研究を推進する

論文をわかりやすくする 画像作成 の10のポイント

学術研究論文に画像や図表を掲載することは、研究成果を簡潔かつ視覚的な方法で伝えるためにたいへん有用です。ほとんどの学術ジャーナルは、画像や図表の掲載方法について投稿規定内で指定しています。論文を作成する際には、その指示に従う必要があります。 例えば、画像や図表を挿入するときには、本文中で必ずその図表を言及しておく必要があります。そのために図表に番号を付けておくのですが、この番号も論文全体の通し番号にするか、章ごとにするか、統一しておかなければなりません。また、自分で作成した図表とは別に、必要に応じて他の文献から図表を引用する場合には、その出典情報(論文名、著者名、出版年、掲載されているページなど)を記載しておかなければなりません。最近の論文ではデジタル画像を挿入することも増えていますが、画像の解像度やファイル形式などにも注意が必要です。 このように、論文に掲載する画像や図表を準備するには細かいルールがあり、かつ研究内容をわかりやすく伝えるためにはコツが必要です。論文に掲載する画像を作る時に覚えておくべき重要なポイントをご紹介しましょう。 6について補足を。時間をかけて作成した画像をいざ印刷してみたら「あれ?」となってしまったことはありませんか。画面で見るのと紙面で見るのとでは印象が異なるはずです。図の大きさや配置、解像度、画素数など細かいところに注意しないと、期待するような効果が得られないことになってしまいます。最近はオンラインで読める学術ジャーナルが増えていますので、画像をよりきれいに作ることが求められつつあります。 各ジャーナルによって画像に関する投稿規定は多少異なりますが、共通する主な項目を記します。 ・サイズ:幅の指定 ・解像度:写真などの画像は300dpi以上だが、模式図などや文字を含む場合の解像度は異なる場合があるので規定を確認すること ・色:RGB形式、または、CMYK形式 ・文字(フォント):キャプションやタイトルに付ける文字のフォントやサイズ ・ファイル形式:TIFF、PDF、EPSなど デジタル画像の処理が簡単にできるようになったことで、画像に関する不正なども取りざたされるようになりました。必要な修正を加える場合でも、誇張やごまかし、実験結果の理解に誤解を与えるような作為的な編集を行うことは許されません。不適切に処理された画像によって実験結果や結論に誤った印象を与えることは、避けるべきです。 図表はどのような形であれ、わかりやすく、確実に正しいメッセージを伝えるように作成しましょう。

間違いやすい用語や表現 ー based

過去分詞「based」の誤用を度々見かけます。ここではその典型的なものを検討します。 過去分詞およびそれが導入する過去分詞句は、必ず形容詞の機能をもち、名詞とその相当語句のみを修飾しうる語句です。しかし、日本人学者による論文では過去分詞が副詞として用いられているという文法的な誤りをよく目にします。 以下を見てみましょう。 [誤] (1) We performed this experiment based on the method introduced in…

文献レビューを書く時に重要な10のポイント

*本記事は、2018年5月に掲載された「文献レビューを書く時に重要な10のポイント」の内容を更新してお届けするものです。 文献レビューとは、特定のテーマに関する研究論文などの著作物の概要や評価をまとめて記述するものです。論文の一形式として知られており、いかなる分野の学術研究においても、研究者が特定の研究テーマに関する先行研究の論文を把握したり、研究分野に関する知識を収集したりするのに役立つものです。 文献レビューは、それ自体で単独の論文として公表することも可能です。序論、方法、本論、考察と結論、最後に引用(参考)文献リスト(Reference)といった章立てで構成され、ほぼ論文と同じ要素を盛り込む必要がありますが、よりよい文献レビューを書くには、構成の他にも留意すべき点がいくつかあります。該当分野の研究を広く網羅しつつ、執筆者の独創性(オリジナリティ)があり、かつ、わかりやすく書かれた文章であることが求められるのです。 ここでは、研究者が文献レビューを論文形式で書くときに押さえておくべき重要な10のポイントを紹介します。 1. 対象テーマの学術論文の調査を行い、先行研究を広く網羅する。 文献レビューは特定の分野における文献を評価するものです。対象とするテーマについての研究の進展状況を把握したり、先行研究の傾向と内容をつかみ問題を解決する、あるいは、まだ解決していない問題、明らかになっていないことなどを指摘したりするため、先行研究を広く網羅しておく必要があります。 近年は分野を跨いだ研究も活発化していることら、直接的に関係しないように見える他分野に対象テーマに関連する文献が潜んでいる可能性もありますので、範囲を限定せずに広く網羅することも大切です。 2. 参考文献管理ツール(Mendeley Desktopなど)を用いて出版済み論文の調査時間を節減する。 対象とする研究テーマに関する先行研究を徹底的に調べて分析することが必要です。先行研究を探す際には、Mendeley Reference Manager for…

検索キーワード選定が論文の閲覧数を決める!

膨大な時間をかけてまとめた研究論文、どうせならより多くの人に読んでもらいたいですよね。そのためには、内容をインターネット上にアップするのが最も効果的です。ただし、SNSやサイトにただアップするだけでは、大きな効果は見込めません。Googleなどの検索エンジンで、自分の研究論文をいかに目立たせるか、つまり検索結果の上位に持ってこられるかが鍵となります。検索エンジン最適化(SEO対策)を実践することで、あなたの研究論文に圧倒的な注目を集めることができるかもしれません。 ■ 膨大な検索対象データ 何か調べ物をしたいとき、私たちはGoogleなどの検索エンジンにキーワードを入れて調べることでしょう。研究者の場合は、研究関連の情報を検索する際に、学術系に特化した検索エンジンを利用することが多いようです。例えばPubMed。世界の主要ジャーナル、書籍、MEDLINE(1946年以降の学術誌に掲載された医学文献を蓄積したデータベース)に掲載された700万点もの医学系論文を検索し、該当論文の収録先に関する情報、要約、引用数まで調べることができます。また、Google Scholarは、検索キーワードに関連する論文を一覧で表示できます。 ただし、一般的な検索エンジンであれ学術系の検索エンジンであれ、検索対象となるデータは膨大です。これらの中から皆さんの研究論文を、一体どうやって見つけてもらえばいいのでしょうか。 ■ SEO対策の進め方 検索エンジンで自分の論文を見つけてもらうための策として、研究論文のタイトルと本文にキーワードを入れ込んでいくのが有効です。該当するキーワードが検索されたときに、そのワードを含む論文を検索結果の上位に表示させるようにするのです。キーワードを選択する際は以下のポイントに注意しましょう。 1.論文のコンセプトを伝える言葉をキーワードとする 2.論文の件名やアブストラクト、見出し、図表、図表などの説明文すべてにキーワードを入れ込む 3.タイトルは端的に最低限の文字数に抑える 4.キーワードはよく検索に使われている語(検索ボリュームの多い語)を選ぶ 5.ウェブサイトやソーシャルメディアなどへのリンクをつける 6.3~4つのキーワードを選び、類義語も含め論文内に入れ込む 7.キーワードに人名や書籍名、認知度の高いイベント、特定の歴史的出来事または重要な言い回しなどを用いる場合は、正しく表記する このように「キーワード」は、まさにSEO対策の「キー」となるものです。では、どのように決めればいいのでしょうか。…

間違いやすい用語や表現 ー動詞「set」の誤用

「to be」との誤った併用 日本人学者が書いた論文において動詞「set」が誤用されていることを度々目にします。ここでは「set」の一つの典型的な誤用を考察します。 以下を見てみましょう。 [誤] (1) Here, x is set to be positive. [誤] (2)…

デジタルライブラリーCiteSeerXの進化は続く

インターネットを介して無料で利用できるデジタルライブラリーは、いまや研究者にとって欠かせないツールです。その内の一つであるコンピューターおよび情報科学分野の学術文献のデータベース兼検索エンジンである『CiteSeer』がCiteSeerX(β版)としてリニューアルされてから10年。今も進化を続ける同ツールの有用性をあらためて見てみましょう。 ■ CiteSeerとは そもそもCiteSeerは、1998年に公開された、コンピューターサイエンスと情報科学を中心とした科学文献のデジタルライブラリー兼検索エンジンです。CiteSeerはそれまでのオンライン検索の概念を覆す画期的なもので、世界で初めて自動で引用文献のメタデータ化とインデックス化を行い、論文同士の関連付けを行ったのです。これによりユーザーは、著者名、キーワード、ジャーナル名から条件に関連する検索ができるようになりました。検索結果には、論文の本文だけでなく、参考文献内の情報も含まれます。さらにCiteSeerはPDFやHTMLファイルもクローリングの対象としており、後続のGoogle Scholarなどの学術オンラインツールの礎となりました。 ただし、CiteSeerがクローリングの対象としている論文は、著者が直接CiteSeerにアップロードしたものか、著者のウェブサイトに掲載しているもののみでした。また1日に扱える検索数も限られていましたが、これが2008年にリリースされたCiteSeerXで、機能が拡張されます。1日の対応検索数は150万件、インデックス化できるドキュメント数は75万件に達しました。 ■ CiteSeerXでパワーアップした機能 他にもCiteSeerXでは、いくつかの機能が強化されています。 ・被引用数統計 検索結果には、該当する論文が他の著者に参考文献として引用された回数が表示されます。また、論文がどのように引用されたのかも詳細に確認することができます。要約やキーワード、全文のPDFを参照することもできますし、興味のある他の論文のリンクをダウンロードすることもできます。 ・検索機能 フルネーム、名前の一部、イニシャルでも著者名を検索できます。出版の時期や出版社、著者の所属機関など条件を指定して、検索範囲を狭めることもできます。文中に記載された表やキャプションなどの検索も可能であり、かつ指定した単語が文中にどれだけ近接して出現するか、つまり言葉の位置関係を指定して検索できる近接検索(proximity search)や、複数のキーワードをAND,OR,NOTといった半角の記号を使って演算式で検索するブーリアン検索も可能です。 ・パーソナルサービス CiteSeerXは無料で利用できますが、アカウントを作成すれば、さらにパーソナルサービスを利用することもできます。具体的には以下のような機能です。 ‐…

論文引用の仕方で絶対に抑えておくべきポイント

論文の著者にとって、自分の書いた論文が他の研究者の論文に引用されることは、論文の影響力が上がるという意味で喜ばしいことです。反対に、自分の論文の中に他者の論文を引用することも多々ありますが、この時に注意しなければならないのが、引用の仕方です。 「引用」とは、自分の文章の中に他者の文章や事例を取り込むことです。筆者自身が考え出した文章または見解、あるいは一般常識以外の記述はすべて引用となり、典拠(引用した資料)を脚注に記すか、引用文に引用符を付けるかなどして、自分の考えとは別のものであることを明示する必要があります。 これを怠ると盗用・剽窃とみなされ訴訟にも発展しかねず、研究者としてのキャリアを損ないかねません。そうならないために、正しい引用の仕方を抑えておく必要があります。今回は参考文献の記載の仕方と、よく用いられる引用方法についてまとめます。 参考文献の引用の仕方 3種類 論文中に他人の著作物から得た情報を記す場合は、該当する情報が引用・参照であることを本文中に示し、かつ論文の最後に参考文献としてリスト化する必要があります。 1.本文中に記載する 論文の本文中に、引用文献があることを示す数字か、または引用文献の情報を括弧で記載します。学会や学術ジャーナルによっては、参考文献の数字や著者名、出版年数などの書き方を示したスタイルガイドがあるので、これを参照しましょう。参考文献のリストは、論文末尾に、数字順またはアルファベット順に掲載します。 タイリクオオカミは、かつては北米大陸中で見られた肉食動物であった。5(本文中には数字のみ記載する) タイリクオオカミは、かつては北米大陸中で見られた肉食動物であった(Smith,1970)。(本文中に著者名と発表年まで記載する) 最初の例は、アメリカ医師会のスタイルガイド(AMA Manual of Style)によるものであり、2番目の例は、アメリカ心理学会(APA Style)によるものです。…

論文英語の組み立て-能動態と受動態 I

能動態と受動態I: 動詞の種類による3つのケース I. 概略 学術論文において受動態の間違った使い方が原因となっている誤りを度々目にします。ここでは、受動態文の作り方を検討します。 日本語と違って、英語では、受動態は他動詞の場合にのみ可能です。なお、他動詞にも数種類あり[1] 、受動態文の構造に関しては他動詞の種類によって3つのケースがあります。つまり、1)動詞が直接目的語しかとらない単一他動詞、2)直接目的語と間接目的語をとる二重他動詞、3)直接目的語と意味的間接目的語をとる二重他動詞となっている場合において受動態文の作り方はそれぞれ異なるわけです。以下で各ケースにおける構造を明らかにします。 II. 例文 IIa. 受動態文が能動態文と同じ状況を表す場合 まず、以下の例を見てみましょう。 1)単一他動詞 能動態: [正] (1a)…

論文英語の組み立て-自動詞と他動詞

I. 概要 一般的な言語学現象として、 動詞 は、表す動作や状態において異なった立場にある複数の参加者が存在するかどうかによって二種類に分かれます[1] 。動作・状態の主体である参加者のみ存在する場合に使われる動詞は「自動詞」(intransitive verb)と言い、対象(客体)も存在する場合は「他動詞」(transitive verb)と言います[2] 。他動詞はさらに「単一他動詞」(monotransitive verb)と「二重他動詞」(ditransitive verb)という二種類に区別されます [3]。統語論的には、示される動作・状態における参加者を表す項が、前者では2つ(主語と1つの目的語)、後者では3つ(主語と2つの目的語)あります。英語では、単一他動詞は1つの直接目的語をとり、二重他動詞は直接目的語に加えて間接目的語、あるいは間接目的語と同様の役割を果たす前置詞の目的語をとります[4] 。(ここでは、間接目的語と同様に機能する前置詞句の目的語を「意味的間接目的語」と呼ぶことにします。) 例文を見てみましょう。 [正]…

間違いやすい用語や表現 - 不要な「of」

「の」の誤訳が原因となっている「of」の誤用を度々見かけます。その中でも特によく見られるものとして、以下に例示する誤用があります。 [誤] (1) Here, the condition of v > 0 is important. [正] (1’) Here,…