コラム

冠詞用法I: 量を表す名詞はその値によって 一意に特定されない

私が読んできた論文からすると、日本人が書く英文における問題点は3〜5割が冠詞用法に関わるものです。誤った冠詞用法がよく見られる名詞の中でも量を表す名詞は特別です。量を表す名詞で見られる誤った冠詞用法は、誤りの多さおよび誤りが引き起こす意味上の問題の深刻さによって、特に顕著な誤用です。ここでは、その典型的な誤用の一つを考察します。 冠詞の誤用を引き起こす原因に、量を表す名詞独特の誤解が幾つか存在します。その一つは以下の誤用例で見られます。 [誤] (1) This circle has the radius 3 mm. この文の書き手は、名詞「radius」がその修飾語である「3 mm」によって一意に特定されると勘違いしたようです。この勘違いは、ある量の可能な実現とその可能な実現値とが一対一の関係にあるという誤解に起因するものだと思われます。実際は、(英語に内在するロジックでは)ある量が考察される個別のケースにおいて、たとえそれぞれのケースにおける量の実現値が全く同じだとしても、それぞれのケースにおける量の実現は個別の存在として解釈されます。3 mmの値を持つ半径というものが様々存在するわけです。従って、上述の例文中の名詞「radius」が表すものは唯一ではありません。よって、「the」は削除すべきとなります。 [誤]…

「フェイク・カンファレンス」にご用心

アメリカのドナルド・トランプ大統領が選挙キャンペーンで勝利をおさめたことには、ヒラリー・クリントン候補を貶めるためなら嘘も平気で書く「フェイク・ニュース」が貢献したといわれています。 学術界にも「フェイク・ジャーナル」があります。「捕食ジャーナル(predatory journals)」とも呼ばれ、本誌「捕食ジャーナル – 倫理学分野にすら登場」でもお伝えしたように、掲載料さえ払えばきわめて甘い査読のみで、どんなひどい論文でも掲載してしまうオープンアクセスジャーナルのことです。捕食ジャーナルやその出版元である「捕食出版社(predatory publishers)」は、疑うことを知らない若い研究者を掲載料目当てに食い物にしている、と批判されてきました。 捕食出版社のビジネスモデルは、ジャーナル(学術雑誌)だけでなく、国際的な学術カンファレンス(会議)にもおよんでいます。そうした「フェイク・カンファレンス」のシステムは、フェイク・ジャーナル=捕食ジャーナルとほとんど同じです。 たとえば、捕食出版社として知られるインドのA社や、カンファレンス専門のトルコのB社は、毎年何千もの「国際カンファレンス」を世界各地で開催しています。パリやドバイ、ラスベガスといった観光地が目立ちますが、ニューヨークやロンドンなどでも開催しています。これらの会社は研究者に向けて発表者を募り、研究発表を希望する者はそれに応募します。アブストラクトなどの応募書類は、査読者が査読することになっており、査読を通過すれば、投稿した者は研究発表を行うことになります。高額な手数料を支払えば、です。 数十分野もの研究者たちを1つのホテルに招待し、別々の会議室で、別々のセッションを開催します。それら1つひとつを「国際カンファレンス」と称し、世界中で、毎月のように行なっているのです。 問題はその質でしょう。 カナダの新聞『オタワサン』は、一般紙であるにもかかわらず、なぜか捕食ジャーナル問題を継続的に報道しています。同紙のトム・スピアーズ記者は以前、前述の本誌掲載記事でもお伝えしたように、デタラメな原稿をジャーナル編集部に投稿して、その査読体制のいいかげんさを暴露したことがあります。 スピアーズ記者は同じことをカンファレンスでも行いました。3月10日付の『オタワサン』への寄稿によると、彼は「カルミ・イシュマール博士」という偽名で、「鳥-豚の生理における飛翔特性の進化」と「サンゴ礁に依存する底生生物および遠洋生物の修復戦略:T. migratoriusおよびG. californianusのケース」という研究発表を応募しました。前者は、空飛ぶブタ(flying pig)の骨や筋肉について研究したもので、後者は、海底に生息する鳥(コマドリおよびミチバシリ)の生態について研究したものです。…

プレプリントを論文の「最終版」に!?

本連載「生命科学分野は「プレプリント」を導入すべき?」でも以前にお伝えしたように、「プレプリント(preprint)」という習慣が学術界に根づき始めています。 プレプリントとは、ジャーナル(学術雑誌)に論文として掲載されることを目的に書かれた原稿を、完成段階で査読の前にインターネット上のサーバーにアップした論文のことをいいます。プレプリントを登録するというこの習慣は物理学分野から始まり、1991年に設立された「arXiv.org」がプレプリント・サーバーの先駆けとして有名です。2013年には、生物医学分野を専門とする「bioRxiv」も設立されました。 この習慣は、あくまでもよりスピーディな情報交換のために始まったものなので、研究者は同じ原稿をジャーナルに投稿し、その原稿が査読を受け、論文としてジャーナルに掲載されることを目指す、ということが前提のはずです。 しかし最近、一部の研究者たちが、プレプリントを最終版とみなし、ジャーナルに投稿するつもりはないと発言して波紋を呼びました。そのことを『ネイチャー』(2017年1月20日号)が伝えています。 2017年1月12日、カリフォルニア大学デービス校の進化遺伝学者グラハム・クープは、Twitterで、bioRxivに投稿したプレプリントの1つは、それが「最終版」で、「公表(publish)」するつもりはない、と述べました。 その論文は、「遺伝的ヒッチハイク」と呼ばれるプロセスについて、2015年に公表されたある研究を批判するものです。 クープはこの論文をジャーナルに投稿せず、このプレプリントを「最終版」とする理由として、この論文は別の論文への応答であり、オリジナルの研究ではないからだと説明しています。しかし、もう1つの理由は「プレプリントが研究者によってどのように認識されているか」を知りたかったからだと書いています。 現行の査読システムにおいては、著者が原稿をジャーナルに投稿し、査読者がその原稿の問題点を指摘、つまり査読します。査読者の指摘に応じて著者は原稿を修正して再投稿し、査読者を納得させることができたら、その原稿は論文として受理(accept)されて出版(公表:publish)」されます。しかしながら、過激な論客のなかには、この査読というシステムは非科学的であり(本連載「査読の歴史 − 査読を科学的なものにしよう!」を参照)、オンライン・ジャーナルクラブ「パブピア(PubPeer)」や、PubMedの掲載記事に対してコメントして共有する「パブメドコモンズ(PubMed Commons)」といった情報交換サイトを通じた出版後査読(post-publication peer review)のほうが有益であると主張する人もいます(本連載「査読 システムに限界、基準劣化のおそれ」を参照)。 シカゴ大学の遺伝学者ヴィンセント・リンチは、クープの提起に応じて、「私の見解ではプレプリントはプリントと同じ(Preprint=print…

研究不正が発覚した研究者でも、多額の助成金を獲得

一般的には、研究不正(データの捏造、改ざん、盗用など)が発覚した研究者は、研究の世界から追放されると思われているかもしれません。しかし、2017年1月に発表されたある調査では、研究不正が発覚し、何らかの制裁を受けた後であっても、研究を続けているだけでなく助成金を獲得し続けている研究者が少なくないことがわかりました。 米国イリノイ大学の研究公正官−−アメリカでは、研究機関には研究不正に対応する職員「研究公正官」を配置することが義務づけられています*¹−−カイル・ガルブレイス(Kyle L. Galbraith)は、1992年4月から2016年2月までの間、アメリカの政府機関「米国研究公正局(ORI : The Office of Research Integrity)」によって、研究予算の受領の一時停止など制裁措置を受けた研究者284人を特定しました。 彼はオンラインのデータベースなどを活用して、その284人のうち、何人が研究を続けているかを確認しようと試みました。該当する研究者が公表した論文を「PubMed」で検索したり、彼らが国立衛生研究所(NIH)から得た助成金や研究分野における地位を調べたりしたのです。 その結果、半数近くの134名(47.2%)が研究を続けていることがわかりました。113人は研究職に従事していることがオンライン上で確認され、118人はPubMedに論文が公表されていることも判明しました。 また、約8%にあたる23人は、ORIによる制裁を受けた後にもNIHから助成金を得ており、さらにこのうちの17人の研究者は、彼らが関与する61件の新規プロジェクトに対して1億100万ドル以上の助成金を獲得していることが見えてきました。 彼の調査結果は『人間研究倫理に関する実証的研究ジャーナル(Journal of…

臨床試験の結果をシェアしていないのは誰だ?

以前、本誌「臨床試験の結果、いまだ半分以上が未公開」でも紹介したように、実施されたはずの臨床試験の結果のうち約半数ないし半数以上が公開されていないことが問題になり続けています。2016年8月には、子どもを対象にした臨床試験のうち半数近くが、途中で中止されたか、完了しても公表されていないことが新たに明らかになりました。 「臨床試験」とは、被験者、つまり生きている人間を使って、新薬や医療機器の有効性や安全性を検証することです。したがって、その結果が公開されていないということは、医師や患者が治療方法を決定する際に参考になる情報があるにもかかわらず、それらを参照できないことを意味します。 2016年11月、臨床試験のデータを開示するよう製薬業界を促している研究者や医学ジャーナルのグループ「オールトライアルズ(AllTrials)」は、「誰が臨床試験の結果をシェア(共有)しないのか?(Who's not sharing their trial results?)」というウェブツールを制作・公開して、臨床試験の結果の公開状況を可視化しました。 オールトライアルズは、臨床試験のデータベース「ClinicalTrials.gov」に登録されている臨床試験すべての詳細を定期的にダウンロードし、臨床試験の結果がジャーナル(学術雑誌)に発表、または「ClinicalTrials.gov」に報告されているかを調べ、いずれにも公開されていない場合には、該当の臨床試験データが「欠落(missing)」しているものとしてカウントするよう、ツールを設計しました。 その集計によれば、2006年1月以降、臨床試験の主なスポンサーは、2万5927件の臨床試験を完了したのですが、そのうち1万1714件の結果が公開されていません。「このことは、臨床試験の45.2%の結果が欠落していることを意味します」とオールトライアルは記しています。 スポンサー別に見ると、「結果が欠落している臨床試験」が最も多かったのは、製薬大手サノフィ(Sanofi)です。同社は正式な臨床試験435件を実施しましたが、285件(65.5%)の結果は公開されていません。同社は生物医学のニュースサイト『STAT』の取材に対し、自分たちは「規制要件と自主的開示に関する業界の勧告」に従って、「ClinicalTrials.gov」や「EU-Clinical Trial Register」といったデータベースやジャーナル、学会などで結果を公表している、と反論しています。 2位以下には、ノバルティス ファーマ(Novartis…

論文の構成要素 – コンクルージョン

論文のコンクルージョンは本文の最後に位置し、論文をまとめる部分です。コンクルージョンは「Conclusion」という見出しの一つのセクションとするのが一般的ですが、「Discussion」と「Conclusion」、または「Summary」と「Discussion」、あるいは「Summary」と「Discussion」と「Conclusion」などといった複数のセクションに分割されることもあります。 論文のコンクルージョンは少なくとも以下の役割を果たします。 (i) 論文を要約し、結果を繰り返して述べます。 (ii) 研究結果の重要性とそれが影響を及ぼす範囲を明らかにします。 (iii) 研究の長所と短所を指摘します。 (iv) 既存研究との関係を述べます。 (v) 今後の研究の可能性について議論を行います。 これらの項目の記載順は、一般に上の通りになりますが、(iii)と(iv)の順番が逆になることもあります。以下でそれぞれの役割についてより細かく説明します。 (i) <論文の要約、結果の記述>…

論文の構成要素 – 本論

論文の「本論」はイントロダクションとコンクルージョンに挟まれ、研究内容の徹底的な記述を行う部分です。分野やジャーナルによって、「Methods」と「Results」、または「Materials and Methods」と「Results and Discussion」、あるいは「Methods」と「Results」と「Discussion」などという決まったセクションから構成される形式もありますが、セクションの数、見出し、内容に関しては規定がないことがより一般的です。 研究は、やり方が様々ですが、いかなる場合でも基本的には何らかの研究過程を通して結果を入手する、というプロセスになります。論文の本論では、研究過程とそれによって得られる結果を詳細に報告します。 本論は、ターゲット・オーディエンス(読者)が研究過程の各部分を再現できるほど微細、正確、かつ明確な説明と議論から成るべきです。例えば、研究が理論的なものであれば、結論が明確な出発点から切れ目のない論理の連鎖によって導き出されていることが必要です。また、論文で報告される実験、調査、数値計算、臨床試験などは、読者が(少なくとも原理的には)同等の条件の下で同等のプロセスによってデータを集めることができるように説明されているべきです。さらに、収集されたデータを出発点とした議論が、論理的に研究結果に到達することを明確に示す必要があります。 日本人学者による英語論文の中では、議論の出発点と到達点をつなぐ論理が明確でないことがしばしば見受けられます。多くの場合、問題の原因は論文が日本語的な考え方で表現されたことだと思われます[1]。 [1] 関連した議論についてはグレン・パケット:『科学論文の英語用法百科〈第2編〉 冠詞用法』(京都大学学術出版会,2016)の前書きをご参照下さい。 ※ 次回は「コンクルージョン」の構成についてお伝えします。

論文の構成要素 – イントロダクション

論文のイントロダクションは、本文の最初の部分であり、論文全体の内容を理解するために必要とされる予備知識を提供する部分です。個別のセクションに区切られる論文であれば、イントロダクションは「Introduction」という見出しの一つのセクションになることが一般的です。 イントロダクションが果たす主な役割には以下の項目があります。 (i) 論文の背景を示します。つまり、当研究が、どの分野に分類されるのか、そしてその分野においてどこに位置付けられるかを明確にします。 (ii) 研究の動機を述べます。要するに、なぜこの研究を行う意味があるかを説明するのです。 (iii) 研究の目標を示します。つまり、今回の研究でどのような進展を目指しているかを明らかにします。 (iv) 研究法を簡潔に記述します。具体的には、目標を達成するためにどのような方法によって解を与えようとするかを概説します。 (v) 結果を簡潔に述べます。 (vi) 結果の重要性を手短に論じます。特に、この結果が研究分野の進展にどのように貢献するかを明らかにします。 概して、これらの項目の記載順は上の通りになります。以下にそれぞれの役割について、もう少し細かく説明します。…

捕食ジャーナルのリスト「ビールズ・リスト」閉鎖

いわゆる捕食ジャーナルや捕食出版社のリストとして知られる「ビールズ・リスト(Beall's List)」が、予告なしに閉鎖されました。2017年1月15日のことだと推測されます。 本誌「捕食ジャーナル-倫理学分野にすら登場」でもお伝えしたように、学術界では「捕食ジャーナル(predatory journals)」や「捕食出版社(predatory publisher)」が問題になっています。捕食ジャーナルとは、掲載料さえ払えばきわめて甘い査読のみで、どんなひどい論文でも掲載してしまうオープンアクセスジャーナルのことで、捕食出版社とはそのジャーナルを発行する出版社のことです。そのいい加減さは、存在しない研究機関に所属する存在しない研究者の名前で、意味のないデタラメな文章を投稿しても、採択されてしまうことがあるほどです。そのため捕食ジャーナルは、疑うことを知らない若い研究者を掲載料目当てに食い物にしている、と批判されてきました。 コロラド大学デンバー校助教授で図書館員のジェフリー・ビール(Jeffrey Beall)は2010年、趣味で、捕食ジャーナルと捕食出版社のリストを作り始めました。ビールズ・リストは彼のウェブサイト「学術オープンアクセス(Scholarly Open Access)」の目玉コンテンツでした。 捕食ジャーナルの影響は大きく、フィンランドの研究者らが2015年に発表した調査結果によると、2010年から2014年の間に「捕食」出版が急増し、ビールズ・リストに挙げられているジャーナルに掲載された学術論文の数は、ほぼ10倍近くまで増加したといいます。ビールズ・リストは随時更新されており、今年1月の最新の更新では、1000誌以上の捕食ジャーナルと1000社以上の捕食出版社がリストアップされました。 当然ながら、出版社のなかには、このリストに載せられることに抵抗してきたところもあります。ビールに対して高額の損害賠償を求める訴訟をほのめかした出版社もあります。 ビールはいまのところ、リストの閉鎖に関してどのメディアの取材も拒否していますが、コロラド大学デンバー校の広報担当者は、ビールは訴訟やハッキングではなく、「個人的な決断」によりリストを閉鎖したと各メディアに説明しています。また、ビールはコロラド大学デンバー校の教員として継続勤務するとのことです。 『サイエンス』誌のブログ『サイエンス・インサイダー(ScienceInsider)』などによると、研究者と出版社などをつなぐ学術関係のサービス・プロバイダであるCabell’s Internationalという会社がビールをコンサルタントに迎えて 捕食ジャーナル…

査読者が査読対象を盗用 − 「著者にとって最悪の悪夢」

学術情報のニュースサイト『リトラクション・ウォッチ』は、毎日、学術界にとってはあまりうれしくない情報を発信していますが、その同誌が「著者にとって最悪の悪夢」と呼ぶ事態が起きたようです。 2015年6月、タフツ大学メディカルセンターのマイケル・ダンジンガーらは、5年かけて実施した研究の結果を原稿にまとめて、『内科学紀要(Annals of Internal Medicine)』に投稿しました。しかし、その原稿は査読者によって却下されました。ダンジンガーは自分の論文がほかの研究者たちの論文で引用されていないかどうかを探していたとき、『EXCLIジャーナル』に、自分たちの原稿とほとんど同じ内容の論文が掲載されていることを発見し、2016年8月、そのことを『内科学紀要』に連絡しました。『内科学紀要』のクリスティン・レーン編集長は、その論文の共著者の1人に、ダンジンガーらが投稿した原稿の査読者がいることに気づき、その人物に連絡しました。連絡を受けた人物は盗用を認めました。レーンは『EXCLIジャーナル』の編集者にそのことを知らせ、同誌は、2016年9月にその論文を撤回しました。 つまり、査読者が査読対象の原稿を却下しておきながら同時に盗用し、自分自身の研究結果として発表していたのです。 2016年12月、『内科学紀要』は、ダンジンガーが盗用者に宛てた手紙を掲載しました。これは彼が実際にその「査読者/著者」である人物に送ったメールを修正したものだといいます。同時に、レーンの名前で書かれた論説も掲載されました。 ダンジンガーの手紙は「親愛なる盗用者様 私たちの原稿を盗んで自分の論文として公表した査読者への手紙」と題され、「ドクター博士(Doctor Dr.)」宛てに書かれています。 あなたは私たちの原稿の外部査読者として働いてから数カ月後、同じ原稿を別の医学誌で公表しました。あなたは著者名や所属機関を削除し、あなたの共著者やあなたの所属機関の名前に置き換えました。 彼は、自分たちが5年もかけて研究を計画し、被験者を集め、データを収集・分析したにもかかわらず、そうした「少なくとも4000時間の労働の結果」が簡単に 盗用 されてしまった事実を書き記しています。「あなたが確実に知っているはずであるように、窃盗は間違ったことです。科学研究では特に問題です」。そして盗用をした者は、評判や職位、研究費を得る資格などを失うことを、優しく諭します。 あなたがなぜそんなリスクを取るのか、理解することは難しいです。 あなたが医師や科学者になるために、懸命に勉強したことは間違いありません。私はあなたが多くの研究論文を発表したことを知っています。そのことは意味を持ちません。論文を公表することへのプレッシャーがあまりに強いかどうか、あなたが働いている地域や分野の文化が寛容であるかどうか、そのような盗用が真剣に受け止められないのか、あるいは発覚する可能性が低いかどうかにかかわらず、あなたがそんな機会を利用する理由を想像するのは難しいです。あなたが将来、ほかの誰かの研究を盗まないことを希望します。…