論文投稿の基礎知識

英文校正の役割と効果-論文のレベルアップを図る

学術論文の投稿準備は緊張の連続です。査読者の高い期待、投稿先ジャーナルの細かいガイドライン、教授の厳しい視線などのプレッシャーの下では、たった1つミスが、それまでの懸命な努力と素晴らしいアイデアに影を落とすことになるかもしれないと思うと冷や汗が出てくることでしょう。そんな時は、英文校正という強力な助っ人を是非活用してみてください。 深い洞察に基づく研究内容・成果が、スペルミス・文法などの間違いや書式の乱れもなく、きれいにまとまった論文を投稿するところを想像してみてください。これを実現するためには英文校正が重要な役割を担っています。この記事では、英文校正の重要性や、校正を依頼または自分で行う際に考慮すべき点をまとめました。 英文校正とは何か 英文校正とは、原稿の最終化や投稿に先立ち、書かれた文書に誤りや矛盾がないか、改善点がないかなどを注意深く確認する作業のことです。この重要なプロセスでは、スペル、文法、句読点、書式、誤字脱字、コンテンツの全体的な表現などを精査し、正確さとわかりやすさを最大限に追求します。 英文校正の本来の目的は、論文の質を高め、文章の誤りを訂正し、矛盾の入り込む余地をなくすことにあります。内容を効果的に伝え、すべての文章を文法的・構文的に正しく記すことで、読者との明確なコミュニケーションを目指します。さらに、英文校正を行うことで、一流の学術雑誌(ジャーナル)に投稿・受理されるような原稿に仕上げることができます。 英文校正の種類 学術論文の校正:学術論文、学位論文、卒業論文、研究論文などの校正。このタイプの英文校正には、適切な引用書式で書かれているかのチェック、参照スタイル(APAやMLAなど)の遵守、参照文献や参考文献の正確性の確認、適切なスペル規則(イギリス英語またはアメリカ英語など)、図表の書式要件のチェック、用語や言語の一貫性の確認などが含まれます。研究者は論文の品質と言語的正確性を確保するための支援を必要とすることが多々有り、学術論文の英文校正サービスには高い需要があります。高品質の言語編集および校正ソリューションを提供するサービスでは、高度な専門知識を持つ専門の校正者が、学術論文や科学論文の原稿に磨きをかけ、明瞭性、正確性、効果的なコミュニケーションを確保するお手伝いをします。 翻訳校正・二言語校正:翻訳校正または二言語校正は、翻訳されたテキストの正確性と品質を綿密に確認し、保証することに焦点をおいた校正です。この校正では、翻訳されたコンテンツを原文と一緒に精査し、意図された意味やメッセージが正確に表現されているかを確認します。熟練した校正者は、両言語を深く理解し、一般的な翻訳上の問題や間違いやすい言い回しに関する知識を持っていることが求められます。ソース言語からターゲット言語への文法規則の誤った適用などのエラーを特定し、修正することも含まれます。例えば、韓国語ではタイトルや見出しを括弧ですが、英語ではタイトルは通常、太字または下線付きで表示されます。オンライン翻訳校正サービスは、経験豊富な校正者の専門知識を必要としている利用者(個人または法人)にとって、貴重なリソースとなっています。 印刷媒体の校正:定評のある校正の一種で、完璧で視覚的に魅力的な出版物を保証する上で重要な役割を果たします。新聞、雑誌、ジャーナル、書籍出版社など、印刷メディアの校正者は、品質とプロフェッショナリズムの最高基準を満たす、エラーのない、視覚に訴える出版物の制作に貢献します。印刷メディアは、印刷物とオンラインの両方で完璧な外観を維持する必要があるため、余白、テキストのサイズ、間隔、フォントの選択などの書式の細部に注意を払うことが不可欠です。 プルーフリーディング(校正)の重要性 言葉には絶大な力があります。しかし、小さな間違いが大きく文章の意味を変容させてしまったり、混乱を生み出したり、本来の意味・意図が失われてしまったりすることがあります。そこで校正が必要となるのです。校正は、錯綜した文章、もつれたアイデア、誤用された単語を特定し、メッセージを合理化する手助けをします。校正を行うことで文章を滑らかにまとめ、読者があなたの考えを明確に理解できるようにします。特に学術論文の校正は、不可欠なステップです。学術論文の英文校正がいかに重要か、6つの役割を記します。 1.信頼性を高める:学術論文は、研究者の知識、技能、専門性を示すものです。内容の誤りは、研究者(学生も含む)としての信頼性を損なう可能性があります。校正は、原稿を洗練し、ミスがないことを保証し、そこに記載されているアイデアを輝かせ、その分野での権威を確立することを可能にする助けとなります。 2.明快さと一貫性を保つ:学術論文では複雑な概念やアイデアを扱うことがよくあります。英文校正を行うことで、論文の中に紛らわしい言葉やあいまいな表現、ぎこちない文章構造、論理上の矛盾などを発見し、修正することができます。文章の明快さと一貫性を高めることで、読者が論文著者の主張を理解し、効果的に議論を交わすことができるようになります。 3.流れと構成の改善:アイデアの論理的な進行を確認し、段落の一貫性をチェックし、セクション間のスムーズな流れを確保することで、よりまとまりのある、構造化された論文に仕上げることができます。これは、読者にとってより魅力的な読書体験につながるとともに、より効率的に読み進めるのに役立ちます。 4.正確さの確保:学術論文では、特にデータの提示、実験の実施方法、研究結果の分析を正確に記すことが不可欠です。校正を行うことで、原稿を完成・提出する前に、事実の不正確さ、数値の誤り、誤った解釈を特定・修正することができます。細部にまで注意を払うことで、研究の信頼性と妥当性が高まります。…

人間対AI:ChatGPTの英文校正の限界

話題の人工知能チャットボット、ChatGPTは質問に答えることやテキストを生成することに加えて、文章のスペルや文法のミスを検出・修正できます。しかし、ChatGPTを英文校正に利用する限界を知っておくことは重要です。本稿では、ChatGPTでは対応が難しいポイントを洗い出し、人間の校正者との比較を通してChatGPTによる英文校正の限界を探っていきます。 ChatGPTが識別・判断できない点 1- 引用と参考文献の表記方法 論文中に記載する出典の確認、引用や参考文献が適切に表記されているかの確認と統一は時間のかかる面倒な作業ですが、ChatGPTは学術的な記載の適正を判断することはできません。 2- 情報の新旧と重要性 ChatGPTは、インターネット上に公開されている大量のテキストデータを学習し、自然言語処理技術を使用して前処理したデータを出力します。しかし、膨大なデータから情報の新旧を判断し最先端の研究に関連する情報だけを選択的に抽出する機能はなく、その情報の重要性を判断することもできません。 3- 情報の信憑性と使用の権利 上述のようにChatGPTはインターネット上で公開されている情報から学習していますが、その情報が不正に入手された情報でないかやその情報の信憑性は考慮されません。AIが利用しているデータには信頼できない情報も含まれている可能性があるので、その出力情報も見極める必要があります。 4- 専門用語、分野特有の表現 言語処理技術は日々進歩していますが、専門用語や分野特有の用語や表現も増え続けており、全てを掌握することは困難です。それぞれの分野特有のルールや、使用されるスタイルやトーンなどを理解していないと、見落としや誤って書き換えてしまう恐れがあるので、注意が必要です。 この他にも、ChatGPTには著者の文章の根本的な意図を汲むことはできないといった限界があることを忘れてはいけません。ChatGPTは機械的に処理を行うものなので、校正に使用した場合、個性のない平坦な文書に変えてしまいがちです。研究者自身の経験に基づく知見や個性が薄れてしまうことも懸念されます。…

良いリサーチクエスチョンとは?問いの立て方と手順

研究を始めるとき、どこから手を付ければよいのか悩む人も多いことでしょう。研究を行うには、まず、焦点を絞ったリサーチクエスチョン(問い)を考える必要があります。リサーチクエスチョンとは、研究を行うことによって何を求めようとしているのかを問うものです。適切なリサーチクエスチョンを設定しなければ、研究自体が空回りしてしまう恐れがあります。 研究をうまく進めるためには、具体的なリサーチクエスチョンを立てることで、研究の方向性と明確な目標を示します。良いリサーチクエスチョンの特徴を理解することは、新しい研究方法を見つけ出すのに役立ちます。 この記事では、まずリサーチクエスチョンとは何かを振り返り、どのように書けばよいか例題を挙げながら、問いを作成するための手順を概説していきます。 リサーチクエスチョンとは何か 良いリサーチクエスチョンは、研究を定義し、研究を通してどのような答えを探すのか、方向性を定めるものです。リサーチクエスチョンを作成することで、調べたいことが書かれた研究論文を見つけ出し、自身の研究 の目的を明確にすることができます。リサーチクエスチョンの書き方を学ぶことは、卒業論文や学位論文から投稿論文まであらゆる論文を書くための出発点です。また、リサーチクエスチョンは、データの分析と解釈を通じて回答する問題や課題を取り上げるものでもあります。 なぜリサーチクエスチョンが重要なのか 優れたリサーチクエスチョンは、研究の設計だけでなく、研究タイプを決定し、研究目的を特定するのにも役立ちます。リサーチクエスチョンは、あなたが取り組んでいる特定の課題を示し、個々の研究によって得られる研究結果に焦点を当てるものです。研究目的を達成し、最初に掲げた課題に対して回答するために、研究を簡単なステップに分割するのに役立ちます。 リサーチクエスチョンの種類 リサーチクエスチョンは、実施したいと思う研究の性質によって、さまざまな種類に分類することができますが、その研究のタイプによって、最適なリサーチクエスチョンの種類も決まってきます。研究のタイプは、定性的研究と定量的研究に大別されます。 1. 定性的研究におけるリサーチクエスチョン 定性的研究、または質的研究におけるリサーチクエスチョンは、広範な分野の研究にも、より具体的な研究領域にも採用されます。定量的研究の課題とは異なり、定性的研究の課題は調整が可能で、方向性が限定されず、柔軟性があります。定性的研究のリサーチクエスチョンは、発見、説明、解明、探求に焦点を当てるものです。 i.探求的なリサーチクエスチョン この種類のリサーチクエスチョンは、自らの立てた仮説に影響されることなく結果を理解することを目的としています。探求的リサーチクエスチョンの目的は、偏見や先入観を持たずに、あるテーマについてより深く知ることです。 リサーチクエスチョンの例:ある化学物質がどのように使用されているか、あるいは、特定のテーマにおける認識を尋ねるもの。…

研究インテグリティの維持における査読の重要性

研究者A:「有名な〇〇学術ジャーナルに論文を投稿したのを覚えてる?あれ、投稿して1年経つんですけど。」 研究者B:「え、ジャーナルから連絡ないの?編集者か編集アシスタントから何の連絡もなし?」 研究者A:「まだ何も。サイト上ではまだ査読者が割り当てられていないと表示されてるだけ。査読者を見つけるの、どんだけ難しいんだろうね?査読者の割り当てに1年もかかるなんて!」 学術論文を書かないなら研究者として失格とも言われる「出版か死か(Publish or Perish)」のプレッシャーにさらされている今日の科学研究の状況下で、研究発表システムに対する失望や落胆、怒りを感じることは最近になって始まったことではありません。実際にはあまり知られてはいませんが、出版システムに対する研究者の不満の矢面に立たされて、最も批判されているのは査読者です。確かに、研究者が自分達の研究プロジェクトに最大限責任を負うわけですが、学術研究は査読者の見識によって大きく改善されることも事実です。 査読は知識創出システムの中の中核として組み込まれており、質の高い学術研究を確立するためのひとつの手段として見なされています。査読の決定的な重要性にもかかわらず、このことはほとんど理解されていない上、研究バイアスと非難されることすらあります。 この記事では、査読プロセスを理解する上でのギャップに焦点を当て、査読の機能と質を強調することで、査読の社会的影響における深い意味を見直してみます。 研究インテグリティ(研究公正)を維持する査読の存在 査読とは、出版された学術的記録(学術論文)の公正さを維持することを約束するものであり、学術研究の質を保証、評価するためには馴染みのある手段です。研究開発において、重要な役割を果たしており、研究出版システムの意味を明確にする上でも中心的な役割を担っていると認識されています。さらに、査読付学術雑誌(ジャーナル)に論文を出版することは、研究者のキャリアにとって不可欠であり、研究者らの学術的な評判を高め、研究の正当性を与えるものでもあります。 そうした特性にもかかわらず、査読プロセスは日常的に批判にさらされ、さまざまな媒体やSNSでは、査読の発展が不十分であるとか、規模や範囲によって矛盾や重複が見られたり、決定的な結論が出ない結果を生み出すことが多々あると糾弾されています。その上、査読は、学術文献に関連するものと同じようなバイアス(偏見)の問題も抱えています。査読プロセスにおいて本当に危険なことは、査読の価値体系と実務に対する理解の不足にあるのです。 不十分な情報に基づく一般化と、さまざまな見解の間の緊張により、査読プロセスは改革の余地がほとんどない絶対的基準と見なされていますが、一方で、査読は非常に多様で多面的なプロセスでもあります。 査読プロセスにおける査読者の役割 査読者は、その分野の専門家ですが、著者とは直接的な関係がありません。こうした専門家が投稿論文を読んで評価し、フィードバックを作成し、それを編集者が著者に提供します。 査読者は以下のような作業を行います。…

オープンアクセスと従来型の出版、どちらを選ぶか

多くの研究者は、研究発表の場といえば、長年にわたって学術界において一般的であった購読制のジャーナルを思い浮かべます。しかし、著者にとってのオープンアクセス(OA)出版の大きなメリットが知られるようになるにつれ、OAが急速に主流になりつつあります。 ふたつの出版形態には多くの共通点がありますが、その利点は明らかに異なります。どちらが自分に合っているかを判断するために、両方の出版スタイルについて見ていきましょう。 従来の学術出版とは 伝統的なジャーナルは、大学やその他の組織が出版物の購読料を支払い、それにより所属する人がアクセスして情報を閲覧できるものです。通常、大学などの図書館で雑誌の印刷版を探すか、大学や提携機関などを通じて電子版にアクセスします。従来の学術ジャーナルは長年にわたって学術界において唯一無二の存在であったため、現在でもオープンアクセス・ジャーナルよりも権威があると見なされることがあります。 オープンアクセス出版とは 購読制の出版モデルとは異なり、オープンアクセス・ジャーナルには、誰でも無料でアクセスできます。論文著者がOA出版に抱く最大の懸念は、伝統的なジャーナルでは読者の購読料で賄われる料金が、著者側の負担となることです。 両モデルの共通点は? 出版費用の負担という点以外では、OAジャーナルと従来の出版ジャーナルは、以下のような多くの共通点があります。 査読プロセス OA誌も従来のジャーナルも、同じ査読プロセスを採用しています。OA型・従来型に関わらず、定評のあるジャーナルは査読プロセスを明確に定義しており、査読者の名前や資格などの詳細な情報も開示しています。 ジャーナル・インパクト・ファクター(JIF) 従来の学術誌と同様に、OA出版物もインパクトファクター(IF)で評価されています。IFでジャーナルを相対的な重要性に応じてランク付けすることで、研究者はその出版物が自分の研究にどれだけ役に立つかを判断します。 倫理基準 OA誌も購読制学術誌も、利益相反、守秘義務、剽窃チェックなどの倫理に関わる明確な方針など、厳しい倫理基準に従うことが求められます。さらに、どちらのタイプのジャーナルも、出版倫理委員会(COPE)に加入できます。 品質管理…

なぜオープンアクセス掲載料は高い?その価値はあるのか?

膨大な時間を費やして学術論文を完成させ、研究を世界と共有するため、オープンアクセス(OA)誌で論文を公開しようとする際、論文掲載料(APC)の高さに疑問を持つかもしれません。 オープンアクセス出版に掲載料がかかる理由と、それがコストに見合うものかについての考え方について解説します。 OA出版はなぜ高いのか? OA出版の最大の特徴は、読者に無料で研究論文が公開されることです。この出版形態は、ユーザーが定額料金を支払うか、各論文をダウンロードする際に料金を支払うことで論文にアクセスできる従来の方式とはまったく異なります。 OA方式であれ、従来の方式であれ、ジャーナルの出版費用は誰かが負担しなければなりません。オープンアクセスの場合、料金は読者ではなく著者が支払います。 論文の出版に関連する諸経費には、以下のような使途があります。 事務と運営 論文を投稿する際に支払う投稿料の一部は、ジャーナルの運営費に充てられます。 編集と校正 一流のジャーナルであれば、厳密な編集・校正プロセスを経て論文が掲載されます。投稿先が品質保証プロセスを実践しているジャーナルか事前に確認しましょう。 盗用・剽窃のチェック ほとんどのジャーナルの必須要件となっている剽窃チェック。投稿前にも剽窃チェックツールを使って自分で確認している著者がほとんどですが、ジャーナル側でも投稿された論文がオリジナルであり、引用が適切にされていることを確認します。 査読プロセスの管理 同じ分野の研究者から査読を受けていることが、出版後の論文の信頼と評価にとって不可欠です。出版社は、適正な査読者をアサインし査読プロセスの進行を管理しなくてはなりません。 著者が負担する掲載料の額はジャーナルによって大きく差があり、支払いが特に経済的に困難であると証明ができる著者には、掲載料を免除とするOAジャーナルもあります。また、掲載料のかかるジャーナルを選んだ際に、大学やその他の組織の支援制度を通じて補助を受けられるケースもあります。…

オープンアクセス・ジャーナルの種類と選び方

論文を書き終えたら、出版するジャーナルを選び、研究を世界の人と共有する時です。投稿先ジャーナルの選択肢を絞る際、次の点が重要です。完成した研究論文に、誰もがアクセスできるようにしたいか否か。もし無料公開するなら、オープンアクセス・ジャーナルを選びます。 オープンアクセス(OA)出版を選んだ論文は、ほとんどの場合、無料で一般公開されます。これは、従来のクローズドアクセス方式(購読型)のジャーナル出版とはまったく対照的です。 ここでは、それぞれの研究発信に適したOAジャーナルの見つけ方をご紹介します。 OAジャーナル早わかり オープンアクセス方式は、当初は斬新な方式でしたが、今では主流の出版形態となり、学術研究界では当たり前とされています。かつてはクローズドアクセス出版が主流で、読みたい記事は大学図書館などで読む必要がありました。OAは、基本的にアクセスできる人を限定しないので、より多くの読者に素早く情報を届けることができます。 また、OAジャーナルはオンラインでの公開のため、雑誌の同じ号に掲載されるすべての論文の準備が整うまで出版できない紙媒体のジャーナルよりもはるかに迅速な出版が可能です。つまり、クローズドアクセス型の出版物よりも早く研究成果を読者に届けられるです。 オープンアクセス・ジャーナルの種類 オープンアクセス・ジャーナルが普及するにつれ、以下のようないくつかのタイプのOA出版が発展してきました。 メガジャーナル:最小限の論文掲載費(article processing fee)で全文無料公開が可能。査読付きのジャーナルで、扱う分野も広範囲にわたり、短期間で出版できる。 - ハイブリッド・ジャーナル:有料の購読サービスを提供し続ける一方で、著者が論文をオープンアクセスにするかを選択できる。OAを選択した場合、論文の掲載料を支払うケースが多い。 - 遅延型オープンアクセス:公開制限期間中は論文へのアクセスを有料とし、その後サイト上で無料公開する。…

よく練られた研究論文のアウトラインの書き方

研究論文を書き出そうとしているところですか?研究結果を得るための実験に数ヶ月を費やした後、研究室主催者(PI : Principal Investigator)や指導教員から、学術雑誌(ジャーナル)に投稿するための論文を書き始めるように言われたかもしれません。研究論文の書き方について研究仲間や先輩と話して助言をもらっても、どう書き始めればよいのか、なかなか考えはまとまらないものです。 研究論文を書くことは、研究者の多くが頭を悩ませる、手間と時間を要する作業です。いずれは論文を書かなければならないと分っていながら、追い込まれるまで手を付けず、先延ばしにしがちです。そして、インターネットで書き方を検索したり、先輩にアドバイスをもらったりしながら、何度も書き直しつつ何とか論文を書きあげるのです。研究論文を書き上げて発表することは、研究者にとって自分の研究や結果を他者に伝え、理解してもらうためでもありますが、簡単ではありません。 今回は、論文を効率的に書くための助けとなるアウトライン(概要)の作成方法についてまとめてみました。 研究活動において論文を出版する目的は、学術研究を促進し、研究への支援(助成金)を獲得することでもありますが、論文執筆の主たる目的は、自分の仮説と研究データを科学コミュニティに示し、コミュニティが特定の分野における理解を深めるのに寄与することです。研究論文とは、研究の仮説から、プロトコル、方法、結果、結論、そして考察までを網羅する研究プロセスの正式な記録なのです。 だからこそ、しっかりとした構成に沿って書き進める必要があり、そのためにはアウトラインを作成することが重要です。 研究論文のアウトラインとは 研究論文のアウトライン(概要)は、学術研究論文を書く際の基礎になります。アウトラインは、IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)形式に準じて組み立てるのが一般的ですが、論文の種類によって異なることもあります。アウトラインは、読者に対して論文の内容を簡潔に伝えられるよう、以下の項目で組み立てます。 1.…

論文を書籍として出版してみよう-9つのステップ紹介

論文が出来ていればそのまま書籍として出版できると思われがちですが、そんな簡単なものではありません。論文と、書籍として出版するための原稿では、構想から出版に至る過程でさまざまな違いがあります。特定の読者に向けて書かれる論文は、多くの点で書籍とは異なるのです。特定の研究分野に関する自分の論文は、より多くの読者にも興味を持ってもらえるかもしれない―という場合には、論文を書籍として出版することを検討してみるのも良いでしょう。 この記事では、論文を書籍として出版するための手順について解説します。 論文と書籍原稿の違い まず、論文と書籍として出版するのを前提に書かれる原稿の違いを見てみましょう。論文は、研究者が何年もかけて執筆するものです。行った研究について書かれた論文は、学術雑誌(ジャーナル)に掲載・公開されます。しかし、そうした論文の中には、より多くの読者に向けた書籍として出版されるものもあります。論文を書くにも書籍用の原稿を書くにも努力と時間が必要ですし、同じぐらいの文章量を書くことになるとしても、この2つはいくつかの点で異なっています。 論文は常に疑問や仮説から書き出しますが、書籍は冒頭の文章で読者の関心をつかむ必要があります。ざっくりと言えば、論文は問いかけから始め、書籍は答えから始めるということです。 別の大きな違いは読者です。論文の内容はもちろん、形式や言葉遣いは、学術関係者が読むことを前提に書かれています。一方の書籍は、より多くの読者に届けることを意図して、学術界関係者以外の読者にも理解しやすいよう、より分りやすい言葉遣いや形式で書かれます。 役割も異なります。論文は研究活動の成果を報告するものですが、書籍は研究とその研究の社会への影響について読者に関心を持ってもらうための媒体と言えます。 論文は書籍として出版するには 論文と書籍の構成が同じになる必要はありません。そもそも論文と書籍では読者が異なるので、書籍の執筆目的と同様に書き方を変える必要があるからです。書籍を特定のコース(学科)の参考図書にする意図で作成する場合は、そのコースの講義摘要を考慮し、取り上げる題材を決めます。論文は、題材のほとんどを網羅しているかもしれませんが、既存の参考図書や資料とのギャップを埋める必要はあるでしょう。 さらに、ひとつのコースのためだけでなく、焦点が異なる複数のコースの参考図書として書籍を作成したいと考えるならば、読者のさまざまな関心を考慮する必要があります。 ほとんどの論文には、相互参照(クロスリファレンス)、脚注、参考文献一覧が付いています。論文を書籍として出版する際には、専門的すぎる学術用語を使わないようにするとともに、一般的な読者向けに文献一覧を簡略化しておきます。 論文を書籍として出版する際に考慮すべきこと • 書籍を作成する目的と解決を目指す問題 •…

Paper Mill:学術出版に新たな論文不正

Paper Millという言葉を耳にしたことはありますか?ここで話題にするのは、製紙工場ではなく、もっとタチの悪いものです。学術出版におけるさまざまな不正行為が摘発されていますが、「論文工場」とも揶揄される「論文代筆業者(Paper Mill)」による論文の量産に対する疑惑が浮上しています。 学術研究の出版履歴は、研究者としてのキャリアアップ、テニュア(終身雇用資格)獲得、さらに将来の研究プロジェクトへの資金調達にも多大な影響を及ぼします。少しでも多くの論文を出版しなければとのプレッシャーが、研究者を架空の研究論文を購入して出版するといった不正な行動に追い込んでしまうことがあります。データの改ざん、画像操作、査読のでっち上げなどが学術的な不正行為と見なされていますが、このような不正行為の数は増加する一方で、学術出版における大きな問題となっています。研究コミュニティは研究の公正さを維持するべく対策や警戒を強化していますが、研究不正や学術的な不正行為は止まらず、Nature Publishingグループ、Wiley、Taylor & Francisなどの大手出版社で受理された論文からも不正が発覚している状況です。そして、盗用、研究倫理問題、オーサーシップ(著者)に関する問題などに加わったのが、論文代筆業者による組織的な論文の量産という新たな不正です。学術コミュニティは既に対策に乗り出しています。 論文代筆業者とは? 論文代筆と言っても、問題なのは単なる論文の代筆・ゴーストライティングのレベルではなく、依頼に応じて科学論文を作成・販売する違法組織のことです。キャリアアップのため、あるいは昇進の条件を満たすために論文の出版数を必要とする研究者が、このような業者の作成した論文を購入しているようです。このサービスは純粋な商業目的ですので、研究者はすぐに投稿できる状態に仕上がった論文のオーサーシップを手に入れるのに高額なお金を支払います。他にも、実際に研究を行わず、苦労することなく国際的な学術雑誌(ジャーナル)に論文を発表したいと考える研究者もこのサービスの利用者となり得ます。これではもはや「研究」論文ではないのでは……と思ったら、中には実在の研究室を持ち、実際に実験を行い、データを取り、画像を撮影することまでやっている論文代筆業者までいるそうです。となると、「論文工場」という呼び方が的を射ていると言えます。しかも、これらの業者が生成したデータを購入して、他の実験に利用している著者もいるということです。まるで、工場から部品を購入するようなものです。 代筆業者が作成した論文の特徴 代筆業者が作成した論文には、仮説、実験戦略、本文および構成における類似、さらに画像の複製・重複利用、あるいは不正利用といった点で特有の特徴があります。ひとつひとつ見てみましょう。 1.代筆業者が作成した論文は、形式に準じて書かれているため、あまり他では見られない文章の類似性があります。また、ほとんど同じ表現が使われていたり、洗練されているとは言い難い使われ方をしていたりすることもあります。これらを念頭に、次の2つの例文を見比べてみてください。 A. This study…