英文ライティング

脳に心地よく説得力ある英文を書くには

オーストラリア国立大学(ANU)のインガー・ミューバーン(Inger Mewburn)准教授が、大学院で勉学に勤しむ学生さんにお役立ち情報をお届けするコラム「研究室の荒波にもまれて(THE THESIS WHISPERER)」。今回は、インガー准教授が、説得力のある文章を書くヒントを伝授。脳科学的な見地から分かりやすく明確な英語の文章を書く方法を説明します。さて、読みやすい文章、脳に心地よい文章とはどのような文章なのでしょう。 多くの研究者のように、私も毎朝オフィスに着くとたまった読み物との戦いが始まります。 正直に言うと、途中で戦いを投げ出すことがほとんどです。Publish or Perish(出版か死か)のプレッシャーの下、研究教育のようなマイナーな分野の研究者たちでさえ、毎年大量に物書きをしますが、「最新情報を得るため」だけに同じ分野の新しい論文すべてに目を通す時間はありません。論文を読むのは、どうしても読まなければならない場合(ほとんどは文献レビューを書くとき)だけです。私は今でもプライベートでは熱心な読書家なのですが、読むもののほとんどは、読者を引き込むタイプの人気のノンフィクション(と、ストーリーのある恋愛小説)です。 同じ分野の研究者の書く文献の多くを読んでいないということを認めるのは少し恥ずかしいのですが、弁明させていただくと学術論文というものはたいがい・・・つまらないんです。 退屈な文章を大量生産する同業者たちを責めるつもりはありません。私自身もその一人なのですから。ただ、私にとって幸運だったのは、ライティングについてのワークショップを教えるために、否が応でも自身のライティングスキルを磨く努力をし続けなければならなかったことでした。教えることが最良の学びだからこそ、キャサリン・ファースとショーン・リーマンとの共著で、ライティングについての本を2冊も上梓できたのです。好評だった1冊目の『How to fix your academic writing…

論文の考察をクリエイティブに書くには?(前編)

オーストラリア国立大学(ANU)のインガー・ミューバーン(Inger Mewburn)准教授が、大学院で勉学に勤しむ学生さんにお役立ち情報をお届けするコラム「研究室の荒波にもまれて(THE THESIS WHISPERER)」。インガー准教授が論文の考察(Discussion)の部分をクリエイティブに書くためのコツを紹介します。こちらの記事は、前編、後編の2回に分けてお届けします。前半は作家がクリエイティブになるための環境作りをどうしていたかと、インガー准教授が建築業界にいた当時どのように創作性を磨いたかの考察です。 さて、去年私は、How do I write the discussion section? という記事を投稿しました。 この記事を書いたのは、論文執筆に関する検索から「研究室の荒波にもまれて」のサイトを訪れる人の75%が、論文の「考察(Discussion)」の部分について知りたがっていることを示すトラフィック分析があったからです。創造性が必要な「考察」は論文の中でも特にやっかいです。去年の記事では「考察」で何をどのような順序で行うか書きましたが、創造性については触れませんでした。 創造性・クリエイティビティに関する研究はたくさんあり書籍も山ほど出ています。でも、創造性をもたらす万能薬などは今のところ発明されていません。 難しい問題ですね。 では、創造的な研究者になるにはどうすれば良いのでしょう。秘訣は、創造性を何かの出来事やインスピレーションと捉えるのではなく、プロセスとして捉えることなのだと思います。どんな研究者でも、訓練により、必要に応じて創造的になることができると私は考えています。…