ローカライズ

世界でビジネスを成功させるにはローカライズが不可欠

世界中で40億人がインターネットを利用しているといわれる今日。ビジネスに関する情報を世界に効果的に届ける方法を考えてみましょう。 ■ ローカライズはなぜ必要? 各国にはそれぞれの文化があり、使っている言語も異なります。例えばあなたが、インターネットで新たな家電製品を探しているとします。仮にある製品に興味を持ったとしても、そのウェブサイトやバナー広告が母国語ではない言語で書かれていたら、クリックして詳しく内容を見たいと思うでしょうか。そこにはまず、言語の壁が立ちはだかります。 文字情報だけではありません。国によって、デザインや色調、イラストなどの視覚情報の好みが大きく異なることも、消費者の興味を削ぐ原因となりえます。普段見慣れているデザインや色使いが全く異なるウェブサイトやバナー広告を見つけた場合、なんとなく違和感を持って敬遠してしまうことも多いのではないでしょうか。 母国でヒットしたものが他の国でそのまま受け入れられることは、実は多くありません。海外進出に成功しているビジネスは、その土地に合わせてローカライズした製品やサービスを提供することで、市場への浸透を図っています。その際、ローカライズするのは製品やサービスだけでなく、マーケティングのための広告なども、その地域に合うコンテンツを用意しています。実際、モバイルで広告出稿をする際、閲覧者の居住地域に応じて異なるコンテンツを配信するジオターゲティング広告の出稿費は確実に増えており、2016年の330億ドル(約3兆6,300億円)から、2021年には720億ドル(約7兆9,200億円)にまで増大するという予測もあるほどです。 ■ ローカライズの対象は? ビジネスを海外に展開する際に欠かせないローカライズ。では、ローカライズすべきデジタル媒体とは、どのようなものでしょうか。 ・ウェブサイト EC(electronic commerce、電子商取引)サイトの場合、ウェブサイトが母国語になっているほうが購買しやすいというデータがあります。実際、インターネットユーザーのうち、72%は母国語のウェブサイトの利用を好むというデータもあります。ローカライズをする際には、コンテンツを正しく翻訳することはもちろんですが、対象地域に合わせたデザインや色使い、イメージ画像、よく使われる表現への置き換えなどを通じ、現地のユーザーに親近感を持ってもらうことが重要です。 ・アプリ 2017年時点でAndroid、iOSで利用できるアプリの数は570万にものぼります。数あるアプリの中からダウンロードし、利用してもらうためには、現地のユーザーから見た時にアプリのネーミング、アプリの紹介文、ユーザーインターフェースがわかりやすいことが重要です。ちなみに、世界全体でのアプリ経由での売上は、2015年に697億ドル(約7兆6,700億円)だったものが、2020年には1,889億ドル(約20兆7,800億円)にまで増大するという予測があります。アプリのローカライズは、マーケティングの中でも重要な要素と言えます。 ・ソフトウェア CMS(content management…

ローカライズは内製すべき?外注すべき?

いざ海外展開をしようと決めたら、自社製品やサービス、ウェブサイトなどマーケティングに利用する資材や広報用ツールを、展開先の言語に合わせて翻訳する「ローカライズ」が必要になります。このローカライズを社内で行うべきか、翻訳会社に依頼すべきか、は悩ましいところです。判断を迫られた時、社内にローカライズのナレッジや品質管理をするための人・ツールが整っていなければ、外注したほうがよいのではないかと考える方も多いでしょう。実際、どちらを選択するかは組織の環境や目指すところによって変わってきます。具体的にどのような観点で検討すべきなのか見ていきましょう。 ■ 品質管理 社内でローカライズに取り組もうとすると、当然ながら、限られた人員でローカライズに対応することになります。内製の場合のメリットは、ローカライズを行うのが社内の人員であるため、自社製品や業界用語、社内用語などについて深い知識を持っており、翻訳を行う際に適切な用語の選択ができる点です。ただし翻訳する際には、対象となる言語の文法や言い回し、あるいは媒体によって表現を変える必要もあります。例えば、ウェブサイトなのかアプリなのか、オンラインヘルプなのか技術マニュアルなのかといった違いに対応していく必要があるということです。 デメリットとしては、よほどローカライズに慣れている担当者でない限り、言語ごとに対応することが難しい点です。まして、多言語となったら……。対応できるにしても多大な時間がかかる可能性もあります。翻訳会社であれば、ローカライズのナレッジを有する翻訳者が対応するため、適切な翻訳を短納期でできる可能性が高いと言えるでしょう。 ■ プロジェクトマネジメント 内製の場合、ローカライズに関わる翻訳者は、その企業・組織の方針や戦略をよく理解しています。企業・組織の方針をローカライズ・プロジェクトに反映しながら、工程をコントロールする権限も与えられています。ただし、権限があったとしてもプロジェクト管理に長けているかどうかは別の話です。また、展開先が複数の地域にまたがる場合、数々の言語に対応することが難しい場合もあります。 一方、翻訳会社に外注するのであれば、多くのローカライズ案件を手がけているプロジェクトマネージャーが専用の工程管理ツールや翻訳支援(CAT)ツールを使って管理するため、確実な進行ができ、言語が複数になっても各言語に対応する翻訳者を起用することができます。 ■ コスト 内製の場合には、社内のリソースで対応するため、外部に支払うコストは発生しません。たとえスケジュール通りに進まず作業期間が延長したとしても、翻訳テキストに変更が生じたとしても、内製であれば、調整すれば済むことです。これは大きなメリットと言えるでしょう。とはいえ、ローカライズの業務量は一定ではなく、常に変動します。大量の作業が必要な時もあれば、少ないタイミングもあるので、作業に投入する人員の調整は必要でしょう。人件費を適切な額に抑えるべきだからです。逆に、業務量が急増して社内の翻訳者では対応できない場合や、内部処理できない言語へのローカライズが必要となった場合には、外注もやむを得ません。 また、社内でローカライズする場合、翻訳のナレッジは社内で蓄積していくことができる一方で、ローカライズのためのツールを導入する必要があります。需要に応じて外注すれば、人の調整やツールへの投資は必要ありません。 ■ どちらがよいかを判断するには…… 社内でローカライズに対応する内製には、適切な社内用語や業界用語をもって翻訳ができる、社内の方針に応じてプロジェクトを進行できる、外部委託費を支払う必要がない、ナレッジを社内に蓄積できる、といったメリットがあります。一方で、多言語および多種多様な書式や用途に対応するために時間がかかる、閑散期でも人件費が固定費として発生し続ける、内製でまかなえない場合が生じる可能性もある、翻訳のためのツールへの投資が必要、というデメリットが考えられます。 例えば、ローカライズのプロジェクトマネジメントに長けている人材が社内にいる、適量のローカライズ作業が継続的に発生する、といった状況であれば、内製で対応することは、外部とのコミュニケーションの手間も省け、効率がよいと言えるでしょう。しかし、内製だけで対応できるかどうかは、事業計画や業務量などの分析に基づく冷静な判断が必要です。 一方の外注をする場合でも、信頼できる翻訳会社を慎重に選択し、自社製品またはサービスの内容をきちんと翻訳してもらうためのコミュニケーションをとることは不可欠です。…

いつ、どうやって始める?企業のローカライズ戦略

多くの企業が自社の発展とビジネスの成功を目指して、しのぎを削ってきました。世界中でグローバル化が急速に進んだ結果、ビジネスを成功させるためには海外に出て行くことが必要となり、製造業からサービス業まであらゆる企業が「どうやって、言葉や文化の違う国でビジネスを展開するか?」という問題に直面することとなりました。その際、必要なのがローカライズ(localize)/ローカリゼーション(localization)。サービスの国際化・地域化・多言語化です。では、このローカライズで成功した企業は、どの段階で決断し、何が成功につながったのでしょうか。 ■ ローカライズの需要は増えるか 日本では人口減少が深刻化しており、今後もこの流れはさらに加速することが予想されます。それに伴い消費者数の減少が見込まれる中、どのように自社の事業を展開させ、売上を維持または伸ばすことが可能なのか……。活路を見出すべくビジネスターゲットを海外へ求めるのは、ごく自然なことだと言えるでしょう。 経済活動のグローバル化が進む中、ローカライズの必要性は増しています。しかし、ローカライズに対する考え方には温度差があり、重視していない企業もあります。母国語の範囲である国内市場で顧客基盤を固めることこそ重要で国外は二の次と考える企業、国外市場を狙いつつも英語版ウェブサイトを用意しておけばよいと短絡的に考えている企業……理由はさまざまでしょう。社内で行うにしても外注するとしても、ローカライズには費用がかかります。企業にとって、資本をどう配分するかは致命的に重要ですが、困難な判断を伴います。資金の投入に慎重な計画を要する中、コストがかかる反面、実益が見えにくいローカライズを優先度の高いものと考えている企業は、まだ少ないのです。未知の国の市場に膨大な労力を注ぐより、母国での顧客基盤の構築に注力することが適策だと思うのは一理あります。 投資するからには成功したい。グローバル化を目指す企業がローカライズで効果を得るには、着手するタイミングと顧客を見据えた対応が鍵となります。 ■ 最適なタイミング――先手必勝 73%の人は母国語で書かれている物を好んで購入し、インターネットユーザーの10人中9人は、 ウェブサイトを母国語で閲覧します。商品もしくはサービスを、ターゲットとする顧客/ユーザーの言語で表示することは、売り上げにも直結する論理的な成長戦略です。英語圏以外でビジネスを拡大しようと思えば、英語版ウェブサイトだけでは不十分です。ローカライズを行わないことは、国際市場での成功を逃しているとも言えるのです。 とはいえ、多言語化に初期投資するのをためらうのも理解できます。では、ローカライズに初期投資する最適なタイミングは、いつなのでしょうか。決断は困難ですが、ローカライズを行うのはビジネスの初期段階であればあるほどよいとされています。大切なのは始めること、正しく歩を進めることです。不必要に思えても、製品のスタイルガイドやマニュアル、用語集を事業展開に着手した時点から整えておけば後々、時間とお金の節約となり、後に続く展開がぐっと楽になります。 スタイルガイドや用語集は、国外支社や代理店、翻訳会社が多言語化の作業を行う際に威力を発揮します。共通の指針があることで遅延や行き詰まりを避けられるほか、翻訳者も整えられた用語集があれば、作業しやすくなります。グローバル展開とは、決して当初から全コンテンツを50言語以上で配信することではありません。ローカライズは、小さな一歩から始められるのです。 ■ 先手のローカライズで成功したCanva社 ローカライズには早いうちに着手したほうがよいと言えども、多くの企業は、これから開拓する市場で堅実な収益を見込めるのか様子を伺い、ローカライズに二の足を踏んでいるのが実情です。ではここで、事業の立ち上げ時期にローカライズに取り組み成功した、オーストラリアのCanva社の例を紹介しましょう。 画像の加工やデザインを、初心者でもIllusutratorやPhotoshop並みの高機能で行えるツールを提供しているオーストラリアのCanva社は、2012年にシドニーで創設され、2013年からサービスの提供を開始しました。今では世界3か所にオフィスを構え、12か国で事業を展開しています。このCanva社が、スペイン語版のローカライズを決断した時のことです。Canvaが製品リリースの早い段階でスペイン語版のリリースを決断すると、35万人のユーザーが、すぐに英語版から乗り換えました。「読めなければ買わない」と決め込んでいたスペイン語ユーザーが、一気に動いたのです。Canvaの強みは、豊富な無料・有料のデザインテンプレートを提供し、初心者からプロにまで多種多様なデザイン作業の支援などを行うことです。この強みを最大限に活かすためには、読みやすい情報の提供とともに、幅広い顧客層からのフィードバック獲得が重要です。スペイン語版のリリースにより収益を上げただけでなく、「読めなければ買わなかった」顧客を手に入れ、さらなる事業の発展につなげたのです。 米国のリサーチ会社であるCommon Sense…