研究に役立つツール

研究方法の種類と選び方

研究の成功は、適切な計画と実施にかかっています。研究を無事に終了させるには数々の要因や要素がありますが、最良の研究方法を選ぶことは、最も困難かつ悩ましいことのひとつです。研究は取るべきアプローチの種類に従って進められるものなので、研究を実証するための研究方法と、データを収集する方法を選ぶのは非常に重要です。研究において的確な研究方法を選択することで、求められている情報を照合し、研究の最終目的に到達することが可能となるのです。 この記事では、さまざまな研究方法(研究方法の種類)とその中から最適な方法を選択するための基準について論じます。 最適な研究方法を選択することの重要性 研究方法は、研究を実施する前に決定しておきます。的確な研究方法を選ぶことは、研究内容および文章をうまくまとめ、全体を良質なものにすることに役立ちます。さらに、自分の研究分野で使われている研究方法に精通しておくことで、より実質的に理解することができるようになります。 研究方法の種類 自分の研究の性質、研究分野における標準的状況、実用性により、自分の研究に最適な研究方法を選択しましょう。研究方法には、定性的研究と定量的研究という2つのアプローチと、その混合アプローチがあります。 定性的研究(質的研究)では、数値で計れないデータを使用します。言い方を変えれば、定性的研究とは、言葉、説明、概念、信念、思考(アイデア)やその他の実体のないものに焦点を置く研究です。 定量的研究(量的研究)では、数値と統計データを使用します。変数(可変要素)を測定し、既存の学説または仮説を検証するものです。通常、定量的研究で得られるデータは数値やグラフなどの形で事実情報を示されます。 定性・定量融合法研究とは、定性的研究と定量的研究の両方を組み合わせた研究です。混合研究法とも、ハイブリッドメソドロジーとも呼ばれています。定性的研究で状況調査を行い、理解していることのポテンシャルモデルを開発します。これは概念フレームワークとも呼ばれ、定量的方法を用いて、そのモデルを実験的に試験します。定性的研究で得られた新しい知見について、より大規模な知見を検証するために定量的研究を行うといったものです。 また、研究は大まかに下の3つに分類できます。 探索的研究:問題についてのより深い理解を示し、その問題に関する理論を潜在的に発展させます。そのため、このタイプの研究では定量的研究アプローチを取る傾向があります。 確認研究:経験的試験によって潜在的な理論または仮説の確認を行うものです。定性的研究を取る傾向があります。 両方を混合した研究:ポテンシャル理論または仮説を構築し、定性・定量融合法のアプローチを使って経験的な試験を行います。 最良の研究方法を選択する前に考えるべきこと 研究の性質…

共用ラボ使用時のマナー – 暗黙のルール10

ラボ(実験室)のドラフトチャンバー(ドラフト装置)を使いたい?順番待ちをしているのは、あなただけではないはずです。誰もが自分専用の実験設備や機器を持てる幸運に恵まれているわけではありません。なので、共用ラボで作業をするためには、そこでのルールに従うことが不可欠です。マグネチックスターラー(攪拌機)、ガスクロマトグラフ(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを使っている時は、こうした機器をいつでも好きなだけ使えたら……と誰もが思うことでしょう。 なぜラボ・ルールを守る必要があるのか あえて書き記されていなくても、共用ラボを使う研究者であれば誰でもそこでの礼儀を守るためのルールに従うべきです。そうすることで、パンデミックのような状況下で実験を続ける際にも、共同研究者間の相乗効果を高めるだけでなく、マナー違反が起こることを防ぎ、誰もが実験を計画通りに完了できるようにするのです。 共用ラボで作業する際の暗黙ルール10 1.自分の物以外は触らない これはラボに限ったことではなく、生活していく上でも言えることです。一番初歩的かつ最も重要なルールは、他の研究者の酵素、プライマー、液体培地、それ以外のさまざまな溶液、特に汚染されやすい溶液は絶対に触らないことです。どうしても使いたい場合には、許可を取りましょう。そして、使用許可を取っても、コンタミネーション(汚染)を防ぐため、常に必要な量だけを滅菌フード下で別の容器に移し替えて使いましょう。このルールは、化学物質や培地に限らず、ピペットなどの実験器具にも言えることです。 2.他人にしてもらって嬉しいことを他人にする このルールにおいては例を挙げておきます。保存溶液を作る際、ラボ内で作業している別の研究者も必要かどうか聞いてみると良いでしょう。ラボの他の作業者に、自分が使っているのと同じような機器(重量計、ガラス機器など)や化学薬品が必要かどうか尋ねてみることもお勧めします。いつか、同僚が同じようにあなたを助けてくれるはずです。 3.自分のミスは自分の責任 保存液を誤ってこぼした?気づかないうちに培地をコンタミさせた?落ち込む必要はありません、誰でもミスはするものです。ミスをすることが問題なのではなく、自分の過ちを認めず、他の研究者に汚染された溶液や培地を使わせてしまうことは問題です。なので、自分が起こしてしまったミスを認め、自分だけでなく、他の研究者が行う実験でもはっきりした結果が得られなくなることを避けるための対策を講じることが大切です。小さなミスを隠すことの影響は計り知れません。特に、他者の研究を台無しにしてしまったり、他の人を危険にさらしたりしてしまうことになれば大問題です。自分の過失を認め、問題を起こすのを回避することを意識すれば、同僚はあなたの正直さに感謝することでしょう。とはいえ、いつも同じミスを犯すのではなく、失敗から学ぶように意識的に努力してください。 4.ため込まない 自分の後ろのロッカーに数十枚ものペトリ皿をため込んで何をするつもりですか?誰もが使いたいと思っている実験器具の利用予約をするシートがなければ、それを作っておきましょう。サインアップシート(使用予約用紙)があれば、誰もが必要な実験装置や器具を必要なときに確保することができるようになり、誰かが使っていないものをため込みすぎていることが原因で、他の人が実験を行えないという事態は避けられるはずです。 5.在庫確認を行う あなたが在庫棚からマイクロピペットを取って、残りが1つとなった場合には、ラボの管理者に残りがひとつであることを伝えましょう。そうすれば、ラボの管理者は他の研究者の使用に備えて棚の在庫を補充しておき、研究者が新しい品の入荷を待つことなく実験を続けることができるようになります。 6.クリーンなラボでこそクリアな考えがまとまる…

3つの文献検索方法で研究者の時間を節約

文献検索や情報収集に苦手意識を持つ大学院生や若手研究者は少なくないようですが、研究者として活躍するためには、情報収集のスキルを磨くことが不可欠です。研究室で過ごすのと同じぐらい多くの時間を図書館で過ごす研究者もいますが、必要な情報収集であっても、実質的な研究や執筆により多くの時間を割くためには、情報収集をできるだけ効率的に行うことが求められます。ここでは、情報収集を効率的に行うために活用してもらいたい3つの検索方法を紹介します。 キーワード検索 キーワードを使った検索術-ブーリアン(Boolean)検索と呼ばれるような基礎的な型―を把握しておけば効果的な検索を行うことができるようになります。複数の条件を同時に満たす情報を探す「AND検索」や複数の条件のいずれかを満たす情報を探す「OR検索」などの検索型を把握した上で使いこなせるようになれば、文献検索は飛躍的に楽になります。 AND検索:検索対象を狭めるためにANDでキーワードを区切って入力することで、ヒット数の多い検索結果を絞り込むことができます。 OR検索:関連性のある論文にどのキーワードが使われているかわからない場合など検索対象を広げたいとき、ORで条件を区切って入力することで、より多くの情報を拾い上げることができます。著者名をキーワードの1つとすることもできるでしょう。 他にも検索結果の中から特定の条件を除外させたい場合の「NOT検索」などもあるので、様々な組み合わせを駆使した高度な検索オプションを試しながら、関連性の高い記事を引き出すのに最適な方法を見つけてください。 引用検索 キーワード検索だけで思うように文献を見つけ出すことができない場合には、引用文献を検索するのが効果的です。特定の分野における重要な論文であれば、後続の研究者たちはその論文を参照しているものです。引用されている文献を検索すれば、研究のヒントだけでなく、自分の研究論文に引用できる論文がヒットすることもあるでしょう。この方法は、先行研究をリストアップする上でも有効な手段です。本当に重要な論文は被引用数も多いため、「AND検索」で絞り込んだり、より狭めた分野で引用されている文献を探し出したりするといった工夫が必要かもしれません。 抄録誌・文献データベース 抄録誌や文献データベースを利用すれば、最新の文献情報を短時間で入手することが可能になります。例えば、米国化学会(ACS)の下部組織であるChemical Abstracts Service(CAS)が発行している化学および関連分野の文献抄録誌であるChemical Abstracts(CA)や、世界の化学および関連する科学分野の出版物(学術雑誌、学会会議録、学位論文など)を収録しているCASのデータベースCAplusを利用すれば、最新情報を効率良く収集することができます。Chemical Abstractsデータベース版には検索時に役立つ統制語や化学物質名、CAS登録番号をはじめとするさまざまな索引情報が登録されていますし、収録データをオンラインで検索できる「CAS SciFinder」の利用も普及しています。検索した論文をすべて読んでいたのでは時間がいくらあっても足りません。まず、論文の重要な部分を抜き出した抄録や要旨を読んで全体像を把握し、精読が必要な論文を絞り込むといった作業の効率化に抄録誌や文献データベースを活用しましょう。…

【2021年7月更新】研究者に役立つオンラインツール

*本記事は、2018年11月に掲載された「研究者に役立つオンラインツール 10選」の内容を更新してお届けするものです。 研究者とは、得てして多忙なものです。そんな研究者に役立つオンラインツールは年々進化し続けています。特にコロナ禍で物理的距離を取りながら研究を行い、研究者間での情報共有を維持する必要性に迫られた今、学会などの会合もオンラインで開催されるようになっており、オンラインツールの活用がますます浸透してきています。 ここでは研究活動の効率化に役立つツールを5つの機能に分けて紹介します。 文献管理 論文を執筆する際、文献情報を収集し、整理・管理を行うのは手間暇がかかるものです。多くの文献管理ツールには、収集した論文の全文を保存するだけでなく、参考文献リストを作成、保存し、メモや注釈を付けたりする機能があります。文献管理ツールによっては、引用文献リストをカスタマイズして簡単に出力するだけでなく、グループを設定してその中で情報共有することが可能なネットワーク機能も有しており、これらの機能は、論文やレポートを作成する際に役立つことでしょう。 Mendeley: https://www.mendeley.com/ Zoteto:https://www.zotero.org EndoNote: https://endnote.com RefWorks: https://www.refworks.com 文献管理ツールには、個人で登録しなくても契約のある所属機関の構成員であれば使えるものもあるので、自分の所属機関がどのツールの法人登録を持っているかを確認してみると良いでしょう。また、分野によって多少差がある場合もあるので、同じ分野の研究者の意見も聞きながらツールを選ぶことをお勧めします。 文献検索・索引リソース 大量の学術論文を検索するには、入力されたキーワードの検索結果を関連度の高い順にリストアップしてくれる検索エンジンの利用が不可欠です。誰でも無料で使えるものもあれば、登録が求められるもの、有料のものなどもあります。…

AI研究の現状と日本のAI戦略

いつの世も技術の発展は科学研究の飛躍的な進歩を後押ししてきました。AI(人工知能)の進歩も見逃せません。近年は世界中、あらゆる分野でAIの導入が進んでいますが、昨年のConsultancy.asiaの記事(記事へのリンクは後述)に、日本企業のAI導入が米中より抜きん出ていると掲載されていました。とはいえ、一方では日本全体のIT化の遅れの深刻さが指摘されています。今回は、日本政府のAI戦略も含めてAI研究の現状を探ってみました。 AIツールの浸透が学術研究を後押し 今やAIツールは研究活動に不可欠な存在となっています。研究者自身が膨大なデータを分析するために四苦八苦するのではなく、AIを含めた新しい技術を駆使することにより、効率良く研究を推進し、科学研究のさらなる発展と新たなレベルへの引き上げにつながっているのです。具体例を挙げれば、研究論文発表数が急増し、年100万本近い論文が発表されているとも言われる中、研究者は効率良く文献を検索するために検索機能を活用しています。膨大な情報(論文)の中から必要な情報を検索、フィルタリング、コンテンツの抽出を行うことを可能とするAIを搭載した最先端のツールの利用は、もはや必須となっています。研究に関連するキーワードなどを入力するだけで関連する論文を見つけ、さらにその論文の著者の他の論文まで検索できる機能は、研究効率を上げるのに大いに役だっているのです。 学術出版側にとってもAIは力を発揮しています。ツールを使い査読段階で論文に盗用・剽窃などの不正がないかを検出することが可能となっています。AIツールは人間のようなバイアスを受けにくいので、データを読み込ませて有益な結果を探し出すような客観的な分析・検出を行うにも適しています。 このようなAIツールの助けにより、研究者は研究のより本質的な部分に注力することができる時代となりました。多くの研究者が文献調査や検索などの単純作業に要していた時間を研究に費やし、生産性を向上させることができるようになっています。技術革新によって生まれたAIが、さらなる発見、イノベーションの発展につながるだけでなく、研究プロセス自体の底上げ、スピードアップを可能にしているのです。 社会生活にも浸透するAI AIを利用した研究成果は、さまざまな分野における新しいサービスとなって展開されています。この点では、企業の高い技術開発力も鍵となっています。画像認識・画像分析、音声認識、自然言語処理・機械翻訳、ビッグデータ解析などは、すでに日常生活に浸透しており、企業はさらなる開発を進めています。昨今話題の自動運転システムには画像認識の技術が、iPhoneのSiriやAmazonのAlexaなどの音声アシスタントには音声認識の技術が活用されています。コロナ感染拡大防止の緊急事態宣言下での外出状況把握は、通信会社がスマホの膨大な位置情報データを分析したものです。AIの利用は急速に拡大しており、これからも新たな活用法や事例が生み出されることでしょう。 日本のAI導入が米中を凌ぐ?! 2020年10月にConsultancy.asiaに掲載された記事には、米中と比較しても日本企業のAI導入がかなり進んでいると書かれています。これは米国に拠点を置く調査会社ESI ThoughtLabがコンサルティング会社などと共に15カ国、1,000社以上の企業を対象に行った調査をまとめたものです。マイクロソフト、グーグル、その他のシリコンバレー企業の躍進により、アメリカがリードしていると見られるのが一般的ですが、その米国をも凌ぎ日本がAI導入においてトップに立っていることが驚きと共に示されています。順位としては日本がトップ(24%)で、米国、英国、シンガポールが同列二位(18%)で続いています。AIの推進は日本が目指すSociety5.0(ソサエティ5.0)の中核を成すものであることから、AI導入を後押しする日本政府の姿勢もこの結果に影響していると見ています。また、日本企業がリターンを生み出すのに時間を要する、つまり現時点ではまだ投資収益率(ROI)の低いAIに対しても投資をする流動性を有していることにも注目しており、いくつかの要因が重なって日本のAI導入率が高くなったと記しています。実際、世界中のあらゆるAIへの投資の40%は利益を得るまでに至らず、利益が得られたとしてもその数は少なく平均で1%程度しかありません。AIはツールなので、導入規模が大きくなればそのメリットは高まり、ROIを引き上げることが可能とはいえ、企業がAI投資の元を取るには平均で17ヶ月を要するのが一般的としています。 この調査では上位に位置づけた日本ですが、コロナ対策において日本の現代社会の構造的な弱さ、デジタル化・IT化の遅れが露呈することとなりました。では、日本のAI戦略、Society5.0とはどのようなものなのでしょうか。 日本のAI戦略 日本政府は、日本が目指すべき未来社会の姿として「Society5.0」を提唱しています。これは、AIや5Gなどの最新技術を活用することで便利な社会を実現し、人々が快適に暮らせるようにすることを目的とするものです。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させるシステムを構築し、経済発展と社会的課題の解決を両立させることを目指すSociety5.0の実現には、技術基盤となるAIの研究開発および投資の推進が必要です。そこで政府は、2019年6月にAI政策における基本方針「AI戦略2019」を公表しました。この戦略は、AIの多様性と可能性を認識した上で、今後のAIの利活用の環境整備・方策を示すものであり、基本理念として①人間の尊厳が尊重される社会、②多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(インクルージョン)、③持続性ある社会の3つを定め、そのもとに「人材の育成」「産業競争力の強化実現」「技術体系の確立」「国際的なネットワーク構築」の4つの戦略目標を定めています。 Society5.0の実現には、研究開発、データ、人材という3つの要素が不可欠ですが、日本も他の国々と同様、AI関連技術の専門技能を有する人材の不足という課題を抱えています。長期的には、学校教育にプログラミングを導入するなどの教育制度改革や、学習環境作り(ネットワークインフラの整備やタブレット端末の配布など)、既存の労働力の活用を促進しようとしています。Society5.0の社会が新技術を活用して都市や地域の抱える社会課題を解決し、自然との共生を目指す持続可能な社会を目指すものであることから、国連が採択したSDGsの達成にも貢献するとして、官民を含む多くの機関や企業が取り組んでいます。 Society5.0の実現に向けて、安心してAIが活用できるようにするための原則の整備やプライバシー保護、セキュリティ対策が急務であるとともに、技術開発に必要なリソース(資金・人材)の投入、研究開発の拠点となる大学や研究機関の研究力再生が急がれています。…

サイテーションインデックス(引用検索)SCIE

クラリベイトの提供するScience Citation Index(SCI)とScience Citation Index Expanded(SCIE)は同じなのか違うのか?何が違うのか?という疑問が寄せられたので、この2つについて見てみます。 SCIとSCIE Science Citation Index(SCI)は、もともとInstitute for Scientific Information (ISI)によって作成され、現在はクラリベイト(旧トムソン・ロイター)によって管理されている科学技術分野のサイテーションインデックス(引用索引)で、学術界の実績評価基準として活用されてきました。 Science…

盗用・剽窃チェックツール iThenticate を使いこなそう

今回は特別に盗用・剽窃チェックツールiThenticate(アイセンティケイト)の専門チームによる解説をお届けします。 iThenticateは、影響力の高い学術雑誌(ジャーナル)の93%をカバーしており、その数は約7千万本の購読契約、1.3億本以上のオープンアクセスで公開されている学術論文や著作物に及びます(2020年12月時点)。さらに700億以上の現在公開中およびアーカイブ済のウェブページも網羅する膨大なデータベースと照合することで、盗用や剽窃の可能性を検証するオンラインツールです。研究論文や書籍だけでなく、ネット上の情報まで網羅的に検索することで、投稿論文の独自性を検証することができます。研究者は、iThenticateを使って盗用や剽窃と見なされるような記載がないかを事前に確認することができるので、出版できるかできないか先の不安な出版プロセスにも自信をもって望むことができます。学術出版において、いかにiThenticateが有用かをみていきましょう。 学術研究者には今でも「Publish or Perish(出版か死か)」のプレッシャーが重くのしかかっています。研究者としての評価やキャリアを進めるかどうかの見極めは、論文出版能力に大きく依存していると言っても過言ではありません。しかし、学術出版のプロセスはとても複雑で、出版できる見込みは不透明な上、出版にはリスクも伴います。些細なミスが、研究者のキャリアに大きな汚点となったり、研究者個人だけでなく所属大学または研究機関の評判を落としかねないことになったり、あるいは研究資金の調達に影響を及ぼすことも考えられるのです。 2020年は、コロナ禍で研究活動が停滞していたとはいえ、多くの政府出資および民間財団による研究資金の提供は継続されています。オープンアクセスの広がりにより研究者が論文を出版できるチャンスは増えるとも言えますが、論文数の増加スピードに追いつくほどではないことを踏まえれば、学術出版における競争は厳しくなると予想されます。実際、科学技術振興機構(JST)の経営企画部エビデンス分析室が行っている分析で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関連論文数の発表件数が2020年1月以降急増し、年後半になっても依然として増加傾向にあること、さらに論文引用数も増え続けていることが判明したと発表されました。今後も発表論文数はますます増えていくことでしょう。 このような状況の中で学術論文を発表する研究者は、研究作業の初期の段階からあらゆる手段を使って投稿論文が盗用や剽窃となってしまう可能性を排除し、自分の研究成果が分野に貢献できるように努めなければなりません。そこで活用すべきものが、盗用・剽窃チェックツールです。 世界中の研究者が自分の研究の独自性を検証するためにiThenticateを信頼し、利用しているのには理由があります。 大手出版社が標準的なスクリーニングと査読プロセスでiThenticateを利用している。 研究者にとって、大手学術出版社のElsevier(エルゼビア)、Taylor & Francis、Nature、Springer(シュプリンガー)、Wiley-Blackwellや、学位論文のデータベースProQuest Dissertations and Theses(PQDT)、などが採用しているのと同じツールを利用することで、同じコンテンツにアクセスできることのメリットは大きい。…

学術ジャーナルの検索データベースを使いこなそう

共同学術研究や分野をまたいだ研究が増えるにつれ、世界中で行われている重要な研究が迅速に利用できるようになることが求められる中、学術データベースの利便性への要求が高まってきました。論文や学術雑誌(ジャーナル)を探したい研究者は効率よく検索したいと思いますし、研究論文を発表しようとしている研究者は、認知度の高いジャーナル、あるいは自分の研究内容に最適なジャーナルを探し出したいと思っています。主要なデータベースにはインデックス(索引)が付与され、検索しやすいようになっていますが、インデックスの付け方はジャーナルの信頼性、拡散力、評価にとって重要であり、最終的にはそのジャーナルの影響度を示すIF(インパクトファクター)だけでなくそのジャーナルに掲載されている論文の引用率などにも影響を及ぼすことになります。 インデックスの重要性 インデックスとは、収録されている多数の論文から特定の対象を素早く探し出すための識別情報などを固有の原則やルールに従って付与するものです。一般的には、データベース固有の基準やルールに準拠したインデックス化が行われ、特定の機関や出版社が慎重な情報収集・整理の後に選出したジャーナルにインデックスを付与した後にデータベースに収録されます。インデックスは、出版倫理を維持し、論文の信頼性、可視性を高め、さらに読者数を増やす助けとなります。インデックスを付与されPubMed、Scopus(エルゼビア)、Web of Science(クラリベイト)、EBSCO、Google Scholarといった評判の高いデータベースに収録された論文・ジャーナルは、幅広い読者に読まれ、影響力を高めることができるのです。 Institute for Scientific Information (ISI) が学術雑誌に関する最初のサイテーションインデックス Science Citation Index…

コロナ禍での研究再開に向けたチェックリスト

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは、学術界に予期せぬ大混乱をもたらし、学術出版システムや実験室における作業プロセスは大きな変更を余儀なくされました。世界は徐々にこの状態に適応しつつあり、研究活動も再開され始めています。しかし、感染を防ぐために物理的な距離をとらなければならないならない中、研究者の間の競争力を保ちながら、研究の生産性を維持することについて懸念が高まっている状況です。研究および研究室の管理に関するあらゆる物事を喫緊に再考する必要性に迫られていると言っても過言ではありません。 COVID-19パンデミックの状況下でも研究室での作業を続けていますか?もしくは、自宅待機で研究が中断したままですか?エナゴはパンデミックにおける研究室の再開と機能についての世界的な調査「Enago Global Survey on Research Labs」を行っています(期日2021年1月31日まで)。回答所要時間は3-5分程度ですので、よろしければご参加下さい。 前例のない中断状況から円滑に研究活動を再開させたいと考えているのであれば、この記事の下部に掲載したチェックリストを参照して準備を進めることをお勧めします。研究再開に向けた前向きな計画を立てるのに役立つとともに、COVID-19パンデミック対策にも役立つことでしょう。 あなたの研究室はコロナ禍でも働ける環境ですか? 研究者は自分の研究室に戻って研究を再開したいと切望していることでしょう。出勤時間をずらした作業スケジュールを組むなどして段階的な再開に向けた検討を進めている研究室もあります。研究室での作業を再開するには、十分なスペースが確保された上で、安全基準に準拠していることが重要です。 まず、重要度や状況に応じて優先すべき研究や実験を特定することが不可欠です。指導教官とシニアラボマネージャーらは、研究業務のどの作業が自宅からでも効率的にできるかを慎重に評価しなければなりません。作業を振り分けることによって、社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保ちつつ、自宅では作業できない研究者が研究室で作業できるようにします。研究責任者(PI)は、久々に研究室での作業を再開する際に感じるかもしれないストレスや不安を念頭におきつつ、作業スケジュールを決めていく必要があります。コロナ禍のような不確実な状況下では、研究メンバーやスタッフの減少による遅延を防ぐためにも慎重に研究計画を作成しておくことが重要です。また、ラボマネージャーは、研究室のメンバーが必要に応じてサポートを受けられるように、メンバーが担当する作業やクロストレーニング(研究スキルを高めるための補助的なトレーニング)の割り当てを再考慮することが求められるかもしれません。 さらに、ロックダウンや移動制限処置がサプライチェーンにも多大な影響を及ぼしていることにも注意しておかなければなりません。特に、医学やヘルスケア関連の研究は厳しい状況に置かれているかもしれません。入手が難しくなる試薬や消毒薬、個人用保護具(PPE)といった消耗品、そのほかの実験機器を計画的に入手することが賢明です。 研究者は、予期せぬ緊急事態によって再び研究室での作業実施に規制がかかる場合に備えて、あらゆる研究再開手順をどちらの状態にも対応できるように心に留めておくべきでしょう。 パンデミックの渦中で作業を行う研究者のための予防策 コロナウイルスは感染力が高いため、感染が収まらない現状では研究室および研究者を感染から守り、安全を確保することが最優先です。そのためには、研究従事者全員が、感染の拡大リスクを最小限に留め、表面汚染を防ぐための処置を慎重に講じる必要があります。研究室に入室する前にコロナ感染リスクに関する適切な自己評価を行うことで、自身と同僚の安全を守らなければなりません。…

コロナ禍でも学術研究を続けるために

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、世界の多くの国ではロックダウン(都市封鎖)や外出禁止となりました。国によって多少の差がありますが、多くの大学や研究機関が閉鎖され、研究者は予定していた調査や実験を継続できず、多くの学会も開催できなくなりました。感染拡大が収まって移動制限が緩和されたとしても社会的距離またはソーシャルディスタンス(Social distance)を取るように求められる中、どのように学術研究を進めればよいのでしょうか? ソーシャルディスタンスを保ちながら研究データ収集する ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics and Political Science, LSE)のAdam Jowettは、社会的距離戦略下でも研究者がデータを集めるための方法は幾つかあるとした上で、データ収集が不可だから研究計画を再検討すると言い出す前に、別の調査方法が倫理的に可能かを考えるように示唆しています。 多くの研究者は、データの収集中断や、研究計画の再検討を余儀なくされています。特に、対面でのインタビューやフォーカスグループへの調査、フィールドワーク(現地調査)などによってデータを収集することが一般的な定性的研究では、進め方の変更が必要なものも出ていることでしょう。オンライン経由でデータを集めたり、既存のテキストデータを収集したりする方法としては、社会学者であるVirgina Braun、Victoria Clarke、Deborah…