英語&文法

間違いやすい用語や表現 - Stay

動詞「stay」は、口語的とされるため、学術論文では避けるべきです。 「stay」が口語的である主な理由は、意味が非常に広いため、その使用によって学術論文には相応しくない曖昧さが生じてしまうからです。 私が読んできた日本人の学術論文において「stay」が使用されるほとんどの場合、意図した意味は次のいずれかの表現によって明瞭に表すことができます。 remain、「to be」動詞、exist、be positioned、come to rest、be fixed、be unchanged、be motionless、remain motionless、stop、converge、live、reside 以下は「stay」の典型的な誤用を示します。 [誤] (1)…

間違いやすい用語や表現 -hugeとtiny

形容詞「huge」と「tiny」は、口語的であるから、原則として学術論文には相応しくありません。 「huge」と「tiny」が口語的とされる理由は、これらの語には対象となっている物事の大きさについての判断が主観的であるということが含意されるからです。使用される状況によって程度が異なりますが、話し手・書き手の驚きも含意されてしまいます。 学術論文において「huge」と「tiny」の代わりに適切に使える表現は多数ありますが、特によく使用されるものとして以下を挙げます。 huge: very large, extremely large, inordinately large, excessively large, dominatingly large, divergent,…

間違いやすい用語や表現 -a lot

熟語「a lot」は副詞として、また前置詞「of」と合わさって形容詞として用いることができます。前者と後者の場合には「a lot (of)」は、それぞれ「a great deal」や「to a great degree/extent」そして「much」や「a great amount/degree of」の同義語になります。ただし、このような用法は極めて口語的なので、学術論文では避けるべきです。(*1) 以下は「a lot」の典型的な誤用を例示します。 I.…

間違いやすい用語や表現 - bigとlittle

形容詞「big」と「little」は、(例(3)、(4)、(5)で示す「little」の用法を除いて)口語的とされるため、原則として学術論文など、正式な書き言葉を必要とする文章では避けるべきです。 ここで、「big」と「little」に共通する一つの用法と「little」にしかない二つの用法を個別に考察します。 「big」と「little」に共通する用法は以下で例示されます。 [誤] (1) The value of this quantity in the present case is…

間違いやすい用語や表現 -複数形の誤用

英語には、通常単数形でしか用いられない名詞がたくさんあります。それらの名詞は、通常の用法で不可算物あるいは一つの可算物とみなされるものを意味するわけです。英語を母語としない人がこのような名詞を誤って複数形で用いているのをしばしば見かけます。 以下はこのような誤りの典型例です。 [誤] (1) These data analysis studies have added many knowledges to our understanding…

冠詞用法I: 量を表す名詞はその値によって 一意に特定されない

私が読んできた論文からすると、日本人が書く英文における問題点は3〜5割が冠詞用法に関わるものです。誤った冠詞用法がよく見られる名詞の中でも量を表す名詞は特別です。量を表す名詞で見られる誤った冠詞用法は、誤りの多さおよび誤りが引き起こす意味上の問題の深刻さによって、特に顕著な誤用です。ここでは、その典型的な誤用の一つを考察します。 冠詞の誤用を引き起こす原因に、量を表す名詞独特の誤解が幾つか存在します。その一つは以下の誤用例で見られます。 [誤] (1) This circle has the radius 3 mm. この文の書き手は、名詞「radius」がその修飾語である「3 mm」によって一意に特定されると勘違いしたようです。この勘違いは、ある量の可能な実現とその可能な実現値とが一対一の関係にあるという誤解に起因するものだと思われます。実際は、(英語に内在するロジックでは)ある量が考察される個別のケースにおいて、たとえそれぞれのケースにおける量の実現値が全く同じだとしても、それぞれのケースにおける量の実現は個別の存在として解釈されます。3 mmの値を持つ半径というものが様々存在するわけです。従って、上述の例文中の名詞「radius」が表すものは唯一ではありません。よって、「the」は削除すべきとなります。 [誤]…

間違いやすい用語や表現 – against

前置詞「against」は日本人学者によって過度に使用され、最もよく誤用される語の一つです。誤用の原因として、「against」が「に対して」の誤訳になっていることが多いと思われます。実は、「に対して」が「against」に対応する場合もありますが、「against」が訳語として全く不適切とされる場合が多いです。 以下は「against」の典型的な誤用を示します。 [誤] (1) These are “slowly” varying effects, against the previously described “rapidly” [誤]…

名詞付加語の形

名詞付加語(noun adjunct)とは限定形容詞の働きをする名詞のことです。日本人学者が書いた論文では名詞付加語が誤用されていることをしばしば目にします。ここでその誤用の原因となる誤解を晴らします。 まず、以下を見てみましょう。 [正] I used to work in a shoe store. この用例中の「shoe」は名詞付加語となっています。ここで注目すべき点は、「shoe」が複数の靴を表しているにも関わらず単数形になっているということです。この文は名詞付加語の通常の用法を例示します。一般に、 名詞付加語 は、たとえそれが複数のものを表しているとしても、必ず単数形になるのです。…

限定修飾語句と非限定修飾語句

一般に、修飾語句には「限定」と「非限定」という二種類があり、両者間の違いを理解することは英語の基礎知識として不可欠です。 その違いとは、限定修飾語句が修飾される語句の意味に影響を与えるのに対し、非限定修飾語句はその意味に影響を与えないということです。 例えば修飾される語句が名詞であれば、非限定修飾語句はその名詞が指す対象について情報を加えることはありますが、修飾によってその対象自体を変えることはありません。 文法的には、限定修飾語句と非限定修飾語句はコンマの使用によって区別されます。つまり、非限定修飾語句の場合には、修飾語句と修飾される語句との間にコンマが入りますが、限定修飾語句の場合はコンマが入りません。 例文を見てみましょう。 (1) My dog, Cleo, is sleeping. (1') My dog Cleo…

integralとintegration

名詞「integral」と「integration」は日本人学者によってよく混同され、誤用されることが多いです。「integral」は「積分」に当たり、積分法の対象となる量を表し、一方、「integration」は「積分すること*」に相当し、積分を求める操作を意味します。 以下はしばしば見受けられる誤用を例示するものです。 (1) [誤] Here, we can evaluate the time integration of the propagator using…