コラム

exampleとsample

名詞「example」と「sample」が混同されることによって生じる文法的な誤りを、時おり目にすることがあります。それぞれの語の定義とその典型的な用例を以下に挙げます。 example: あるグループを成す複数のものの代表として選ばれた一つのもの。 (1) Japan is an example of a country whose population is presently…

endemic、epidemic、pandemic

名詞「endemic」、「epidemic」、「pandemic」は公衆衛生学の専門用語*としてよく用いられますが、混同されることも多い語です。ここで各語の違いを説明します。 *これらの名詞は3語とも非専門用語として用いられることもありますが、pandemicの場合は非専門用語としての用法はやや稀です。 「endemic」は名詞として用いることもできますが、本来の用法は形容詞であり、名詞として用いられるのは「endemic disease」の短縮形として使用される場合です。形容詞「endemic」は「特定の地域・グループ・時代などに特有の」という意味を示します。それゆえ、「endemic disease」は「地方病」、 「風土病」を意味し、影響範囲が狭い病気に対して使われます。また、「endemic disease」は「流行」という意味を持たず、病気が「長期的」、あるいは「永久的」であるという意味で捉えられます。 対照的に「epidemic」は単に「流行病」を意味し、病気が「特定の地域やグループに限られている」という意味も「長期的な現象である」という意味も含まれてはいません。 「pandemic」は「epidemic」と意味が似ていますが、影響範囲がより広い(全国的、あるいは全世界的な)伝染病の流行に対して用いられます。 以下に各語の名詞及び形容詞形の典型的な用法を示します。 (1) In order for an…

短縮形

短縮形(たとえば、doesn’t = does not、she’s = she is、’90s = 1990sなど)は日常英語では頻繁に使われますが、フォーマルな場面の英語では口語的すぎますので使用を避けるべきです。特に、学術論文にはきわめて不適切と思われます。

代名詞の誤用2

曖昧な使用 日本人著者による論文では、代名詞の曖昧な用法がたびたび見うけられます。代名詞を用いるときは、それが指す対象の名詞の同定が明確で、代名詞が表す意味について解釈の余地がないということを必ず確認すべきです。以下に代名詞の曖昧な使用の典型例とその修正例を挙げます。 [誤] The new experimental technique is particularly noteworthy in the context of the…

代名詞の誤用1

タイトルに出てくる名詞を本文中で直接指し示すこと 学術英語では、著作物中の(章、節などの)タイトルと本文は互いに独立しているものと見なされるため、本文においてタイトルに出てくる名詞(あるいはタイトル全体)を代名詞で指し示すことは誤りです。 たとえば「Passive Transmission by Blood Transfusion」というタイトルの章があるとしましょう。そこで、本文において最初の文を「This is a serious problem in…」と書き出し、「This」でタイトルを指し示そうとすると、タイトルと本文が文脈のうえでつながってしまうことになります。このような構造はきわめて不自然であり、使用するべきではありません。上の例の修正方法としては、「This」を「The passive transmission of…by…

主語と動詞の間の距離

主語と動詞との間の距離が長いと文章が不自然かつ難解になることが多いので、そういった構文は避けるべきです。以下にその典型的な誤用例を示します。 [誤] This solution, which was first derived by Wallace in an investigation of excitable…

you

学術著作物において、二人称代名詞の「you」は原則として使用しません。以下にその誤用例と修正例を挙げます。 [誤] As most of you are probably aware, Spelaeoecia bermudensis is categorized as “critically…

「in this paper」と同様の表現について

論文において「in this paper」、「in this section」などという表現がよく使用されますが、その用法にはたびたび誤りが見受けられます。よく見られる誤りとして、そのような表現を用い、われわれが実際に論文外で行う行為や行動について述べようとすることが挙げられます。こうした表現はあくまでも論文自体の内容を描写する場合にのみ使えるものであって、それらの表現を用いて「数値計算や実験などを『行う』」というような表現を導こうとすると、論理的な問題が発生します。言うまでもないことですが、論文内の行為と見なされうるのは文章、数式、グラフ、図などといった論文内で行われる行為のみであり、「われわれ」が論文内で数値計算、実験、観察、現地調査、臨床調査などを「行う」というようなことは不可能です。 以下に、上述した内容の具体的な例として、誤用例と正しい例を挙げます。 [誤] In this paper, we analyzed the genome-wide changes…

研究倫理

人間あるいは動物を対象とした実験や調査を行う際には、倫理綱領に従わなくてはなりません。関係する当該研究機関の倫理委員会による審査および承認を受ける必要があり、その事実を論文の本文中に明記することが条件となります。 詳しいことについては以下のウェブサイトをご参照ください。 日本語: https://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/ https://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/37_139.pdf https://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/40_126.pdf https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/administration/lifescience/torikumi.html https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06060904.htm https://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/guidelines/captive.html https://www.niph.go.jp/wadai/ekigakurinri/ 英語: https://www.who.int/ethics/research/en/ https://www.unesco.org/most/ethical.htm https://www.ufrgs.br/bioetica/cioms2008.pdf https://www.apa.org/science/leadership/care/guidelines.aspx…

「文字」の英訳

日本語の「文字」が「character」または「alphabet」と誤訳されるケースも、しばしば目にすることがあります。「文字」が「character」と訳される場合(すなわち、漢字などの表意文字の場合)もありますが、表音文字の場合、「文字」は概して「letter」と訳されます。また、「alphabet」は、1つの文字ではなく、必ず「文字体系」を意味します。 以下に「文字」の正しい訳の例を示します。 (1) The letters “a” and “b” here indicate the most likely identifications of…