論文の書き方 & 助成金

論文の基本構成を見直してみよう

何年もかけた研究の成果を論文にまとめるには苦労が伴います。つい尻込みしてしまいそうですが、論文の基本構成を抑えた上であらかじめ論文に書くことを整理しておけば、執筆作業が楽になります。この記事では、基本的な論文の構成を見直してみます。 論文の構成 研究論文の構成は、研究の性質・特徴や投稿先の出版社や学術雑誌(ジャーナル)の書式、大学や所属機関の指示によっても異なってきます。一般的な論文には、序論(イントロダクション)・方法・結果・考察・結論の5つのセクションから構成されているので、以下にそれぞれのセクションに含むべきことを挙げてみます。 序論(イントロダクション) 序論は論文の導入部分ですので、研究の目的、背景、問題提起、仮説、先行研究との関連性を明らかにします。何が問題で、なぜそれが重要なのか、その問題はどのように解決するのかといった問いかけを行います。これらの問いに答えるべく、他の研究者がこの問題、あるいは類似の問題にどのように対処したかを示すには、既に行われた研究文献、発表された論文の調査を行う必要があります。序論を書くには「歴史的視点」も求められるのです。科学論文の序論であれば、序論に文献レビューを含まれることがよくありますが、社会科学または人文科学分野の論文では、文献レビューを序論に入れ込まずに別途章立てられるのが一般的です。このように分野によっても異なるので注意が必要です。ただ、いずれの形にしても、研究の内容に関連する先行研究のレビューを記し、照らし合わせを行うことで、自分の研究の重要性を強調するのですが、ここはあくまでも序論ですので、細かく書きすぎないことにも注意します。 方法:実験の経緯 研究で行った実験の方法、データの収集方法などを示します。研究で行った実験は、他の研究者が再現できるように十分に詳しく記す必要があります。特殊な技術や装置を使用した場合は、説明や図も付けます。研究の結果と考察はこの実験に大きく影響されるので、このセクションは論文の中で最も重要であるとも言えます。よって、本論を理解するために必要な研究(実験)の材料と方法を可能な限り時系列に準じて明示しておきます。新しい手法を用いたのであれば、既存の方法と何が違うのかも含め、詳細に説明するようにしましょう。 結果 ここには、起きたこと、研究で明らかになったことを記します。結果は、実際に行った実験や調査、分析などの内容と結果を記す部分なので、過去形で書かれることが一般的です。他のセクションが、目前の題目に応じて過去形または現在形の混在で示されるのに対し、研究の中で既に起きたことに焦点を当てて事実を述べます。このセクションには主観を入れず、客観的かつ論理的に記すようにしましょう。また、論文の結論ではないので解釈や意見は書きません。必要であれば図表を使って分りやすく示し、文中にしないデータなどがあれば付録に付けるようにします。 考察 ここでは、結果が示す意味に踏み込み、理論と仮説につなげて発見したことが何を意味するかを議論します。仮説を裏付ける結果が得られたか、得られていない場合はどう異なっているのか、なぜ仮説とは異なる結果が得られたのか―などを書きます。結果と考察をひとつのセクションとしてまとめて書く方がよい場合もありますが、まとめにくい場合は個別のセクションとして書くのがよいでしょう。ただ、結果と考察をひとつのセクションとして書くように指示しているジャーナルもあるので、書式を確認しておきます。序論で提示した課題や仮説について言及する際、仮説に弱い部分があったのであれば、その点も明らかにします。結果が何を意味するのかが分らない、あるいは明確に論じることが出来ない場合は、正直に表明しましょう。 結論 研究が複雑な場合、結論に研究の結果を要約し、明らかになったことを詳細に記述します。ジャーナルに投稿する論文であれば、このセクションは簡潔にまとめます。書き方については、自分の分野の慣例やジャーナルの書式に準じてください。内容としては、研究の実用的な応用の可能性や、研究の限界、将来研究への方向性を際立たせ、自分の研究の新規性や重要性を強調して書くようにします。未解決の問題があれば課題として整理しておくとよいでしょう。得られた結果を踏まえて客観的な検討を行い、今後考えられる課題や研究を発展させるための展望についても言及します。 論文を出版することを念頭に準備しておく 論文を書くとき、論文を複数の形式で書いてみるのも、論文の書き方を学ぶのに優れた方法です。それぞれに柔軟性を持たせつつも、投稿すると想定した特定の学術ジャーナルの書式に合わせて論文を書いてみます。複数の書式に合わせて論文を書いておけば、投稿先ごとに書き直す手間が大幅に削減されるので、時間の節約にもなります。とはいえ、所属機関や出版社・ジャーナルによってさまざまな要件やガイドラインがありますので、書き始める前に確認しておくようにしましょう。…

フィールドスタディ報告書の書き方: 6つのキーポイント

研究活動の場は、研究室や図書館、職場だけに留まりません。研究の一環として、データを収集するためには、フィールド(研究室や実験室のワークステーションのように普段、研究を行っている場所以外)に出ることが必要になることもあるでしょう。 そして、フィールド調査の結果は、フィールドスタディ報告書としてまとめる必要も。 この記事では、フィールドスタディ報告書に書き込むべき項目と、報告書を作成する際に気をつけるべきキーポイントについて考察します。 フィールドスタディ報告書とは? フィールドスタディとは、研究テーマに即した場所を訪れ、直接観察、資料(データ)の収集・採取、あるいは聞き取り調査やアンケート調査を行って、学術的に客観的な成果を得るための調査技法です。 調査対象を観察・分析し、問題意識を深め、新しい知見を得ることが目的です。そして、フィールドスタディ報告書とは、特定の現象、行動、理論に基づくプロセスの分析、フィールドでの観察結果を文書化するものです。 観察・分析された理論をまとめ、特定の研究における課題の解決を目指します。 フィールドスタディ報告書の重要性 フィールドスタディ報告書は、学術成果に留まらず、さまざまな運用および技術における調査結果を記録するものとしても重要な文書です。 データの分析、理論的枠組みとの比較に使われる、観察対象または資料(標本)に関する詳しい情報を提供するものです。 標準化された手順(プロトコル)を作る際の解決策を導入するにあたり、課題を特定するのに役立ちます。 参考文献の管理に関する情報を把握したり、効果的で的確な解決策のための新たなプロセスを見つけ出したりするのに役立ちます。 フィールドスタディ報告書の書き方 フィールドスタディ報告書には、着想(アイデア)から解決策までを記すので、フィールドでの調査活動や観察を行う際は、計画的にメモ(フィールドノート)を作成し、観察結果を適切に文書化しておく必要があります。 フィールドスタディ報告書を書くには、フィールドでの活動、観察の段階での的確な記録が不可欠です。…

AMAスタイルガイドの概要

AMAスタイルガイドとは 米国医師会(AMA)は、医学の発展から教育資金の調達まで、医学関係者をあらゆる側面から支援するため、1847年に設立されました。1883年に創刊された米国医師会雑誌(The Journal of the American Medical Association:JAMA)は、世界でもっとも広く読まれている医学雑誌であり、JAMAも含めて計13の医学専門誌が発刊されています。『AMA Manual of Style』(以下、AMAスタイル)は、1962年にJAMAと特定の学術雑誌(ジャーナル)を編集するスタッフ向けに作成された68ページの内部文書でしたが、9回の改訂を経て2007年に発行された第10版では1032ページにまで発展しました。現在は2020年3月に改訂された第11版が提供されています。 医学論文の執筆以外にも役立つAMAスタイル AMAスタイルは、医学論文だけでなく、医療、保健、その他のライフサイエンス分野まで医療系論文の執筆・出版に携わる人に役立つスタイルガイドです。科学系ジャーナルの多くは著者向けのガイドライン(投稿規定)を設けていますが、AMAスタイルを推奨しているジャーナルも少なくありません。特に引用や参考文献リストの書き方はAMAスタイルに準じた形を取っているジャーナルもあるので、投稿先ジャーナルの投稿規定と合わせて確認しておくとよいでしょう。 AMAスタイルには、医療、その他のライフサイエンス関連の投稿論文を書く際に使用する句読点、大文字/小文字の区別、文法といった項目に関するガイドラインが記されてます。こうしたガイドラインは、著者や研究者、所属団体・機関、医療編集者や出版社、ライター、科学研究系ニュースメディアにとっても、日々直面する問題に対処するために役立ちます。 AMAスタイル第11版の概要…

ACSスタイルガイドの概要

ACSスタイルガイドとは ACS Style Guide(日本語版のタイトルは『ACSスタイルガイド アメリカ化学会 論文作成の手引き』KS化学専門書)は、アメリカ化学会(ACS)が論文作成の手引き書としてまとめたもので、学術雑誌(ジャーナル)や出版物に投稿する原稿を執筆する際だけでなく、化学系全般の英語論文を執筆する際に順守すべきスタイルが書かれています。化学分野の研究を支援する学術団体として1876年にニューヨーク大学で設立されたACSには、化学工学や関連分野で活躍する約165,000名(2022年1月時点)の会員が所属しています。『ACS Style Guide: Effective Communication of Scientific Information(3rd edition)』(以下、ACSスタイルガイド)は2006年に出版されたもので、オンラインと印刷版の両方で入手可能です。ACSスタイルガイドは科学論文の執筆に焦点を当てている点が特徴です。他のガイドラインとしては、学術書やジャーナルに焦点が置かれたシカゴ大学出版局による『The Chicago…

レイサマリーの作成時に抑えておくべき9ポイント

学術論文を出版することは、研究成果を伝達するためのコミュニケーションは不可欠です。研究に多くの時間を費やしたなら、その結果を出版することを計画すべきでしょう。研究者は、学術界の壁を越え、同僚や他の研究者といった学術関係者だけでなく一般の人々にも分かるようにコミュニケーションを取る必要があるとのプレッシャーが高まっているのを感じています。研究者が、興味はあるものの学術的知識を持たない一般の人たちに研究内容を伝える策のひとつが、「レイサマリー」を書くことです。 レイサマリーはなぜ必要なのか?理由のひとつは、研究を支える資金が一般的に財団や公的機関からの助成金、つまり納税者(多くは科学者ではない一般の人々)による支援によって行われているからです。支援者は、研究内容やその研究が実社会に及ぼす影響を理解したいと思うでしょうから、誰が読んでもわかりやすい言葉でサマリーを書くことが必要なのです。また、研究者にとっても、競争の激しい学術界で生き残るには成果を公表するだけでなく業績を広く知らしめることが重要です。特定の読者向けに研究結果を公表するだけでなく、その研究が与える影響を多くの読者に知ってもらうことが大切です。この記事には、優れたレイサマリーとはどのようなものかと、レイサマリーを作成するときに抑えておくべきポイント、レイサマリーを作成するメリットをまとめました。 レイサマリーとは? レイサマリーとは、研究論文の最も重要なポイントを一般の人にも分かるように簡潔に伝えるために作成するものです。 専門用語を多用し、理論や実験の結果を含む高度に専門的な内容を記す研究論文は、その分野の研究者なら理解できても、一般読者が理解することは困難です。同僚や投稿先の学術雑誌(ジャーナル)の読者なら、研究テーマや論文についての知識があるかもしれませんが、一般の人が同じような知識を有しているとは限りません。そこで、研究の大まかな内容を理解したいと望む一般読者に向けて、研究内容を簡単に説明するものがレイサマリーです。 また、研究者は、大学や資金提供者から特定の分野の研究者以外の一般の人向けにも研究の影響力を伝えられるように、概要をまとめるよう依頼されることも少なくありません。こうした際にも、レイサマリーは有用です。 研究の概要を示すという点では、論文の要旨(要約、妙録、アブストラクト)と似ていますが、論文の要旨がテーマに関わる知識を有する読者向けに書かれているのに対し、レイサマリーは一般の人に分かるように書くものです。専門用語を使用せず、研究の重点を約200~250語(ワード)程度の短い文章で示します。 レイサマリーを作成するときに抑えておくべき9つのポイント 1.4W1Hに答える すべての読者が理解しやすいように、文章を書くときの主要な要素である4W1H(what, where, when, why, how –…

研究論文の構成: 論文原稿作成に役立つヒント

長い時間をかけて行ってきた研究を学術雑誌(ジャーナル)に投稿する論文としてまとめることが非常に苦痛だと思う人がいるかもしれません。執筆に着手することさえ難しい人もいるでしょう。それでも、考えを整理して書き留めることができれば、論文執筆という作業が少し楽になるはずです。 ここでは、論文原稿を作成するためのヒントをご紹介します。 考えを整理する 原稿を執筆し始める前の最も重要な作業の一つは、考えを整理することです。この時点で、研究データのまとめと分析が行われたことになります。研究を続ける中で、おそらく大量の「メモ」などの記録がたまっているでしょうから、それらも整理していきます。幸いなことに、かつて全てを手書きしていた頃に比べれば、記録の整理ははるかに簡単になっています。考えが整理できたら次に進みます。 「考えを整理する」段階で頭に入れておくべきは、自分の考えをまとめるためには「自分がまとめたものを客観視する」必要があるということです。読者に何を伝えたいのか、自分自身に問いかけてください。自分の研究の最も重要なメッセージは何か?研究の結果が人々にどう影響するのか?研究をさらに進める必要はあるのか?などです。 そうした問いに対する答えを書き出し、原稿を執筆中、目に付くところに置いておきます。そうしておけば自分が何を目指して書いているのかを見失わずにすむことでしょう。 明確な文章にする 読者に研究を理解してもらうために、論文は可能な限り明確でなければなりません。専門用語だらけの文章や回りくどい表現で書かれた論文は、読者の理解を妨げるだけでなく、読者を限定してしまうことになります。 学術ジャーナルに発表する論文は、世界中の人々の目にさらされることになります。さまざまな言語を母国語とする読者が読むことになるわけです。研究者であっても言葉の違いは内容理解の壁となります。こうしたことを念頭に、原稿執筆の際には以下の点に留意してください。 明確さ:用語の定義を明確にし、関連性のない情報の記述を避ける。 シンプルさ:文章の構成は、シンプルで直接的なものにする。 正確さ:すべてのデータやイラストは正確に示す。 書き方の例をあげてみます。 化学物質Xは代謝に影響を与えた。 この文は漠然としすぎているので、読者に具体的な情報が伝わりません。では、以下はどうでしょう。…

レビュー論文(文献レビュー)の目的と書き方

レビュー論文(文献レビュー、総説論文)は、様々な研究成果の概要を一度に知ることのできる貴重なツールです。レビュー論文とは、特定のテーマに関する研究論文などの著作物の概要や評価をまとめて記述するもので、優れたレビュー論文は、該当分野の研究についての偏りのない情報や、有効な研究結果と無効な研究結果を理由とともに提示することで学術研究に貢献しています。また、研究資金を助成する機関では、さらなる研究が必要かどうかを判断するためにレビュー論文を利用する傾向があります。レビュー論文で重視するのは、研究の目的が達成されたか、さらにその結果がどのように伝えられたかです。 レビューの目的は、「選択したテーマに関する過去の研究を収集、統合し、最新の既存の知識体系に新たな知見を蓄積させ、統合することを促進する」ことです。端的に言えば、過去に行われた研究結果を集めて再検討・評価することで概観をまとめることです。重要なのは結果を明確かつ正確に提示することであり、優れた文章であるだけでなく、厳格なルールに従ったものでなければなりません。 1996年、科学者、臨床医、統計学者の国際研究グループが参加した会議で、ランダム化比較試験のメタ分析(メタアナリシス)に焦点を当てたQUOROM(Quality of Reporting of Meta-analyses:メタアナリシス報告の質)声明が作成されました。この声明は、チェックリストとフローチャートから構成され、研究者たちが必要な基準に従った分かりやすいレビューを行うために利用されてきました。その後の継続的な検討を経て、2009年に新しいPRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)声明が発表されました。この声明には文献検索の方法から内容の統合、要約プロセスまで詳細が示されており、システマティックレビューおよびメタ分析の国際的規範とされています。 https://youtu.be/Mp_bddA4LRo…

論文でのバクテリアの学名の記載方法

※これは、別記事「論文での動植物の学名の記載方法」に続いてバクテリア(細菌)の学名の記載方法を記したものです。国際的な命名規則などについては、論文での動植物の学名の記載方法をご参照ください。 研究は本当に大変な作業ですが、バクテリアをはじめとする微生物の学名の扱いも、なかなか骨の折れる仕事です。ラテン語の表記は紛らわしいですし、学名が変更されたり、新種が発見された際などに命名規約自体が改定されたりするので、学名を論文に記載する際には細心の注意が必要です。 論文での動植物の学名の記載方法では動植物の学名の記載方法について取り上げましたが、今回はバクテリア(細菌)の学名を使用する際の注意点についてご紹介します。 バクテリアの学名はどのように決まるのか? バクテリアの学名は、国際原核生物命名委員会(ICSP: International Committee on Systematics of Prokaryotes)による細菌命名規約(Bacteriological Code)に従って命名されています。 この規約は、別記事でも紹介したように、国際藻類・菌類・植物命名規約、国際動物命名規約とあわせて生物の学名の基準となっています。バクテリアの学名も「二名法」に従い、「属名」と、さらに下位の分類を表す「種名」から構成されます。 属名、種名など分類学的な学名はラテン語あるいはラテン語化した語で、種名にはその種固有の性状または由来を表すような語を付けます。発見場所や発見者、発見に貢献した研究者の名前に由来することも多々あります。 バクテリアの名前(菌名)は、ICSPで分類されているように、門…

ケースレポート(症例報告)の書き方【後編】

患者の疾患の症状や疾病の兆候、診断、治療、経過観察などに関する詳細報告であるケースレポート(症例報告)の書き方に関する10のステップを解説する『ケースレポート(症例報告)の書き方』後編(ステップ6以降)をお届けします。 【前編】はこちらをご参照下さい。 ステップ1:何についてのケースレポートを書くか、目的を明確にする ステップ2:ケースレポートを投稿する学術雑誌(ジャーナル)を選ぶ ステップ3:ジャーナルの投稿規定に沿ってケースレポートの構成を組み立てる ステップ4:ケースレポートを書き出す ステップ5:ケースレポートに記載する情報を整理する ステップ6:ケースレポートに記載する内容を絞り込む ステップ6ではステップ5で集めた情報を要約します。 介入歴や重要な所見、関連する発見 治療 治療後の患者の容態 ケースレポートは一般的に、アブストラクト(抄録)、イントロダクション(序文)、症例、ディスカッション(考察)、結論から構成されます。 アブストラクトは、とりあげた症例の新規性とそれに対する考察について簡潔に示しますが、学術雑誌(ジャーナル)によっては字数制限を設けているものもあるので、確認しておきましょう。該当症例の何が珍しいのか、その症例によって何が分かったかなどに関する細かい内容はイントロダクション以降に記します。ステップ7から、それぞれのセクションを書くときの注意点をまとめます。 ステップ7:イントロダクション(序文)…

ケースレポート(症例報告)の書き方【前編】

ケースレポート(症例報告)とは、患者の疾患の症状や疾病の兆候、診断、治療、経過観察などに関する詳細報告です。ケースレポートに患者の人口統計プロファイルを含めることもありますが、一般的にはまれな症例、既知のものとは異なる症状や新しい事例などについて書かれる報告書です。 ここでは、ケースレポートの書き方のガイドとして、10のステップを前後編でお伝えします。 ステップ1:何についてのケースレポートを書くか、目的を明確にする ケースレポートとして取り上げられる内容はさまざまですが、珍しい症例や新しい疾患の診断や治療に関する知見を報告することによって、新たな病気の予防、診断、治療に役立てることができます。ケースレポートに記す内容としては以下のようなことが挙げられます。 疾患または症状における予期せぬ関連性 患者の観察または治療の段階で生じた予期せぬ事象 疾患や副作用の原因と考えられる新しい知見 それまでに例のない特異的な病態、またはまれな疾患の特徴 新たな治療方法 解剖構造における位置的または量的変動 該当する症例が本当にまれなものなのかは、過去に発表された症例報告などを十分に確認しておく必要があります。後ほど記述するような検索エンジンやデータベースか検索し、報告がない、あるいは少ないことを確認しておきましょう。 ステップ2:ケースレポートを投稿する学術雑誌(ジャーナル)を選ぶ ケースレポートの内容によって投稿するジャーナルを選出します。例えば、珍しい負傷の治療についてのケースレポートは、British Medical Journal(BMJ)のような主流の総合学術ジャーナルではなく、SAGE…