世の中には膨大な科学論文が存在し、今この瞬間にも増え続けていますが、そこには良い面・悪い面の両方が存在します。情報が増えるのはすばらしいことですが、そうしたデータのすべてを管理し、整理し、それらの意味するところを理解するには非常な努力を要します。ReadCubeは、研究者のみなさんが抱えるそうした負担を軽減する研究支援ツールです。
論文を借りて読む「図書館」スタイル
ReadCubeでは、Google Scholarや、PubMed、Microsoft Academicを使って、論文検索やダウンロードができます。ReadCubeは『John Wiley & Sons』や『Nature Publishing Group』が出版した100を超える学術誌も含め、かなりの数の学術誌にアクセスが可能です。ReadCubeへの登録は無料ですが、論文は無料では読めません。定期購読者ではない場合、通常は料金を支払って読みたい論文を48時間借りる必要があります。定期購読者の場合は、ReadCube経由で研究者仲間にリンクを送ることができるため、仲間どうしで記事を閲覧できるようになります。もちろん、以前から何らかの方法で論文を共有している研究者もいますが、ReadCubeはそれを合法的で使い勝手の良いものとして実現したものです。
それでは、ReadCubeについて校正者たちの意見を聞いてみましょう。
生物医学用ソフトウェアの市場では、今まさに必要とされているもの。
ReadCubeは、生物医学文献向けにきれいにフォーマットされた電子ブックというスタイルにより、“読み物風科学文献の読者”というニッチな市場をとらえ、自然科学と人文科学の新たな統合を推し進めることができるかもしれません。また現在、ReadCubeは文献重視の既存の生物医学用プログラムの代替品として宣伝されているにすぎませんが、効率化されたファイル転送システムや引用に便利な機能、個人向けにカスタマイズされた論文提示機能などは、それ自体とても魅力的なものです。ReadCubeで論文検索や引用に必要な労力が減るとは思いませんが、文献を整理するのには役立ちます。このツールは生物医学用ソフトウェアの市場で、今まさに必要とされているものだと思われます。
博士(腫瘍学)
オーストラリアでの科学分野・医療分野に関する執筆歴12年以上
得られるメリットよりも面倒さの方が上?
多くの有力出版社のサポートというのは、確かにメリットです。しかし論文をただダウンロードするだけでもかなりの労力を割かれている人もいますので、メリットより面倒さのほうが大きいと思います。また、オープンアクセスの出版物がますます増えているこのご時世に、ReadCubeのような「図書館型貸出モデル」にこだわるアプリケーションはほかでは見たことがありません。
博士(生物学)
イギリスでの科学研究・編集歴12年以上
個人的にはSciencescapeの方が優れていると感じた。
私もReadCubeのトライアルを試しましたが、うまくいきませんでした。登録は簡単でダウンロードもできたのですが、アンチウィルスプログラムなどに妨げられ、起動ができませんでした。Sciencescapeに登録したところ、ダウンロードも起動もまったく問題ありません。ユーザーフレンドリーという観点から、ReadCubeよりSciencescapeのほうが優れていると思います。
博士(有機化学)
アメリカでの科学および医学論文執筆経験6年以上
研究に新たな利便性をもたらすツール。
ReadCubeは統合されたデータベースの検索が可能で、個人向けに論文を勧める機能もあるため、新しい論文を探すことが容易になり、引用を書いたりまとめたりすることが楽になります。たくさんのスタイルでの支援があり、マイクロソフトのワード文書から書誌情報をすぐに挿入するといったこともできます。また、大切なデータを失うことなくさまざまな著者と共同研究することも可能になります。さらに、スマートフォンやタブレット向けのモバイル版もあるため、最新の研究情報をどこからでも得ることができます。
修士(学際的分野)
アメリカでの研究・校正歴6年以上