彼女は定量的なデータが必要であると考えるようになり、ほかの研究者とともにアンケート調査とインタビューを開始し、そのプロジェクトを「学術フィールド調査研究(SAFE)」と名付けました。その結果、調査対象となった女性のうち、64%が何らかのフィールドで嫌がらせや暴力を受けた経験があることが明らかになり、論文にもまとめられました。 ブリティッシュ・コロンビア大学森林保全科学部のポスドク、ジェレミー・ヨーダー氏は男性同性愛者として、科学技術分野における性的少数者(セクシャル・マイノリティ。LGBTともLGBTQAとも呼ばれます)の行動や経験について、定量的なデータが存在しないことに気づいて、教育学の研究者と組んで、その調査を行いました。自分と同じようなマイノリティの労働環境を改善したり、彼らがステップアップしたりすることに貢献できるかもしれないと思ったからです。 科学者がこうした自分自身の本来の研究からは外れた問題を研究することには、メリットとデメリットがあります。クランシーは会議に登壇者として招かれたことがあり、ヨーダーは大学から賞を授かりました。ファンは「合理的なワークライフバランス」や「高い倫理基準」を推奨される環境をつくることは「トレーニングを受ける者にとって好ましい」ことであり、「質の高いサイエンスを世代継承するためのステージをつくることになる」と考えています。フー記者は3人の話を聞いたうえで、下記のように語っています。 こうしたプロジェクトへの取り組みは、強力な職業倫理、優れたタイムマネジメント、科学を推進するための情熱、そして分析スキルの強化を示していている。これらは全て、学者候補としてきわめて望ましいスキルである。 しかしデメリットもあります。まずメタサイエンス研究は、たとえ論文になったとしても、その科学者自身の専門領域での業績としては認められない可能性があります。また科学者は一般的に、とくにキャリアの初期においては、狭い専門分野に集中して取り組むことが好まれます。メタサイエンスに取り組む研究者は、専門分野をおろそかにしているとみなされるかもしれません。さらにこうしたメタサイエンス研究の結果は、善かれ悪しかれ、メディアや一般市民など科学コミュニティ以外からの注目を集めることがあります。科学者のなかには、そうした目立つ行動を取る同業者を好まない者もいます。とくにメディア出演が多い科学者について、「あの人は『タレント科学者』で、ちゃんとした研究をしていない」といった陰口を聞くことは少なくありません。 しかしながらフー記者は「メタサイエンティストたちはみな、ほかの者たちがどう思っているかにかかわらず、自分たちの研究が重要であるという確信を共有している」と、彼らの意義を擁護します。日本ではどうでしょうか? 実は、筆者も偶然、「メタサイエンス(メタ科学)」という言葉を好意的に使ったことがあります。しかしそれは、科学史、科学哲学、科学社会学、そして科学技術社会論(STS)など、自然科学を人文社会科学の観点でメタ的に研究する学問、という意味でした(斉藤勝司ほか著『教えて!科学本』、洋泉社)。フー記者は、科学者自身が科学をめぐるシステムを研究すること、という意味で使っているので、定義が微妙に異なります。実際、日本では、ファンやクランシーやヨーダーが行なっているような研究は、主として、(自然)科学の現場からやや離れた位置にいる研究者によって取り組まれているように思います。 メタサイエンスをどのように定義づけても、メタサイエンスを嫌う科学者がいてもいなくても、メタサイエンスは科学にとって重要な意味を持っているし、これからもっと重要になりそうです。予算やポストなど、メタサイエンスが正当に評価される制度の整備も必要になるでしょう。

査読は匿名かオープン、どちらが質が高い?

「片側盲検(single blind)」では、査読者の側からは著者が誰かわかりますが、著者の側からは査読者は誰かわかりません。「オープン査読(open peer review)」では、著者も査読者もお互いが誰かをわかったうえで査読が行なわれます。「二重盲検(double blind)」では、著者も査読者もお互いが誰かわからないまま査読します。 一般的に、片側査読もしくは二重査読を適用しているジャーナルがほとんどで、オープン査読が採用され始めたのは比較的最近のことです。査読者の数は通常、2~3人です。ジャーナルのなかには、採択された論文といっしょに査読者レポート(reviewer report)や著者の返信を、署名または匿名で公表するところもあります。また多くのジャーナルでは、原稿を投稿した著者が査読者になりうる人を提案することを認めています。なかには著者にそれを要求するジャーナルもあります。 査読の形式が異なることによって、査読の質も異なるのでしょうか? オープンアクセス・ジャーナルの出版社として知られるバイオメド・セントラル(BioMed Central)の「研究公正グループ(Research Integrity Group)」と、ロンドン熱帯衛生医学大学院のフランク・ダドブリッジ教授は、合計800本もの査読者レポートを分析し、2015年9月29日にその結果を『BMJオープン』で発表しました。その結果からは、オープン査読は片側盲検よりも優れた質の査読を実施できるという可能性が示されました。 この研究では、バイオメド・セントラルが発行するなかで、採択率や扱っているテーマが似ているジャーナル2誌が比較されました。オープン査読で運営されている『BMC感染症(BMC Infectious Diseases)』と、片側盲検モデルで運営されている『BMC微生物学(BMC Microbiology)』です。また、『炎症ジャーナル(Journal…

「心理学研究の再現性は低い」に心理学者が反論

2015年8月、非営利団体「オープン科学センター」のエクゼクティブ・ディレクターで、ヴァージニア大学の心理学者ブライアン・ノセック教授ら270人の研究者からなるチームは、2008年に有力なジャーナル(学術雑誌)に発表された心理学論文100本で報告された研究の再現を試みたところ、同じ結果が得られた、つまり再現できたのは全体の36%にすぎなかった、と『サイエンス』で報告しました。再現性の指標として使う基準を変えても、再現率は47%にとどまりました。この結果は「OSC(オープン・サイエンス・コラボレーション)」と呼ばれる緩やかなネットワークによる「再現性プロジェクト」の一環だといいます。 「心理学研究は再現性が低い」と理解せざるを得ないこの研究結果は、日本国内のメディアでも報じられましたので、記憶している読者の方も少なくないと思います。ところが、ハーバード大学の心理学者ダニエル・ギルバート教授らはこの結果に疑問を持ち、再現率を計算し直してみました。その結果、OSCが行なった再現の試みのなかには、もともとの論文で行なわれた実験を忠実に再現したものではないことなどがわかりました。この結果を受け、ギルバート教授らは下記のように主張しています。 われわれが示すところでは、この論文には3つの統計学的なエラーが含まれ、このような結論への支持を導かない。実際のところデータは反対の結論と一致しており、はっきりいうと、心理学研究の再現性はきわめて高い。 この分析結果は『サイエンス』2016年3月4日号で「コメント」として発表されました。しかしノセック教授らは同じ号の『サイエンス』で、この批判に対してただちに反論しています。 彼らのとても楽観的な評価は、統計学的な誤認と選択的に解釈された因果推論、相関データによって限定されている。 彼らの分析によれば、「再現性については楽観的な結論も悲観的な結論も可能で、どちらもまだ正当化されていない」とのことです。主張がやや後退したような印象もありますが、同じデータからまったく異なる分析が導かれていることがわかります。なお偶然だと思われますが、同じ号の『サイエンス』では、経済学の研究論文18件のうち、少なくとも11件が再現され、7件は再現されなかったという検証結果も報告されました。 科学的な真理というものは、1本の論文だけでつくられるわけではありません。ある論文で示されたある研究結果は、再現実験(追試)を含むさまざまな方法で検証され、その一連の議論ややりとりのなかで、科学的真理は生まれてくるのです。つまり再現実験もまた、さらなる再現実験やデータの再計算など科学的検証の対象になるのです。心理学や経済学もその例外ではないでしょう。

臨床試験データ、シェアされていても未活用のまま

デューク大学メディカルセンターのアン・マリー・ネイヴァー医師らのグループは、シェアされている臨床試験データがどのように活用されているかを調査、その結果を『JAMA(アメリカ医学協会ジャーナル)』3月22・29日合併号で「リサーチ・レター」として公表しました。 ネイヴァーらのグループは、臨床試験のデータを共有するためのプラットフォームとして、「ClinicalStudyDataRequest.com」、「Yale University Open Access Project (YODA)」、「Supporting Open Access for Researchers (SOAR) initiative」の3件を調査対象としました。これらのサイトには、計3255件の臨床試験データが、さまざまな製薬企業や医療機器会社から提供されていました。医療分野関連の企業では、データ・シェアリングについて何らかの方針を設けているのが一般的です。 臨床試験には、医薬品や医療機器の安全性を少人数の健康な人で調べる「第Ⅰ相試験」、少人数の患者で実際の有効性や安全性を調べる「第Ⅱ相試験」、大人数の患者で有効性や安全性を調べる「第Ⅲ相試験」があります。さらに市販された後に安全性や有効性を調べる「第Ⅳ相試験」というものもあります。ネイヴァーらが調べた3255件の臨床試験データのうち、最も多かったのは第Ⅲ相試験でした(44%)。次いで第Ⅰ相試験(24%)、第Ⅱ相試験(18%)、第Ⅳ相試験(13%)でした。 こうしたプラットフォームに登録されている臨床試験のデータを研究者が利用する際には、当然ながら申請書を提出することになっています。グループは、2013年から2015年にかけての申請書とデータ利用同意書のすべてを分析しましたが、2年間で提出されていた申請書は234件でした。調査の時点ではそのうちの12件が却下され、4件が撤回され、10件が審査中、154件が承認されていました。しかし実際のデータ・シェアリングの同意手続きを終えていたのは、わずか113件だったのです。申請書は17カ国から寄せられていましたが、半分以上(54%)はアメリカからの申請でした。同意手続きを終えていた申請のうち50件は「治療効果の二次的な分析」を、31件は「病態の二次的な分析」を目的として挙げていました。申請して得たデータを分析して、その結果が発表されたものはわずか1件でした。また、計3255件の臨床試験のうち、データへのアクセスを申請されたことがあるものは、わずか505件、つまり15.5%にとどまっているということが判明しました。…

臨床試験の結果、いまだ半分以上が未公開

臨床試験の結果の公開には2つの方法があります。1つはいうまでもなく、ジャーナル(学術雑誌)で論文として出版(publish)することです。もう1つは事前に臨床試験のデータベース「ClinicalTrials.gov」に登録し、その結果を報告(report)することです。 ClinicalTrials.govは、アメリカの国立衛生研究所の国立医学図書館(NLM)が運営する世界最大の臨床試験のデータベースで、臨床試験とその結果を登録することを奨励しています。現在、ClinicalTrials.govには世界170カ国以上から約20万件の臨床試験が登録されています。一方で、これまでの調査により、実施された臨床試験のうち、結果が出版されてたのは全体のわずか25〜50%、ときには終了後何年経っても出版されないままであること、多くの臨床試験の結果がすぐに報告されていないことなどが明らかにされています。 イェール大学医学部のハーラン・クルムホルス教授の研究チームは、2007年10月から2010年9月までにアメリカの主要な研究機関51カ所によって実施され、ClinicalTrials.govに登録されている臨床試験4,347件の結果のうち、過去2年間でどれだけ出版・報告されたかを調査しました。その結果、4,347件の臨床試験のうち、終了から2年以内に出版されたのはわずか29%(1245件)、ClinicalTrials.govに結果を報告されたのはわずか13%(547件)であることが明らかになりました。また、研究機関によって、臨床試験結果の公開の比率には、際立った差があることもわかりました。研究の開始から結果の公開までの平均時間には2倍の差があり、研究機関における公開率には3倍以上の差があることが判明したのです。 研究チームはこの結果を論文にまとめ、『英国医学ジャーナル(BMJ)』で報告しました。 研究終了から24カ月以内に公開された臨床試験の割合は、医学研究機関の間で16.2%(6/37)から55.3%(57/103)まで及んだ。研究終了から 24カ月以内に出版された臨床試験の割合は、医学研究機関の間で10.8%(4/37)から40.3%(31/77)に及んだ。一方、ClinicalTrials.govに報告された結果は、1.6%(2/122)から40.7%(72/177)に及んだ。 そのうえでチームはこう結論しています。 このような、タイムリーな出版や報告の欠落を修正するためには、新たなツールやメカニズムが必要とされる。このような欠落は研究活動を阻害し、エビデンス(根拠)に基づく臨床判断を損なうおそれがあるからである。 臨床試験の結果が公表されないことについてはずっと以前から問題になってきました。(日本語で手軽に読める論考としては、ベン・ゴールドエイカー著『悪の製薬』(忠平美幸ほか訳、青土社)の第1章「行方不明のデータ」などがあります。) 臨床試験は被験者を副作用などのリスクにさらして実施するものです。したがってその結果を公開しないことは、被験者や社会に対する責任を果たしていないことになります。何よりも、わかっているはずのことが公開されていないことは、患者や社会の利益を損ない、実害をもたらす可能性もあります。一刻も早い改善が望まれます。

生命科学分野は「プレプリント」を導入すべき?

プレプリントとは、ジャーナルに論文として掲載されることを目的に書かれた原稿を、完成段階で査読の前にインターネット上のサーバーにアップしたもののことをいいます。物理学分野で始まったといわれていますが、コンピュータ・サイエンスや数学、経済学でも一般的になりつつあります。 2016年2月16日と17日には、メリーランド州にあるハワード・ヒューズ医学研究で、「ASAPbio(生物学における科学出版の加速)」という会議が開催されました。カリフォルニア大学の細胞生物学者ロン・ヴェール教授やロックフェラー大学の神経生物学者レズリー・ボッシャル教授など有力な研究者らが呼びかけたもので、生命科学分野におけるプレプリントの活用について議論されました。『ネイチャー・ニュース』では、生物学者のなかには物理学分野にいる同僚たちの後を追おうとしている者がいる兆しもある、とレポートしています。 物理学分野では、すでに一般化されているプレプリント。物理学分野では、毎月8000本ものプレプリントが「arXiv」という1991年に設立されたプレプリントサーバーに投稿されているといいます。生命科学分野では、2013年に専門のプレプリントサーバー「bioRxiv」が設立されました。設立当初はひと月あたり50本ほどの投稿数でしたが、徐々に増え続け、2016年1月には200本が投稿されるようになりました。2016年2月時点では、合計3100本ものプレプリントが公開されています。 生命科学分野でも普及しつつあるプレプリントですが、研究者たちは下記のようなリスクを指摘しています。 ・ライバルにアイディアを盗まれ、名声を得る機会を逃してしまうのではないか ・査読を経ていない研究結果が公開されることで、科学としての質が低下するのではないか ・査読のあるジャーナルに掲載されるチャンスを失うのではないか ASAPbioの主催者たちによれば、生物学者たちの多くはまだプレプリントについてよくわかっておらず、どのような影響があるのか話し合われてさえいない、という見解を示しています。2点目の疑問については、自分たちの評価が公開されている初期段階の研究に基づくようになれば、研究者たちはより注意深くなるだろう、とプレプリントの支持派たちは考えています。また、bioRxivの設立時、ジャーナルの出版社のなかにはプレプリントサーバーに投稿された研究でも出版を認めるとルールを変更したところもあり、業界全体の流れも変わってきているようです。 なお、ASAPbio主催者の1人であるボッシャルのプレプリントはすべて、「堪え難いほどノロマな査読プロセス」を経て通常のジャーナルに掲載されたといいます。『ネイチャー・ニュース』は、彼女の過激な言葉を次のように紹介しています。 「そのほとんどは何も変わったように見えません。だとしたら、ジャーナルなんてなぜ必要なのでしょうか?」 その一方で、プレプリントを牽引してきたはずの物理学の研究者のなかにも、プレプリントに批判的な者もいます。ストックホルム大学の宇宙物理学者ヤン・コンラッドは2015年、同じ『ネイチャー』に寄せた論説で、いくつのも実例を挙げながら次のように批判しています。 arXivに投稿された不正確な論文は、見当違いの研究結果というノイズをもたらす以上のことをしている。資金提供に関する決定は歪められ、理論家たちは説明を訂正しようとして多大な時間を無駄にし、そして一般市民は報道によってミスリードされる。 ヤンの見解はASAPbioの主催者たちとは異なるようです。はたして生命科学は物理学の後を追うべきなのかどうか、今後の展開に注目が必要です。

論文投稿から掲載までの時間は長くなっている?!

『ネイチャー・ニュース』は、ある女性研究者の悪戦苦闘ぶりを伝えています。彼女はカナダの大学院生で、過去3600万年の化石を18カ月かけて調査し、動物の分布の変化を明らかにしようとしていました。結果はその分野では驚くべきもので、指導教官の勧めもあり、2012年10月、彼女は論文の原稿を『サイエンス』に投稿しました。 しかしその原稿はすぐに却下されてしまいました。次に彼女は『PNAS(米国アカデミー紀要)』に投稿したのですが、またもや却下。『エコロジー・レターズ』でも同様でした。2013年5月には『英国王立協会紀要』に投稿したところ、やっと査読されることになりましたが、2カ月後、賛否入りまじった査読結果が返され、結局論文は却下されてしまいました。 彼女は、いわゆるインパクトファクターにこだわるのをやめ、掲載までにかかる時間が早いという評判のあるオープンアクセス・ジャーナル『プロスワン』に、論文原稿を投稿しました。原稿は査読者に送られ、2カ月後、同誌は彼女の論文の掲載を基本的には却下するが、もし大幅な訂正を行なうのではあれば、再査読することを伝えました。2014年3月、彼女は大きく書き直した原稿を再投稿しました。同誌は別の査読者に原稿を送り、2カ月後、彼女にさらなる訂正を求めました。彼女はその結果を受け入れ、2014年6月、同誌に原稿を再々投稿しました。 2014年9月、彼女の論文はようやく『プロスワン』に掲載されました。彼女が最初に原稿を『サイエンス』に投稿してから実に23カ月後のことです。彼女によれば、「投稿と再投稿を繰り返すことで論文の内容はずっとよくなったのだが、結論が変わることはなかった」といいます。評判も上々のようです。 彼女の不満は多くの研究者に共有されているようですが、では本当に、投稿から掲載までにかかる時間は長くなっているのでしょうか? 『ネイチャー・ニュース』は、カリフォルニア大学で計量生物学を研究する大学院生ダニエル・ヒルムスタイン氏と協力して、掲載までにかかる時間(日数)を分析しました。 ヒルムスタイン氏は、1980年から2015年までに、生物医学分野のデータベース「パブメド(Pubmed)」に収載された論文すべての、投稿から採択にかかる日数を調査したところ、ずっと100日前後で、長くなっているという証拠は得られませんでした。(その間、パブメドに収載された論文の数は、4353件から9045件へと倍増しています。) また、採択から掲載(出版)までにかかる日数は、2000年代には50日を超えていたのですが、2010年代には25日を切るようになっています。これはおそらく、出版にかかわるテクノロジーの進歩のためだと推測されています。この結果は、多くの研究者が感じている実感とは異なるようですが、興味深い傾向もわかりました。投稿から採択までにかかった日数と、それぞれのジャーナルのインパクトファクターとの関係を見てみると、インパクトファクターが低いジャーナルと高いジャーナルではその日数が長く、中程度のジャーナルでは短い傾向があるのです。 また、人気のあるオープンアクセス・ジャーナルや人気のあるテーマの論文では、どんどんと長くなっていることもわかりました。『ネイチャー・ニュース』は下記のように書いています(同誌の記事とヒルムスタイン氏のブログ記事の生データはこちらで公開されています)。 ヒルムスタインの分析では、『ネイチャー』では過去10年間で85日から150日以上に増加し、『プロスワン』ではほぼ同じ10年間で37日から120日に増加した。 この記事によれば、『プロスワン』の編集者は、同誌の出版プロセスは長くなっていることを認めています。その要因は、論文の数が、2006年には年間200本だったが、現在では3万本にも激増していることだとしています。プロス社では、2015年には7万6000人の査読者を採用しており、適切な査読者を見つけて仕事を依頼するのに時間がかかっている、とのことです。 物理学分野では、「プレプリント(preprint)」という習慣が一般化したことにより、研究者たちの「もっと早く掲載しろ」というジャーナルへの圧力は減少したともいわれています。プレプリントとは、査読前の初期段階の原稿をインターネット上のサーバーで公開することをいいます。しかし、このプレプリントには、新しい知見やアイディアが漏れ出てしまうという問題も指摘されており、他分野で一般的になるかどうかは未知数です。 論文の掲載(出版)は、学位や就職、昇進などに影響するため、掲載までにかかる時間は死活問題です。解決が望まれ、そのための努力もなされてもいますが、それを阻む壁も少なくなさそうです。

研究成果の「誇張」は、プレスリリースにもある

研究 成果において、科学や医療に少し詳しい人であれば、新聞やテレビ、ネットメディアのニュースが正確ではなく、しばしば結果を「誇張」していることに気づいていら立ったという経験があるでしょう。その責任は誰にあるのでしょうか? 記者でしょうか? それとも科学者でしょうか? カーディフ大学の心理学者ペトロク・スンナーらは、2011年にイギリスの主要な大学20校が出した、生物医学や健康に関係する科学研究についてのプレスリリース462本と、そのもとになった査読付き研究 論文、そして全国紙の記事668件を分析しました。スンナーらは、「誇張」には3つのタイプがあることに注目しました。第1に、読者に対して行動を変えるよう助言(アドバイス)するもの、第2に、相関が見られるだけのデータにもとづいて因果関係があると主張するもの、第3に、動物実験での知見を人間についても推測するもの、です。 彼らがプレスリリースを査読付きジャーナルに掲載された研究論文と比較したところ、そのプレスリリースの40%には、誇張された「助言」が含まれていることがわかりました。また33%には誇張された「因果関係」が書かれていました。36%には「動物実験からの推測」が含まれていました。 そしてプレスリリースに誇張が含まれている場合には、ニュース記事にも誇張が含まれるという傾向があることもわかりました。プレスリリースに助言が含まれている場合、ニュース記事の58%に誇張が含まれていました。因果関係が含まれている場合には81%、動物実験からの推測が含まれている場合には86%の記事に誇張が含まれていました。一方、プレスリリースに誇張が含まれていない場合、記事に誇張が含まれているのは、助言については17%、因果関係については18%、動物実験からの推測については10%にとどまりました。 一方で、プレスリリースにおける誇張がニュースの理解を後押ししているという証拠はほとんどなかったといいます。また、プレスリリースにおける誇張と記事における誇張との間に「因果関係」が見出されたわけではない、ともいいます。彼らは調査結果をまとめ、2014年12月、『BMJ(英国医学ジャーナル)』に掲載された論文で下記のように指摘しています。 ニュースが誇張されていたり、センセーショナルだったり、警告的だったりすることで、メディアやジャーナリストを非難することがよくあるが、われわれの知見の核心は、調査で見つかった誇張のほとんどは最初からメディアで生じたわけではなく、研究者や彼らが所属する研究機関が作成したプレスリリースの文章にすでに存在していた、ということである。 有名な医師・研究者・コラムニストであり、『悪の製薬』(青土社)など邦訳された著書もあるベン・ゴールドベイカーは、同じ号の『BMJ』に寄せた論説で「プレスリリースは科学出版の一部である」と主張します。 ジャーナルはプレスリリースに対応しなければならないし、プレスリリース中の虚偽については、コメンタリーやレターを出す必要がある。学術論文に対するコメンタリーやレターと同じように。 薬や治療法へと発展する可能性のある研究は、報道のされ方次第では、人々の行動に影響をおよぼすことがあります。研究者はその責任をメディアに押し付けるのではなく、科学コミュニティの問題としてとらえる必要がある、ということでしょう。

医学のトップジャーナル、臨床試験データのシェアを提案

もしあなたが教師で、学生が提出したレポートに描かれたグラフに疑問を持ったら、そのもとになった生データの提出を求めるでしょう。生データを見れば、そのグラフの正確さを確認でき、別の解釈の可能性を探ることもできます。ありもしないデータからグラフなどをでっちあげる「捏造」の可能性を確認することもできます。当然ながら学術論文でも同じです。 2016年1月20日、医学ジャーナルの編集者たちのグループ「医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)」は、論文の著者たちに対して、掲載を検討される原稿の必要条件として、臨床データのシェア(共有)を求める新しいルールを提案しました。 新ルールでは、ICMJEに加入している医学ジャーナルで論文を公表することを望む著者たちに対して、表や図、別表や補足素材といった論文の結論を裏付ける「匿名化された個人患者データ(IPD)」を、論文の公表から6カ月以内にシェアすることを求めています。 またICMJEは、研究者たちが臨床試験を行なう際には、データのシェアの方法についても計画するよう提案しています。たとえば、研究者たちがデータを公的な「リポジトリ(データの貯蔵庫)」以外に保管する場合には、その場所や、ほかの研究者がそのデータにアクセスする方法などを明らかにしなければならない、ということです。また、データはリクエストに応じて誰でも自由に利用可能にするか、それとも、申請後に第三者が認可した後でのみにするか、といったことも問題になります。 なおこの提案は、『内科学紀要(Annals of Internal Medicine)』のほか、『米国医学会ジャーナル(JAMA)』や『ニューイングランド医学ジャーナル(NEJM)』、『英国医学ジャーナル(BMJ)』、『ランセット』、『プロスメディスン』など英語圏の雑誌だけでなく、ドイツやオランダ、デンマーク、中国の医学ジャーナル14誌に掲載されました。それらの編集者が著者として名前を連ねています(日本のジャーナル、編集者は含まれていません)。著者たちは「データのシェアは、責任のシェアである」と言及しています。 それぞれのジャーナルの編集者たちは、自分たちのジャーナルでの掲載を検討する原稿の必要条件を変更することによって、データ・シェアリングの育成を手助けすることができる。臨床試験の資金提供機関やスポンサーは、個人患者情報のシェアという義務をサポートし、確固なものとするための立場にいる。 さらに、彼らはデータをシェアすることのメリットを下記のように強調しています。 データをシェアすることは、臨床試験から導かれる結論への信頼性や信用性を高めるだろう。結果を独立した立場で確認すること、つまり科学的なプロセスの基本的な原則を可能とし、新しい仮説の形成やテストを促す。〔略〕研究の被験者に対する道徳的義務を遂行することに役立ち、患者や研究者、スポンサー、そして社会に利益をもたらすだろう、とわれわれは考えている。   ICMJEは、この提案に対する意見を4月まで募集し、それらを検討してから、この新ルールを実効させる、としています。こうした試みは、臨床試験の結果の正確さを確認しやすくさせるだけでなく、同じような臨床試験が不必要に繰り返されることを減らすこともできるでしょう。個人情報の保護など課題もありますが、患者やその予備軍にとっても利益は多いと思われます。

論文のエラー訂正や撤回について統計学者が苦言

論文 のエラー訂正や撤回について、アラバマ大学の生物統計学者デーヴィッド・A・アリソン氏は苦言を呈しています。それは2014年夏、同氏がファーストフードを食べることが子どもの体重にどれだけ影響するかを評価した論文を読んでいたところ、ある数理モデルを応用したその分析は影響を10倍も過大評価していることに気づきました。肥満の専門家でもある同氏は、同僚らとともに問題点をまとめて、その論文が掲載されているジャーナルの編集部に書簡を送りました。数カ月後、書簡の主張は受け入れられ、その論文は撤回されたといいます。 アリソン氏らは、そのようなエラー(ミス、間違い)が自分の専門分野のほかの論文でもあるかどうか調べたところ、残念ながら多数を発見してしまい、そのうち25件については同様に著者またはジャーナル編集部に書簡を送ったといいます。彼らはそのほかにも10件以上のエラーを認識したといいますが、あまりに時間がかかってしまうので、中止せざるを得なかった、と『ネイチャー』誌に寄稿した論評で述べています。 すでにジャーナルに掲載された論文をあらためて精密に評価することを「掲載後査読(post-publication review)」といいます。アリソン氏らは「私たちが行なった掲載後査読のうち、あまりに多くのものが、実際には検死(post mortem)だった」と振り返ります。 アリソン氏らは、「よくあるエラー」が3つある、といいます。第一に「クラスター無作為化試験における研究デザインや分析の誤り」。第二に「メタアナリシス(メタ分析)における計算間違い」。第三に「不適切なベースライン比較」。より詳しくは、専門誌『肥満(Obesity)』に投稿中の論文で紹介されるとのことです。 科学というものは、基本的には「自己訂正(self-correction)」にもとづいて存在するものであるはずだが、科学出版業界は訂正に積極的でない、とアリソン氏らは苦言を呈します。彼らによれば「ある出版社は、掲載された論文の撤回を先導する著者には1万ドルを請求するつもりであると決めている」といいます。 アリソン氏らは、エラーが見つかった論文を修正したり撤回したりすることについて、現状では6点もの問題があることを挙げています。 1. 編集者たちがスピーディで適切なアクションを取ることができないか、それに積極的でないこと 2. 懸念の表明をどこに送るべきかがはっきりしないこと 3. 不適切なエラーを認めたジャーナルが論文の撤回を発表することに積極的でないこと…

研究における「再現実験」の結果を公表するジャーナル登場

これまで、重要な研究論文が出た後に個々の研究者が再現実験を行ない同じ結果が出なかったとしても、その事実はなかなか共有されませんでした。その結果、多くの研究室が決して良質ではない研究のために再現実験を行なうこととなり、時間や労力、費用、資源が無駄に費やされてきました。 再現性という問題はとりわけ生物医学分野でしばしば指摘されてきましたが、最近には新たな試みも見られています。 2016年2月4日、オンラインのオープンアクセス・ジャーナル専門の出版社「F1000Research」は、再現実験の結果を公表することに特化したジャーナル「前臨床における再現性・頑健性チャンネル(Preclinical Reproducibility and Robustness channel)」を創設しました。編集委員には、著名な生化学者でカリフォルニア大学のブルース・アルバーツ氏教授と、バイオテクノロジー企業アムジェンのアレキサンダー・カンプ上席副社長が就任しています。 同誌はその意義を この『チャンネル』は、学術界と産業界を問わず科学者すべてに開かれており、研究者たちがオープンな対話を始められる集中型スペースを提供することで、再現実験を向上させることを手助けします。 とウェブサイト上で説明しています。 すでに4年前、アムジェンは警告を出していたといいます。2012年、当時アムジェンにいた研究者らは、『ネイチャー』への寄稿で、「画期的な」がん生物学の研究論文53本を選び再現実験を行なってみたところ、わずか6本しか論文通りの結果を再現できなかったことを報告しました。「前臨床研究の限界を承知しているとはいえ、これはショックな結果だった」とその研究者はまとめています。また、その結果は、その数年前に製薬企業バイエルが報告していた同様の分析を追認するものだったといいます。 しかしながら、『サイエンス』誌のブログ『サイエンス・インサイダー』によれば、「アムジェンの報告は批判された」といいます。 というのは、同社はデータを何も公表しなかったし、どの研究を調査したのかさえ明らかにしなかったからだ。(元アムジェンの科学者C・グレン・バグレーは、その理由の1つはもとの論文の著者たちの一部との秘密保持協定だという。) 今回創設された『前臨床における再現性・頑健性チャンネル』では、再現実験の方法もデータも公表することになっています。 創設と同時に公表されたのは、アムジェンの研究者たちが実施したのですが、失敗に終わった再現実験の結果3本です。第一に、マウスの実験で抗がん剤「ベキサロテン」がアルツハイマー病を改善させることを示唆した2012年の論文(Link)。第二に、「Usp14」という酵素をブロックすると、細胞がアルツハイマーやALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかわる毒性タンパク質を分解するのを手助けすることを発見した2010年の論文(Link2)。第三に、「Gpr21」というタンパク質の遺伝子を持たないマウスを調べることによって、Gpr21が体重や糖の代謝に影響することを発見した2012年の論文(2本)です(Link3)。いずれも「研究ノート(research…

論文の多くは「再現」に必要な情報がない!?

第三者が論文に書かれた研究を検証し、場合によっては追試( 再現実験 )を行なうためには、詳しい実験手順(プロトコル)が必要です。また、グラフなどの図表を検証するためには、そのもとになった「生データ(オリジナルデータ)」も必要です。エモニー大学のシャリーン・イクバルらは、研究報告を適切に評価したり再現したりするために必要な情報が公開されているかどうかを調べるために、2000年から2014年に公表された生物医学分野の論文441本を分析しました。 2016年1月4日付のオープンアクセス・ジャーナル『プロス・バイオロジー』で発表されたその結果は残念なものでした。ケーススタディ(症例報告)などを除外して、具体的なデータを含む論文268本のうち、完全なプロトコルを示していた論文はわずか1本しかありませんでした。著者たちはその論文について 実際のところ、この論文自体がある臨床試験のプロトコルであり、オープンアクセス・ジャーナルの『臨床試験(Trials)』に掲載されたものである。 と、皮肉まじりに書いています。また、図表などのもとになった生データすべてを第三者が参照できるようにされていた論文は1本もありませんでした。さらに、論文441本のうち、約半分には、研究にかかった資金の出所が書かれていませんでした。約7割には、企業など資金提供者との利害関係を意味する「利益相反」について何も書かれていませんでした。 『プロス・バイオロジー』の同じ号では、ドイツの研究者らががんや卒中にかかわる論文を調べたところ、その大部分が実験に使われた動物の数を示していないことを明らかにしました。同誌を発行するプロス社のプレスリリース*1は、 人間の医療において、患者の数、つまり研究の過程で何人がドロップアウトしたり亡くなったりしたのかという情報がないまま臨床試験の結果を公表することは考えにくいだろう。 と、動物実験においても基本的なデータを正確に示すことの重要性を指摘しています。 日本でも、論文そのものだけでなく、そのもとになった生データも公表すべきだ、という議論が高まっており、文部科学省などで検討されています。一方で、研究者が学会に加入したり学術誌を購読したりする必要がなくなってしまう可能性もあるわけですが、その影響も深く議論されるべきでしょう。 *1: https://www.sciencedaily.com/releases/2016/01/160104163155.htm