論文を出版する

同じジャーナルに2本以上の論文を投稿するのはNG?

とある学術雑誌(ジャーナル)編集部の話しです。編集部にとって、次々に新しい論文が投稿され、しかもそれぞれが優れているというのは嬉しいことです。ところが、ある著者がよく書けている論文を同時に4本投稿してきた場合、編集部としては、好意的に受け止めながらも、同じ著者の論文を1つの号にまとめて掲載するかどうかは悩ましいところです。編集部は悩んだ結果、まず2本の論文を掲載して、残りは後日掲載することとしました。著者はこの対応に満足し、さらなる研究を続けています。 学術出版界には、研究者なら誰もが恐れる "Publish-or-Perish(出版か死か)"と言われるほどの混乱とプレッシャーが存在しています。だからと言って、研究者は、すべての研究論文の投稿先を1つのジャーナルに絞るべきでしょうか?特定のジャーナルに絞って論文を投稿することは、学術的なキャリアに影響を与えるのでしょうか?投稿先を絞ることにメリットはあるのでしょうか?次の論文を投稿する前に、投稿先の問題について考えてみましょう。 複数論文の投稿はリジェクトを避けるための安易な手段か 若い研究者たちは、学術出版界で自分のキャリアを切り開こうとしています。研究論文の投稿先の選択肢はたくさんある中、ジャーナルを1誌に絞るべきでしょうか?この質問に対する答えは、研究分野、投稿先候補のジャーナル、個人の好みなど、多くの要因によって異なってきます。すべての研究論文を1つのジャーナルに掲載すれば、その雑誌の評判を高め、学術界における知名度を上げることにつながるかもしれません。とはいえ、その雑誌のインパクトファクターや読者層を考慮することも重要です。自分の研究を幅広い読者に届けたいのであれば、複数のジャーナルで出版するのが最善の選択かもしれません。最終的に、どこで出版するかは、安心感や出版しやすさだけでなく、自分自身や研究にとって何がベストかを考えた上で決めるべきでしょう。 同一著者からの複数の投稿を編集者はどのように考えるか 最近の動向として見られる同一著者が同じジャーナルに複数の論文を投稿する傾向について、ある有名な雑誌の編集部が話し合いを行いました。編集部の中でも複数論文の投稿が雑誌の品質低下を懸念する社員もいれば、単に著者が投稿システムをうまく利用しているにすぎないと考える社員もいて、意見は分かれました。 そこで編集者たちは、ジャーナルの読者にアンケートを取り、この問題に対する意見を聞くことにしました。その結果、大多数の読者が同一著者の複数の投稿によってジャーナルの質が低下していると感じていることが判明しました。そこで編集部は著者が1つのジャーナルに複数の同時投稿をすることを禁止するポリシーを導入することにしました。この決断は、この特定のジャーナルの読者で顕著に現れた結果の可能性もありますし、編集者や読者によっても意見は異なるでしょう。結局のところ、論文を発表するということは、読者に知識を広めることが重要な目的であり、出版することだけが目的ではないのです。 1つのジャーナルに複数の論文を投稿する理由 著者が複数の論文を1つのジャーナルに投稿する理由を挙げてみます。「数打ちゃ当たる」ではないですが、多数の論文を投稿すれば、1つぐらいは受理(アクセプト)されると期待するかもしれません。あるいは、投稿する際の手間を減らしたいという思惑もあるかもしれません。理由はどうあれ、複数の論文を投稿されるジャーナル側にすれば面倒な側面もあり、好意的に受け取られるとは限りません。著者自身が投稿先を熟考していないような論文を、編集者が読むのに時間を費やすべきだとは思わないでしょう。1つのジャーナルに複数の論文を投稿しようと考えている人は、もう一度、そのジャーナルが最適の投稿先なのかを考えてみてください。投稿先を絞ることが出版につながることよりも、むしろ出版のチャンスをつぶしてしまう可能性が高いかもしれません。 ただし、場合によっては、著者が編集者とすでに良好な関係を築いていて、自分の論文に公正な審査が行われると確信できることもあります。こういった場合は、複数の論文を投稿することで、論文が受理される可能性を高めることができる場合もあるでしょう。もちろん、著者がひとつのジャーナルに複数の論文を投稿する場合、投稿プロセスが1回で済むので、時間と労力の節約になります。複数の論文を1つのジャーナルに投稿することには利点もありますが、それでも各論文はそれぞれの良し悪しによって審査されることを心に留めておくことが大切です。そのため、論文を投稿する前に、それぞれの論文が最高の品質であることを確認しておく必要があります。 特定のジャーナルに複数の論文を投稿することは著者の評判に影響するのか ケンブリッジ大学の研究チームが実施した最近の研究によって、著者が特定のジャーナルにのみ論文が掲載されている場合、研究者としての評判に影響することがわかりました。1つのジャーナルにしか発表していない研究者は、複数のジャーナルに発表している研究者よりも、他の研究者から論文を引用される可能性が低いことが明らかになっています。この研究の筆頭著者であるアリス・サリバン博士は、この調査結果は、1つのジャーナルにしか論文を発表しない研究者は、複数のジャーナルに論文を発表する人に比べて研究者としてのステータスが高い人物ではないという「シグナル」を自ら他の研究者に送っていることになると述べています。さらにサリバン博士は、この調査結果はジャーナルの評価方法にも影響を与える可能性があり、1つのジャーナルにしか発表しない研究者に対する「評価の偏り(バイアス)」につながる可能性があると述べています。ただし、1つの投稿先にしか発表しないことと、他の研究者からの論文の引用が少ないことの間には直接的な因果関係が見いだせなかったので、論文の投稿先を限定することが、直接的に研究者としての評価にマイナスの影響を与えるかどうかは、定かではありません。 著者が投稿した論文をジャーナルにリジェクトされてしまうことは学術出版ではよくあることです。著者はリジェクトされた論文を別のジャーナルに投稿し、それでも駄目ならまた別のジャーナルに―というように投稿先を変えていくことがあります。一方で、1つのジャーナルに複数の論文を投稿することもあります。なぜ、このようなことをするのでしょうか? 論文を出版する、つまりジャーナルに論文が掲載されることが、研究者としての評判に大きな影響を与えることは間違いありません。結局のところ、同じジャーナルに何度も掲載されれば、その雑誌の読者の目に留まるようになるのです。特定のジャーナルに投稿することは悪いことではありませんが、そのジャーナルにしか投稿していない場合は問題です。融通が利かないと思われる可能性がありますし、他のジャーナルでは出版できないのではないかと疑問視される可能性もあります。限られたジャーナルで発表するやり方でも確かに評価は上がりますが、研究者として幅広い能力があることを示すためにも、他のジャーナルでも論文を発表することが重要なのです。…

研究被験者を守る倫理的配慮とは

論文に取り組み始めた頃は、研究にさえ専念していればいいと考えがちですが、研究活動を進めていくうちに、実験に参加する被験者を守るための研究倫理は研究の中核をなすものであり、研究デザインの基礎となるものであることに気づかされます。今回は、倫理的に問題視された具体例も踏まえて、主な倫理的配慮について見ていきます。 研究における倫理的問題 出版規範委員会(Committee on Publication Ethics: COPE)をはじめ、科学研究における倫理性の推進を目的とした組織が数多く存在します。こうした団体に共通するのは、研究倫理というものが研究のおまけや脇役ではないという認識です。研究倫理とは、研究にとって不可欠な側面で、常に前提として守られるべき事項なのです。 - 妥当性 研究デザインは、研究ごとのリサーチクエスチョンに対応するものでなければなりません。研究の結論が、提起されたリサーチクエスチョン=研究課題および研究結果に相関するものでなければなりません。また、研究倫理では、使われる方法はリサーチクエスチョンと具体的に関連したものでなければなりません。 - 参加と同意の任意性 いかなる場合も、研究への参加に強制があってはなりません。参加者を信頼させるための説得や虚偽も強制に含まれます。 インフォームド・コンセントでは、個人が研究に参加することに書面で同意しなければなりません。同意書は、研究者と参加者の間で信頼関係が結ばれたという証でもあります。 -…

論文の二重投稿<翻訳版を再掲載しない方がよい4つの理由>

発表済みの論文を別の言語に翻訳して出版することが、論文を執筆する研究者の間で一般的になってきています。これは研究不正にはならないのでしょうか?この記事では、日本語で二次投稿、二重出版もしくは再掲載などと訳されるsecondary publicationの倫理と、発表済みの論文を翻訳したものを再掲載しないほうがよい4つの理由について説明した上で、著者がこうした不正行為を回避しつつ、論文を複数言語で発表する方法について見ていきます。 研究者が発表済みの論文を翻訳する理由 まず、研究者が発表済みの論文を別の言語に翻訳して再掲載する理由を見ておきます。 発表済みの論文が読者層にとって読みにくい言語で書かれている場合、発表者の母国語、または、より多くの人が利用している言語に翻訳した方が、その論文に関心のある読者に読んでもらいやすくなります。 論文の掲載先が研究者が期待するほど有名でない学術雑誌(ジャーナル)だった場合、論文を翻訳して、より有名なジャーナルに再掲載することによって論文の認知度を高め、結果として論文の影響力を高めることができます。 論文の発表から何年も経過して、情報が古くなっている場合、当初の論文発表以降に、解釈や関連性を変更する新しい展開または発見が出てきていることも考えられます。 このような場合、新しい情報を翻訳して再掲載することで、読者が最新の研究情報にアクセスできるようになります。 既に発表された論文を翻訳して再掲載することは不正行為か 既に発表された論文を他の言語に翻訳して再掲載することが不正行為と見なされるかどうかは、どちらの判断もあり得ます。既に発表した論文の翻訳版であると投稿先に伝えて事前に再掲載の承諾を得ていれば二重投稿、研究不正とは見なされませんが、既に発表した論文の翻訳版であることを伝えず、しかも独自研究ではないことを明らかにしていない場合には研究不正と見なされてしまいます。通常、多くのジャーナルは既に発表された論文を他の言語であっても再掲載することを好ましいと思ってはいませんが、既に発表されている論文であっても、それが他の言語であれば再投稿を検討する余地を残しているジャーナルもあります。とはいえ、こうしたジャーナルであっても、論文が以前に発表されているものであることを明確に記載する必要があるので注意が必要です。 研究者は発表済の論文を翻訳して他のジャーナルに投稿すべきか この質問への回答は、「ジャーナルの方針による」となります。一部のジャーナルは、論文を別の言語に翻訳して発表することに寛容ですが、そうでないジャーナルもあります。翻訳した論文の投稿を認めていない投稿先に翻訳論文を再掲載してしまうと、それは研究不正と見なされます。 ジャーナルが、掲載するすべての論文が独自性のある研究であることを保証すること、あるいは翻訳の質に懸念を持っているような場合には、翻訳された論文の投稿を許可しない可能性があります。 研究者が翻訳版を再掲載することを許可するかどうかの最終的な判断は、個々のジャーナル次第です。特定のジャーナルの方針(ポリシー)について不明な点があれば、その編集者または出版社に直接問い合わせてみることをおすすめします。 論文の翻訳版を再掲載しない方がよい4つの理由…

研究インテグリティの維持における査読の重要性

研究者A:「有名な〇〇学術ジャーナルに論文を投稿したのを覚えてる?あれ、投稿して1年経つんですけど。」 研究者B:「え、ジャーナルから連絡ないの?編集者か編集アシスタントから何の連絡もなし?」 研究者A:「まだ何も。サイト上ではまだ査読者が割り当てられていないと表示されてるだけ。査読者を見つけるの、どんだけ難しいんだろうね?査読者の割り当てに1年もかかるなんて!」 学術論文を書かないなら研究者として失格とも言われる「出版か死か(Publish or Perish)」のプレッシャーにさらされている今日の科学研究の状況下で、研究発表システムに対する失望や落胆、怒りを感じることは最近になって始まったことではありません。実際にはあまり知られてはいませんが、出版システムに対する研究者の不満の矢面に立たされて、最も批判されているのは査読者です。確かに、研究者が自分達の研究プロジェクトに最大限責任を負うわけですが、学術研究は査読者の見識によって大きく改善されることも事実です。 査読は知識創出システムの中の中核として組み込まれており、質の高い学術研究を確立するためのひとつの手段として見なされています。査読の決定的な重要性にもかかわらず、このことはほとんど理解されていない上、研究バイアスと非難されることすらあります。 この記事では、査読プロセスを理解する上でのギャップに焦点を当て、査読の機能と質を強調することで、査読の社会的影響における深い意味を見直してみます。 研究インテグリティ(研究公正)を維持する査読の存在 査読とは、出版された学術的記録(学術論文)の公正さを維持することを約束するものであり、学術研究の質を保証、評価するためには馴染みのある手段です。研究開発において、重要な役割を果たしており、研究出版システムの意味を明確にする上でも中心的な役割を担っていると認識されています。さらに、査読付学術雑誌(ジャーナル)に論文を出版することは、研究者のキャリアにとって不可欠であり、研究者らの学術的な評判を高め、研究の正当性を与えるものでもあります。 そうした特性にもかかわらず、査読プロセスは日常的に批判にさらされ、さまざまな媒体やSNSでは、査読の発展が不十分であるとか、規模や範囲によって矛盾や重複が見られたり、決定的な結論が出ない結果を生み出すことが多々あると糾弾されています。その上、査読は、学術文献に関連するものと同じようなバイアス(偏見)の問題も抱えています。査読プロセスにおいて本当に危険なことは、査読の価値体系と実務に対する理解の不足にあるのです。 不十分な情報に基づく一般化と、さまざまな見解の間の緊張により、査読プロセスは改革の余地がほとんどない絶対的基準と見なされていますが、一方で、査読は非常に多様で多面的なプロセスでもあります。 査読プロセスにおける査読者の役割 査読者は、その分野の専門家ですが、著者とは直接的な関係がありません。こうした専門家が投稿論文を読んで評価し、フィードバックを作成し、それを編集者が著者に提供します。 査読者は以下のような作業を行います。…

オープンアクセスと従来型の出版、どちらを選ぶか

多くの研究者は、研究発表の場といえば、長年にわたって学術界において一般的であった購読制のジャーナルを思い浮かべます。しかし、著者にとってのオープンアクセス(OA)出版の大きなメリットが知られるようになるにつれ、OAが急速に主流になりつつあります。 ふたつの出版形態には多くの共通点がありますが、その利点は明らかに異なります。どちらが自分に合っているかを判断するために、両方の出版スタイルについて見ていきましょう。 従来の学術出版とは 伝統的なジャーナルは、大学やその他の組織が出版物の購読料を支払い、それにより所属する人がアクセスして情報を閲覧できるものです。通常、大学などの図書館で雑誌の印刷版を探すか、大学や提携機関などを通じて電子版にアクセスします。従来の学術ジャーナルは長年にわたって学術界において唯一無二の存在であったため、現在でもオープンアクセス・ジャーナルよりも権威があると見なされることがあります。 オープンアクセス出版とは 購読制の出版モデルとは異なり、オープンアクセス・ジャーナルには、誰でも無料でアクセスできます。論文著者がOA出版に抱く最大の懸念は、伝統的なジャーナルでは読者の購読料で賄われる料金が、著者側の負担となることです。 両モデルの共通点は? 出版費用の負担という点以外では、OAジャーナルと従来の出版ジャーナルは、以下のような多くの共通点があります。 査読プロセス OA誌も従来のジャーナルも、同じ査読プロセスを採用しています。OA型・従来型に関わらず、定評のあるジャーナルは査読プロセスを明確に定義しており、査読者の名前や資格などの詳細な情報も開示しています。 ジャーナル・インパクト・ファクター(JIF) 従来の学術誌と同様に、OA出版物もインパクトファクター(IF)で評価されています。IFでジャーナルを相対的な重要性に応じてランク付けすることで、研究者はその出版物が自分の研究にどれだけ役に立つかを判断します。 倫理基準 OA誌も購読制学術誌も、利益相反、守秘義務、剽窃チェックなどの倫理に関わる明確な方針など、厳しい倫理基準に従うことが求められます。さらに、どちらのタイプのジャーナルも、出版倫理委員会(COPE)に加入できます。 品質管理…

オープンアクセスの費用はなぜ高い?論文掲載料(APC)の価値

膨大な時間を費やして学術論文を完成させ、研究を世界と共有するため、オープンアクセス(OA)誌で論文を公開しようとする際、論文掲載料(APC)の高さに疑問を持つかもしれません。 オープンアクセス出版に掲載料がかかる理由と、それがコストに見合うものかについての考え方について解説します。 オープンアクセスの費用はなぜ高い? OA出版の最大の特徴は、読者に無料で研究論文が公開されることです。 この出版形態は、ユーザーが定額料金を支払うか、各論文をダウンロードする際に料金を支払うことで論文にアクセスできる従来の方式とはまったく異なります。 OA方式であれ、従来の方式であれ、ジャーナルの出版費用は誰かが負担しなければなりません。オープンアクセスの場合、料金は読者ではなく著者が支払います。 論文の出版に関連する諸経費には、以下のような使途があります。 事務と運営 論文を投稿する際に支払う投稿料の一部は、ジャーナルの運営費に充てられます。 編集と校正 一流のジャーナルであれば、厳密な編集・校正プロセスを経て論文が掲載されます。投稿先が品質保証プロセスを実践しているジャーナルか事前に確認しましょう。 盗用・剽窃のチェック ほとんどのジャーナルの必須要件となっている剽窃チェック。投稿前にも剽窃チェックツールを使って自分で確認している著者がほとんどですが、ジャーナル側でも投稿された論文がオリジナルであり、引用が適切にされていることを確認します。 査読プロセスの管理 同じ分野の研究者から査読を受けていることが、出版後の論文の信頼と評価にとって不可欠です。出版社は、適正な査読者をアサインし査読プロセスの進行を管理しなくてはなりません。…

オープンアクセス・ジャーナルの種類と選び方

論文を書き終えたら、出版するジャーナルを選び、研究を世界の人と共有する時です。投稿先ジャーナルの選択肢を絞る際、次の点が重要です。完成した研究論文に、誰もがアクセスできるようにしたいか否か。もし無料公開するなら、オープンアクセス・ジャーナルを選びます。 オープンアクセス(OA)出版を選んだ論文は、ほとんどの場合、無料で一般公開されます。これは、従来のクローズドアクセス方式(購読型)のジャーナル出版とはまったく対照的です。 ここでは、それぞれの研究発信に適したOAジャーナルの見つけ方をご紹介します。 OAジャーナル早わかり オープンアクセス方式は、当初は斬新な方式でしたが、今では主流の出版形態となり、学術研究界では当たり前とされています。かつてはクローズドアクセス出版が主流で、読みたい記事は大学図書館などで読む必要がありました。OAは、基本的にアクセスできる人を限定しないので、より多くの読者に素早く情報を届けることができます。 また、OAジャーナルはオンラインでの公開のため、雑誌の同じ号に掲載されるすべての論文の準備が整うまで出版できない紙媒体のジャーナルよりもはるかに迅速な出版が可能です。つまり、クローズドアクセス型の出版物よりも早く研究成果を読者に届けられるです。 オープンアクセス・ジャーナルの種類 オープンアクセス・ジャーナルが普及するにつれ、以下のようないくつかのタイプのOA出版が発展してきました。 メガジャーナル:最小限の論文掲載費(article processing fee)で全文無料公開が可能。査読付きのジャーナルで、扱う分野も広範囲にわたり、短期間で出版できる。 - ハイブリッド・ジャーナル:有料の購読サービスを提供し続ける一方で、著者が論文をオープンアクセスにするかを選択できる。OAを選択した場合、論文の掲載料を支払うケースが多い。 - 遅延型オープンアクセス:公開制限期間中は論文へのアクセスを有料とし、その後サイト上で無料公開する。…

科学研究における研究不正の種類トップ10

研究不正と見なされる行動は、研究プロトコルのあらゆる時点で起こり得るものです。おそらく、科学研究の初期の段階から、成果を出版するに至るさまざまな場面で、異なるタイプの研究不正に遭遇したことがあるのではないでしょうか。 よくある研究不正のタイプ 以下は、世界医学雑誌編集者協会(World Association of Medical Editors: WAME)と米国研究校正局(US Office of Research Integrity)の査読者や学術雑誌(ジャーナル)編集者らが警戒しているよくある研究不正トップ10です。 1. 研究アイデアに関する不正 他者の論文や原稿のレビュー、あるいは助成金申請手続を通して知った他者のアイデアを、自分自身のアイデアとして研究を進め、他者の知的財産権を侵害すること。…

最適な投稿先ジャーナルの選び方・16のポイント

研究を発表するジャーナルについて思い悩むのは、あなただけではありません。データを集め、あらゆる可能性を考察し、自信を持って投稿できる論文を完成させるのに膨大な時間と労力を要したはずですから、その発表の場に最適なジャーナルを選びたいと思うのは当然です。面倒な投稿プロセスを考えると、尚更です。 ここでは、それぞれの論文に最適なジャーナルを探すのに考慮すべき16のポイントをご紹介します。 読者層 始めから当たり前のようなポイントに思われるかもしれませんが、想定読者層の決定は、ジャーナル選択において特に重要なプロセスですので、慎重に行うべきです。自分の原稿を誰に届けたいかを明確にしましょう。たとえば、研究成果を広く知ってもらうのが目的であれば、読者数が多く、オンラインに強みのあるジャーナルを探すのがよいかもしれません。 一般読者が興味を持つ研究内容か、それとも特定の集団のみを対象とするものかをはっきりさせることが重要です。例えば、医学研究の中でも一般の人々にとっても有用な内容もあれば、医療従事者の中でもごく限定された読者に向けて書かれた内容もあるでしょう。 ジャーナルの目的や扱う領域 読者層が、自分の想定読者層に合致するジャーナルがあれば、そのウェブサイトを熟読し、その主な目的や重要視していることを把握しましょう。サイトに目を通すことで、そのジャーナルがどのような種類の論文に重きを置いているかはすぐに分かります。 掲載論文を読みながら、それらの論調や情報、視点が自分の研究と親和性のあるものかを確かめ、かけ離れたものであれば別のジャーナルを検討しましょう。また、自分の論文の目的が、ジャーナルの掲げる目的に合致するかも大切です。 その雑誌のスコープ(収録範囲)も調べましょう。幅広い分野を網羅しているのか、あるいは特定の分野に絞った論文のみを掲載しているのかで、自分のニーズに合うかどうかを判断できます。 刊行年数 長い歴史を持つジャーナルへの投稿を目指しましょう。出版部数の多さに加え、刊行年数の長さによってオンラインや大学図書館での注目度は左右されます。ジャーナルは古ければ古いほど良いと考えるのが無難で、創刊5年未満のジャーナルには注意が必要です。 リジェクト率 ジャーナルにリジェクトされることを望む人はいませんが、不採択は必ず発生します。ジャーナルによってリジェクト率は異なり、そのジャーナルがどのようなものかを理解する指標となります。例えばリジェクト率の高いジャーナルは、権威も高いかもしれませんが、出版の基準を満たすことが非常に難しいのかもしれません。逆にリジェクト率が低いジャーナルは、刊行を続けるために多くの投稿を必要としているのかもしれません。むやみに論文を出版することは、ジャーナル自体と投稿された論文の評価を下げることになります。 リジェクト率が中程度のジャーナルが総じて最良の選択となるでしょう。定評のある出版社から出版され、論文が評価を受けることになるからです。 海外の読者層…

よく練られた研究論文のアウトラインの書き方

研究論文を書き出そうとしているところですか?研究結果を得るための実験に数ヶ月を費やした後、研究室主催者(PI : Principal Investigator)や指導教員から、学術雑誌(ジャーナル)に投稿するための論文を書き始めるように言われたかもしれません。研究論文の書き方について研究仲間や先輩と話して助言をもらっても、どう書き始めればよいのか、なかなか考えはまとまらないものです。 研究論文を書くことは、研究者の多くが頭を悩ませる、手間と時間を要する作業です。いずれは論文を書かなければならないと分っていながら、追い込まれるまで手を付けず、先延ばしにしがちです。そして、インターネットで書き方を検索したり、先輩にアドバイスをもらったりしながら、何度も書き直しつつ何とか論文を書きあげるのです。研究論文を書き上げて発表することは、研究者にとって自分の研究や結果を他者に伝え、理解してもらうためでもありますが、簡単ではありません。 今回は、論文を効率的に書くための助けとなるアウトライン(概要)の作成方法についてまとめてみました。 研究活動において論文を出版する目的は、学術研究を促進し、研究への支援(助成金)を獲得することでもありますが、論文執筆の主たる目的は、自分の仮説と研究データを科学コミュニティに示し、コミュニティが特定の分野における理解を深めるのに寄与することです。研究論文とは、研究の仮説から、プロトコル、方法、結果、結論、そして考察までを網羅する研究プロセスの正式な記録なのです。 だからこそ、しっかりとした構成に沿って書き進める必要があり、そのためにはアウトラインを作成することが重要です。 研究論文のアウトラインとは 研究論文のアウトライン(概要)は、学術研究論文を書く際の基礎になります。アウトラインは、IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)形式に準じて組み立てるのが一般的ですが、論文の種類によって異なることもあります。アウトラインは、読者に対して論文の内容を簡潔に伝えられるよう、以下の項目で組み立てます。 1.…