学術コミュニケーションが進化し続ける中、研究者、研究機関、資金提供者はオープンアクセス(OA)出版の世界的な拡大に注目しています。
全般的にはOAモデルを指示することで意見が一致しているように見えますが、OA出版に関する認識や「Pay to Publishモデル(移行契約あるいは転換契約とも呼ばれるモデル)」の状況をより深いレベルで評価し、研究者、研究機関、および出版社の見解や具体的な洞察を明らかにしておくことが必要です。このことを念頭に、研究支援エナゴは、OAに対する認識、論文掲載料(APC)に対する考え方、さらに資金提供の機会に関する認識の現状を把握するため、第5弾グローバルアンケート調査を実施しました。
この調査で明らかになった注目すべき点のひとつは、オープンサイエンスに関する認識不足は根強く残っており、主として経済的な負担からその導入には消極的であるということです。学術界ではオープンサイエンスが学術コミュニケーションの未来であると広く認識されている一方で、学術界および出版界のさまざまな関係者は、オープンサイエンスについての情報を十分に持っていなかったり、導入に躊躇していたりします。
この報告書は、地理的な不平等や定期購読ベースの出版に移行する可能性、論文掲載料(APC)が低く品質の低いハゲタカジャーナルを著者が投稿先として選択することなども含め、増加し続けるAPCのコストに関連するマイナスの影響についての懸念も取り上げています。また、APCの支払いに利用可能な公的・民間助成金や、それらの助成金を申請するためのベストプラクティスに関する研究者の認識にも大きなギャップがあることも浮き彫りになりました。
本報告書は、今後もOA出版モデルが普及することを踏まえ、多様な関係者の意識と姿勢を調査することの重要性と、OA出版に向けた包括的な教育の必要性を強調しています。本調査は、地理的に多様性のある、学術研究キャリアのさまざまな段階にいる研究者を対象に行われたもので、世界の研究コミュニティが直面している課題と機会について包括的な概観を得ることができます。
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日本に関する特記事項
日本人の回答者のほとんどは、研究資金の必要性に同意しており、39.26%がすべての研究には資金が提供されるべきだと回答しています。助成金申請書に出版費用の概算を記載することについては、37.42%の回答者が賛同しています。
オープンアクセスについては、強い支持が示されており、37.82%がすべての学術研究をオープンアクセスにすべきと回答していました。
オープンアクセス出版におけるAPCに対しての意見にはばらつきがありましたが、55.33%が特定の状況下でAPCが課せられることに対して理解を示していました。
学術研究においてOA出版のためのAPCの支払いに関するデータから、日本におけるさまざまな支払い行動が明らかになりました。
日本の研究者は、世界の研究者と同様に、APCの支払いを研究助成金や機関からの支援に頼っていることが多いことも判明しました。一方で、特定の資金源についての認識が不足している人がいることも傾向として見受けられました。APCの支払いがカバーされる場合にはそれを研究助成金で賄っている研究者もいますが、そうでない場合には個人で負担したり、APCなしのOAプラットフォームでの論文公開を選んだりする研究者もいます。大学関連資金の使用と、個人的な資金への依存は、頻繁に問題として取り上げられますが、本調査では具体的な数値の割合は示されていないため、分布を正確に定量化することはできませんでした。
本調査報告書を公開することは、情報に基づいた議論を促進し、著者と研究機関への悪影響を軽減できる策を講じるための重要な一歩となるでしょう。OA、APC、そして資金調達アクセスがもたらす課題を取り上げることにより、学術的なOA出版の状況が進化し続ける中で、本報告書が、質の高い研究への公平なアクセスを確保することを目的とした継続的な対話に貢献するものになれば幸いです。
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