論文を書籍として出版してみよう-9つのステップ紹介
論文が出来ていればそのまま書籍として出版できると思われがちですが、そんな簡単なものではありません。論文と、書籍として出版するための原稿では、構想から出版に至る過程でさまざまな違いがあります。特定の読者に向けて書かれる論文は、多くの点で書籍とは異なるのです。特定の研究分野に関する自分の論文は、より多くの読者にも興味を持ってもらえるかもしれない―という場合には、論文を書籍として出版することを検討してみるのも良いでしょう。 この記事では、論文を書籍として出版するための手順について解説します。 論文と書籍原稿の違い まず、論文と書籍として出版するのを前提に書かれる原稿の違いを見てみましょう。論文は、研究者が何年もかけて執筆するものです。行った研究について書かれた論文は、学術雑誌(ジャーナル)に掲載・公開されます。しかし、そうした論文の中には、より多くの読者に向けた書籍として出版されるものもあります。論文を書くにも書籍用の原稿を書くにも努力と時間が必要ですし、同じぐらいの文章量を書くことになるとしても、この2つはいくつかの点で異なっています。 論文は常に疑問や仮説から書き出しますが、書籍は冒頭の文章で読者の関心をつかむ必要があります。ざっくりと言えば、論文は問いかけから始め、書籍は答えから始めるということです。 別の大きな違いは読者です。論文の内容はもちろん、形式や言葉遣いは、学術関係者が読むことを前提に書かれています。一方の書籍は、より多くの読者に届けることを意図して、学術界関係者以外の読者にも理解しやすいよう、より分りやすい言葉遣いや形式で書かれます。 役割も異なります。論文は研究活動の成果を報告するものですが、書籍は研究とその研究の社会への影響について読者に関心を持ってもらうための媒体と言えます。 論文は書籍として出版するには 論文と書籍の構成が同じになる必要はありません。そもそも論文と書籍では読者が異なるので、書籍の執筆目的と同様に書き方を変える必要があるからです。書籍を特定のコース(学科)の参考図書にする意図で作成する場合は、そのコースの講義摘要を考慮し、取り上げる題材を決めます。論文は、題材のほとんどを網羅しているかもしれませんが、既存の参考図書や資料とのギャップを埋める必要はあるでしょう。 さらに、ひとつのコースのためだけでなく、焦点が異なる複数のコースの参考図書として書籍を作成したいと考えるならば、読者のさまざまな関心を考慮する必要があります。 ほとんどの論文には、相互参照(クロスリファレンス)、脚注、参考文献一覧が付いています。論文を書籍として出版する際には、専門的すぎる学術用語を使わないようにするとともに、一般的な読者向けに文献一覧を簡略化しておきます。 論文を書籍として出版する際に考慮すべきこと • 書籍を作成する目的と解決を目指す問題 •…