英語&文法

ofとfor

英語を母語としない人を悩ます品詞の中で、前置詞はとりわけ難解です。意味が近いものも多く、似たものの区別をつけるルールも存在しません。ここでは、互いに混同されることが特に多い前置詞として「of」と「for」を考察します。 前置詞の正しい用法を覚えるのに、用例を熟考することによって、微妙な差異の直感的な理解を身につけるしかありません。つまり、前置詞の誤用を(「そのような意味がない」といったもの以外は)解説しようがないことが多いのです。という訳で、ここでは「of」と「for」の典型的な取り違えを示す例文を列挙だけします。 ofが正しい用法 (1) [誤] The results for this experiment are displayed in Table 1.…

as long asとas far asの意味の違いを解説

日本人の学術研究論文で「as long as」と「as far as」という句が混同されていることを度々目にします。これらの表現が同義ではないことに注意して欲しいです。 いずれの表現にも何らかの条件を挙げるといった用法があり*、そうした用法では和訳が(「…の限り」、「…する限り」などになって)一致することもありますが、一般的に「as long as」と「as far as」は互いに置き換えることができません。 as long as と as…

文法の修正だけではない、英文校正が持つ役割とは?

研究費を獲得することは、最近かなり難しくなってきていると言われます。全体の研究費は限られており、研究費は、著名な学術誌への論文掲載が保障されている研究にしか支給されない傾向があるようです。それゆえ、あなたの第一言語が英語でない場合、限りある研究費予算の申請項目に英文校正 サービスの費用を盛り込むことは、非常に難しいことかもしれません。結局校正のための予算は後回しとなり、校正については別の手段を講じることとなるでしょう。英語の得意な同僚が何人かいて、あなたの論文を見てくれるかもしれません。もしくはマイクロソフトのスペルチェック機能や文法チェック機能、あるいはグーグル翻訳などが、こうした困った状況からあなたを助けてくれる最後の砦になってくれるかもしれません。 一見合理的に見えるこうした手段は、予算に制約がある場合などは仕方のないことかもしれません。しかし、このような形で目先のコスト節減を図っても、長期的に見ればあなたに損失をもたらす危険性が潜んでいます。 査読という問題 誤りやつたない表現が残ったまま投稿された論文は、査読には進めない可能性がじゅうぶんにあります。学術誌の編集者は、言語的にも完成度の低い原稿は、学術的な厳密さを欠いていると考える可能性が高いからです。この評価がどんなに不当なものに思われても、現実にはそう判断されてしまいます。もし編集者が好意的で、論文を査読に回してくれたとしても、査読者はその論文を審査する際、研究方法の正しさ以前に文章や言語面のつたなさに辟易し(査読者は無償で働いていることを覚えておいてください)、再投稿を薦めることもなく論文を却下してしまうことにもなりかねません。 専門家による校正を受けていれば避けられること 科学の世界において、主に英語が使われているということは厳然たる事実です。学者によっては、ラテン語・フランス語・ドイツ語・ロシア語も科学における同等の伝統を持つ、と主張する人がいるかもしれませんが、現在の科学研究は主に英語で行われています。やはりきちんとした英語で研究をまとめ、発表することが大切な要素となってきます。以下は、英語に限った話ではありませんが、母語でない言語をネイティブスピーカーのチェックなしに使用しようとしたり、現地の言葉についてあまり理解のないままビジネスを始めたりすると困った結果を生じかねないという一例です。 Clairol という企業が、Mist Stick という商品名のヘアカールアイロンをドイツで売り出したが、実はmist はドイツ語では「肥料」を意味しており、当の企業はそのことを知らなかった。 メルセデス・ベンツが中国の自動車市場に参入した際、Bensi という現地ブランド名を採用したが、Bensi は中国語で「死に急ぐ」という意味だった。…

短縮形

短縮形(たとえば、doesn’t = does not、she’s = she is、’90s = 1990sなど)は日常英語では頻繁に使われますが、フォーマルな場面の英語では口語的すぎますので使用を避けるべきです。特に、学術論文にはきわめて不適切と思われます。

代名詞の誤用2

曖昧な使用 日本人著者による論文では、代名詞の曖昧な用法がたびたび見うけられます。代名詞を用いるときは、それが指す対象の名詞の同定が明確で、代名詞が表す意味について解釈の余地がないということを必ず確認すべきです。以下に代名詞の曖昧な使用の典型例とその修正例を挙げます。 [誤] The new experimental technique is particularly noteworthy in the context of the…

代名詞の誤用1

タイトルに出てくる名詞を本文中で直接指し示すこと 学術英語では、著作物中の(章、節などの)タイトルと本文は互いに独立しているものと見なされるため、本文においてタイトルに出てくる名詞(あるいはタイトル全体)を代名詞で指し示すことは誤りです。 たとえば「Passive Transmission by Blood Transfusion」というタイトルの章があるとしましょう。そこで、本文において最初の文を「This is a serious problem in…」と書き出し、「This」でタイトルを指し示そうとすると、タイトルと本文が文脈のうえでつながってしまうことになります。このような構造はきわめて不自然であり、使用するべきではありません。上の例の修正方法としては、「This」を「The passive transmission of…by…

主語と動詞の間の距離

主語と動詞との間の距離が長いと文章が不自然かつ難解になることが多いので、そういった構文は避けるべきです。以下にその典型的な誤用例を示します。 [誤] This solution, which was first derived by Wallace in an investigation of excitable…

you

学術著作物において、二人称代名詞の「you」は原則として使用しません。以下にその誤用例と修正例を挙げます。 [誤] As most of you are probably aware, Spelaeoecia bermudensis is categorized as “critically…

「in this paper」と同様の表現について

論文において「in this paper」、「in this section」などという表現がよく使用されますが、その用法にはたびたび誤りが見受けられます。よく見られる誤りとして、そのような表現を用い、われわれが実際に論文外で行う行為や行動について述べようとすることが挙げられます。こうした表現はあくまでも論文自体の内容を描写する場合にのみ使えるものであって、それらの表現を用いて「数値計算や実験などを『行う』」というような表現を導こうとすると、論理的な問題が発生します。言うまでもないことですが、論文内の行為と見なされうるのは文章、数式、グラフ、図などといった論文内で行われる行為のみであり、「われわれ」が論文内で数値計算、実験、観察、現地調査、臨床調査などを「行う」というようなことは不可能です。 以下に、上述した内容の具体的な例として、誤用例と正しい例を挙げます。 [誤] In this paper, we analyzed the genome-wide changes…

「文字」の英訳

日本語の「文字」が「character」または「alphabet」と誤訳されるケースも、しばしば目にすることがあります。「文字」が「character」と訳される場合(すなわち、漢字などの表意文字の場合)もありますが、表音文字の場合、「文字」は概して「letter」と訳されます。また、「alphabet」は、1つの文字ではなく、必ず「文字体系」を意味します。 以下に「文字」の正しい訳の例を示します。 (1) The letters “a” and “b” here indicate the most likely identifications of…