英語&文法

主語と動詞の一致 – 主語の長さに注意して

学術論文を書く時、研究成果や重要な考えを読者に分かりやすく伝えるために注意すべきことがあります。そのひとつが主語と動詞を一致させることです。主語と動詞を一致させることは非常に基礎的な英語のルールですが、見落としがちです。この記事では、英語論文を書く際に注意すべき主語の長さ・扱いと、主語と動詞の一致について見直してみます。 主語を省略せずに明快な文章を書く 論文を書く意義とは、自分の研究を他者に伝え、評価を受けることです。伝わらなければ意味がありません。読者に研究内容を正しく伝えるためには、明快で簡潔な英文を書くことが求められます。一文があまり長くなると複数の意味に取られることもあるので、できるだけ短くします。特に、日本語を母国語とする我々は曖昧な表現をしがちなので、意識して明快な表現を心がけておくべきでしょう。 また、日本語と違い、英語では主語を省略することはできません。客観的に書かれるべき論文では、著者(the author/authors)、研究者、または無生物主語を主語として、できるだけ能動態で曖昧さを軽減するようにします。そして、このとき主語と動詞(述語)の一致に注意が必要です。 主語と動詞を整合させる 主語と動詞を一致させる(Subject-Verb Agreement)ことは英文構成の基本です。主語と動詞の不一致は非ネイティブによって書かれた英語の文章で頻繁に見られるミスのひとつです。特に学術論文では主語と動詞が一致していないと、著者の考えが不明確になってしまい、学術的な専門性を損なう可能性があります。 文の主語と動詞(述語)が一致していないと、不自然になるだけでなく、意味が不明確になってしまいます。主語と述語だけを抜き出してつなげてみたとき、文として成立していれば問題ありません。また、主語が単数なら動詞も単数形、主語が複数なら動詞も複数形にする必要があります。日本語では主語によって動詞が単数・複数に変化することがないので見落としがちです。 文は主語と述語から構成される 主語は動作を行う名詞、述語は動作を表す動詞 主語と動詞(述語)を一致させる 主語は短く簡潔に 主語が長いと混乱を招く可能性があります。以下の例文を見てください。イタリックになっている部分が主語です。 When…

エムダッシュとエンダッシュの違い

文章を書くときには、さまざまな句読点を使いますが、そのすべてに異なる機能と目的があります。よりよい文章を書くためには句読点の違いを理解し、使いこなす必要があります。句読点は、文意を正確に伝え、文章の明瞭さを高め、一貫性を確保する上で重要な役割を果たすものです。さらに、思考を構造化し、読者を誘導し、意図したメッセージを正確に伝えるための一連のツールとしても有用なものです。 この記事では、英文で用いられる句読点の中でも区別が付きにくいダッシュ記号に焦点を当て、エムダッシュ(emダッシュ)とエンダッシュ(enダッシュ)の違いを説明します。ダッシュ記号は、文章を強調する、明瞭さやインパクトを加えるといった際に使われますが、効果的な使い方を理解することで、文章をより洗練させることができます。 ダッシュとハイフンはいずれも横棒に似た記号ですが、それぞれ異なる機能を持っています。一貫性なく使われていることも多いようですが、ダッシュ記号は重要なポイントの強調から、範囲やつながりの提示まで、さまざまな重要な役割を果たす記号です。ダッシュを使いこなしてインパクトのある魅力的な文章を作成してください。 ダッシュとは ダッシュは、文章中の区切り、中断、または前の文章とのつながりを示すために使用される長音記号に似た(でもそれより短い)横線型の句読点です。ダッシュには、長めのエムダッシュ(emダッシュ)と短めのエンダッシュ(enダッシュ、エヌダッシュとも言います)の2種類があります。一見区別しにくいのですが、エムダッシュは大文字のMと同じ幅(長い)、エヌダッシュはNと同じ幅(短い)程度であると覚えておくと二つの長さの違いがわかりやすいと思います。 この2種類のダッシュと、もう1つの一般的な句読点であるハイフンが混同されることがよくありますが、長さではハイフンが一番短く、次にエンダッシュ、最も長いのがエムダッシュとなります。エンダッシュは、単語や数字など前後をつなげ、エムダッシュは逆に前後を切り離したり文中に間を作ったりと、文章を書く上でさまざまな役割を果たします。 ライティングにおけるダッシュの重要性は過小評価されがちですが、どちらのダッシュを使うかは文脈によって異なるので注意が必要です。ダッシュの重要性について詳しく見ていきましょう。 1. 強調と中断 ダッシュは、文中の特定のフレーズやアイデアを強調するための強力なツールです。エムダッシュは、主節から一部を切り離す場合に使われることで、流れを中断させたり、特定のテキストを目立たせて強調したりすることができます。コンマ(,)でも同様の効果を出すことができますが、エムダッシュを使うことで、切り離した部分のテキストをより強調することができます。エムダッシュを使うことで、より主節を強調する効果が生まれ、魅力的でインパクトのある文章にすることができるのです。 2. 明瞭性と情報追加 ダッシュを使って複雑な考えを伝えたり、情報を追加したりすることで、文章の明瞭性と一貫性を向上させることができます。エムダッシュを使って説明や補足事項などを挿入することで、思考の転換を示したり、関連してはいても異なる要素を紹介したりすることができます。説明や明確なフレーズを入れ込むことで、読者の理解を深め、メッセージを効果的に伝わるようにするのです。 3. 接続と範囲の提示…

アスタリスクの使い方

あなたが今、一般には馴染みの薄い研究分野の論文を書いているとします。ただでさえ難解な内容をどう読者にわかりやすい文章で伝えるか、あるいは、重要な部分をどう目立たせられるかが、論文を書く上での大きな課題となるでしょう。 ブログ記事や自分のノートなら、強調したい箇所にハイライトを付けたり、フォントを変えたり、あるいは独自のマークを付けたりしておくことも考えられますが、研究論文などのアカデミック・ライティングでは、そう簡単に表記を変えることはできません。 アスタリスク「*」(アステリスク、あるいは星印と呼ばれることもあります)はよく、補足や脚注を示すために本文中に付けられます。また、脚注を示すだけでなく、省略された文字があることを示したり、免責事項(広告や契約書に出てくる)を示したりするのにも使われることがあります。この記事では改めてアカデミック・ライティングにおけるアスタリスクの使い方について見直してみます。 アスタリスク(*)とは アスタリスクとは、注釈や脚注、参照を示すために文中で使われる記号です。本文などに特別な解説を加える必要があるような場合にアスタリスクを付け、欄外の同じアスタリスクを付けた該当部分に対する注釈や解説を連携させるものです。 英辞書によれば、アスタリスクは「小さな星のような記号(*)で、文字や印刷で参照マークとして、または省略や疑わしい事柄などを示すために使用される。」との意味の他に、言語学で、特定の言語を母国語とする人々にとって非文法的な、あるいは容認できない発話を示すために使用される星印(*)といった意味も記されています。 脚注や注釈を示すためのアスタリスク アスタリスクが脚注や注釈を示すための記号として使われるようになった歴史は古く、一説によると中世初期の写本に記載が残されています。現在、アカデミック・ライティングでは、本文中の情報の出典や背景に関する補足、つまり脚注や注釈を示すためにアスタリスクが使われています。本文中にアスタリスクが付いていれば、同じページの下(footnotes)か、論文の最後(endnotes)に掲載される参考文献(Reference)のセクションに、アスタリスクの付いた部分に関する詳細情報が掲載されていることが分かります。 論文のタイトルにアスタリスクが付いていることもあり、法学者であるピーター・グッドリッチ(Peter Goodrich)は『On Philosophy in American Law』に収録されている小論 "Dicta…

構文とは?アカデミック・ライティングでよくあるミスと修正方法

論文を始めとするアカデミック・ライティングでは、自分の考え、発見したことを含めた研究の成果などをいかにうまく伝えるかが重要です。アカデミック・ライティングでは全体的な文章構成も重要な要素ですが、文章自体が不完全だったり冗長である、つまり構文にミスがあると、文章の明瞭さと流れが損なわれてしまいます。特に、学術文章は内容自体が複雑なので、一般的な文章よりも理解するのが難しくなりがちです。読みやすく、わかりやすい文章を書くため、アカデミック・ライティングでありがちな構文ミスと修正方法を確認してみましょう。 アカデミック・ライティングの構文に求められること 構文とは、ある言語の文法ルールに則って単語や区を配置する基本的な文型や一文の構造のことを指します。 非常に基本的なことですが、アカデミック・ライティングの構文には、正確さと明瞭さが求められます。裏付けのない仮定、断片的な文章や逆にダラダラとつながるRun-on Sentences(ラン・オン・センテンス)、不適切な位置に挿入された修飾語などのよくあるミスは、読者を混乱させ、内容の理解を阻みます。 アカデミック・ライティングの構文には、読者に内容が伝わるように分かりやすい文章であること、主張を裏付ける根拠を正確に提示する科学的な文章であることの2つが求められることを覚えておき、この特徴を踏まえて書くことを心掛けてください。では、アカデミック・ライティングの構文でよくあるミスを見ていきます。 アカデミック・ライティングの構文でよくあるミス Incomplete Sentences(不完全な文章) 不完全な文章はアカデミック・ライティングでよく見られる構文ミスです。全ての文には主語と動詞が必要であり、不完全な構文は読者に混乱を招きます。従属節や句だけでは完全な文章になりません。学術文章としての信頼性にも影響するので、基本的なことですが、十分に注意するようにしてください。 構文ミスの例:While working on the project.…

句読点(Punctuation)の重要性―例文で使い方を説明

もしも句読点(Punctuation)がなくなったら…と想像したことはありますか? Netflix、Instagram、Wi-Fiや、スマートフォンがなかったらと想像するのは難しいかもしれませんが、突然、英語の文章からカンマ(,)、アポストロフィ(’)、ピリオド(.)などの句読点や、括弧、疑問符、ダッシュなどが消えてしまったら? はじめに - 句読点は重要か? 作家のジーテ・タイル(Jeet Thayil)のデビュー小説『ナルコポリス(Narcopolis)』は、2012年にイギリスの文学賞であるマン・ブッカー賞(Man Booker Prize for Fiction)にノミネートされていますが、この小説は、ピリオドなしの7ページ(2,309ワード)に及ぶ文章で始まっています。 ミレニアル世代とZ世代は、テキストメッセージにピリオドを入れるのは信じられないほどかっこ悪いので、何が何でも使わないようにしており、それが原因で句読点ぬきの英文が増えているとも言われています。日本語でも「マルハラ」などという言葉が出てきましたね。句読点がハラスメントにつながるなんて、なんとも驚くべきことです。 アメリカには「National Punctuation Day(仮訳:全国句読点の日。毎年9月24日)」という、句読点の正しい使い方を促進するための祝日があります。…

アカデミック・ライティングにおける言葉の選択と注意点

「言葉の選択」とは 文章を書く際、効果的で的確な言葉を選択することにより、読者に正確な情報を伝えることができます。効果的な「言葉の選択」、つまり、状況に応じていかに適切な言葉を選ぶかがとても重要なのです。同じことを伝えるにしても、選ぶ言葉によって読み手が受け取る印象は異なり、意図とは異なる意味が伝わってしまうことすらあります。アカデミック・ライティングの場合には、専門用語を多用しすぎると分かりにくくなってしまいます。専門用語や紋切り型の表現(定型表現)を使いすぎることなく、明示的な意味や含意を伝えられるようにすることが大切なのです。また、語彙が多ければ良いというものでもありません。 文章を書く上では避けて通れない「言葉の選択」 自分の研究内容をきちんと伝えるためには、論文で適切な言葉を選ぶことが極めて重要です。アカデミック・ライティングに限ったことではありませんが、文章の執筆とは、言葉の選択の連続です。自分のアイデアを明確に表現できる単語を注意深く選ぶだけでなく、それらの単語をどのようにフレーズ、センテンス、さらにはパラグラフとして配置するかを判断しなければなりません。説得力のある言葉の選択は、読者の内容理解につながります。それが、研究アイデアを明確にし、拡散するのす。 言葉を吟味する際には、読者に正しい情報を伝えることを妨げる要素のないように注意することも重要です。 言葉の選択における一般的な注意点につき、例文を示しつつ説明していきます。 誤った単語 あまり深く考えずにライティングを行う、あるいは単語の意味を間違って覚えているなど、さまざまな理由で間違った言葉を使ってしまうことがあります。特に、意味や品詞を混同しやすい英単語には注意が必要です。 例1:There were averse effects. 修正1:There were adverse…

AffectとEffectの違い:どう使い分ける?

投稿前に何度も原稿を見直したはずなのに論文で「その指標が器官に与える影響(effect of the indicator on the system)」と書くべきところを、「器官内で影響を受けた指標(the affected indicator on the system)」と書いてしまった、という経験をお持ちの人はそれほど多くないかもしれませんが、「affect」と「effect」は紛らわしいですね。 しかし紛らわしい英単語の意味や使い方をしっかりと把握し使い分けられるようになることが、研究者が研究成果を正しく世界に発信する上で欠かせません。 英語の中でもとりわけ混同される2つの単語-「affect」と「effect」 アカデミックな英語の中には、英語がネイティブでない読み手だけでなく、ネイティブスピーカーたちをも混乱させるような表現が少なくありません。…

論文で仮定法“if-then”を使うときの注意

英文法で「仮定法」を学んだとき、「もし~ならば、~であろう」と訳すように習ったifを使った条件文に「仮定法」と呼ばれる動詞の活用が入ってきた途端に英文法につまずいたという経験をした人も少なくありません。 条件文とは、"if-then "または "unless-then "で書き表すような状況(実際には"then "と書かれずに具体的な状況を説明する文言が入る場合が多い)、あるいは起こりそうな状況・出来事を表す文です。ある条件における状況や起こりうる結果を示すもので、研究論文の中でも、調査研究の結果について論じるときや、仮説文の一部として条件文がよく使われます。ifを使った文章において仮定法はConditionalと呼ばれ、表現する対象の違いによって4種類に分けられています。ここでは、その4種類に混合型を加えた5種類のConditionalを概説します。 多くの場合、ある状態およびその条件下で得られる結果を述べるのには条件文が必要です。科学論文の著者の多くは、要約(アブストラクト)の中で、研究を実施する理由を論じるために条件文を使っています。条件文を正しく組み立てることは重要ですので、まずはその違いを理解しておきましょう。 条件(Conditional)の種類 条件文は、if節(またはunless節)と主節の2つの節を使って構成されます。以下に説明する5つの条件(Conditional)は対象が異なるので、それぞれの使い方を理解しておくことが重要です。あるConditionalは、一般的な真理に言及し、他の条件文は仮定の状況に言及するというような違いがあるので、例文を読み比べてみてください。いずれの種類の文章でもif節と主節の順序の入れ替えが可能ですが、if節が冒頭に来た場合には、主節の前に「,(コンマ)」を入れます。また、ここでは否定の例文を挙げていませんが、if節で否定的な条件を表わしたい場合には、if+notの変わりにunlessを使うことができます。 5つのConditional ・Zero Conditional Sentence (普遍的な状況を表す仮定法で書く、必ず起きる状況が対象)高度な文法エラーを修正する ・First…

転換語(transition words)の役割と種類:効果的な使い分け方

論文とは知識の交換のためのツールであり、正確かつ包括的に情報を伝達するために、考えを明確に伝えることが求められます。批判的な考えや分析、総合的な見解などを文章にまとめて発表することにより、研究者は各自の研究分野にとって有意義な貢献をすることができるのです。著者は、論文を執筆する際、文中に適切な比喩や隠喩を用いることで、自らの専門的技能の意義をよりよく理解し、学術界に有意義な貢献をするために技能を磨く努力をすることができますが、メリハリの良い文章を作成するには、それぞれの文の繋ぎ方にも注意が必要です。話の内容を変えたい、強調したいといった場合には、転換語(transition wordsまたはtransitional words)を挿入して話題を変えたり、具体例をつなげて説明を補う必要があります。この記事では、論文執筆における転換語の役割と、効果的に転換語を取り入れることで説得力のある文章を作成するために知っておくべき転換語の種類を解説します。   転換語とは 転換語とは、文またはパラグラフで話題を転換する際に使う単語やフレーズ(転換表現)のことです。研究論文のようなアカデミック・ライティングでは、論理的な情報の流れが非常に重要なので、内容の流れを分りやすく、かつスムーズにつなげる必要があります。文や段落のはじめに挿入される転換語は、趣旨の異なる前後の文章の関係を表す橋渡しの役割を果たします。さらに、文章の流れを作り、論理的に展開するのを助け、全体的な読みやすさを向上させることで、文章に一貫性とまとまりを持たせるのに役立ちます。 1. Additionally:情報の追加や参照するときに挿入 例文)Additionally, recent studies have demonstrated similar findings,…

学術論文における「e.g.」と「i.e.」の使い方

文章の中でよく見かける略語で、通常は括弧の中にあり、その前後の文脈からだいたいの意味は把握できるようなものがありますね。そのひとつが「e.g.」です。これは、ラテン語の「exempli gratia」の略で、「例えば(for example)」という意味です。もうひとつよく見かけるのは「i.e.」で、これはラテン語の「id est」の略です。英語にすると「that is to say」や「in other words」、日本語の「つまり」といった意味合いです。文中で、あるポイントを強調するための例を挙げる際に「e.g.」を使うことや、一文でくどくどと説明するのではなく、言い換えて要点を述べるために「i.e.」を使うことは少なくありません。 しかし中には両者を混同して、間違って使う人もいます。ここでは、間違えないためのヒントと用例をご紹介します。 「e.g.」と「i.e.」の違い 上記のように、「e.g.」は 「for example」の略です。間違えないための簡単な方法は、「e」で始まるから「example」だと覚えておくことです。では「e.g.」の実際の文中での用例を見てみましょう。 “There…